「凛! いったい何を!」
とある日のとある邸宅にてとある赤色のサーヴァント――正義の隠れ厨二病『アーチャー』は驚愕の眼差しを自分のマスター――赤い悪魔こと遠坂凛に向けていた。
理由は一つ――自分のマスターが何故か魔法少女になっていた。
可愛らしいフリフリのミニスカートに猫耳にそして背中の謎のリボン……そして猫の首輪をつけて魔法少女のよく使いそうなステッキを手にキラキラとした赤い粒子を振り撒いていた。
これではアーチャーの忌まわしい過去――ジャスティスファンタズム―― 衛宮士郎を笑えない。
『ふっふっふっ! ついにきました! 私の時代が! さー凛さん! 私と一緒にリリカルマジカルしましょうねーー!!!』
「えぇ! わかってるわ! 私の中にある正義の心が! 愛の翼を届けるのよ!!」
遠坂凛の手にあった魔法少女のステッキが謎の可愛らしい声を上げながらハイテンションで何かを喋りかけている。
それを聞いてアーチャーは自分のマスターなら絶対に言わないであろう言葉に鳥肌をたてながらも事の元凶らしきステッキに怒鳴りかける。
「おい! そこの謎のイロモノステッキ! 凛を放せ!!」
『おや? 謎のイロモノステッキとは? 私にはルビーちゃんって言うキューティクルでビューティーホーな名前がありますよ? っておやー?』
「アーチャーがどうかしたの? ルビー?」
謎のステッキが何か面白い物を見たような顔をした気がしたのをアーチャーは感じる。
何故だろうか? 何故かあの言峰綺礼とか言う極悪神父を彷彿させるのは……。
『いやいや、凛さん! 世の中には面白い名前の人がいるんだなーと思っただけですよー!』
「な、お前まさかそれがわかるのか! やめろ!」
『やめろ! と言われたらやっちゃうのが世の情け! ですよ! ジャスティスファンタズムさん! まさか抑止の守護者にこんな名前で登録される英霊がいるなんてルビーちゃんビックリですよ!!』
「ジャスティスファンタズム?」
「ウワァァアアア!!!!」
「アーチャー!? 走って何処にいくの? まって一緒に世界の平和を守りましょうよ!」
アーチャーは己の恥を名に出され逃げ去る。そしてそれを見た凛――――改め魔法少女リリカル☆凛はその赤い弓兵の背中を追い掛ける――――。
――――――そして家の外に…………。
『いやーなんだか面白くなってきましたねー!』
「まって! アーチャー!」
「!!!!!!!!!!!!!! ついてくるな!! 凛! そのふざけたステッキを捨てろ!」
「ダメよ! 私はこれで世界をお花でいっぱいにするんだから!」
「乙女か! 君は!」
『女の子はいつだって乙女ですよ! ジャスティスファンタズムさん? キャハッ♡』
『魔法少女リリカル☆凛 前編』――――続く?