「先輩っ! 今日は私、先にいきゅましゅね! それじゃあ!」
「あ、ああ、うん。でも桜、大丈夫なのか? テンション変だし……言葉もカミカミだぞ?」
食事を済ませ学校に行くことになった訳だが…………もう桜はあれだった。テンションがもうブッ飛んでた。
何せ俺の言葉もマトモに聞かず走り去ったし
走る速度もブッ飛んでるし桜ってあんなに脚が速かったのか…………あ、電柱にぶつかった。
って!
「桜! 大「大丈夫でーす!!」丈夫なんだな…………え、あれで?」
あ~、行ってしまった。いや、今日はありがたいけどさ。セイバーにお昼ご飯の用意ができるし…………。
さて、セイバーのお昼ご飯は…………どうしようかな?
まぁ何でも美味しく食べてくれる気がするかけどもな。
「よし! やるか!」
――――――――――
セイバーに昼食を用意し電子レンジで温めるように言った後、学園に登校した俺は校門で登校する生徒達の制服チェックをしている友人の柳洞一成が居たので挨拶した。
「よう、一成。おはよう」
「ああ。おはよう。衛! ミ、ヤ!? どうしたんだ!? 何があった!? どうして素顔なんだ!?」
一成が驚愕の表情で俺を見ていた。何なんだろうか? この驚きの表情は? と言うか周りの人が俺をジロジロと奇異な者を見る目で見ていた。
「どうしてって? 何を言ってるんだ?」
あの基本、冷静な一成がこんなに動じる物なのだろうか? そもそも素顔なんだ!? ってなんだ? まるで俺が素顔なのが駄目みたいじゃないか。
「いや、だって衛宮は左目に眼帯をしていただろう!? 本当に衛宮なのか? いや、夢にまで見た衛宮の姿なんだが!? 急にマトモになられるとどうすればいいのかわからんぞ!」
――――――――どうしたんだ? 一成は? 疲れてるんだろうか? 何で俺が眼帯なんかしなきゃいけないんだ?
まるで俺が毎日、眼帯をしていたみたいじゃないか。
「一成、どうしたんだ? ってこっちのセリフだぞ。どうしたんだ?」
「衛宮…………いや、何でもない(そうか。中二病は卒業したんだなっ! 恥を覚えて過去を無かったことにしたんだな! よっしっ! 俺も衛宮の友として何も言わんでおこう!)」
「そ、そうなのか?」
「あぁ。気にするな! 衛宮! さぁ衛宮、早く教室に行くんだ! 遅刻してしまうぞ!」
「あ、あぁ」
何なんだ一成のやつ? テンション高いな。何か良いことでもあったのか? まぁいいや。
教室に行くか…………。
――――――――
俺は教室に向かう道筋で皆にジロシロと生暖かい目で見られている。
と言うか二度見されてる…………。なんなんだろうか?
俺はそんな風に周りの目に疑問を覚えながら教室に向かって歩いているのだがその時、目の前に遠坂が現れた。
――――昨日の御礼を言っておくか…………。
「おーい。遠坂!?」
「ん? はぁ?」
遠坂は俺が話し掛けた瞬間、俺を見て一瞬、驚愕の表情と共に疑問の声を上げそして溜め息を出しながら教室に消えてしまった。
「な、なんだ?」
俺、アイツに何かしたのか? 覚えが無いぞ?
