こんなことを知っていて?
アラビア文字は右から左へ読むのよ。
小山副会長は、この日の午後の配給にお出かけなさった。そう、決まってそういう時に窓の外から飛んで来る。それがこの灰色の鳥というものだ。何故そんなことができるかを聞いたら、簡単だ、外に出たのを見つけたら行けばいい、それが定期的なら尚更簡単だ、とあしらわれた。こういう事を考えるのは人間中心主義と思われるかもしれないし、人ではない花によって身を立てている母や自分自身への侮辱となるかもしれないが、協力してくれているとはいえ気に触る。
「それで情報は何です?水はその後です。」
華は壁に腕を組みながら寄り掛かり立っている。鳥の表情は全く分からないが、嫌そうな感じを若干醸し出していた。
「例の風紀委員の奴らだが、前言った『胡瓜』のあと、新しく『あんまん』という計画を立てたらしい。」
「本当にお腹が空いてきそうな名前ですね。」
「それとその内容なのだが、これは向こうが何を言っているかよく分からなかった。何やら『本丸』やら『櫓』やら言ってたんだが。」
「……はい?風紀委員が歴女に?」
「俺に聞くな。というより名前からの共通性がなさ過ぎだろう。」
「……つまり、隠語かもしれませんね。」
「何かを隠していると。まぁ、聞いた感じそんな気はしたが。」
「胡瓜もあまりこちらに良さそうな計画ではありませんから、警戒しておきたいのですが……」
「副会長がそうしたくないと。」
「そういうことです。次に動きがあったら少しは注意するとは言われたのですが、場合によっては夏休みのと同義かもしれません。」
「そうだとしても何を使って警戒する?向こうは武装してその訓練まで毎日のように行っているんだぞ?逆に警戒されたら堪ったものではなかろう。」
「あの鎮圧などからしてこちらに現在は敵意を向けてはいません。そして生徒会には戦車道という仲間がいます。」
「……万が一風紀委員が動いたらそれを使う気か。」
「みほさんは多分真実を伝えたら動かないでしょう。あの人は信念は曲げません。だからそうなった時は嘘をついてでも動かしてもらいます。最悪の時は私と麻子さんだけでIV号を動かします。」
「……それをやったら理由が何であれ生徒会と戦車道の信頼は崩壊するぞ?それが望まれることか?」
「……生徒会は風紀委員という『暴力装置』なしに動けない状態になっています。他の機関を作ろうにも人材も経験も予算もありません。取り敢えずの協力は維持せざるをえないのです、会長が交渉を成立させるまでは。そこまででいいのです。」
「……とにかく報告は以上だ。」
約束通りのものを持ってくると鳥はそれを摘み、終わると空へ帰って行った。鳥は自由ではないと聞いたことがある。鳥には意思がないからだ。しかしあの鳥は意志を持ってないかというとそうとも言えない。もし意思があってそれが自由だと感じているならば、彼女は羨ましいと思うのだろうか。
そういえば、しばらく花を活ける時間もなかった。頭の中で刺したくらいだ。1日一回刺すということもいつの間にか崩れてしまった。ここに花や剣山がないから仕方ないともいえるが、自身の身体、自身の腕にヒビが入った気がした。しかもお母様とも会えない。あの教えを請うことはしばらく、いや……考えたくはないが永遠ということも無いわけではない。むしろ現状からしたらそうなりかねない。この部屋にはない剣山も、心の中にはしっかりと置かれていたようだ。
しかしそこにはアロエに混じってシャガが一本だけ刺さっている。シャガが良いものと感じる余裕は残念ながら彼女には無かった。一つ懐かしさを感じると連鎖的に浮かぶ。妄想的だった沙織さんの恋愛関連の言葉でさえ無性に聴きたくなる。
もはやそれは業務をこなすことで十分には抑えられない。他の膨大なる不安を以ってして緩和させ、人より先に私だけ崩れるわけにはいかないという思いを芯として持ち続けることが精一杯だった。
翌日昼 中華民国広西省柳州 広西航空学校
