ワールドトリガー 一条隊隊長のニセコイ事情 作:ガンプラビルダー
一難去ってまた一難とはこのことだと心の中で思う今日この頃。
イレギュラー門を作っている小型トリオン兵を全部駆除した直後、城戸司令から三輪隊と協力して人型近界民を排除しろと命令が来ていた。
三門市に現れた人型近界民は第三中学校でモールモッドを倒した修と接触しているとのことだ。
人型近界民を駆除する当日、俺と集は凡矢理公園で三輪さんと米屋さんと待ち合わせをしていた。
集「まさか人型近界民が三門市に現れたなんてな……こりゃあ厄介なことになったな……」
一条「そうだな。」
人型近界民なんて出会うこと自体初めてだし況してや戦うなんてもってのほかだ。俺は不安で仕方がない。
集「『人型近界民相手に勝てるかどうか不安だ』とか思ってる?」
一条「何だよ?………別に。」
図星だ。こいつは俺の心の声を完全に読めている。しかし、俺は隊長であるためそんな弱音を口には出せずにいた。
集「無理すんなよ。困った時は俺も一緒についているからな。」
笑い口調で慰めてくれる集の言葉は今の俺の一つの支えになってくれた。
俺たちが三輪さん達と待っていると迅さんがぼんち揚を食べながら公園にやって来た。
迅「よう!お前ら、2人揃ってどこ行くんだ?」
集「迅さん?どうしてここに?」
迅「お前らがメガネくんの後を追うのがサイドエフェクトで見えたからな。そうだろ?」
一条「…………!?」
やっぱり未来が見えるサイドエフェクトの前じゃ俺たちの行動はお見通しというわけか。
この様子だと結構前から人型近界民が現れる未来が見えてたんだろうな。
迅「やめとけ。メガネくんを追っかけてもつまんないことになるぞ。」
一条「すみません。この任務は城戸司令からの命令です。それにいつ人を襲うのかわからない近界民を野放しにするわけにはいきません。」
迅「ふーん……そう。まぁ頑張ってくれよ。ただ、お前達が戦おうとしている近界民は尋常じゃないから気をつけるんだぞ。」
その一言をを残し迅さんは手を振って公園から去っていった。
初めて迅さんの言葉に反した行動を行なった俺たちだったが彼は特に変わった様子はなかった。
迅さんが去った直後、三輪隊の三輪さんと米屋さんが俺たちに姿を見せた。
米屋「待たせたなお前ら!」
集「いえいえ。俺は別に構いませんよ〜。それより奈良坂先輩と古寺はどうしたんですか?」
米屋「あいつらなら警戒区域で狙撃のスタンバイしているから俺たちとは別行動だ。」
三輪「なあ、さっきお前らのところに迅が来なかったか?」
一条「はい。ですが、近界民を倒すのはやめておけとだけ残してすぐいなくなってしまいました。」
三輪「ちっ………やはり奴も三雲と共犯者だったか……裏切りものの玉狛め……」
玉狛を毛嫌いして軽く舌打ちをする三輪さん。彼の表情には明らかに苛立ちが見えていた。
三輪「迅に先を越されるわけにはいかない。行くぞ!」
三輪さんは駆け足で修の家へと向かったが俺の生身の体力だとみんなの足にはついて行けず遅れを取ってしまった。
3キロほど走ったら修の家に辿り着きインターホンを押してみたが修が出てくる気配はなかった。となれば家の中にはいない可能性が高いな。
米屋「どうするよ秀次?このままメガネボーイが帰ってくるのを待っているのか?
三輪「いいや。その必要はない。たった今スナイパーの2人から三雲がバンダーと交戦していると連絡が来た。今からそっちへ向かうぞ!」
米屋「へいへい。」
え〜………また走るのかよ……しかも修の家から警戒区域までは10キロも先にあるからかなりしんどい……
それにしても修のやつまた無断でトリガーを使ったのか?一体どんだけ規律違反を犯せば気がすむんだ。
俺たちはようやく修がバンダーを撃退した場所にやって来たがまたも修の姿は見えなかった。
一条「ぜぇ……はぁ……ぜぇ……はぁ……」
米屋「なんだ?もうバテたのかイチ?まだまだ甘いな〜。」
トリオン体で10キロならばどうってことないがやっぱり生身だとキツイ……クッソ〜……こんな時のために身体はちゃんと鍛えておくべきだな……
集「さて、警戒区域に着いたはいいけど修はどこにいるんでしょうね?」
三輪「スナイパー組からの情報だと三雲は今旧弓手町駅で白髪の少年と黒髪の少女と一緒にいるそうだ。」
一条「白髪の少年?」
それって修の隣にいた空閑って言う奴のことか?そいつも近界民について何か知っているのかもしれない。
集「とにかく行ってみようぜ?ここからならすぐ近くなはずだ。」
徒歩三分ほどした先に旧弓手町駅はあり俺たちは辺りを見回して修達を探した。
米屋「おっ、あれがそうじゃないのか?」
米屋さんが指差した先をポケットに入れておいた双眼鏡で覗いてみると修に加え空閑と三輪さんが言っていた黒髪の少女がいた。
そして三人の隣には黒い炊飯器らしきものが空を浮遊していた。
一条「なんだあれは!?」
その物体を見た俺は思わず声を出して驚いた。
三輪「どうした一条?何か見えるのか?」
一条「三輪さん、これを見てください。」
俺はポケットに入れておいたもう一つの双眼鏡を三輪さんに渡した。
三輪「あれは……トリオン兵か?にしては見た目が異なっているな。」
一条「あっ、見てください。あいつトリオンキューブを出しました。」
黒い物体が出したトリオンキューブは二宮さんや出水さんのものよりもはるかに大きいものだった。
