僕は今、この世界で生を受けた──正確には生き物ではないため生を受けたとは言わないが──場所であるマルフォイ邸にお邪魔していた。
ここは政治的にも、面積的にも潜伏するには良い場所だ。主人も『死喰い人』だしね。
最初にここに来たのは、ちょうど運良く僕はこういった金持ちの屋敷の秘密を暴く専門家を知っていた、というか捕らえたからだ。
「今から君を出すけど、逃げ出せば僕が君を殺すし、下手な事して見つかれば『死喰い人』が君を殺す。これからの身の振り方に気をつけてね、スキーター」
そう言って僕がビンを開けてコガネムシを出すと、少しの間僕の周りを飛んだ後に屋敷の奥の方へと飛んでいった。
本当は殺す気は無いし、殺されそうになったら助けてあげるけど脅しは効果抜群だったみたいだ。
「サーラ、僕は屋敷の主人の所に行ってくるから君はドビーって名前の屋敷しもべ妖精を連れてきてくれる?ハリー・ポッターの名前を出せば付いてきてくれると思う」
「かしこまりました」
さて、僕もやるべき事をやるか。
そういえば、あの2人は大丈夫かなあ。やりすぎてなきゃいいけど。
◇◇◇◇◇
「お主達、やりすぎじゃ」
珍しく、ダンブルドアは疲れた表情を浮かべていた。
それもそのはずである。苦労して作った第二の試練をあっという間に壊された挙句、その後始末を今の今までやっていたのだ。
「すまない。今までは我が主人の作戦通りやっていたのでな。イマイチ加減がわからんのだ」
そう、今まではトムがハリー達に確実に勝ち、なおかつやりすぎないギリギリのラインの作戦をたてていたのだ。
もしそうしていなければ、第一の課題の時も接戦にならず、『M.O.M;XXXXX』の生物をすぐさま殺してダンブルドアに目をつけられていただろう。
だが今はダンブルドアの目を誤魔化す必要がなければ、トムも居ない。
「まずの『ポートキー』の作成は国際魔法戦士条約違反じゃ。ルードやファッジは大笑いしておったが、パーシーは大層怒っておったぞ。それから湖の水が減ったと水中人が苦情を申しておる。わしが水を増やしておいたがの」
「ならいいじゃない。あいつの狙い通りハー、ハー……えっと、ハリー?だっけ、を大きく引き離して勝てたんだから」
「結果的にはの。あれは派手好きのルードと各校の校長が贔屓したからじゃ」
言いはしないが、ダンブルドアがハリーとセドリックの贔屓をしない事も理由の1つであった。
「どっちにしろ、優勝するのは私達よ。あいつらも悪くはないけど、所詮学生の域を出ないわ。第一の課題で私達に肉薄できたのは、推測だけど、あいつが裏から手をまわしたからだと思うわ。
クロの予想は正解だった。
セドリックはともかく、地力に差のあるハリーのためにトムはハリー達のアピールできる箇所、例えば連携や勇気といった所を押し出せる作戦をたてていた。
クロやヨルが目立ってしまう事は仕方がない。ならばハリー達も目立つ様な勝ち方をさせて緩和しようとしていたのだ。
それがない今、確かに課題自体をクリア出来はするが、得点の伸びはイマイチとなってしまったのだ。
これは仕方のない事でもある。普通、課題を突破するだけで精一杯であり、自分をアピールするなど学生には少し難しい事だった。
一方でヨルやクロにはいざとなれば本来の姿に戻ればいい、という余裕があるために自身をアピールする余裕があるのだ。
「ふむ、そうかもしれんし、そうではないかもしれぬの。時に愛や勇気といったものは想像をはるかに超えた力を発揮する事があるのじゃ。油断せ──」
「あんた、なめてんの?」
ダンブルドアのこの何気なく言った、彼自身の教訓から出た言葉に、今まで緩慢だった空気が凍った。
クロはともかく、ヨルでさえもダンブルドアを睨みつけ、杖に手をかけた。
「あたし達の勇気や愛があのガキ共に劣ると思ってるのかしら?産まれた時から、いえ、卵の時から一緒にいる相手に託されてるのよ、負ける訳ないでしょ」