一機の小型の旅客機に荷物を抱えて軍服のまま二人はタラップを登って乗り込んだ。
「これはイギリスのものだったか?」
「製造から10年近い物だそうだ。」
「うちはそんなものばかりだけどな。武器とか特に。」
「早く改善しないと紅軍追討していない我々は兵の練度が劣っているからな、まともに張り合えなくなるぞ。」
「しかしイギリスも日本も武器は売ってくれたり顧問は送ってくれたりはするが、工場とかはないからなぁ。装備の改良が効かん。」
「その分浙江財閥が付いてる蔣は有利だよな。うちにもいればいいんだが。」
「スポンサーねぇ……うちはインフラも悪いから商業さえ難があるんだよなぁ。」
「……まぁ、愚痴を言っても変わらん。広州へ連絡が済んだら行こう。と言ってたら来たようだ。」
白が首を向けると、腰より上の腹の辺りに黒く太いベルトを巻いた士官が一人全力で駆けてきた。
「連絡は済んだか?とはいってもそんなに急がなくてもいいのだが。」
「李閣下!白閣下!大変です!」
「どうした?広州で何かあったのか?」
「いえ、南京です!昨日南京で……汪精衛が撃たれました!」
「!死んだのか!」
思わず二人も席から腰を離す。
「まだ分かりません、が背中から数発撃たれたようです。」
「……厄介なことになったな。」
顔を歪めて李は頭を掻く。
「このまま死ぬことがあれば……」
「……蔣の独裁は加速する。そうでなくとも失脚するかもしれん。犯人は?」
「左派の者たちだそうです。」
「共産系か……」
「武漢の恨みといったところか……これはまた広州で話し合いそうなことが増えたな。」
「そうだな。こちらに不利な出来事なのは間違いない。君、このことは桂林に伝えてくれ。」
「この記録お渡ししますか?」
「いや、広州もこれを掴んでいないことはあるまい。向こうに頼る。」
「はっ!」
「白雲には連絡したな?」
「勿論です。」
「では報告ご苦労。出発する。滑走路を開けさせろ。」
「はっ!」
先端のプロペラがエンジンの爆音とともに旋回を始め、操縦士が滑走路まで移動させる。前から長く伸びる滑走路が見える。とはいってもかなりお粗末なものだ。大人数の乗る旅客機は飛べない。しかもこれがこの広西のほぼ唯一の空港なのだからここの経済的劣勢が見て取れる。
「Take off!」
操縦士の号令の下、兵に見送られながら機体は少し揺れつつ加速を開始する。そしてそれが前輪が離れ、自らが手にするこの生地を白と李は離れた。空には若干の雲が漂っている。だが概ね青いと言っていいだろう。
الله فقط لمغادرة القلب.」
(アラーの御心のままに)。」
「本当に神にでも祈りたい気分だよ。それで何時間くらいかかる?」
「2時間ほどですね。」
「やはり飛行機は早いな。石油を輸入せねばならんが、活用は重要だな。」
終礼後、礼を終えた優花里は教室から出て前にゴモヨに言われた通り風紀委員室へ向かう。そこまで急ぐ必要はない。風紀委員は生徒会、またはその協力者と異なり授業をサボるようなことはない。つまりまだ終礼中の可能性が十分に存在するわけだ。
辿り着いた時すでに他の風紀委員が入っていたらしく、ドアが少し空いていた。一応ノックのあと入ると、つい昨日来たばかりなのに念入りにチェックされた。その者曰く、風紀委員関係者なら幹部から腕章貰った方がいいという。見分ける方法がそんな盗まれたら大変なものだとはチェック体制は厳しいのか緩いのかよく分からないが、とにかくまだ優花里を呼んだ張本人は来ていないようなので、来たら頼んでみることにした。
案内された椅子に腰掛け、前は詳しくは見ることの無かったこの風紀委員会室を見回してみた。前は来た途端やることが決まっていたから当たり前といえば当たり前だ。正面の委員長の席の頭上には額縁入りで標語が書かれている。艦内安全、風紀興隆、尼削腕章、らしい。どうやら腕章は風紀委員にとっておかっぱ統一、そして風紀維持と同等の重要性を持つ代物のようだ。
