ワールドトリガー 一条隊隊長のニセコイ事情   作:ガンプラビルダー

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ストーリー作りに難儀して投稿がだいぶ遅れました。


一条 楽⑪ 師匠と弟子

空閑「イチジョー、警戒区域外まで送ってくれてありがとな。」

 

一条「じゃあな空閑。できるだけボーダーに見つからないようにするんだぞ。」

 

空閑「あぁ、そうするよ。」

 

………さてと。空閑と雨取を警戒区域外まで連れてった俺と集は空閑との戦いをデータにまとめるため本部に向かった。

 

すると、本部に向かう途中に千棘と鶫など多数の人が凡矢理公民館から出て来たのを見た。

 

一条「お前らこんなところで何やってたんだ?」

 

千棘「何って今日がボーダーの入隊試験でついさっき入隊手続きがあったのよ。」

 

そういえばこいつボーダー見学の時にボーダー隊員に入隊したいってことを言ってたな。

 

この時期に入隊試験があったっていうことは入隊式は1月の上旬ごろになるな。

 

集「ねぇ、さっき入隊手続きがあったって言ったけどつまり2人とも……」

 

鶫「そうだ。私もお嬢も入隊試験に無事合格した。」

 

集「ウッヒョー!!いいねぇ〜。俺はかわい子ちゃんは大歓迎だよ!!」

 

まぁこいつらはボーダー見学の時を見る限りトリオンは十分あったからな。学力でも運動能力でも問題なさそうだし普通に合格できると思った。

 

一条「それよりもよくお前の親父と銀髪メガネは許してくれたな。」

 

千棘「まぁね。クロードは今アメリカで仕事しているからなんとかパパを説得できたのよ。」

 

鶫「その代わりボスからは私がお嬢の護衛をするように言われた。だから私も今回入隊試験を受けたのだ。」

 

なるほど、護衛はつけるけど本部には隊員とエンジニアしか入れないから鶫を一緒に入隊させたわけか。

 

鶫の戦闘力だったら間違いなく木虎や緑川並みのルーキーになれそうだしかなり期待できそうだ。

 

集「ねぇねぇ、桐崎さんと誠士郎ちゃん以外には誰か試験を受けてた人はいなかった?」

 

千棘「えっと……確か万里花と小咲ちゃんがとるりちゃんも入隊試験を受けてたわよ。」

 

一条「ななな……なにいいいいい!!!!???」

 

俺が声を出して驚いているといつも通り万里花が後ろから俺に抱きついてきた。

 

万里花「楽様ーーーー!!!私、ボーダーの試験に合格しましたわーーー!!!!」

 

一条「ま…万里花!?いきなり抱きついてくるなよ。しかし、珍しいなお前がボーダーに入隊するなんてよ。」

 

万里花「だって……ボーダーに入隊すれば今よりも楽様と一緒に入られるではありませんか。それに……私にはボーダーに入隊してやらなければいけないことがありますので…………」

 

一条「?」

 

俺は最後に万里花が言った言葉が妙に気になったがあまり問い詰める訳にもいかなかったため気にしないことにした。

 

俺たちが話をしていると小野寺も公民館から小野寺も出てきた。それと同時に俺の心拍数は周りに聞こえそうなくらい激しくなった。

 

小野寺「あれ?一条君に舞子君?どうしてここに?」

 

一条「おおお……小野寺!?こここ……ここにいるってことはもしかして本当に………」

 

小野寺「うん。私も入隊試験を受けて無事に合格したよ。」

 

うおおおおおおお!!!!!ついに小野寺もボーダーに入ってくるなんて!!!こんなに嬉しいことは滅多いないぞ!!

