早川千尋
ニックネーム:ちーちゃん、千魔の魔女ーサウザンド・ウィッチー
生年月日:4月4日(春休みなので友達に祝われた経験無し)
血液型:A型
身長:平塚先生の肩くらいまで
外見(頭部)茶髪(地毛)、童顔
上半身:ブラが必要ないレベルの胸、肩幅は普通、腕細い
下半身:足細い、毛は生えてない(何処のとは言わない)
趣味:ゲーム(スマホアプリ)、アニメ、カラオケ(一人)、ガンプラ
特技:1人絵しりとり、スポーツ全般、ドラム、ピアノ
得意科目:社会、理科、英語
好きな食べ物:ラーメン
千葉駅前。メイド喫茶『えんじぇるている』。ここに来た理由は、千葉に「エンジェル」という文字が付く店はここしかないからだ。
「千葉にメイドカフェなんてあるんだ……」
結衣が物珍しそうにへーと眺めている。
「知らなかったの?私が千葉に来て最初に入った店ここだよ?」
「「………えっ」」
八幡と結衣がドン引きしたように声を漏らした。
「ち、ちーちゃんってもしかして……そっちの人なの?」
「違うよ。………うちの父親がこっそり行くのを見かけてさぁ、弱みを握ろうと思って入っただけ」
「………お前ん家の父親も父親だな」
八幡が隣で呟いた。
「でも、ぼく、あんまり詳しくないんだけど……その、メイドカフェってどういうお店なの?」
戸塚が看板の文字を見ながら困ったように言った。
「いや実は俺もよく知らないんだ。で、まぁそういうのに詳しい奴を呼んだんだが……」
「うむんお、呼んだか、八幡」
「うわ……」
材木座が現れ、結衣と千尋と八幡があからさまに嫌そうな顔をした。
「……自分で呼んでおいて何故そんな顔をするのだ」
「いや、早川がこの手の店行ったことあるならお前いらなかったなって思って」
「それはつまり、剣豪将軍よりも千魔の魔女の方が強力と言いたいのか?」
「いや違ぇーよ。あと早川、鉄パイプはしまえ。てかどこから持って来たのそれ」
言われて千尋は鉄パイプを元の場所に戻して来た。
「材木座、本当にこの店なんだろうな」
「ああ、間違いない。この通り、市内にある候補は二つ。そして、川崎沙希なら間違いなくこちらを選ぶと我のゴーストが囁いている」
「どうして分かるんだ?」
「まぁ、黙って我についてこい……。メイドさんにちやほやしてもらえるぞ」
言われて、八幡の表情はおもわず明るくなった。すると、その八幡のブレザーの裾を結衣が引っ張った。
「…………」
「………なんだよ」
「べっつにー。ヒッキーもそういうお店行くんだなって思って。……なーんか、ヤな感じ」
「……いや、意味わかんないし。主語述語目的語使って話せっつーの」
「てかさ、これって男の人が行くお店じゃないの?あたしたち、どーすればいいの?」
結衣が聞くと、材木座が眼鏡を中指で直した。
「案ずるな女郎」
「誰がメロンよ……」
「そこがだよ!」
「ち、ちーちゃん⁉︎」
急に過剰に反応する千尋にビクッとする結衣。
「こんなこともあろうかと潜入捜査用にメイド服を持って来ている」
「じゃ、戸塚くん。ゴウ」
「え。なんでぼく……」
千尋に言われて戸塚はジリジリと下がった。それを追うように材木座はジリジリと近付いた。
「さぁ戸塚氏……、さぁ、さぁさぁさぁさぁっ!」
「い、いや……やだ……」
まるで、というかどう見ても犯罪臭のする絵面だった。その時だった。
「はいはいはーい!あたし着てみたい!」
結衣が元気良く手を挙げた。すると、材木座が唾を吐き、千尋は「はーあ……」とため息をついた。
「え、何その態度。ちーちゃんまで……」
「ふん、メイドとはそういう存在ではない。貴様の言うメイドはただのメイドコスだ。魂が入っていない」
「そうだね。なんていうか……ダメだよね全然、分かりにくいかもしれないけど、チョッパーが好きってだけでワンピース詳しいとかほざくタイプの奴を見てるのと同じ感覚だよね」
「何言ってるか全然分かんないんだけど……」
結衣が助けを求めるように八幡を見た。
「いや、俺には分かる。なんというか、お前がメイド服を着ても全然ダメだ。なんか学祭のノリで着てる、イラっとくるタイプの大学生にしか見えない」
「コスを着るなら心まで着飾れ!『シャーリー』を読んでから出直してこい!貴様のような輩がコミケでミクコス着てるのに喫煙所で平気でタバコを吸っていたりするのだ!」
熱弁されて、結衣は「うー」っと悔しそうに唸ると、雪乃の後ろに逃げ込んだ。すると、短いため息をついた雪乃が店の看板を指差した。
「ここ、女性も歓迎しているみたいよ」
『女性も歓迎!メイド体験可能!』
方針が決まった。
×××