「あら、秋山さん来てたの。待たせてしまって申し訳ないわ。」
と思っているとその尼削ぎ集団のトップがお目見えになった。
「いえ、私も丁度さっき来たところでありますから。」
「それならいいけど……ヤボク来てる?」
優花里から外されたゴモヨの視線はすでに来ているおかっぱたちの方に向けられる。
「ヤボクさんですか?どうやら中間試験の成績が芳しくなくて、担任の先生に呼び出されているらしいです。」
「……風紀委員の担当長としてどうなのよそれ。」
「もともとああいう人ですからね。」
途中の一言が優花里の心にも針状の物体による影響を与えたが、それはおくびにも出さなかった。ため息を吐きながらゴモヨは自身の席に着く。
「……すみません。今後のお仲間をご紹介しようと思っていたんだけど、当の本人に事情があって遅れそうだから、今後に関する話を先にするわ。」
「あ、はい。」
「それで、カバさんチームに声は掛けた?」
「いえ、まだですが。」
「お願いだけど……全員確実に引き込んでくれる?」
「……全員、でありますか?どうしてそこまで……」
「彼女らを迎え入れるにさらに都合の良い情報を思い出したのよ。」
「何でありますか?」
「忍道。そう、彼女らは数少ない忍道の選択経験者よ。」
「忍道ってそんなに不人気でしたっけ?」
「かなりよ。スパイが人の道なんて普通はどうやっても思えないわ。二桁いれば多い年だそうよ。」
「そうなんですか……」
「忍道経験者が入ればこちらの情報収集能力は大幅に上昇するわ。生徒会の暴走も防げて得にもなるわ。これは何時もの指示無視の嫌悪を引いて余りあるわ。」
「……なるほど。そういう事なら聞いてみましょう。」
「感謝するわ。風紀委員が行けば厳しいだろうから。それが済んだら本格的にこちらの情報収集に協力して貰うわ。前言ったように伏せてお願いするわね。注文が多くて申し訳ないけど。」
「分かりました。」
その時、慌ただしく一人の少女が飛び込んできた。
「すいあせん、委員長!遅れてすまないっす!」
「謝る時ぐらい敬語使いなさいよ。既に秋山さん来てるんだから!」
「あ、こちらが例の秋山さんっすか?ども、学園艦店舗運営補佐担当長の矢暮といいます。ヤボクって呼ばれてんでそれで構わないっす。」
「ど、どうも……」
恐らくこのヤボクがおかっぱ頭で無ければ躊躇なく優花里は本当にこの者が風紀委員なのか尋ねただろう。
「それで、店舗運営補佐担当の方ですか。」
「そうっす。ですが今まともにやってる店舗が無いんでここんとこはほぼ情報集めしかやってないっすね。」
「それで秋山さんとカバさんチームは入って貰ったらヤボクのところに加わってもらう予定です……まぁこんな口調だけと仕事仲間としては信頼していいわ。」
「潜入して会長の台湾入りを掴んだんでしたっけ。すげぇっす!その技術是非とも教えて欲しいっす!よろしくお願いするっす!」
「よ、よろしくお願いします……」
手を握られ上下に思いっきり振り回され、とりあえず理解の範疇外にいるという事は分かった。しかしこの相手を信頼している目は嘘をついているものではないようだ。
「それで何かないの、ヤボク?」
「何かって、今朝言ったばっかじゃないっすか。」
「他によ。」
「何かあったんですか?」
「やっと生徒会の配給食糧の残りの見積もりが出たらしくてね。今のペースだとあと3週間で尽きるらしいわ。」
「確か学園艦に蓄えられているのが一月分でしたよね。配給量が少ないと思ったらそういう事でしたか。」
「元は少し運動する位の学生が1日で消費するエネルギーの3万人1ヶ月分用意していたらしいっすけど、今の配給量だと必要最低限量くらいっすね。」
「……ということは生徒会は配給を始めた段階で交渉が長期化することが分かっていた、と。」
「そこは間違いないと思うっす。それと昨日に手に入れてくださった香港に関する話から次のようなことが推察できるっす。」
