ハリー・ポッターと二人の『闇の帝王』   作:ドラ夫

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24 赤い獅子座と純血の蛇遣い座

「ハリー、リドル先生は完全に白よ。騎士団もそう言ってたじゃない。もうこんな事止めましょう?」

 

「・・・」

 

ハーマイオニーの言ってる事は理解できる。でも、ヴォルデモートは狡猾だ、という気持ちの方がハリーの中では強かった

 

「そうだぜ、ハリー。見ろよこの箒。こんなもんくれるなんて、リドルの奴は最高だ」

 

「リドル“先生”よ、ロン」

 

 ハーマイオニーがぴしゃりと言った。

 

「真面目な話、3週間俺たちが散々調べたけど、あいつ本当に何もしてないぜ?」「それどころかあいつの人気のおかげで俺達は大儲けだ」

 

 フレッドとジョージは沢山のガリオン金貨が入った布袋をジャラジャラさせた。

 

「2人とも、トムでお金儲けをするのは止めて!」

 

 と言ったのはジニー。

 この中で一番ハリーに反対している。その理由はもちろん、彼女だけがトムの正体を知っているからだ。

 

「前にも言ったけど、トム、つまりリドル先生は『カンニングノート』を私達に残してくれた人なの。もしあれがなければ、ハリーとセドリックはマンティコアに殺されてたかもしれないのよ?」

 

「でも……僕を生かしておいて何かメリットがあったのかもしれないじゃないか!」

 

「ハリー、それは無茶苦茶よ!私、これ以上付き合えないわ。ネビルやルーナ、セドリックを騙すのもとっても辛いの」

 

「待てよハーマイオニー!」

 

 ハーマイオニーは寝室へと去って行ってしまった。

 この3週間、一番トムと過ごしたのは彼女だ。それだけに、親身にしてくれる彼を疑う事に、優しいハーマイオニーは耐えられなかった。

 そう、ハリー達はこの3週間、トムを監視し、試していた。ワザと自分達を襲える環境を作ったり、『忍びの地図』で怪しい動きはしていなか監視したり、そのためにネビルやルーナ、セドリックをも利用した。

 『愛の妙薬』を学校中で流行らせる事で、誰が毒を持ってもおかしくない状況を作ったり、【決闘クラブ】という不慮の事故が起きてもおかしくないクラブ活動を頼んだりしたのもそのためだ。

 実はハーマイオニー達がトムに接近する間、ハリーは『忍びの地図』や『透明マント』でずっと見張っていたのだ。

 

 この作戦は全員で考えたが、最初にトムを監視する事を提案したのはハリーだ。

 その理由は彼の実家にある。

 彼の家は夏休みから『不死鳥の騎士団』の活動拠点として使われている。当然ハリーは騎士団の活動に興味を示したが、終ぞその活動内容を知る事は出来なかった。

 ハリーが自分の家で行われる密会への鬱憤を溜める中、騎士団はある決定をした。

 それは居なくなったダンブルドアの代わりに、マッドアイ・ムーディをトップに据える事だ。

 『油断大敵!』を信念に掲げる彼の方針により、騎士団はますます情報を隠すようになった。

 そしてハリーが学校に行く前日、やっと説明があったかと思いきや『トム・リドルが学校に来る。奴は騎士団の仲間だ、信頼しろ』という説明がムーディからあったのみであった。

 

 何故そう言い切れるのか?ダンブルドアは何処に行ったのか?ハリーが聞きたい事は何1つとして教えてくれなかった。

頼みの綱であった父親のシリウスも、ルーピンと共に任務で常に家を空けていた。

 これはシリウスがハリーに秘密を漏らす可能性を懸念したムーディの仕業なのだが、それを知らないハリーにはシリウスが裏切ったように見えた。

 

 そして学校行きの列車の中、その事を話すとロンがパーシーやモリー、アーサーの様子がおかしい事を漏らした。

 これにジョージとフレッド、も同意した。

 そこでハーマイオニーが『服従の呪文』の可能性を示唆した。そこから議論は飛躍し、トム・リドルが『服従の呪文』で騎士団を操っている黒幕説が浮かび上がった。

 学校に着いてからその事をセドリックに話してみたところ、キッパリと否定された。

 それどころか、そこで第三の課題の日、自分の命を救ったのはトムだったこと、それから自分が攻撃したのは間違いだった事を知らされた。

 

