ワールドトリガー 一条隊隊長のニセコイ事情 作:ガンプラビルダー
屋根の上にいる俺たちを追っかける太刀川さんと風間隊の3人。
風間さんは素早い状況判断のもと菊地原と歌川に指示を出した。
風間「俺と太刀川と当真と奈良坂で迅を倒す。菊地原と歌川は古寺と一緒に一条隊の2人を対処しろ。」
歌川「了解。」
菊地原「ちぇっ……B級を相手にするなんて面白くないな……」
菊地原はダルそうにして文句をいいながも歌川と一緒にカメレオンで姿を消し奇襲を仕掛けることにした。
一方、三輪隊を迎撃することにした嵐山隊と別れた俺たちも屋根から降り太刀川さん達を迎え撃つことにした。
早速、太刀川さんは左手で旋空孤月を仕掛けた後、迅さんに接近して右手で豪快に孤月を振り下ろした。
迅さんが風刃で孤月を太刀打ちすると、太刀川さんはバックステップをして一歩退き彼に続いて風間さんもスコーピオンを迅さんに向けて突き刺し、肘から枝刃を出し不意打ちを仕掛けた。
2人の攻撃が激しい中、迅さんの頭に目掛けて弾が何度も飛んで来るものの『未来視』のサイドエフェクトで飛んでくる方向は見えていたので難なくかわす。
集「俺たちに接近して来たのは風間さんと太刀川さんだけなのか?」
一条「いいや。ちがうな。」
目で見る限り迅さんに接近して来たのは太刀川さんと風間さんだが、レーダー見る限りここの2人以外にも反応がある。……とすればやっぱり……
一条「ハウンド!!」
菊地原と歌川が近くにいると予測した俺は探知誘導に設定したハウンドを放った。
俺の放った弾丸は予測通り姿を消していた菊地原と歌川に向かって軌道を変えた。
菊地原と歌川はカメレオンを着けたまま弾丸をかわしたが俺はもうハウンドをもう一発放つと2人は姿を現しシールドでガードした。
一条『集!今だ!!』
集『了解!!』
俺は通信で集に命令をして俺がセットしたグラスホッパーを踏んで後ろに回り込んだ。そして右腕でスコーピオンを伸ばし歌川の右脚を切断しようとした。
パァァァァァン!!!
その時だった。突然イーグレットの弾がスコーピオンを伸ばしていた集の右腕に命中し、攻撃を断念して一歩退いて俺のところへもどってきた。
さっきは急所は運良く外したもののまた狙い撃ちされる可能性はある。何かいい策はないか?………
歌川「どうやら命中したみたいだな。」
菊地原「そんなの見たら分かるよ。けど、頭か胸を狙えなかったのは残念だったけどね。」
古寺『2人とも、イチと舞子を分断して欲しい。うまく分断できればこっちの狙撃が容易になる。』
菊地原と歌川「「了解。」」
2人はスコーピオンを手に持ち菊地原は集に近づき歌川は俺に接近してきた。
風間隊の2人と戦ってる間俺と集は内部通信を繋いでさっきの狙撃について情報を受け取ることにした。
集『なんだよ?……さっきは誰が撃ってきたんだ?奈良坂先輩か当真先輩か?』
一条『いいや。奈良坂先輩や当真さんなら頭か胸を確実に狙うはずだ。千尋、さっきの狙撃ポイントを特定してくれ。』
千尋『はい。えっと………およそ150メートル先のビルからです。』
一条『なるほど。思ってたより近いな。』
2人ともスナイパーとの連携を取らないといけないからこの状況でカメレオンは使ってこないはずだ。
俺たちを分断する作戦に出たっていうことはその隙を見てまた狙撃してくるな。ならば、スナイパーが迂闊に狙撃してこないようにしないと……
一条『集、周りの建物に向けてメテオラを放った後に2人にアステロイドを放て。』
集『けど、A級相手じゃ簡単に避けられるぞ。』
一条『構わねぇ。いいから指示に従え。』
集『はいよ。』
メテオラを爆発させた黒煙を煙幕代わりに使えば誤射するリスクも高まるしスナイパーも迂闊に狙撃してこないはず。
スコーピオンの攻撃をかわし、集はメテオラを周りの建物に向けて爆発させ黒煙を上げた。
これならスナイパーも狙いづらくなったはずだ。
その後集はアステロイドを2人の胸部を狙って撃った。
菊地原「そんな弾効かないって。」
2人は余裕そうな顔で集の放ったアステロイドをシールドで防いだ。
その僅かな隙を見た俺は旋空孤月で菊地原の左脚を斬り裂き、集は威力重視に設定したアステロイドを放って歌川の右肩を貫いた。
すると、菊地原はすぐさま体制を立て直しスコーピオンを俺の首めがけて投げつけた。
とっさに気づいた俺は首にシールドを張ってガードしたが、それ同時に再び銃声の音が響き俺の胸部に僅かにかすった。
集が放ったメテオラの煙も少しずつ晴れてきている。恐らくその瞬間を狙ってたんだろう。