 

俺が嬉しそうにしている様子を見て集はニヤついていた。

 

集「よかったな楽。ねぇ、外で話し続けてたら寒くなってきたしここにいるメンバーで飯食いに行かない?」

 

千棘「いいよ!いいよ!私もちょうどお腹減ってるし。」

 

集の提案で俺たちは近くにあった回転寿司に寄った。

 

ホントは本部によるつもりだったけど今日は疲れたし戦闘データをまとめるのはまた明日にするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千棘「ねぇねぇ、小咲ちゃん!凄いよお寿司が回ってるよ!!」

 

千棘はまるで子供のような眼差しで寿司を見つめていた。

 

アメリカだと回転寿司どころか寿司そのものも珍しくからこんな反応をするのもおかしくない。

 

………にしても笑顔を浮かべる千棘ってあんまりないよな……

 

集「そういえばるりちゃんも試験を受けたって聞いたけど彼女はどうしたの?」

 

小野寺「残念だけど、るりちゃんは試験に落ちちゃったみたい………だから私たちよりも先に帰っちゃったの。」

 

………そうなのか……小野寺が受かったのは嬉しいけど、宮本が落ちたとなると残念だったな………集も少し残念そうな表情をしていた。

 

俺達の周りしんみりとした空気に包まれた為俺は話の内容を変えた。

 

一条「そういえばお前らのトリガーとポジションは何って書いてあった?」

 

千棘「私は孤月で攻撃手って書いてあったわ。」

 

小野寺「私はアステロイドで射手。」

 

鶫「私は拳銃で銃手だった。」

 

万里花「私はスコーピオンで桐崎さんと同じく攻撃手でしたわ。」

 

みんな使用トリガーはバラバラだな……それに小野寺が射手だとは………けど、彼女に攻撃手は似合わねえよな………

 

万里花が攻撃手なのは意外だけど、他の3人のポジションは妥当なところだな。

 

集「じゃあ、みんなは仮入隊を受けるつもり?」

 

千棘「仮入隊したら確か入隊式の時まで訓練を受けれるんだったよね?もちろん私は参加するわよ。」

 

鶫「私もお嬢と一緒に参加するつもりだ。」

 

正直千棘と鶫は仮入隊を受けなくてもB級中位以上の戦闘力は持ってると思うけどな。

 

万里花「私は楽様がご指導してくれるのであれば仮入隊に参加するつもりです。」

 

一条「えっ!?」

 

おいおいちょっと待ってくれよ。俺人に教える自信なんてねぇのに………

 

小野寺「も…もし、一条君が基本的なことを教えてくれるなら……わ…私も仮入隊に参加してみようかな。」

 

前言撤回だ!!ここで小野寺にうまく教えることができればいいアピールになる。こりゃ自信ないなんて言ってられないぜ!!」

 

一条「わかった。2人のポジションは別だが基本的動作だったら俺が教えてやる!」

 

小野寺「本当に!?よ…よろしくね一条君。」

 

万里花「ありがとうございます楽様!!大好きですわ!!」

 

こうなった以上小野寺と万里花も俺が鍛え千棘と鶫に2人強さを見て驚かせてやる!!

 

そして木虎や緑川を超える期待のルーキーに育ててみせるぞ!!

 

鶫「ところでこの寿司の代金は誰が払うのだ?」

 

集「大丈夫。折角誘ったっていうのにに割り勘するなんて野暮なことはしない。楽、どちらが全額支払うか決める男気じゃんけんだ!!」

 

一条「望むところだ!!じゃあ行くぞ!!」

 

一条と集「「男気じゃんけん、じゃんけんぽん!!!」」

 

俺がグー、集がチョキで集が代金を払うことになった。

 

集「あ…ああ。そうみたいだな。けど男に二言はないっていうし俺が全額払ってやる。」

(トホホ……これじゃあ今月も金欠になりそうだな………)

 

千棘はかなりの量の寿司を食べたせいで集のお財布の中身はすっからかんになってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、俺は作戦室で空閑の戦闘データをまとめていた後小野寺と万里花の為訓練の研究をしていた。

 

基本的な回避運動と剣の構え方や振り方ならとりあえず教えることはできるが攻撃手の俺が射手希望している小野寺相手にどう教えるか悩んでいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とは言え小野寺が出水さんほどの射手になるのは難しいと思うが最終的には那須さん並の射手にはなってもらいたいところ。