「クロ、止めておけ。結果は後からついてくる。今ここで私達が争っても仕方あるまい」
「随分信頼しておるようじゃの」
表情こそ穏やかだが、内心ダンブルドアは驚いていた。
トムから2人の事は仲間だと紹介されていたが、ここまでの信頼関係があるとは思っていなかったのだ。
ドラゴンもバジリスクも、本来人どころか同種とも交わらない種族なのだ。
バジリスクはスリザリンの継承者としての力で、ドラゴンは何らかの呪文で従えているのだと思っていた。しかし、蓋を開けてみれば何の拘束魔法もなく、どころか上下関係さえ(ヨルはトムの事を我が主人と呼んではいるが)ないのだ。
「ダンブルドアよ、貴様も言葉に気をつけろ。私達が手を組むのは我が主人がそう望むからだ。裏切る事はないが、仲睦まじくなる事もない」
「ふむ、わしとしてはお主達とは仲良くしたいものだがの」
これは本心からの言葉だった。
ヨルとクロ、2人と仲良くしたいというのは打算なく感じていたことだ。しかし──
「それは無理ね。私、あなたが嫌いよ」
これも本心から出た言葉だった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
【大広間】
グリフィンドールの、いやホグワーツ全体がスリザリンも含めてどんよりとしていた。
井の中の蛙大海を知らず
誰が言った言葉だったか、ともかく今この言葉をホグワーツ生が皆意識していた。
新聞に掲載され、様々著名人が注目すると話題だったホグワーツ。そんなホグワーツ生達は『三大魔法学校対抗試合』が始まるまで自分達が勝つと、心の奥底では思っていた。
しかし、井の中の蛙大海を知らず、それは自惚れだった。
スリザリンの純血達よりも美しいフラー・デラクール。
世界最高のシーカーに思えたハリーやセドリックを超えるビクトール・クラム。
『最高得点者』のセドリック達を歯牙にも掛けないヨルやクロ。期待が大きかっただけに、落胆も大きかった。
ハリーやセドリックが悪い訳では無い、むしろ学生としては最高レベルだと言えた。それ故、誰もハリー達を責めなかった。責められなかった。しかし、心の奥底では不満を抱いている事も事実だった。
不満を言いたいのにぶつける相手が居なかった結果、ホグワーツ全体の雰囲気をこれ以上ない程に悪くしていた。
今は朝食の真っ最中なのだが、口を開いているホグワーツ生は少ない。
ダームストラングが同席しているスリザリンとボーバドンが同席しているレイブンクローだけは賑わっているものの、表面上だけであり、他校の生徒の話に相槌をうっているにすぎない。
一方、ハッフルパフとグリフィンドールの落ち込み様と言ったらなかった。
それぞれの期待の星が惨敗したのである。特にハリーとセドリックのその落ち込み様と言ったら、誰もが、彼等の親友でさえも声をかけることが出来なかった。
そんな中、一人の少年が件の少年の一人、ハリー・ポッターに近づいていった
「惨めだな、ポッター」
「・・・」
「おい、黙りか?いつもの威勢はどうした?」
「マルフォイ、どっかいってろよ。ハリーは今──」
「いいんだロン。その通りだ、僕は今、惨めだ」
「・・・お前は選ばれた」
「え?」
「僕でも、グレンジャーでも、ウィーズリーの末妹でもない。お前が選ばれた」
「・・・」
「選ばれた者には選ばれた者の義務がある。純血と同じだ、ポッター」
そう言ってマルフォイは、返事も待たずにスリザリンの席へと戻っていった。さっきの話は全く話の筋が通っていない、彼らしくない言葉であった。
しかし、それはハリーの胸に響いた。ハリーは心の奥底で自分が非難されることを望んでいたのだ。誰もが責めない、しかし自分に対して不満を抱いているのがわかるという環境はハリーにとって不快であった。
友人達は、友人故にハリーが一番望んでる言葉をくれなかった。それをくれるのはライバルだけだ。
