Fate/シロウ厨二戦争   作:赤石なちる

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更新遅くて本当に申し訳ないです。


20話■サーヴァント戦場視点

 セイバーはアーチャーを頭の回る清廉潔白な剣の筋を持った知恵者な弓兵と踏んでいた。

 

 確かに当たりだ。彼は知恵者だし技量もある。それこそヘラクレスたるバーサーカーが話せるのならば素晴らしい技量の剣士と弓兵でありながらと褒められる事だろう。弓の腕を含めてだ。

 

 そして戦い運びの達人でもある。

 

 ――――だが

 

 ――――だが、

 

 このアーチャーはあの――ジャスティスファンタズムの成れの果てなのである。

 

 賢くても……所詮、アレな人なのである。賢くてもアホなのだ。死ぬまでアレだった人なのである。

 

 セイバーは知らない。アーチャーが賢いように見えるアホなのをセイバーはそれこそ救われた後ですら知らないアーチャーがジャスティスファンタズムがアホなのを知ることは無い。羨ましい脳みそだ。

 

 そして普通に考えてあのバーサーカー相手に殿もおかずにまさかおいそれと逃げ切れる訳がない。

 

 何せバーサーカーはアーチャーとセイバーより俊敏が高い。

 

 そして理性は無くとも自分のマスターを守る意思も強く勘も良い――何せバーサーカーでありながら最低限の知性は残っていた。

 

 ならばセイバーとアーチャーの考えなど見切るのは容易い。

 マスターは言った。奴等の相手をしろと――――ならば逃がすつもりなどない。

 

 ジリジリと距離をとり牽制を続けながら戦うセイバーとアーチャーは目を見開き驚く。

 

 バーサーカーは手に持っていた黒い色の斧剣を有り余る腕力を持って彼等に投げつけたのだ。

 

「■■■■■■■■■■■――――ッ!!」

 

「ウオッ!」

 

 アーチャーはビックリしながらも矢を放ちぶつけ速度を落とす。

 

 セイバーは速度の落ちた黒い斧剣を聖剣の魔力放出を持って受け止めそらす。

 

 その瞬間、地面がまるで噴火したかのように大地が土煙と共に吹き上がる。

 

 セイバーは冷や汗をかく。今のはやばかっただがそれだけでは無かった。

 

 その土煙をかき分けるようにバーサーカーが突っ込み拳を撃ち込んだからだ。

 

 セイバーは直感を持って避けられないと焦るがアーチャーが弓矢を捨てて双剣で防ぐ。アーチャーがいた場所では弓矢を射つより剣で防いだ方が良いという判断をした。

 

 何故なら下手に弓矢を射った所で無視して攻撃しセイバーを脳天を砕くだろうからだ。

 

 そして余りの威力にセイバー共々、吹き飛ばされる。

 

「アーチャー! 申し訳ありません……大丈夫ですか?」

 

 セイバーはバーサーカーの一撃を正面から自分の代わりに受けたアーチャーを目視で確認する。

 

 アーチャーは鋭い瞳で両手の感覚を確かめながら…………セイバーに応対し呟く。

 

「気にするな。大丈夫だ。しかし成る程…………これは誰かが食い止めなければ逃げられんな。確かに――最強のサーヴァントだ…………」

 

 アーチャーは立ち上がり構える。このままでは負けるだろう。

 アーチャー自身は奥の手を用意しているがハッキリいって序盤に使いたくはない。

 

 そしてバーサーカーをその奥の手で殺しきれるとも思えない。

 アーチャーの予想が正しければこのバーサーカーは一度くらった技は余程、強力ではないとダメージを与えられないだろう。

 

 自分にもそれができるが今はまだできない。

 何より下手に使っても相手のマスターがもし令呪を使ったらその奥の手は無意味だ。

 

 出来る限り必殺でありたいのが本音だ。動きを止められるのは確実だろうが…………。迷いどころだ。

 

 だがバーサーカーにはそんな事は関係ない。

 

 バーサーカーはまた咆哮を上げながら突進する。そこに迷いなどなく拳だけでも充分な戦闘力を誇っていた。

 

 武器がなくなり間合いが変わりそして武器がないぶん速度が物理的に上がった。

 まぁバーサーカーにとってあの斧剣など軽いだろうが…………。

 

 セイバーは前に出て拳を避けつつ軽快にジャンプし肩口に剣を突き立てる。

 

 そして血飛沫が上がる。更に透明の剣が光り形をおび白い光が黄金に瞬く。

 

 バーサーカーは咄嗟に身体を竜巻のように一回転しセイバーを吹き飛ばす。

 

 だがセイバーは吹き飛ばされながらバーサーカーの動きを止められる場所をもう一つ見つける。

 

 そしてセイバーは放つ。

 

 己が存在の証明を…………己が背負う願いであり光が吹き荒れる。

 

 栄光とともに勝利と共に美しく輝き瞬く英雄の光。人々の願いを束ねた最強の聖剣。願いの息吹き……。

 

 ――――放て!常勝の王は高らかに――――ッ!!

 

「約束された勝利の剣(エクスカリバー)――――ッ!!!!!」

 

 アーチャーは目を見開いた。圧倒的な魔力の奔流と熱量……正に最強の聖剣だった。

 

 荒々しいくも神々しい光の熱線がバーサーカーに向かう。そして世界が光に包まれた――――。

 

 セイバーはそのまま着地し息を荒くしながら膝を付く。

 魔力を大量に使ったからだ。だがまだ余裕だ。令呪を持ってランサーの一撃を防いだ功績だろう。

 

 まぁやった本人は気づいてすらいないが……だがセイバーから見れば素晴らしい采配と更にマスターへの好感度を上げていく。

 

 なんて楽なヒロインだろうか? あんな厨二病に誰に何を言われずとも心酔するなんて…………馬鹿なんだろうか?

 

 だがバーサーカーもまたセイバーのようにその巨体からは想像もつかないようなジャンプをし咄嗟に避けようとするが間に合わない。

 

 両足を持っていかれた。そしてバーサーカーは脚を奪われ倒れる。

 

 だがまだ死んでいない。下半身をほぼ失いながらもバーサーカーは狂気の中にある確かな野生と武の太刀筋を持ってなんと拳を地面に撃ち込んだ。

 

 セイバーと横にいたアーチャーは目をむくが外人墓地は凄まじい陥没を産み出し辺り一帯に地震を巻き起こす。

 

 そして驚くべき事にバーサーカーは腕力だけで前に突き進み黒い斧剣を掴むそして体から吹き荒れる蒸気と共に復活する。

 

 これで二度めの死だ。そして自分達のマスターのいる方向にまるで森の守護者のように唸り声を上げながら構える。

 

 そこにあるのは狂気に裏付けされた歴戦の獣戦士だ。

 

 セイバーはふらつきながらも立ち上がり剣を構える。

 彼女の目にあるのは何としても勝つと言う強い戦意だ。

 

 アーチャーはそんな姿に過去の遠い残響を思い返しながらも双剣を構える。

 

 何せ今のふらついたセイバーに前衛を続けられるとも思えない。

 

 敗北必死の戦いは未だに終わらない。

 

 アーチャーは過去の自分に少しの可能性を願いながらバーサーカーに突っ込んだ――――。


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