「いやっ！ やめて、お兄ちゃん！ 何をするの！ いやぁあ！ そんな所触らないで…………」
「怖がらなくていいんだよ。俺がいるから…………優しくしてあげるから落ち着いてくれ…………『
悪の組織に邪悪に染められたであろう彼女が暴れているのを宥める俺ジャスティスファンタズムは彼女を撫でながら抱き締める事しかできなかった。
俺は彼女を傷付ける事などできない。何故なら小さな子供を恐怖を与え傷付けるなんて正義の味方すら越えた正義の味方ジャスティスファンタズムだからだ！
だから俺は伝えるしかない！ 自分の気持ちを行動で！
撫で続けるんだ！ 彼女を！！
「やめて！ やめてって言ってるでしょー！！ あ！ バ、バーサーカー！！」
「⬛⬛⬛⬛⬛⬛――――ッ！！！？？？ ⬛⬛⬛⬛⬛⬛――――――――！！！！」
くっ！ あいつ！ 俺と彼女を突き放す気か！！ また彼女を暗い闇の底へ引き摺り込む気か！？
｢シロウ！ 大丈夫ですか！？｣
『
「あのデカブツを止めてくれ！！ 後は俺がどうにかする！ 頼む！」
「任せてください！」
「⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛――――――！！」
「アーチャー！！」
「…………………………はっ！？ 凜、無事のようだな」
「ま、まぁ…………衛宮君のお陰ね…………」
「そ、そうか…………」
「この！ 離して！ 離せぇええ！！」
「ぐわぁぁあ！！！」
「シロウ！！！」
「衛宮君！」
少女が悲痛な声を張り上げた途端、俺は激しい衝撃を受けて叫びながら吹き飛ばされ地面に転がってしまう。
俺は『
何故なら彼女の体から赤い魔力のこもった紋様が全身から見えたからだ。
あれが彼女を蝕む呪いに違いない！！ 恐らく俺が吹き飛ばされたのは彼女が俺の言葉に心を動かされ悪の呪いが解けそうになったからだ。
だが悪の呪いは彼女を逃さなかった。故に今、彼女は両肩を抱いて呪いの蝕みに耐えているのだろう。
その証拠に彼女は涙目でまるで生まれたての小鹿の様に体を震わせている。
痛いんだろう！ 苦しいんだろう、彼女は今、立ち向かっている！ 悪の呪いに！
今も彼女は一人で呪いと戦っているんだ！！
「バ、バーサーカー！ 退くわよ！ あのお兄ちゃん、どこかおかしいわ！」
「まてぇえええ！！！！ いかせないぞおおお！！！」
俺は少女を止める為に走り抜ける！！
「シロウ！ 近づいてはいけない！」
「イヤァアアアア！！ バーサーカーァアアアア！！」
「⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛――――――――！！！！！！」
だがあの『
「ぐぅ！」
「逃げるのよ！ バーサーカー！ 全力で！」
「⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛――！！」
くそっ！ 体が動かない！ どうやら岩が腹に当たって刺さったようだ。挙げ句に意識が途切れそうだ。頭を打って脳震盪を起こしたのかもしれない。
「シロウ！ 無事ですか？ 動かないで下さい！」
「どうやらバーサーカー達は退いたようね――セイバー。衛宮君は私が治療してあげるわ」
「良いのですか？ 凜？」
「凜――良いのか？ 敵だぞ？」
「良いわよ。別に、仕方無いわ。同盟を組むつもりだしね。セイバー――私は衛宮君を治療するわ。見返りにバーサーカーを倒す協力をしてね。衛宮君も多分、断らないでしょうし」
「私は構いません。ありがとうございます、凜。貴方に感謝を――――」
「良いのか！？ 凜！？ 敵だぞ！？」
「何よ？ ダメ？ というかそんなに叫ばなくて良いじゃない、何なのアーチャー？ 不満？ 嫌なら今度こそあの時、使わなかった令呪を使うわよ？」
「良いだろう。マスター。地獄に落ちろ」
俺を置いて会話が続くのに声が出ない。そして遂に俺の意識は闇に落ちた。