「行こうロン、僕らは他の代表生に劣ってる。彼等より努力しなくちゃ」
「・・・ああ」
ハリーは前を向いている。
だから気がつかない、横にいる友人の表情に。親友を元気付ける役目さえ奪われた彼の心情に。
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【第三の課題ー当日】
「この指示、どう考えてもあいつ、最後の課題が迷路で先に優勝杯を見つけることだって分かってたわよね」
「我が主人の事だ、その位不思議ではない」
ヨルとクロに残されていった紙には第三の課題での立ち回りが記されていた。
そこにはハリー達が第三の課題の最中、襲われる可能性があるから2人を見守りながら優勝する事。といった内容の事が書かれていた
「迷路の中だったら周りから見れないし、本来の姿に戻ってヨルが2人を石化させちゃえば?」
「そのタイミングで敵が来たらどうする?今回の相手は我が主人に近しい力を持っている。石になった2人を守りながら戦うのは中々厳しい」
「それもそうね。グリンデルバルドが来たら私達が時間を稼いである間に自力で逃げて貰わなきゃならないものね・・・」
「クラムとフラーには頑張ってほしいな」
「そうね」
クラムとフラーにはそれぞれポリジュース薬でハリーとセドリックになってもらう手筈だ。
2人には『開心術』で納得させ、この日のために英語を流暢に話す訓練や、セドリックとハリーになりきる特訓に付き合った。
本来なら、自分達がポリジュース薬を飲んで囮になろうと思っていた。しかし、人間でいる間は問題ないのだが、本来の姿に戻るとポリジュース薬が悪作用してしまうのだ。
ポリジュース薬は繊細な薬であり、人間用のために他の人間以外の生物になろうとしたり、人間以外の生物が使う事は良くない結果をもたらす。
グリンデルバルドが襲ってくるかもしれない状況で本来の姿の力を使えないのは大きな痛手である。
そこで2人は自身のパートナーを囮として使うことを思いついた。ある程度の期間を共に過ごしたパートナーをあっさり囮にする辺り、やはり2人は根本的な所では人間とは異なる生物らしい。
この作戦は確かに効率的だが、もしこの場にトムがいたらきっと許してはくれなかっただろう。
◇◇◇◇◇
「紳士淑女のみなさん。第三の課題、そして、三大魔法学校対抗試合の課題がまもなく始まります! 現在の得点状況をもう一度お知らせしましょう。一位、得点88点──ヨル・バジリース君とビクトール・クラム君! ダームストラング専門学校!」
盛大な拍手が鳴り響いた。
「二位、86点──クロ・ライナ・アイベリー嬢とフラー・デラクール嬢、ボーバ卜ン・アカデミー!」
盛大な拍手が、特に男子生徒から鳴り響いた。
「そして、三位 、77点──ハリー・ポッター君とセドリック・ディゴリー君。ホグワーツ校!」
そして三位のホグワーツの時に最も大きな拍手と歓声が鳴り響き、禁じられた森の鳥達が飛び去った。
「では……ホイッスルが鳴ったら、ヨルとクラム!」
バグマンが言った。
「いちーーにーーさんっ!」
バグマンが笛を鳴らした。
ヨルとクラムはゆっくりと迷路に入っていった。
続いてクロとフラーが優雅に入っていき、最後のハリーとセドリックは急いで迷路へと駆け込んだ。
ハリー達が迷路の中を駆け回る事数分、何の障害もない事が返ってハリー達を不安にさせた。まるで誰かがハリー達のために、障害を取っ払ってくれているかのように錯覚する。
そこから数十分後、ハリー達はいとも簡単に優勝杯を見つけた。
「セドリック、あれだ!」
「走るぞ、ハリー!」
ここまで何の障害もなかったため、2人は体力が有り余っていた。
元々クィディッチで鍛えられている事もあり、あっという間に優勝杯近くまで走って行った。しかし──
「ちょっと待ってくれるかしら?」