集『大丈夫か楽?』
一条『ああ。集、煙が少し晴れてきた。ここは一旦撤退して迅さんのところへ行くぞ。』
集『おいおい、こいつらの相手しなくていいのかよ?』
一条『俺らの目的はこいつらを倒すことじゃない。ここは撤退して後ろの交差点で迅さんと合流するぞ。』
集『オーケー。』
このままこいつらの相手をしていたらスナイパーにまた狙撃される可能性が高い。
集は後ろにある建物に向けてもう一度メテオラを撃ち俺たちは煙の濃い方向へと突っ込んだ。
もちろん、菊地原と歌川は俺らが撤退するのを黙っては見ておらずスコーピオンを構えながら俺たちに迫ってくる。
集「スパイダー!!」
接近してくる2人を少しでも足止めするため集はスパイダーを壁に引っ付けた。
これならカメレオンで奇襲を仕掛けるよりもスコーピオンでスパイダーを切断することを優先するはずだ。
2人がスパイダーを斬っている間俺たちは迅さんと合流でき、暫くしてから風間隊の2人も風間さんや太刀川さんと合流できた。
迅『おっ、来たみたいだな。少年達、ここはひとまず退くぞ。囲まれたら終わりだ。』
一条と集『『はい。』』
迅さんと合流してからも目の前にいる太刀川さんや風間さんに反撃はせずただ後ろに下がっていった。
太刀川さんと風間隊も俺たちの後を逃さず追っかけた。
菊地原「どんどん下がりますね。ブラックトリガーのくせに。」
風間「包囲されないためには当然の行動だろう。突出するなよ。浮いた駒は食われるぞ。」
歌川「でもどうします?このままだと警戒区域外まで行くんじゃ……」
太刀川「いや。それはないな。迅は市民を危険にさらさない。」
しかし、太刀川さんは迅さんがいつもより消極的すぎること、それに風刃を一発も放っていないことにものすごい違和感を感じていた。
集「メテオラ!!」
すると、集は太刀川さん達の上空に射程重視のメテオラを落とし俺たちはさらに後ろへ引き下がった。
風間隊がメテオラをシールドでガードしている間、太刀川さんはグラスホッパーでメテオラを回避して孤月を右手に持ち迅さんに接近した。
迅さんの前に出た俺はレイガストで孤月を防ぎ、若干押され気味になりながらもメイントリガーの孤月で反撃するも簡単に避けられた。
一条「もらった!」
攻撃をかわした太刀川さんはバックステップで下がると俺はハウンドで太刀川さんを牽制した。
迅さんとなかなか戦えない不満を抱いている太刀川さんは苛立ちを見せていた。
太刀川「随分おとなしいな迅。昔の方がまだプレッシャーがあったぞ。」
菊地原「まともに戦う気がないんですよ。この人は単なる時間稼ぎ今頃きっと玉狛の連中が近界民を逃してるんだ。」
風間「いいや。迅は予知を使って守りに徹しながらこちらのトリオンを確実に削っている。こいつの狙いは俺たちをトリオン切れで撤退させることだ。」
迅「……あらら…バレちゃった?」
………その通りだ。迅さんのプランAは本部との全面戦争を避けるため俺たちもあえて守りに徹していた。ここまで着実にトリオンを削って来たがもう少しのところで作戦がバレちまうなんてな……
太刀川「なるほど。悪魔で俺らを帰らせる気か。『撃破』より『撤退』させた方が本部との摩擦が小さくて済む。」
風間「戦闘中に後始末の心配とは大した余裕だな。」
作戦がバレちまった以上、俺たちの逃げる手を封じる可能性が出てくるな。そのとき菊地原は風間さんにこういった。
菊地原「風間さん、やっぱりこの人は無視して玉狛に直行しましょうよ。僕らの目標は玉狛のブラックトリガー。この人を追い回したって時間のムダだ。」
風間「……たしかにこのまま戦っても拉致が明かないな。玉狛に向かおう。」
玉狛に向かおうとする風間さんたちを見て迅さんは軽く溜息をついた。
迅「やれやれ……やっぱこうなるか………」
迅さんは風刃から光の帯を出し、塀の壁を伝って菊地原の首を斬った。
『戦闘体活動限界。ベイルアウト!』
首を斬られた菊地原はベイルアウトして本部に飛んでいった。
それを見た太刀川さんはニヤリと笑った。
太刀川「出たな『風刃』!!」
迅「仕方ない。プランBだな!少年達準備しとけよ。」
迅さんは風刃の光の帯を全開にし太刀川さんに向けた。同時に俺と集も武器を再び強く握りしめプランBの準備に取り掛かることにした。
プランBになった以上さっきまでのようにはいかないがここが踏ん張りどこだな。
続く
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