救われる話   作:高須

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5話目です。


5話

家に帰ると、玄関には小町の靴があった。小町はいつものように、リビングにいるだろう。そう思い、俺はリビングに入った。小町はソファーに座って、テレビを視ている。ドアの開く音に反応してこちらを見るが、すぐにテレビの方に目を向ける。そんな小町に俺は話しかける。

 

「小町、昨日は悪かった。ちょっとイライラしてて八つ当たりしてしまった。本当にすまなかった」

 

そう言って俺は頭を下げる。誠意をこめて。

 

「………まずは座って」

 

小町に言われたので、俺はソファーに座る。そうすると、小町は真剣な表情で話し出した。

 

「………ねぇ、お兄ちゃん。昨日のことは許してあげる。でも、その代わりに全部話して。何があったのか全部」

 

そして俺は、全てを話し出す。これは決めていた事だ。小町には全て話す事を。だって、小町には聞いて欲しいと思ったから。知っていて欲しいと思ったから。自分の気持ちを。

 

話が終わると、小町が口を開く。

 

「これからどうするの?」

 

「まずは、奉仕部を辞めるために動こうと思っている」

 

それを聞いた小町は、少し何かを考えると

 

「……お兄ちゃん…後悔はしない?」

 

どうやら、小町は俺を心配してくれているんだろう。だから、この解は間違えられない。

 

「あぁ、後悔はしない。もう後悔しないと決めたから」

 

「そっか…もうお兄ちゃんは大丈夫そうだね。それなら、小町はお兄ちゃんを応援するよ」

 

「……ありがとう」

 

これで俺達の仲は元通りになった。これで今やるべき事は終わった。

 

「じゃあ今日は気分がいいから、お兄ちゃんの好きな物を作ってあげる。あ、今の小町的にポイント高い!」

 

「はいはい、ポイント高い……」

 

いつものポイント制に俺はあきれながら、小町の優しさに感謝した。そして、俺達は楽しく食事をした。

 

 

 

 

 

それから時間は夜中。俺はベッドで今日一日について考える。その時、ドアの開く音がした。ドアの方を見ると、小町がいた。部屋は暗いため小町の顔は見えない。

 

「どうしたんだ小町?」

 

「……ちょっと…一緒に寝ていいかな?」

 

いつもと違う小町の様子に、不安を感じる。

 

「………わかった。こっちにこいよ」

 

「………ありがとう……お兄ちゃん…」

 

そう言って、小町はベッドの中に入ってきた。俺達は背中合わせで寝ている。背中から小町の体温を感じる。俺はそれに安心感を覚えてしまう。そして小町が口を開く。

 

「……ねぇ、お兄ちゃん。小町ね嬉しかったんだよ。お兄ちゃんが自分の事を話してくれて。だってお兄ちゃん、いつも自分の事を言わないから。小町不安になるの。お兄ちゃんが考えていることが、わからなくなるから。だからさ、もっと自分の気持ちを話してよ!もっと小町を頼ってよ!」

 

「………小町」

 

小町にそう思わせていたなんて知らなかった。確かに俺は自分の事は話さない。そして自分の中にしまってしまう。それは人に頼る事をしないから。ひとりでやろうとするから。だからそうなってしまうのだろう。だけどもう違う。もう変わると決めた。もう小町を心配させない。

そして俺は眠る。なんだか今日はぐっすり眠れそうだ。

 




予定より三日遅れの投稿ですみません。次は速く投稿できるように頑張ります。

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