優勝杯の隣の茂みからクロと何故かもう1人のセドリックが遮るように飛び出してきた。
「クロと、……セドリック?」
ハリーは杖を抜きながら、隣のセドリックと対面しているセドリックとを見比べた
「ちょっと事情があるのよ。その優勝杯はポートキーになってて、転移先の奴は貴方を狙ってるの。だから私達が行ってくるから、そこで待っててくれる?」
「優勝杯は後でお前達に譲ってやる。今の所は私達に預けてもらおう」
そう言いながらクロと反対方向から、今度はヨルとハリーが出てきた。話の真偽はともかく、4対2、しかも相手は自分達より格上だ。ハリー達は従うしかない
「私達が優勝杯を手にした瞬間、炎のゴブレットの強制力は消え、この迷路から逃げれるようになる。そしたらこれを使え。校長室に直通だ」
そう言ってヨルが地面に放ったのは汚い靴の形をしたポートキー。
「それじゃあね」
そう言ってクロとヨル、偽物のハリーとセドリックが優勝杯を掴もうとした瞬間──緑の閃光が走った。
咄嗟にヨルが『盾呪文』で閃光を防ぎ、クロが閃光が来た方へと赤い閃光を放つと、10メートル程進んだところで何かに弾かれ霧散した。
「ハリー!騙されるな、そいつらは敵だ。優勝杯を掴め!」
そう言って姿を現したのはシリウス・ブラック。
ハリーへと説得の言葉を叫びながら、緑の閃光をクロとヨルに放っている。
「シリウス、何でここに!?」
「ダンブルドアの要請だ。そいつらは『死喰い人』だ。よく考えてみてくれ、学生であんな力を持ってると思うか?私を信じてくれ」
「騙されるな!私達こそダンブルドアの要請で動いている。選手ではない者がここにいるのは変だ!」
「選手ではないが親子だ!そうだろ、ハリー。優勝杯を取るんだ!」
ハリーはシリウスを心から尊敬している。故に、ヨルとクロ、2人を相手に互角の戦いを見せる相手を本物のシリウスだと思い始めていた。
「貴方、本物のシリウスしか知らない質問を何かしなさい!」
クロがシリウスの閃光を弾きながら叫んだ。
「シリウス、僕たちが夏休みにマンダンガスに売ったもので一番高かったのはなに!?」
ニンマリとシリウスが笑い、答えた。
「スリザリンのロケット」
それを聞くや否や、ハリーはシリウスの事を信じきり、優勝杯に向かって駆け出した。ハリーは気がついていなかったが、その行動の裏にはマルフォイの言葉もあった。
『選ばれた者の義務』を全うしようと全力を尽くしていたハリーにとって、ヨルがハリーに上から目線で『優勝杯を譲ってやる』と言った事が、ハリーは気に食わなかったのだ。もし、ヨルとクロがもう少しでも人間に興味を持っていれば、結果は変わっていたかもしれない。
そしてハリーを追う形でお互い睨み合っていたセドリック、フラー、クラムが後に着についた。
ハリーが優勝杯を掴もうとした瞬間、クロは自らの足をドラゴン化させ、尋常じゃない力でポートキーと化している靴をシリウスへと蹴った。
蹴りの風圧でハリーがよろめき、セドリック、フラー、クラムがハリーに追いつく。そしてその場にいた代表選手6人全員が、同時に優勝杯を手にした。
優勝杯を掴んだ6人と、靴が腹部に直撃したシリウスは、同時にその場から消えた。
【???】
6人が転移された場所は薄暗い館の大広間。
大広間はかなり広く、ホグワーツの普通教室位はゆうにあった。そして彼らを囲む様に立つ18人の『死喰い人』。
「これって!そんな……だって、僕、シリウスが知ってたから!」
「どうやら正しかったのはクロ達の様だね」
自分の失態に慌てふためくハリーに比べ、流石歳上と言うべきか、セドリックはいくらか落ち着いていた。
『やはり墓地には転移しなかったか……』
『でもここがどこかはわからないわね。少なくともイギリス国内みたいだけど、ホグワーツ近辺ではないわね』
あの墓地の存在をこちらが知っている事を、グリンデルバルド達は知っている。故に墓地に転移する事はないとトムはふんでいた。