 

もしそうなれば今よりも可愛い小野寺になれるのかな………」

 

 

 

集「どうしたんだ?変な顔しながらブツブツ言ってさ?」

 

一条「し……集!?い……いつの間に来たんだよ?」

 

集「お前が1人でブツブツ独り言を言っていた時からだ。」

 

うわーーー!!恥ずかしい!!!!まさか無意識に口に出していたなんて……

 

いくら相手が集だと言ってもさっきの言葉を聞いて絶対俺のことを痛い目で見ただろうな………

 

集「どうしたんだ?小野寺が弟子入りしてきたことがそんなに嬉しいのか?」

 

一条「………………………」

 

俺は何も言葉出さずポーカーフェイスを意識して集に悟られないようにした。

 

しかし、そんな浅はかな意識では集をごまかすことはできなかった。

 

集「隠そうとしたって無駄だぞ。長年付き合ってるんだから俺のことはごまかせないぞ。ところでさ、『入隊を希望したのは小野寺だけでよかった』とか思ってる?」

 

一条「………何だよ突然?………別に…」

 

集「ふーん……そっか。でもニセモノの恋人を演じることはめんどくさいとは思ってるのも事実だろ?」

 

一条「そうだな。けど、そんなの今に始まったことじゃねぇし最近は恋人を演じるのもそんなに悪くないと思ってるから別にいいんだがな………」

 

少し恥ずかしくなりながらも正直な気持ちを話す俺。集は今までの俺の言葉からとんでもないことを聞いてきた。

 

集「なぁ楽、もしかして桐崎さんのこと好きになっちゃった?昨日も彼女のことじっと見つめていたしよ。」

 

あまりにとんでもない発言であった為俺は一瞬フリーズしてしまった。そして俺の顔はなぜか真っ赤になっていた。

 

一条「…………………バババババ…………バカ言え!!!誰があんなゴリラと!!俺が好きなのは小野寺だって夏休みにも言ったろ!!」

 

集「そうか?お前のさっきの発言だとそう聞こえたんだがな……それにお前顔真っ赤にしてるぞ。」

 

…………返す言葉もない………本当に俺は千棘が好きになってしまったのか?

 

イヤイヤイヤ!!マジでありえない!!………けど心の中では何か引っかかるものがあり完全に否定することはなかった。

 

一条「………正直よくわからねえ。確かに最近は小野寺よりも千棘と一緒にいることの方が多いけど、あいつのことをどう思ってるのか自分でもよくわかんねぇんだ。不思議だよな………」

 

俺は自分に言い聞かせるようにそう呟いた。集はそんな俺の肩をポンと叩いた。

 

集「まぁすぐに答えを出さなくてもいいんじゃねぇ?でも、楽が後悔しないような恋をしろよ。俺もお前の恋の行方が楽しみだからさ。」

 

一条「………ったくお前は………」

 

 

 

千尋「迅さん、隊長達を見つけました。」

 

恋愛事情について話をしていると迅さんと千尋が作戦室にやってきた。

 

迅「サンキュー千尋ちゃん。少年たち、話がある。いいかな?」

 

 

一条「どうしたんですか迅さん?わざわざこんなところまで来て。」

 

すると迅さんは俺たちに向けて頭を深く下げた。迅さんが俺たちに頭を下げたのは初めてだ。

 

迅「少年達、いや一条隊の三人にお願いがある。」

 

千尋「お願い?何ですか?」

 

迅「2日後の夜、A級選抜部隊と三輪隊が玉狛にいる遊真のブラックトリガーを狙いにやってくる。俺は何としてもあいつらにブラックトリガーを渡すわけにはいかないと思ってる。だからお前達一条隊の手が必要なんだ。」

 

空閑のやつ最近見ないなと思ったら今は玉狛にいるのか。

 