 他の人間はある程度納得したが、ハリーには納得できなかった。自分の命を狙おうとしていた人間が、今度は命を救った。何の見返りもなしに。

 しかも、周りの人間は彼を信用しきっている。だけど騎士団から信用するに至った理由の説明はなし。そして今度はダンブルドアの居なくなった学校に来る。

 ハリーにしてみれば、だんだんと自分に近づくために外堀を埋めていっているように見えた。

 そして今度はハリーにって最高の娯楽であるクィディッチにまで手を出してきたのだ、他の人間が新しい箒に喜ぶ中、ハリーは何かある気がしてならなかった。

 

「ハリー、私もハーマイオニーに賛成よ」

 

 しかし、自分より頭の良いハーマイオニーやジニー、騎士団が信用している、という事も頭の隅にあった。

 そこで、ハリーは妥協案を出すことにした。

 

「……分かった、あと一月だけ手伝ってくれ。今度は僕が囮になる。それでダメだったら間違いを認めるよ」

 

「どうするつもり?」

 

「一ヶ月後にクィディッチの選手選抜がある。その時にリドルに来てもらう。何かするなら絶好のチャンスの筈だ」

 

 ハリーはトムにメラメラと闘志を燃やしていた。

 ハリーは前を向いている。

 だから気がつかない。

 自分の横で、自分とは違う類の闘志を目に宿した男に。

 

 

   ◇◇◇◇◇

 

 

「やあ、みんな。おはよう!」

 

 返事がまばらにしか返ってこない。それだけ生徒達は集中してる。

 だけど、僕が今日来た理由は1つだ。それは僕が一月練習に付き合った彼の成長を見届けること。

 

「やあ、ポッター。今日は誘ってくれてありがとう」

 

「グリフィンドールの寮監なんですから、当然です。先生は“あの”位置で見ていてください」

 

 ハリーが見晴らしの良さそうな場所を指で示してきた

 

「それじゃあ、見物してようかな、色々と(・・・)

 

 

   ◇◇◇◇◇

 

 

 クィディッチの選手選抜は順調に進んでいった。

 選手を1から決めていく方針をとってはいたが、やはりと言うべきか、元々選手だった人が大半選手に選ばれた。

 今は最後のポジション、シーカーの立候補者を募っている所だ。

 

「それじゃあ、シーカーをやりたい人、手を挙げて!」

 

 誰も挙げようとしない、当然だ。

 ハリーが最高のシーカーである事はグリフィンドール生じゃなくても知っている。その彼とポジション争いをしようなんて奴はいないはずだった(・・・・・)

 

 

 

「僕が立候補する」

 

 

 

 そうやって手を挙げたのは、ハリーの技量を誰よりも知る男。

 

「……本気、ロン」

 

「ああ、本気さ。君よりも僕の方が優秀だって事、教えてやる」

 

 遂に、ウィーズリー家の末弟、眠れる赤毛の獅子が目を覚ました。

 

 

   ◇◇◇◇◇

 

 

「僕、シーカーになりたいんです。だから、指導して下さい」

 

 僕はそうやって頭を下げた。

 

「へえ、それはつまり、ハリー・ポッターを倒すってことかい?」

 

 この人が、セドリックの言うとおり本当に“例のあの人”を倒した人なら、ハリーだって倒せるはずだ。

 ごめん、ハリー。君を裏切る。

 でも僕は君に勝ちたいんだ!

