翌朝起きると、隣には小町はいなかった。俺は顔を洗い、制服に着替えリビングに向かう。リビングに入ると、小町が朝食を食べていた。
「あ、お兄ちゃん、おはよう。もう朝食できてるから、速く食べてね」
「おお、おはよう。今から食べるわ」
そして食べ始める。何か視線を感じて見ると、小町がじっと俺の方を見ている。
「………なんだよ?」
「えぇとね、お兄ちゃんの目が、いつもと違うだよね。なんか目の腐りがなくなってきているような……」
「……そうかい」
もしかしたら、内面が変われば外面も変わるのか。そんなくだらないことを考えながら食べる。そして食べ終わり、俺は学校に向かった。
学校につくと、自分の席につく。そして考える。今日することを。上手くいくかはわからない。だからまずは行動するだけだ。考えをまとめていると
「八幡!」
誰かの呼ぶ声に気付いた。声のする方を見る。声の主は戸塚だった。
「おはよう、八幡。なんだか最近元気ないけど大丈夫?」
どうやら心配してくれているようだ。
「おう、おはよう。戸塚の顔みて元気になったから大丈夫だぞ」
「うん、そっか。ならよかった。あ、そろそろ時間だから戻るね」
そう言って戸塚は自分の席に戻って行った。そんな戸塚をみて嬉しいと思ってしまった。
あれから退屈な授業が終わり昼休み。いつもならベストプライスにいくところだが、今日は違う。ある人物に会わないといけない。今、俺はその人物のいる教室の前にいる。そこは一年C組。一色いろはがいるクラスだ。俺は入り口近くにいる生徒に声をかけた。
「ちょっといいか?」
「はい………」
「一色いろはを呼んでもらっていいか?」
「はい、わかりました」
そう言って、その生徒は一色を呼びに行った。声をかけられた一色と思われる生徒が、俺の方をみてくる。たぶん一色は、誰だこいつと思っているだろう。だけど、こちらの方に来てくれた。
「あの……貴方は誰ですか?」
まぁ、初対面だからそう質問するのだろう。だから、自己紹介を。
「二年の比企谷八幡だ。奉仕部の部員で、お前の依頼について話したい」
「そうですか……それって今ですか?」
一色は断りそうだな。だからここは
「あぁ、今頼む。大事な話なんだ」
そう言うと、一色は少し考えて答えた。
「はぁ……わかりました。ここではなんで、他の場所でいいですか?」
俺はその言葉に頷き了承した。それから、人があまり来ない図書館に移動した。最初に口を開いたのは一色だった。
「それで、大事な話って何ですか?」
俺は真剣な表情で提案する。俺が奉仕部を辞めるために必要なことを。
「生徒会長になってくれないか?」
いろいろあって説得したが、結果は断られた。まぁ、仕方のないことだな。だが、今回一色いろはと話してみて、どういう人物かわかってきた。だから、まだ可能性はある。そう考えて、自分のクラスに戻った。
放課後になり、俺は気分を変えるために千葉に行った。そこでドーナツショップに入った。久しぶりに甘いものを甘いカフェオレでいただきたいと思ったからだ。商品を注文し、座る席を探すと、視界の端に知っている顔と目があった。
「あれ、比企谷君じゃん」
そこにいたのは、雪ノ下さんだった。俺はとりあえず軽く挨拶をすると、離れた席に座った。しかし、雪ノ下さんが隣に座ってきたので、意味がなくなった。
「こんなところで何してるの?」
「……暇潰しですよ」
「へぇ~そうなんだ………」
そう言うと雪ノ下さんは何かを考え始めるた。俺は気まずいなぁと思ってしまった。
「……比企谷君なんか変わったね」
突然そう言われた。確かに俺は変わったのかも知れない。ただ、奉仕部と決別するまで変わったとは思えない。そう考えていると
「雪乃ちゃんと何かあった?」
「………………………」
雪ノ下さんに問われが、俺は何も返せなかった。
「……そっか。雪乃ちゃんダメだったのかぁ~」
何がダメなのかは俺にはわからない。それに、この人はどこまで知っているんだ?まったく読めない人だ。
「じゃあ私はそろそろ帰るね。あと、比企谷君……君は私と似てきているね。ただ、私とは違い、気付いていないね……それじゃ、バイバイ」
そう言って、雪ノ下さんは帰って行った。残された俺には雪ノ下さんが言った意味がわからなかった。考えても仕方がない。俺は残ったドーナツを食べ、家に帰った。
今回は悩まずにすらすら書けました。次の投稿は三日後の予定です。