ワールドトリガー 一条隊隊長のニセコイ事情 作:ガンプラビルダー
小野寺side
小野寺「はぁ………」
深くため息をついてしまう私。
個人ランク戦でここまで7人の相手と戦っているけれどここまで一度も勝ち星がなく私はかなり落ち込んでいるのだ。
元々人との勝負とか苦手な私だがここまで負けが続いてしまうと流石に凹んじゃう。
るり「小咲、どのくらい勝ち星ゲットできた?」
そんな中、るりちゃんが私のうしろから声をかけてきた。
小野寺「うん…それが……全然勝てなくて……るりちゃんはどうなの?」
るり「そうね。私は今5人の人から勝ち星を取ってるわね。」
うう……もうそんなに勝ちを取っているのか……
順調に勝っているるりちゃんに比べて全然勝てない私がなんだか恥ずかしくなってきた。
小野寺「ねぇるりちゃん私、一体どうやったら勝てるのかな?……」
るり「うーん詳しいことは分からないけど……あんたが使ってるトリガーは何?」
小野寺「アステロイドだけど。」
るり「なら私と同じね。さっき烏丸君が言ってたんだけど、キューブ状の弾丸だったら射程とか弾速とか弾数を変えれるみたいだよ。」
小野寺「ヘェ〜……でもなんか難しそうだね……私にはとてもじゃないけど使いこなせないよ……」
一条君や烏丸君達はやっぱりトリガーを上手く使いこなせてるのかな?……いや、少なくとも私よりは使いこなせてるはずだ。
するとるりちゃんは話の話題を変え、私にこんなことを聞いてきた。
るり「ねぇ、一条君に小咲が戦っているところを見せたいと思わない?」
小野寺「まぁ……戦っているところは見せたいけど私全然強くないから一条君に笑われちゃうよ……」
るり「一条君はそんなことじゃ小咲のことを笑わないよ。それにあんたが戦っているところを見れたら一条君も嬉しいよきっと。」
小野寺「うん……でも………」
それでも不安な私は未だ納得できずにいた。そんな私をじれったいと思ったるりちゃんはついに強行手段を使うことを決めた。
るり「もう!じれったいわね。それなら一条君に笑われるかどうかはっきりさせましょう!」
小野寺「えっ?ちょっと待って!!」
るりちゃんは私の手を引っ張って一条君達がいるところへ連れて行ったのだ。
一条君に恥ずかしいところを見られたくないと思いつつもるりちゃんにはその想いが届くことはなかった。
一条side
千棘が女子生徒達とランク戦に行った後、俺は集と奥寺と小荒井からランク戦をやらないかと誘われた。
ここまで集、奥寺の順番でランク戦の三本勝負をやっていき現在は小荒井と行なっている。
小荒井「そいや!!!」
小荒井の振り下ろす孤月をレイガストを使ってガードする俺。
小荒井の戦い方は千棘と似たように積極的に攻撃を仕掛けるのが、小荒井の場合孤月を使い慣れていることもあってさっきのあいつに比べ隙を突いて首かトリオン供給器官を破壊するのが難しい。
そのうえ俺が孤月を振り下ろしても小荒井はすばしっこいからかわされてしまう。
小荒井「へへっ!イチの攻撃パターンはさっきのランク戦である程度わかってるんだよ!!」
小荒井は俺に向けて自慢気な口調でそう言った。
少し腹が立ってきた俺は一歩退いて旋空孤月で小荒井に向けて攻撃をするも、かわされてしまった。
小荒井「このくらいの距離なら簡単に避けれる!!」
旋空孤月を余裕で避ける小荒井だったが、こいつは俺の作戦にまんまとかかったのだ。
俺はサイドエフェクトで加速させた脚とグラスホッパーを使って小荒井が避けた方向へ猛スピードで接近した。
俺は小荒井がシールドでガードされる前に孤月であいつの首を正確に突き刺した。
首を貫かれた小荒井はトリオンが一気に露出して戦いを続けるのが不可能となった。
「戦闘体活動限界。ベイルアウト!」
これで小荒井との3本勝負も終わった。集相手には2本黒星を取られてしまったが他の奴からは三本勝負して全勝している。
次は集相手にも全勝できるようにするのが課題だな。
小荒井「クソーー!!負けた!」
奥寺「イチ、お前また強くなったんじゃないのか?」
一条「そうか?集相手には二敗してんだぞ。」
集「なぁ楽、もう一度俺と勝負だ!!」
一条「おう!今度こそお前に全勝してやるからな!!」
俺と集がランク戦ブースに入ろうとしたその時、宮本と小野寺がやってきた。
るり「ねぇちょっといいかな?」
集「あれ?どうしたのるりちゃん?」
るり「実はね、小咲が一条君にランク戦を見て欲しいって言ってるんだけどいいかな?」
小荒井「おっ!小野寺ちゃんが試合見せてくれるの?」
小野寺のランク戦と聞いた小荒井はワクワクした表情を浮かべていた。そう言う俺も心の中でかなり期待していた。
こうなってしまった以上、「やっぱり無理です。」なんて言える状況ではない。
小野寺はあえなく俺の前でランク戦をすることになってしまった。
小野寺「い……一条君、ちゃんと見ていてね。」
一条「お…おう。頑張れよ。」
いや〜……ついに小野寺が戦っているところが見れるのか……物凄く楽しみだ。
集「楽、顔がにやけてるぞ〜。小野寺のランク戦を直で見れてそんなに嬉しいのか?」
一条「はぁ!?ま…まぁ嬉しいことは嬉しいけど変なことは期待してねぇよ!」
るり(小咲、一条君にアピールする絶好のチャンスを作ってあげたわ。後のことはもうできないからしっかり生かしなさいよ。)
小野寺はランク戦ブースの中へと入っていき申し込みが来ている番号にログインしてランク戦が始まった。
「個人ランク戦、一本勝負開始!!」
小野寺の対戦相手はレイガストを装備しているメガネを掛けた少年だった。
学校ではあんなやつ見たことがないから恐らくボーダーにいる訓練生なのだろう。
参ったな……訓練生が相手だと小野寺がランク戦で勝つのは容易じゃないぞ。頑張れ!!