 僕は決心を目に宿らせて、無言で頷いてみせた。男が大事なことを頼むのに言葉は要らない。

 

「いいよ、気に入った。来週のこの時間、僕の部屋においで」

 

 待ってろよ、ハリー。

 僕がただの腰巾着じゃないって所を見せてやる

 

 

 

 

 

 それから一ヶ月、地獄の様な特訓が続いた。足腰がバラバラになるまで箒で飛んで、動けなくなったら呪文で回復してまた飛ぶ。

 眠ってる間も脳内でクィディッチができる様に呪文を掛けてもらった。

 授業の間もリドルに最初の授業で貰った“銀の生物”をスニディッチに変えて、捕まえる訓練をした。

 何もかも、この日の為に、ハリーに勝つためにやってきた。リドル曰く、僕の箒との魔力変換効率はハリーより高いらしい。十分に勝機はあるって言ってた。だけど油断はしない、一瞬で決めてやる。

 

 

   ◇◇◇◇◇

 

 

「いい感じだ」

 

 ロンは元々変に気負ってしまう性格だったけど、これまでの劣等感のお陰かそれもない。

 シーカーとしてはハリーの方が長いけど、箒に触れてきた年月自体はロンが圧勝してる。

 それに、ハリーは天才だけど教師は居なかった。

 それに比べてロンは凡才だけど、僕が用意した最高の環境で最適な教育を受けた。

 才能を努力で越える。

 その助けをしない奴は教師じゃない。

 そこにワクワクしない奴は男じゃない。

 

「頑張れ、ロン・ウィーズリー」

 

 

   ◇◇◇◇◇

 

 

 シーカーの選抜方法は実にシンプル。

 ハリーとロン、両方に目隠しをしてからスニッチを放ち、5分後に飛び立つ。スニッチを先に捕まえた方の勝ち。

 勝敗がハッキリ分かる。かつ、言い訳ができないやり方だ

 

 スニッチが競技場に放たれてから5分後、2人の目隠しが外された。

 ハリーは上空へと飛んでいき、持ち前の勘の良さとこれまでの経験でスニッチを探した。

 対してロンは理詰めでいった。

 吹く風の速度と方向、湿度による羽根の状態、効率いい競技場の見回し方。才能で劣るロンは、勘や運といった物を極力排除した戦い方を身につけた。

 果たして、スニッチを先に見つけたのはロンだった!

 だが、ロンは直ぐにはスニッチへと行かない。その理由は簡単、スニッチの位置がロンよりハリーに近いのだ。今ロンがスニッチに向かえばハリーもそれに気付き、ロンより先にスニッチを獲得してしまう。

 ハリーは勘に任せて飛んでいるだけだ、それでもスニッチに無意識の内に近いところにいる。

 なんたる才能、なんたる強運、なんたる理不尽!正しく、選ばれた男の子だ!

 だが、誰よりもハリーを見てきたロンはこの程度の事は想定済みだった。

 

 ロンは上空へと飛んだ。

 そしてあろうことか、そのままハリーへと急降下して突っ込んでいった。

 ハリーは驚き、動きが止まってしまった。いつもならこの様なミスはしなかった。だが今日は状況が違う。

 この時、ロンは知る由もないが、ハリーは遂にトムがロンに『服従の呪い』をかけて襲わせたのだと勘違いしたのだ。

 ハリーが面喰らう中、ロンはハリーの目の前で急停止をするとそのまま太陽の方へと飛んだ。

 ハリーはロンを目で追いかけ、太陽を直接見てしまい、一瞬だが、目が見えなくなった。

 そのままロンは急降下。スニッチへと一直線だった。

 ハリーは驚異的な速度で頭を切り替え、数瞬後にロンを追う。

 しかし、追いつけない。

 数瞬の差がうまらない。

 ハリーとロンが並行する先にいる金のスニッチはヒラヒラと動いている。

 いつもなら、対戦相手はこの動きに惑わされ、動きに無駄が出来ていき、徐々に追いつけた。

 だが、追いつけない。

 今日の相手はハリーと同じレベルで動きに無駄がない。

 前を行く赤毛に追いつけない。

 

 とうとうロンがスニッチに手をかけた瞬間、それは起きた

 

 それは、ロンが行ってきた練習の穴。

 トムが用意した室内での連取場には、風はあったが埃はなかった。

 クィディッチ選手なら誰でもしている、埃が目に入るのを防ぐ、特殊なまばたきのやり方をロンは学んでいなかった。

 ロンがスニッチを掴もうとした瞬間、突如として突風が吹いた。ロンの目に埃が入リ、ロンはスニッチを掴み損なった。

 ハリーは前を向いている。

 故にロンの状態には気づかず、後ろから追いつき、スニッチを掴んだ。

 