「といいますと?」
「私らは中国から門前払い食らったと思ってやしたけど、実際はウチの学園艦の政体にまだ近い香港を通じて中国と交渉を図ろうとしてるのではないかと思ってるっす。」
「……ほう。なるほどね。」
「あとは首都北京に近い北の黄海入っちまうと出るのに大幅な旋回が必要になりやすから、食糧が限られる今その無駄を避けるためにここまで交渉しなかった。これが私らが出した結論っす。」
「位置も予想だと香港の南東の海上だから妥当ね。」
「……流石です。あれだけの情報でここまで分かるとは……」
「まだ仮定が混じりやすから断定は出来ないっすがね。」
「こちらも情報は出したから、秋山さんも頑張ってね。協力したら更に詳しく分かってくるだろうから。」
「もちろんであります!」
「じゃあ早速、この休日中にカバさんチームの引き込みをお願いするわ。あと今後も協力してくれるなら、これを風紀委員室に入る時くらいは付けたほうがいいわね。」
ゴモヨは近くの棚の鍵を開け、ビニールの縦長の袋を取り出した。
「腕章でありますか?」
「これがあればここにはスルーパスで入れるから今後ここに来る時はこれを付けてお願いするわ。ただし無くさないでね。無くしたら見つかるまで探して貰って見つかるまで入れないのがここのルールになっているから。」
「は、はい。ではこれで失礼します。」
優花里は腕章を貰ってカバンにしまうと、深く一礼して退去した。
優花里がちょっと前掴んだ扉から目を離したゴモヨはそれをヤボクの方に向ける。
「ヤボク……」
「勿論っすよ。腕章が渡ったとしても我々としては彼女を信用しきっている訳ではないのでしっかりと監視対象に置いておくっす。」
「その後のカバさんチーム、2年の鈴木、松本、杉山、野上。その四人もよ。」
「信じていいのは根っからの風紀委員だけ、っすからね。お任せください。」
「もっとも戦車道の仲間ではあるけど、それはそれ、これはこれよ。」
「人との関係はその場ごとに変わるということっすね。」
「あと『あんまん』に関することは?」
「エドムに基本任せてやすけど、まぁ小山副会長の日程は読めてるんで恐らく明後日には開始されるんじゃないっすかね?」
「余裕は与えない方が良いから丁度いいわね。」
風紀委員室を去った優花里が向かったのは家ではなかった。寧ろ家から離れて甲板から降りて学園艦の周りを囲んでいるテラスに降りる。まだ約束の時間には早いが、先に着いて待っている分には支障はあるまい。決められた場所のベンチは幸い空いていた。とはいうものの散歩道を歩く人も見る限りはそこまでいないので幸いというほどではないが、とにかく問題なく相方の分も確保できた。カバンを隣に置き、少し暇なので単語帳でも引っ張り出してみる。この位の人通りなら少し声を出していても問題ない。遠くのベンチにはまた同様のことをしているから、あまり目立たない。そのまま単語を上の方から順にぶつくさ3度言いながら下に、そして次のページへ続いていく。しばらくそこに目を落としていた。後ろでは時たまジョギングしている方の定期的な呼吸リズムと試験から解放された少女たちのお喋りなどが耳に入るが、特に内容などに気を止めることもない。しかし、ある一瞬聞こえた低音はちょっと気になった。普通家にいたなら窓を開けてみるようなものでもなかったが、それは何か様子が違った。少なくともこの時期に合わず腕を捲っても汗を感じるほどの気候だが、寝る時にイラッとくる蚊の音ではない。そしてそれは単語帳を閉じた時には気づいたよりも遥かに大きくなった。その音の主は見つけられ、その姿をはっきり認められた。そしてそれが高速でこちらに迫ってきていると分かった時、彼女はそのものが向かうと思われる先へ全力疾走を始めた、カバンを置いていたことも忘れて。それはここにいて良いものではなかった。いやいること自体は問題はないが、それがこの地で堂々と活躍の機会を与えられていることが、であった。