救われる話   作:高須

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4話目です。


4話

ドアを開けると彼女がいた。イスに座って本を読んでいる。こちらに気付き笑顔をみせる。

 

「来てくれて嬉しいです。比企谷君」

 

「……相談したいことがある。……聴いてくれるか?」

 

「えぇ、もちろん」

 

そして俺は奉仕部がおかしくなってしまった修学旅行の依頼から、今までのあった事を全て話した。彼女は真剣な顔で聞いてくれた。この話を聞いて、彼女はどう思ったのだろう。彼女の表情からはわからない。だけど今は、教えて欲しい。これからどうすればいいかを。

 

「……俺はどうすればいい?」

 

「……貴方はどうしたいんですか?」

 

「わからない。……だから、教えて欲しい」

 

「……では、貴方はどうしたかったんですか?」

 

「それは………」

 

……俺はどうしたかったのか………あの二人とどうなりたかったのか………奉仕部は俺にとってなんだったのか………考える。

 

奉仕部に入部してから色々あった。いろんな人と関わった。昔の俺では、人と関わることは嫌だった。でも、あの場所での出来事は楽しかった。あの二人と一緒にあの場所でいる時間が楽しかった。あぁ、俺は彼女達とずっといたかったんだろう。居心地の良いあの場所で……

 

答えは出た。奉仕部は俺にとっての初めてできた居場所で、思い出のある場所だった。そしてあの二人は俺にとって…………

 

「俺は欲しかったんだ。あの二人との本物の関係を。二人ならなってくれると思った。ずっと、ずっと欲しかったものを。でも、もう出来ない。俺が全て壊したから……」

 

そう、俺が壊した。結局は自分が欲しいものを、自分で捨てたんだ。

 

「………本物の関係ですか……貴方が考えているものは、きっと素敵なものなんでしょうね。では、貴方の問いを答えましょう。自分を変えてみたらどうですか?」

 

……変えるだと……まるで、今までのやり方が間違っていると……俺にはこんなやり方しか出来ないのに……彼女も俺を否定するのか………

 

「無理だな。俺は変われない」

 

「変われないですか……貴方は変わる気がないだけなんじゃないんですか?」

 

「違う…そんな訳がない」

 

「じゃあどうして、変わろうとしないのですか?今のやり方では、本物は出来なかったのでしょ。なら、やり方を変えないと」

 

「………………………」

 

「貴方は優しい人です。他の人のために、自分を傷付けて救う。でも、貴方は救われていない。だから、今からは自分のために動きましょう。貴方の欲する本物のために」

 

「じゃあ、どうすれば……」

 

「まずは、奉仕部と決別しましょう」

 

奉仕部と決別する。そんなことが出来るのか?俺には到底思いつかない。

 

「………できるのか?」

 

「はい、できますよ」

 

そう言って彼女は笑った。その笑顔を見ると、何故か彼女にはできると思ってしまった。

 

「俺は……俺は、決めた。もう後悔しない。自分のために行動する。俺が欲しい本物を得るために!けど、俺は変われない。俺ひとりではきっと変われない。だから、俺を助けてくれ。俺を変えてくれ」

 

「はい、もちろんです!」

 

 

 

 

あれから俺達は、これからのする事について話し合った。これが上手くいけば、俺は奉仕部を辞められるだろう。でも今は、しなければならないことがある。まずは、小町に謝らなければならない。そして、俺は覚悟を決めて家に帰った。




投稿遅れてすみません。次は三日後に投稿する予定です。

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