 グリフィンドールのシーカーは、今年もハリー・ポッターとなった。

 

 

   ◇◇◇◇◇

 

 

「リドル先生、これも貴方が?」

 

「確かに、僕は手助けした。でもそれは道を示しただけだ。歩いたのはロンの力だ」

 

 ハーマイオニーとジニーが目を赤くして僕のところに来た。

 2人ともあの戦いに、いや、その裏にあるロンの努力に感動したんだ。

 

「女の子がそんな目をしてはいけない『スコージファイ 清めよ』。さ、ウィーズリー兄とポッターのところへ行ってあげなさい」

 

「リドル先生、ロンの事ありがとうございました。……それから明日、大事なお話があります」

 

 ロンの成長ぶりを見て、僕の事をより信頼してくれたみたいだ。

 

「わかった。放課後に僕の部屋で構わないかな?」

 

「ありがとうございます。それでは、失礼します」

 

 ハーマイオニーとジニーはロンとハリーの方へと走って行った。

 これで崩れかけていた彼等の絆は元に戻るだろう。

 明日の話の内容は僕の事を監視したり、試していた事の謝罪かな?彼等は僕に秘密にしてたみたいだけど、ヨルとクロがグリフィンドール寮にいる限り秘密には出来ない。

 それより、ハリーはロンにどうやってクィディッチの練習をしたか聞くはずだ。ロンは僕と2人で何度も練習した事を言うはずだ。

 そうすれば沢山のチャンスがありながら、僕がロンに何もしなかった事をハリーは知るだろう。

 きっとハリーは直ぐには自分の間違えを認められない。でも、少しずつ、確実に僕への疑念は消えていく事になるだろう。

 

 

   ◇◇◇◇◇

 

 

 今日は毎週恒例の『探求クラブ』の日だ。

 探求クラブはまず、【純血とマグル】という議題について話し合う。

 その後前回自分達で決めた勉強内容を僕に教わりながら勉強する。

 最後に次勉強する事を決めて終わりだ。

 

「それでは【純血とマグル】についての議論を始めますね」

 

 僕は教師だ。

 だから特定の思想に肩入れする事は出来ない。だから思いきって全て生徒に任せてみる事にした。

 僕がしたのは『何を話すべきか』と『どうやって話すべきか』の2つを教えた事だけだ。

 生徒達は自分達で幾つかのルールを作った。

 ルールの1つで、僕が毎回ランダムで議長を決めていく。

 今議長を務めているのはレイブンクロー生のチョウ・チャンだ。といっても生徒達にはそれはわからない。

 ここでは全員が僕が作ったマダム・マルキン式のスーツを着て、銀のお面をつけている。お面には『検知不可呪文』と『音質変化呪文』をかけてあるから絶対に誰が誰だかわからない。

これは元々、ここでの議論を外に持ち出さないためにやったことだ。

 そして面白い事に、自分が誰か分からない、という条件だとスリザリン生がマグル生まれ擁護派に、グリフィンドール生が純血主義に度々つくという事態を引き起こした。

 ちなみに、純血主義の多くは『パーティーマナー講座』、マグル生まれ擁護派の多くは『マグル生まれを魔法界に進出させる会』のクラブ活動を申請してきた人達が中心になってる。

 

「今週は純血主義の方々が主張をなさる日です。まずは前週のマグル生まれ擁護派の主張に対しての反論をお願いします」

 

 これがルールの1つ、主張するのは1週間に1派閥のみ。

 その主張に対してもう片方の派閥がじっくり1週間かけて反論を考えて、次回にプレゼンテーションをする。これを繰り返していくわけだ。

 

「では、僕が考えた意見を聞いて下さい」

 

 そう話し始めたのはマルフォイだ。他の生徒にはわからないけど。

 

「前回、マグル生まれは魔法界に浸透している事が挙げられました。そこで完全な純血はもう魔法界の半分もいないという事がわかったわけです。だからマグル生まれは魔法界存続に必要、と言うのが前回なされた主張でした」

 

