ポケットモンスターブラッド   作:ホッシー@VTuber

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第11話

「ここがポケモンセンターです」

 結局、ユカリに案内して貰って俺たちは無事、ポケモンセンターに到着した。

「ユカリ、ホントありがとう」

「いいんですよ。私たちも迷惑をかけましたから」

 因みにチコリータは俺の頭に貼り付いたままだ。相当、気に入られたらしい。

「ほら! チコちゃん! そろそろ、トーマさんの頭から離れて!」

 チコリータを引っ張りながらユカリが言うがチコリータは離れる様子はない。それどころか、俺の頭に必死にしがみついている。

「チコリータ? そんなにそこが気に入ったのか?」

 聞くと葉っぱをパタパタさせるチコリータ。ポケモンセンターのガラスに映って見えた。

「そうか。でも、このままじゃボールに戻されて出して貰えないかもしれないぞ? なら、ここで離れておけば後々、俺の頭に貼り付くチャンスがあるかもしれないよ?」

 それを聞いたチコリータは少しだけ考えて俺の頭から離れた。

「よし、良い子だ」

 しゃがんで葉っぱを優しく撫でる。

「すごーい……」

 それを見ていたユカリが感心したように言葉を漏らした。

「そうでもないよ。もっと、扱いにくい奴もいたし」

(特にこいつはな)

 腰のボールを一度だけ撫でた。

「え? リオル以外にも持ってるんですか?」

「うん。滅多にバトルには出さないけど」

「……あの、トーマさん。お願いがあります」

「ん? 何?」

「私と、ポケモンバトルしてください!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、皆元気になりましたよ」

「ありがとうございます、ジョーイさん」

 ジョーイさんからボールを2つ受け取り、お礼を言う。1つは小さくしてベルトに付け、もう1つは投げた。

『あー、窮屈だった……』

 肩をほぐしながらリオルが呟く。

「本当にボールが苦手なんだな」

『ああ、よくこんな物に入っていられるな……私にはさっぱり理解できない』

 そう言いながらリオルはポケモンセンターのソファに腰掛けた。

「トーマさん! ちょっといいですか!?」

「ユカリ? どうしたの?」

 後ろからユカリに声をかけられる。

「いいから、こっちに!」

「お、おい!」

 俺の手を掴み、引っ張るユカリ。その先には一つのテレビがあった。

「テレビがどうしたって……」

 そう聞きながらテレビを見てみると去年のポケモンリーグの再放送が流れていた。

「これ、去年の大会ですよね?」

「あ、ああ……」

「実はこの時、熱を出しちゃって見れなかったんですよ! で、夢中になって見てたんですけどこの人がすごくて!」

 紫の指の先には紺色のローブを被っているトレーナーとサーナイトがいた。

「さっきからサーナイトしか出していないんですよ! すごいですよね! まさか、一体だけで勝ち進むなんて!」

「……そうだな」

 確かにテレビの中でサーナイトが相手のポケモンを次から次へと倒していく。

『これは?』

 いつの間にかリオルが足元にいた。

「ポケモンリーグだよ。各地にあるジムを8つ回ってバッチを手に入れると出場できるんだ」

『……なぁ? トーマ?』

『嫌だ』

 ここはあえてテレパシーで返答する。

『ちょ、まだ何も言っていないではないか!』

『これに出ないかって言いたかったんだろ?』

『よくわかったな!?』

『お前の言動はこの数日でだいたい把握したし』

『でも、旅の目的としては良いと思うぞ! 強くもなれるし!』

「これ以上、強くなりたくねーよ」

 俺にしては珍しく低い声が出た。

『と、トーマ?』

「ほら、ユカリ。ポケモンバトルするんだろ?」

「あ! そうでした!」

 忘れていたのかユカリは大慌てでジョーイさんのところに駆けて行った。ポケモンセンターの横にあるフィールドを借りるためだ。

『トーマ? どうしたのだ?』

「……とにかく、俺はポケモンリーグには出ない。以上」

『お、おい! トーマ!!』

 リオルを無視して俺はポケモンセンターの外に出た。


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