「おはようでござる。柳洞殿、衛宮殿」
俺と一成は戦場と言う名の教室に潜入した。俺はここで衛宮士郎として生活している。そして今、俺達に挨拶してきた男は――『鏡の幻影(ファントム・ミラージュ)』事、後藤劾以だ。
この男は相手の動きと能力をコピーする力を持った恐ろしい男だ。
このまま極めればジャスティスファンタズムすら真似る事ができるかもしれない。
偽者でも本物でも何者でもジャスティスファンタズムが何人もいる世界とは……素晴らしいぞ。
その一人になる才覚を持つファントム・ミラージュ――この男もまた世界の平和を人知れず守っているのかも知れない。
俺もヒーローとして敬意を払わなくてはならない。これはしっかり挨拶せねばならないな。
「ファントム・ミラージュよ。おはよう。今日もまた良い笑顔だ」
「おはようだ。後藤よ」
「二人とも今日も良い笑顔でござるな。しかし衛宮殿、その禁じられた名を語ることはこの戦場では許されぬでござるよ!?」
「はっ! すまない! ここは戦場であると言うことを俺は忘れていた!」
「衛宮殿……いやジャスティスファンタズム殿このままでは死ぬでござるよ?? 気を抜かない事でござる」
「後藤劾以よ。その通りだ。すまない。俺はまだ未熟者だったようだ。今日は闇の封印が解かれかけあげくインフェルノの手の者に背を抜かれてしまっている。失態をこれ以上するわけにはいない」
「ぬーー!! よく今日まで生きていたでござるな!」
「――――二人とも俺がついていけんからやめないか?」
「「――え? なんで?」」
「え? 俺がおかしいのか? 衛宮、後藤?」
「――さぁ? でござるよ」
「それはお前の心に問う者だ。一成……俺達はいつだって迷いながら歩いていくんだ」
「そ、そうか。とにかくもうチャイムがなるぞ? 二人とも座るんだ」
「「わかった(ござるよ)」」
俺と後藤は一成に言われ着席した。その数分後――チェリー・ブロッサムの兄、間桐慎二こと『蒼き海の緑神(グリーンアクエリアス)』が戦場入りしグリーンアクエリアスは俺に部活終わりの弓道部の道場の掃除を頼まれ(なぜか一成が眉を潜めていたが)ジャスティスファンタズムとして話を受けた。
そのあと藤ねぇが戦場入りし今日も授業と言う名の聖戦が始まった。
俺もヒーローとして勉学を怠らぬようにしなくてはな!!
しかしなぜグリーンアクエリアスは俺に向かって「おい、そこの厨二――いや、ジャスティ……スファンタズム僕の頼みを聞いてくれよ(笑)」って言ったんだ?
俺は中2じゃなくて高二なのに後、ジャスティスファンタズムだ。アイツは俺の真名を言うとき顔を赤らめながら声を小さく半笑いで俺を呼ぶのだ。
たぶんヒーローに頼るのが恥ずかしいのだろうが……アイツはプライドが高いからな。
照れなくても良いだろうにな。水臭いグリーンアクエリアスである。
ふっまぁいいさ。俺は今、聖戦の途中だ。グリーンアクエリアスの事を今だけは忘れておこうか。