 これは前回、マグル生まれ擁護派が言ったことだ。

 口調が丁寧で中性的なのは秘匿性を上げるためだ。これもルールの1つ。

 

「そこで私が調べた所、こんな事がわかりました。リドル先生、お願いします」

 

 ルールで定められた事として、事前に申請して、僕が差別的でないと判断すれば資料を持ち込む事ができる。

 杖を振るって生徒達にグラフと図が書かれた羊皮紙を渡す

 

「純血は魔法界の半分を切りました。しかし、マグル生まれが増えたにも関わらず、今でも偉大な発見をしたり、要職についている人間は8割が純血です。また、マグル生まれで活躍した魔法使いの多くは魔術的な功績ではなく、マグルの人権や新しい法案などを確立した人が多い傾向にあります」

 

 その事が詳しく羊皮紙に纏められている。

 近年活躍した魔法使いの家系図や名を残した魔法使いの純血とマグル生まれの割合。

 純血とマグル生まれの功績の質の違い。

 

「確かに、マグル生まれは人口的に魔法界存続の為に必要です。しかし、やはり純血の方が優秀な者が多い事も確かです。魔法界はマグル生まれを無闇に取り込むのではなく、純血の人間をある程度尊重した上で取り込むべきだと思います」

 

 上手いやり方だ。

 前回のマグル生まれ擁護派の主張を一旦認めた上で、それを利用してる。

 

「また、この事に関する根拠もあります。グリフィンドールやスリザリンといった有名どころの直系は、ほとんどが優秀です。これは純血の力の優位を示す証拠だと思います」

 

 これも上手い。

 スリザリンやグリフィンドールの名を出す事で、純血が神聖なものだと思わせている。

 

「結論を言いますと、マグル生まれを受け入れる事自体には賛成です。しかし、あくまで純血の者たちが上に立ち、リードしていくべきだと思います。そして、それが行きすぎない様、支配になってしまわないようにする事が、真の純血主義だと考えます」

 

 マルフォイはそう結論付けて座った。この後は幾つかの質問と反論をする事が許されている。あくまで少しだけだが。

 

「純血の功績が良いのは純血が優秀だからでは無いと思います」

 

 最初に反論したのはレイブンクロー生のマリエッタ・マッジコム。

 『原作』では『DA』の存在を密告してしまう子だったかな。

 

「マグル生まれは魔法界に慣れる期間が必要です。その分遅れをとってしまうから、優れた結果に結び付きづらいのでは無いでしょうか?また、有名な家系であればあるほど優秀と主張していますが、それは財力があり、幼い頃から英才教育を受ける事が出来るからでは無いですか?」

 

 これに対して反論するのは、スリザリン生のミリセント・ブルストロード。『聖28一族』の1つブルストロード家の次女。

 

「優れた魔法使いは幼い頃よりその才覚を発揮します。教育を受けていない幼い子供が、考えつかないほど強力な魔法を使う事が多々確認されています。これはマグル生まれの方にも起こる現象ですが、その割合は圧倒的に純血、もしくは半純血の方に多く見られます。つまり、純血の方が内包する魔力量が多いのでは無いですか?」

 

「それは魔法を見てたから、無意識的に学習しただけでは?それに大人の魔法使いの魔力に当てられた可能性もある」

 

 これはハッフルパフ生のオーウェン・コールドウェル。

 

「皆さん、落ち着いてください。1時間が経ちました。これ以上の質疑応答は次回にお願いします。それでは次の方、主張をお願いします」

 

 議論が白熱し過ぎない内に、議長のチョウが止めた。

 

「では、私が意見を言わせてもらおう」

 

 そう言って出てきたのはグリフィンドール生のコーマック・マクラーゲン。

 この後、マクラーゲンはよく分からない理論、つまり自分自慢を展開して議論がしらけてしまった。

 折角マルフォイが素晴らしい議題を提示したのに……

 まあこの辺の青臭さというか、学生らしさも見てるぶんには面白いんだけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この後は僕が『保温呪文』についての講義をして終わった。

『保温呪文』と『加熱呪文』を間違えて覚えている人が多くて困った。ホットチョコレートが固まらない様に保温する試験で、12人もの生徒がチョコレートを爆発させた。


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