三輪「間違いない。あれは近界民のトリガー。となればどちらか2人が人型近界民だ。よし、行くぞ!」
俺たちは人型近界民と接触していることを確認しゆっくりと近づいた。
三輪「動くな。ボーダーだ。」
修達に近づいてくのと三輪さんは遠くでスタンバイしている奈良坂先輩と古寺に電話で連絡した。
三輪「間違いない現場を押さえた。ボーダーの管理下にないトリガーだ。近界民との接触を確認。これより処理を開始する!!」
4人「「「「トリガーオン!!!!」」」」
俺たちがトリオン体に換装すると、修と隣にいる少女は怯んだ様子であった。
修「一条先輩!?どうしてあなたがここに!?」
一条「それはこっちのセリフだ。まさかテメェが近界民と接触していたなんてな………それで人型近界民って言うのは誰なんだ?」
三輪「今トリガーを使っていたのはそこの女だ。こいつが人類を脅かす近界民に違いない。」
集「マジすか!?あ〜あ……まさか人型近界民が女の子なんてな………殺る気失せるな………」
米屋「ホントにな〜……どうせならそんな可愛い女の子じゃなくてもっと強そうな見た目にしてくれればよかったのによ………」
三輪「お前ら忘れたのか?どんな姿であろうと近界民であるのであれば人類の敵だ。」
修「待ってください!こいつは………」
空閑「違う違う。俺だよ近界民は。」
修が俺たちを説得させようとすると空閑は自分が近界民であると断言した。
すると、さっきまで女の子に向けていた鋭い眼差しを彼に向けた。
三輪「貴様が近界民だと?」
空閑「うん。そう。」
三輪「………間違いないだろうな?……」
空閑「うん。」
その直後、三輪さんは拳銃を取り出し瞬時に空閑の顔面に向けて弾丸を放った。
空閑が撃たれる様子を近くで見ていた修は荒げた声をだした。
修「何しているんですか!?」
三輪「近界民と名乗った以上見逃すわけにはいかない。近界民はすべて殺すそれが俺たちボーダーの任務だ。」
一条「三輪さん、ちょっと待ってください!!」
三輪「……………!?……」
俺は三輪さんが拳銃を取り出したのと同時に空閑の目の前にシールドを張っておいた。
お陰であいつの身体には傷一つ付いていないはずだ。
しかし、俺が近界民を護ったと思った三輪さんは激昂した。
三輪「………一条、なぜ俺の邪魔をした!?まさか、貴様も近界民を匿うつもりか!!??」
一条「落ち着いてください。この少年が近界民だとまだ断定できていません。もしこいつが一般市民だったらどうするんですか!?」
空閑「全く……イチジョーの言う通りだ。俺がもし一般市民だったらどうする気だ?」
一条「おい……まさかお前!?………」
空閑の右手には『盾』と書かれた未確認のトリガーがあった。俺と集は空閑が近界民とわかり更に警戒心を強めた。
集「おい楽、どうやらこいつホントに近界民らしいぞ。」
一条「ちっ………どうやらそのようだな。」
空閑「あのさ、ボーダーに迅さんって人いるだろ?俺のこと訊いてみてくれない?一応知り合いなんだけどさ。」
修「そ……そうです。迅さんに訊いてもらえばわかるはずです。こいつが他の近界民とは違うって………」
空閑と修は話し合いで俺たちを説得させようと試みたものの三輪さんには2人の言葉は通らなかった。
三輪「迅だと?…………やはり迅と一枚噛んでいたか……裏切り者が………」
修「裏切り者?」
一条「修、俺たちは城戸司令から危険な近界民を始末しろと命令が出ている。わかったらそこをどけ!」
修「いえ……僕は退きません。」
俺が警告しても修は全く動こうとする気配はなかった。すると空閑も警戒している俺たちの近くへやって来た。
空閑「下がってろオサム。こいつらが用があるのは俺だ。こいつらとは俺1人で相手になる。オサムはチカについてやれ。」
修「わかった。けど、無理はするなよ。」
空閑「………トリガーオン!!!」
黒いトリオンに包まれた空閑の身体。恐らくこれが近界民の戦闘服なのだろう……
米屋さんは興奮した様子で空閑のことをまじまじと見つめた。
米屋「ウッヒョー!!こいつ強そうじゃん!!なぁ俺1人で殺っちまっていいか!?」
三輪「バカなこと言うな。これはランク戦じゃないんだぞ。こいつは俺たち4人掛かり確実に仕留める。」
空閑「『4人掛かり?』お前、面白いウソつくね。」
空閑は三輪さんの言葉に疑いをかけた口調でそう返した。
こいつまさか奈良坂先輩と古寺が狙っていることに気づいているのか!?
いや……もしかしたらハッタリをかけているだけかもしれない……何せこの距離だと2人のことは見えないはずだからな。
何をしてくるかわからないと思い俺と集は最初の攻撃に備えるため空閑から一歩退いた。
一条「やっぱりこいつただもんじゃありませんね。ここは全員で取り掛かりましょう。」
三門市の存亡をかけた人型近界民との交戦がいよいよ始まったのだ。
続く
質問コーナー
Q 千尋ちゃんと修は同じ中学校でしたが、2人はどのような関係ですか?
A 特別な関係ではなくただのクラスメイトです。
Q 「舞子 集②害虫駆除」で舞子はラーメン缶を買っていましたが、その自販機にはどんなものが置いてたのですか?
A 他にも色々珍しいものが置いてありおでん缶やカレー缶やおしるこなどありました。
ちなみに彼はカレー缶とラーメン缶で買うのを迷ったようです。
感想、アンケート、お気に入り登録を募集しています。次回もトリガーオン!!