ハリー達が付いてきてしまったことは誤算であったがそれ以外は概ね計画通り。しかし、ここからは完全に予想外であった
「ようこそ、ハリー・ポッターとそのお仲間達。お前達は手を出すな、俺様自ら相手してやる」
上から声が響いた。見ると上階にオペラ座の様に観覧席が設けられていた。
そこに座るのは、『闇の帝王』ヴォルデモート卿だった
◇◇◇◇◇
クロとヨルの反応は早かった。
クロはドラゴンとなり、ヴォルデモート達が居たところに火を放った。ヨルはバジリスクとなり、鼻と耳で屋敷の中の構造を把握しようした。
しかし、クロの火は届かず、ヨルの探知も何らかの呪文に妨害された。
「お前達は邪魔だ!下賤なトカゲと古臭い蛇め!」
ヴォルデモートが杖を振るうと、クロの火が空中で静止し、逆にクロ達の方へと向かってきた。これに対してクロは人間へと戻り『天界の水』を放ち相殺した。
水と火がぶつかり合い、水蒸気となる。出来た水蒸気が空中で集まっていき、馬と馬に乗る霧の騎士となりハリー達を襲った。
「『レダクト 粉々』」
セドリックの『粉砕呪文』か霧の騎士に向かうが、ただ通り過ぎて行ってしまう。
「どいてなさい!巻き添え喰らうわよ!」
背中だけドラゴン状態のクロが翼を振るい、風で霧の騎士を吹き飛ばす。
「私達が防御する、お前達は攻撃しろ!」
「俺様の攻撃を防御するだと?面白い、やってみろ!」
ヴォルデモートの杖から緑の閃光が走り、ヨルへと向かう。
「『オーキデウス 花よ』『エンゴージオ 肥大化せよ』」
緑の閃光はヨルが生み出した花に当たり、花が一瞬で枯れていく。徐々に花が咲く速度を枯れていく速度が上回り、ヨルに緑の閃光が迫っていく!
「ヴォルデモート、お前の狙いは僕だろ!『エクスペリアームス 武器よ去れ』」
ハリーに化けているクラムがヴォルデモートに攻撃し、セドリック達もそれに続いていく。
「ハリー・ポッターが2人?ポリジュース薬か。無駄な事を、皆殺しにすれば変わらんと分からないのか!『アバダケダブラ』」
ハリー達4人の力が合わさった紅の閃光と、より大きな緑の閃光がぶつかる。紅と緑が拮抗しているところに、別方向からクロが紅の閃光をヴォルデモートに向かって放った。
これに対してヴォルデモートは自ら生み出した『飛行魔法』で避け、そのままセドリックの方へと飛んで行く。それに対してヨルが『悪霊の火』を地面から生やし、ヴォルデモートとセドリックの合間に火の壁を作り出す。
「闇の帝王と闇の魔術で戦おうと言うのか!」
ヴォルデモートはヨルよりも大きい『悪霊の火』を作り出し、ヨルの火を飲み込みハリー達全員に襲いかかった。
「ヨル!私の所にみんなを集めて!」
「心得た!『アクシオ 代表選手』!」
ヨルががハリー達を集め、ドラゴンの身体になったクロがハリー達に覆いかぶさり、『悪霊の火』を防いだ。
しかし、いくら火耐性の高いドラゴンといえど闇の帝王の火を食らってタダでは済まない。背中に大火傷を多いながら人間の姿に戻り、一旦下がる。
「クロ、大丈夫なの!?」
セドリックの姿のフラーが叫んだ。クロは一瞬フラーの方を見た後、直ぐに正面に向き直った。その鋭い動きには、火傷による痛みを感じさせない。
「このくらい何とも無いわ!それより前!」
「人の心配をしてる場合か?『アバダケダブラ』!」
これまでで一番大きな閃光がヴォルデモートの杖から走った。
「「「『エクスペリアームス 武器よ去れ』」」」
緑の閃光と紅の閃光が中央で激突する!
しかし、拮抗はしていない!
「ハハハハハハッ!やはり『闇の帝王』に敵うものなど居ない!ハリー・ポッターも、バジリスクもドラゴンも結局!この俺様の前では無力だったのだ!」
そして、緑の閃光が6人を包み
「やあ、大丈夫かい?」
クロが目の前を見ると、緑の閃光の代わりに見知った一人の男がたっていた。