朝食を食べた後、衛宮士郎ことジャスティスファンタズムと間桐桜ことチェリー・ブロッサムは先に行ったタイガーこと藤村大河共に藤ねぇが教師を勤める学校に共に向かいそして目的地ついた。
そう――――私立穂群原学園だ。
ここで俺達は日夜、勉学に励む訳である。そして桜はここで弓道部に入部している。さすがチェリー・ブロッサムを名乗るだけあって凄まじい腕らしい。
まぁ俺には勝てないだろうが――俺は昔、弓道部で弓の奥義の練習をしていたのだ。奥義の名は『燃え上がる正義の矢(ブレイブ・ジャスティスアロー)』だ。
それを射たれればチェリー・ブロッサムでもかなうまい。
辞めたけどな。だってほら正義の味方になるための鍛錬の方が重要だしな。
「それじゃ私は行きますね。先輩。私は弓道部の練習があるので」
「ああ、じゃあな。頑張れよー!」
そんな事を考えていたら桜は弓道部の練習に行ってしまった。
そして俺は校門の前で桜を見送り応援する。
それを聞いた桜は花のような笑顔を向け答えてくれた。
「はい! 頑張ります!」
うむ。元気だな。
こうして俺は自らの教室に向かう。その時だ。
「ッ! なんだ? 左手が痛い?」
左手に痛みが走る。俺は手を抑える。血らしきものまで流れている。こ、これはまさか……。
「くそ! みんな逃げろ! 闇の封印が解ける!!! 静まれ!! 俺の左手!! くそ! 封印が解けるぅぅぅぅ!!!」
「何あれ?」「またやってるよ」「私立穂群原学園の厨二病は今日も冴え渡ってるな!」「俺、アイツを見ないと一日が始まった気がしないんだよな」「それはおかしい」「なんで右に闇の封印してるのに左手をおさえてるんだ?」「設定ブレブレなのはいつもの事だよ。だってあいつブラウニーで偽用務員だし」「穂群原学園の七不思議の1つだな厨二ブラウニー衛宮って」「あれ、恥ずかしくないのかな?」「平常時あんなんだから恥とかないよ」
なんなんだ! こいつらは! 闇が怖くないのか? なんで逃げずに俺を素通りするんだ!!
闇に対する恐れが足りないのか!
「――何をしている衛宮?」
闇の力をおさえるのに必死な俺に話しかける男がいる。
「なっ! なにやってるんですか! 葛木先生! 早く生徒を退避させてください!! 闇の封印が解けますよ!! いまならまだ抑えは効きます! だから早く……生徒を!」
この先生はなんでいつも俺の封印が解けそうになっても冷静なんだ?
対応することができるとでも言うのか? ジャスティスファンタズムの俺ですらおさえが効かなくなる時があると言うのに!
「――またか? 今月だけで32回は封印が解けかけたぞ? 早く教室に入れ。遅刻するぞ。衛宮」
くっ! それだけ強力な力なんだよ! いや、そうじゃなくて本当に刺すような痛みが俺の左手に走っているんだ!
だが俺の願いが通じたのか葛木先生は俺から背を向け校舎に入っていった。
どうやら間に合ったらしい。だんだん痛みがなくなってきた。
どうやら封印は今日も解けず冬木の安寧は守られたらしい。
「よかった。また守る事ができたらしい。行くか……平穏の中に…………」
((((((何なんだ? こいつは?))))))
周りが俺をガン見している。どうかしたのだろうか?
俺は周りの謎の視線に疑問を覚えながら校舎に入った。
俺はその時……平穏の中に帰ったと思っていた。
だから気づかなかった。俺の左手に赤き運命が宿っていたことに…………