それは我々の戦車道は勿論サンダース戦の後との用途ははっきり異なるものだった。優花里はその姿をこの目に一秒でも長く焼き付けんと顔を上げたまま腕を振り、ももを上げた。そしてそれが彼女の視界から消えた時、呆然と走りを止めた彼女はその場に立ち尽くした。これから会う人が前に行っていた言葉に関する意見が完全に片方に倒れるかもしれない出来事だった。戦車道で現在マークCが使われていない以上に、あのようなものは今使われるはずも必要もないもののように推察された。その呆然が途切れた時、彼女はカバンを置きっぱなしにしていたことを思い出し、慌ててベンチの方へと戻っていった。戻ってカバンの脇に単語帳を押し込んだ。
「グデーリアン、先に来てたのか。すまない。」
「!」
ちょっと遠目から声をかけたエルヴィンにとってこの後のカバンから離れた優花里が自身の方にダッシュで近づいてくる光景は流石に恐怖を感じざるを得なかった。
「い、いったいどうしたグデーリアン……」
「エルヴィン殿!あ、あの!」
「と、とにかく一回落ち着け。」
「第一次世界大戦、戦間期の頃の戦争の装備品に関する資料は持ってらっしゃいますか!」
眼光鋭く瞼は目の裏までめくり上がり、鼻息荒くエルヴィンの肩を揺さぶっていた。
「えっ……その頃の装備品?まぁ、その頃の資料なしに第二次世界大戦が分かるはずもないから、歩兵、工兵、火砲、戦車、冬季装備、戦闘機、爆撃機、戦艦、空母、駆逐艦、軽巡洋艦とか基本的なものに関する資料はあるとは思うが……」
「見せてください!今すぐ!全部!」
「……話すことはいいのか?」
「私の記憶がなくなる前に!早く!」
「わ、分かったから服のエリを引っ張るな。顔を離してくれ。ゴーグルが落ちる。」
優花里に手を掴まれたエルヴィンは引きずられるように彼女の住むシェアハウスに連れ込まれた。ここまでされたら只事ではないなとは思ったが、それを聞いてくれそうな状況ではなかった。庭ではせっせとカエサルが例の装填マシーンでトレーニングしていたが、一見してその優花里の違和感を感じ取った。
「エルヴィン、思ったより早かったな。というよりグデーリアン、大丈夫か?」
「か、カエサル……ちょっとどうにか出来ないか?」
「どうにかって……」
「カエサル殿!趣味の資料はどこにありますか!」
「資料?それなら四人分纏めて二階に置いてあるが……」
「ありがとうございます!」
聞いた途端空いていた縁側から靴を脱ぎ捨てて一目散に階段を見つけ、登って行ってしまった。その後を追おうとするが、靴を脱いだ時にはもう二階に消えていた。
「一体全体何事ぜよ。」
「火急の事態とお見受けするが。」
別の部屋にいた他の仲間もエルヴィンたちと合流した。エルヴィン自身も良く分かっていないが、取り敢えず聞かれたことと行動を見た通りに説明した。
「良く分からんと。」
「全く分からん。」
「もうそれは知的好奇心が収まるまで放っておくのが一番だと思うぜよ。」
「私も資料を下手に荒らされなければ大丈夫だ。グデーリアンはそこら辺の分別はあるだろう。」
「いや、それがありそうには見えなかったが……取り敢えずこのことは向こうの親御さんに伝えねばなるまい。」
「そうだな。今日配給受け取る者が貰いに行くついでにグデーリアンの家に寄ってウチにいることを言ってくるのはどうだ?他の者はグデーリアンがやらかなさいか注意する。」
「そうだな、上で騒いでいるようではないし心配する必要はないと思うが。」
「それで、今日配給受け取るの誰ぜよ。」
「もんざか?」
「それでは家に寄るなら早めに出た方が良かろう。失礼つかまつる。」
「カード忘れず持っていけよ。」
「承知。」
次回予告
「パンチと人との斥力と、他人宅警備員って◯ECOMじゃね?」
「会議で一番めんどいのは終わりそうな時にむっちゃまともな意見出す奴っ!」
「あくまの書、今あ、熊の書と思った奴はボコりボコられ生きていきやがれ!」
の3本でお送りします。