射干玉の闇に灯るは幽けき淡い也   作:真神 唯人

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あと少し。そのときまで。


転(まろ)ぶ輪の鼓、鳴る日は来たり

数多の「渦巻」が生まれ消えゆく。

命の定めは、予定調和の如く ただただ、繰り返されるばかり。

 

 

 

人の世に在りし、とあるひとつの予言は語る。

 

ひとつ、無へと向かいし、力失いたる世のくぎりなる地あり。

罪咎を以て、滅びへと至る道に定まりし地にて、人、消え去るさだめなり。

 

されど、唯一なる救いの道、闇に沈みたる書にて残されたり。

世のくぎりたる地、その身を、「母」の宿りへと帰さば、救わるると。

 

 

故に、その地は、再び新たなる地へと生まれるが為に。

転(まろ)ぶ輪を生みし鼓の力で以て、死せる時を迎えるべし、と。

 

 

....そして、古き予言は果たされる。

 

 

闇に沈む書は、そこより掬いだしたる者たちの手に渡り。

長き時をかけ、読み解かんとする者たちによって。

 

 

そして、その者たちの、繋ぎし時の果て。

 

 

ただひとり、その書を「正しく」読み解きし男と

ただひとり、その身に秘めたる「力」を持ちし女によって。

 

 

 

***

 

 

「このところ、同じ夢をよく見るんだよ。どんなって、世界が丸くなる夢、なんだ。

あー、いや世界は丸いんだけどさ、それが丸くなるんだよ!!って、アレ?」

 

「ついさっきその先で、黒い学生服の少年を見たんだけど、黒猫と連れだっててさ。

これがまた美少年ってやつでさ。あのレトロチックな風情と帽子に、はおったマント、

何かどこかで見たような気がするんだけど、気のせいかなぁ?」

 

 

 

血生臭い事件、鳴りやまないサイレン、物騒な内容のニュース。

そのあとに流される、普通の日常的な事。

 

 

 

狭い世界は、今日も多少の喧騒付きで 変わらぬ日々を知る。

ほんの少しの、「違和感」をさらりと 教えることに気付かぬまま。

 

 

 

 

俺、「祖神 現人(そがみ あらと)」は、その日の朝も、夢見が悪かった。

 

 

あまりよくは、覚えていないけど確か、世界が滅ぶとかそんな類いの。

 

 

よく、寝る前に見た番組(特に怖い系)のせいで、怖い夢を見るって聞くけど。

俺は、とあるニュースがえらく引っかかってたせいだとは「思わなかった」。

世界が滅ぶ事と、騒がれてる「男」が全然「繋がらない」からだった。

 

 

なんてったっけ?。すっげえ印象的な髪形してた、どっかの企業の。

街ですれ違った女子たちが「カッコイイ」とか言ってたけど、マジか?。

いまいち、女子の趣味ってわかんねえ。

 

 

そういや、駅で受信した「友達」のメール。

性格わかってるから怒りはしないけど、褒めてんだか貶してんだか。

俺がいると「先生」が優しい?。気の所為だろ。

ホント、おまえ「先生」のこと好きな。バレバレだぜ、それじゃ。

 

 

今日は、友達二人と先生の見舞いに来た。

正確には、来るのが遅いせいで置いてかれたのだが。

 

 

病院に行く前に、あんなとこ寄ったのがまずかったか。

いわゆる「事件現場」ってやつ。血痕とか、すごかったな。

ドラマみたいだけど、現実だよなコレ。

さすがに死体とか見たら吐いてたんだろうけど。

 

 

呑気に見回しながら入っていくと、目の前に誰か居た。

なんていうか、オシャレなおっさんなんだけど、眼が鋭い。

訝しげに見ていると。おっさんは「聖(ヒジリ)」だと名乗った。

職業は「記者」だって聞いて何か納得したけど、追ってるのがなぁ。

こんな現場とオカルトが結びつくって発想がもうわからない。

 

 

わからないまま、雑誌をもらって病院へ向かおうとすると

おっさん……もとい、「聖(ヒジリ)さん」が「不吉なこと」を言った。

言ったあとで「...なんてな」ってアンタ、誤魔化すなら上手く言おうよ。

何か行くの、止めたくなってきた。

 

 

 

 

もう一人の「友達」からの着信が鳴って言われた事にも、ちょっとムカついてたし。

 

 

 

 

 

...二人して先に来てるって、マジで?。

進路相談?。入院中の「先生」にするか、それ。

...ああ、そう。いいよもう。好きに言ってろ、ったく。

分かったって、急ぎます急ぎます。じゃ、な。

 

 

 

   

 

 

 

   人混みと喧騒と他愛のない日常。

   今日も明日も明後日も。

   

   ずっと続くと信じた「それ」が全部、ぶっ壊れるまで。

   残り時間は、あと少し。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




やっとここまできました。だいぶ端折った感は否めませんが。

古いプロットが台詞とモノローグばかりで、場面を忘れてるし。
公式の主人公の外観とイメージ、合わないかもしれません。

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