とりあえず、男女6名でご入店した。
「おかえりなさいませ!ご主人様!お嬢様!」
と、おなじみの挨拶をいただき、雪乃と結衣と千尋はメイド体験に向かった。男子三人は席に案内される。
「じゃあお嬢様達には、こちらを着てもらいます。着方が分からなかったら、いつでも呼んでくださいね」
てなわけで、着替え開始。の前に、雪乃と千尋はシフト表を見に行った。
「………川崎さんの名前はないわね」
「ハズレかぁ」
2人してため息をついたときだ。後ろからのんきな声が聞こえた。
「ねぇ2人とも!早く着替えようよ!」
もはや目的を忘れている結衣だったが、ここまで来て「やっぱりいいです」なんて言えないので、着替えることにした。
早速、全員で着替え始める。上半身のブレザーとブラウスを脱いだ所で、千尋が固まった。なぜなら、目の前に自分と違って育ちのいい胸があったからだ。
それを見るなり、悲しげに目を伏せた。自分の胸部にある胸は平だった。鍛えて初めて胸が出てくる感じ(※ただし、大胸筋)。
「……裏切り者がァアアアアッッ‼︎」
「な、何⁉︎ちーちゃ……きゃあああ!」
「バカやってないでさっさと着替えなさい」
冷ややかに後ろから雪乃に言われたので、2人はさっさと着替えなさい。
×××
八幡達が注文した飲み物を運ぶことになった。一番最初に着替え終えた結衣が八幡たちの元に飲み物を運んだ。
「お、お待たせしました。……ご、ご主人様」
真っ赤な顔でカップをトレーから取り、机の上に置いた。
「…………」
「に、似合うかな?」
控えめに聞きながら、くるりと回った。
「わぁ、由比ヶ浜さん可愛いね。ね、八幡?」
「ん?あ、ああ。まぁ、な」
戸塚に言われてようやく頭が回り、生返事を返してしまった。
「そか……よかった……。えへへ、ありがと」
正直、八幡は驚いていた。アホっぽいのだが、しおらしくしてる態度と少し恥ずかしそうな表情が普段の結衣とは違った印象があった。
「やー、でもさー、メイト服ってスカート短いし、ニーハイきついし、昔の人はこれ着て働いてて大変だったろーねー。これ着て掃除したらメイド服、クイックルワイパーみたいに埃まみれになっちゃいそう」
「お前、喋んなければいいのにな」
心の中で前言撤回する八幡だった。
「なっ⁉︎どういう意味だっ⁉︎」
それを聞くなり、スコーンとトレイで頭を叩く結衣。
「何を遊んでいるの……」
冷たい声がした。後ろには雪乃が立っていた。
「うわ、ゆきのん、やばっ!めっちゃ似合ってる。超きれい……」
結衣が感嘆の息を吐いた。そう言う通り、八幡から見てもとても似合っていた。
「いや、でもお前メイドさんっていうよりロッテンマイヤーさんって感じなんだけど……」
そうは言われたものの、雪乃も結衣も首をかしげるばかりで伝わっていなかったようだ。
「似合ってるってことだよ……」
「そう、別にどうでもいいけれど」
2人目だけで残りの1人が来ない。
「早川はどうしんだ?」
聞くと、雪乃と結衣は自分達が着替えて来たところを見た。
「……あれ?ちーちゃん遅いね?」
すると、別のメイドさんがやって来た。苦笑いで八幡達の所に来て言った。
「申し訳有りません、ご主人様。お連れ様はどうしても嫌だと言って、店の外で待っているそうです」
「は、はぁ。そうすか。なんかすいません」
「いえいえ。それでは失礼いたします。ご主人様」
そう言うと、メイドさんは去って行った。
「……何があったんだろうね?」
戸塚が聞くも、そればっかりは本人に聞いてみないとわからない。
「それより、このお店に川崎さんはいないみたいね」
雪乃が言った。
「ちゃんと調べてたのか……」
「もちろん。そのためにこの服を着てるのよ」
「今日は休みとかじゃなくて?」
「シフト表に名前がなかったわ。自宅に電話が掛かってきていることから考えても偽名の線もないと思う」
すると、 八幡は材木座を睨んだ。
「そうなると、俺たちは完全にガセネタに踊らされたことになるんだが」
「おかしい……そんなことはありえぬのに……」
材木座は1人で腕を組み、小首を捻り、唸っていた。
「何がだよ」
「るふん。……ツンツンした女の子がメイドカフェで密かに働き、『にゃんにゃん♪お帰りなさいませ、ご主人様……って、なんであんたがここにいんのよっ⁉︎』となるのはもやは宿命であろうがぁっ‼︎」
「いや意味わかんねーから」
そんなわけで、一日不意にしてしまった。もうこの店に用はないので、少しゆっくりしてから解散することになった。店を出る途中、八幡は外で待っていた千尋に何があったのか聴き出したかった。