まぁ、あそこなら近界民の技術者もいるし他の近界民に対しても温厚な態度で振舞ってくれるだろうから妥当なところだな。

 

集「あの、どうして俺たちに頼むんですか?とりまる達に頼んだ方がいいと思うんですけど。」

 

迅「確かに京介達に頼めばA級隊員なんて余裕で倒せるはずだ。けど、そうなれば本部と玉狛の全面戦争になりうる。俺はできるだけ本部との衝突を避けたいんだ。」

 

なるほど、迅さんは城戸司令達と対立するわけじゃなく悪魔で抵抗するわけか。

 

ここで城戸司令達と全面戦争になったら三門市の防衛だの言ってられなくなるからな。

 

迅「頼む。こんな勝手なお願いではあるが俺の力になってほしい。俺にはお前達が必要なんだ。」

 

もう一度深く頭を下げ俺たちに依頼する迅さん。けれど、俺たちの答えは既に決まっていた。

 

集「………ここまでして頼まれたら断れねえよな楽。」

 

一条「ああ。迅さん、俺たちができることならなんでもしますよ。」

 

千尋「困った時はお互いさまですからね。」

 

空閑は近界民で一体何を考えているかまだわからない奴だが、あいつには千尋と多数の三門市民を救ってくれた恩がある。

 

俺の力じゃ大した恩返しはできないがあいつの命だけはせめて守ってやりたいと思っていた。

 

迅「ありがとう。本当に助かる。」

 

集「けど、一体何をすればいいんですか?さすがにA級相手に戦っても俺たちじゃ相手になりませんよ。」

 

迅「なぁに。無理に戦う必要はない。一条少年か舞子少年のどちらかが俺にぶった斬られれば済む。」

 

一条と集と千尋「「「えっ!?」」」

 

あまりに予想外の指示にビックリした俺たちだったがその後迅さんから作戦の全貌を明らかにされた。

 

そして2日後の真夜中、A級選抜部隊の太刀川隊と冬島隊と風間隊それと三輪隊の4部隊は空閑がいる玉狛支部に向かって走り出したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『目標地点まで残り1000』

 

4部隊の隊員は玉狛支部と本部のパワーバランスが崩れるのを回避する為城戸司令から命令を受けたそうだ。

 

俺たちと同様ブラックトリガー装備の空閑相手に負けた三輪さんは彼に対し激しい憎しみを抱きながら玉狛支部へ向かった。

 

太刀川「おいおい三輪、もっとゆっくり走ってくれよ疲れちゃうぜ……」

 

軽くため息をついてダルそうに見せる太刀川さんだったが心の中では早く戦いたくてウズウズしていた。

 

先頭に立って走っている三輪さんは太刀川さんの顔をチラッと見て険しい表情を浮かべた。

 

『目標地点まで500』

 

目的地の玉狛支部まであと少しのところで太刀川さんは道路の真ん中に人影が立っているのを確認した。

 

太刀川「止まれ!!!」

 

太刀川さんの一言で三輪さんと後に続いていた隊員は全員足を止めた。彼らの目の前に現れたのは迅さんだった。

 

 

三輪「迅…………」

 

太刀川「なるほど、そう来るか。」

 

迅「太刀川さんお久しぶり。みんなお揃いでどちらまで?」

 

迅さんは左手で風刃に軽く触れいつでも攻撃できる状態にした。

 

ブラックトリガーを巡る激しい戦いが今始まろうとしていた。

 

次章に続く

 

 

 

 

 

 




質問コーナー

Q るりちゃんは入隊試験に落ちたらしいですが彼女のトリオンはどのくらいですか?

A 彼女のトリオン量はパラメーター化すると1です。さすがにボーダー隊員としては厳しいです。

Q クロードはボーダーから仕事を受けた場合は本部に行くことはあるのですか?

A 一応ボーダーから仕事が依頼された場合は本部に行くことはありますが千棘を護衛するのは無理だと思います。

感想アンケート、お気に入り登録を募集しています。次回もトリガーオン!!!


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