何なんだ? まさか話は夕方まで無しなのか? 困ったな。
いやまぁ仕方無いか…………。教室に向かおう。
「ジャスティスファンタズム殿~~~~!?」
「?(後藤の奴叫んで走ってきてどうしたんだ? 遅刻しそうって訳でもないしな。また何か流行ってるのかな?)」
「どうしたでござるか? ジャスティスファンタズム殿? いつもと格好が違う様子でござるが?」
何故か後藤は俺の前で脚を止め話し掛けてきた。
俺は自分の背後を見る。だが誰もいない。クラスメイトの綾子が俺をウンウンと頷きながら「願いが届いたな桜…………」と呟きながら泣いていた。
お前の身に何があった? 桜がどうしたと言うのか? いや後で聞こう。慎二の事と一緒に…………。
「俺が何だって言うんだ? 誰だよ? ジャスティスファンタズムって? まったくいい歳して恥ずかしいだろ?」
まぁ正義の味方を志してるのは確かに恥ずかしいかも知れないけどな、ジャスティスファンタズムなんて者になった覚えなんてない。
「「「「「「………………(な、なんだと!?)!!!!!」」」」」」
「ぬぅ? ジャスティスファンタズム殿はもしや正体を今は隠しているでござるか!? もしくはジャスティコロイドが切れてしまったのでござるか!?」
「い、いや、特にそう言った事は無いぞ?(周りの目線が何故かくすぐったい…………後藤のせいか?)」
後藤の奴め。会話はしてるのに話になってないぞ? 俺はいつもコイツとどうやって話してたんだ?
と言うか俺は普段どんな生活を――――。
「――――――あ、ああ!」
「どうしたでござるか? 衛宮殿? ジャスティスファンタズムって呼ぶのはやめた方が良かったでござるか? 世を忍ぶ事にしたのでござるか?」
『解ける!! 皆、逃げろぉ!! 闇の封印が解けるぞ!!! 葛木先生! 皆を待避させてください! ここは俺が押さえる!!!』
校門や教室でしたありもしない闇の封印が解けたと叫んだ日々――――
『俺の名前はジャスティスファンタズム! 正義の味方さ!』
家に誰か来るたびしていた自己紹介――――。
『警察官よ! 邪魔をするな! 俺は深夜のパトロールをしているだけだ!?』
夜中にパトロールと評し奇怪な格好で町を走り回り警察官に職務質問を受けたあくる日の夜――――。
『さて、ジャスティスファンタズムのテーマ曲を作らなくてな! そうだ! 『
俺の――――テ、ー、マ、キ、ョ、クゥウウウ!!!!!
『――――エルマテリア、ウルテルゼア、オンガタリアルムタ――――悪から身を守る結界魔術だ…………』
何を言ってるんだ!? 俺は!?
「ああ! ああ! ああ! アァァア! ヒャアアア!!!!」
俺の中で還ってくる思い出達――――。
「ど、どしたでござるか? 闇の封印が解けたでござるか?」
「⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛」
やめろ! 後藤ぅうううう!! 俺は周りの視線の意味を理解した。
そうだよな。普段、こんな事している奴が普通に学校に来たらそりゃ奇異な目で見るよな!
異常な人間が正常になったらおかしいよな!! 正義の味方どころか只のイカれ野郎じゃないかぁああ!!!!
俺は今まで何をしていたんだ!?
「…………衛宮」
綾子が話し掛けてくる。俺は無言で振り返る。そこにいたのは晴れやかで可愛らしい笑顔をした美少女だった…………。
反芻される。弓道部での日々が――――。
『震えろ! 我、必中の一撃!!! 『
『くらいやがれ!!! 『
どうしようもなく沸き上がる心の何かを必死に押さえつけ俺は綾子に言葉を返す。
「な、な、な、ななにかな?」
「別にお前がどうなっても大丈夫だよ。どうなっても私はお前の味方だよ。衛宮。中二病卒業おめでとう!」
「美綴殿! 衛宮殿は中二病等ではござらん! 正義の味方にござるよ!!」
綾子の言葉を皮切りにパチパチと周りの人達が立上がり俺に向かって拍手をやり始めた。と言うか皆、感動の顔をしている。
あと後藤わかったからちょっと静かにしてくれ。泣きそうだから………………。
そうか。ありがとう。中二病卒業したよってか!? 皆の優しさが心に止めを全力で射してくる。
「衛宮やったな!」「やっとか長かったな!」「何だか卒業されるとそれはそれで寂しいな」「そうだな!」「私、衛宮君の素顔、初めてみたよ!」「以外と格好いい」
皆、嬉しそうだ。
でも、御免な。皆は俺を見れるのは今日で最後だと思う。
だって今から俺、冬木市から人間界から逃げるから………………。
「……………………………………………………」
俺は皆の拍手から目を背ける様に屋上に向かって走り出した………………。
そう、全てを振り切るようにな!!