小野寺「アステロイド!!」
まず先行を仕掛けた小野寺はメガネが接近する前にアステロイドで左腕に当てた。
相手がアタッカーであるためメガネに接近されるとシューターの小野寺にとって不利な状況になってしまう。
次の攻撃でなんとか勝負を決めたいところだ。
小野寺は再びアステロイドを発射するもメガネは辛うじて弾丸をかわしアタッカーの距離にまで迫られてしまった。
「うおおおおおお!!!!!」
メガネは小野寺に近づいてレイガストを重たそうに振り下ろした。
さっきの攻撃はかなり深かったけれどその割に与えられたダメージは少なかった。
小野寺「ここは一か八かだけど!!」
小野寺は宮本が言ってたようにキューブ状の弾丸を細かく分割してさっきよりも弾数を増やした。
数を増やした分弾丸の威力は減るものの弾速や連射速度はさっきよりも上がっているはずだ。
だが、小野寺は弾数を増やすことを意識しすぎていたせいでメガネに隙を与えてしまい右腕を切断されてしまった。
小野寺(落ち着いて……落ち着いて……この一撃で決めるんだ!!)
意を決した小野寺は細かく分割させたアステロイドを少しずつメガネにぶつけていった。
メガネのトリオン体は徐々にダメージが蓄積していき、遂にトリオン供給器官を破壊した。
「戦闘体活動限界。ベイルアウト!!」
トリガーを使うのなんて今日が初めてにもかかわらず小野寺は訓練生から勝利を獲得できた。
小荒井「小野寺ちゃん、マジですげぇ!!次は俺と勝負しようぜ!!」
奥寺「登、彼女はまだ初心者なんだから無理言っちゃダメだろ?」
小野寺が勝てるとは思ってなかった俺たちは彼女のランク戦を絶賛した。
すると、宮本は俺に向けてとんでもない爆弾発言をしてきた。
るり「ねぇ一条君、小咲のために今度はあんたのランク戦を見せてよ。」
何だって!?
一条「ああ……俺は別に構わねえぞ。それに集にリベンジしないといけねぇしな。」
集「言っとくけど、俺は小野寺ちゃんが近くにいるからってお前に勝たせたりはしないからな!」
一条「そんなもんわかってる。さぁ始めるぞ!!」
そんな話をしながら俺たちはお互いログインボタンを押して仮装フィールドへと転送された。
「市街地A、個人ランク戦、一本勝負開始!!」
ランク戦が開始すると集はバッグワームを身にまといレーダーから反応を消した。
集のことだから何をしてくるか分からねえからできるだけ早く見つけて勝負にケリをつけたい。
辺りを見回しながら走っていると足元に何かが引っかかって転んでしまった。
俺が引っかかったものは集がセットしたと思われるスパイダーだ。
さっきのランク戦でもこいつは似たような手を使って俺から勝ちを獲得したのだ。
集はニヤリと笑いながらバッグワームを解除した後スコーピオンを俺に向けて振り下ろした。
あいつの奇襲にいち早く気づいた俺はすぐに起き上がってスコーピオンを避け右手に握っていた孤月で集の右肩を斬り落とした。
集「ちっ……さっきの攻撃は効くと思ったのにな………けど、そう簡単には勝たせないぞ!!」
集はメテオラを発射して俺の動きを封じ走って逃げて行った。
俺も走って集を追っかけようとしたが、あいつが走って行った方向にスパイダーがいくつも張ってはるのを確認した。
一条「集のヤツ……厄介な手を使いやがって……」
仕方なく俺はグラスホッパーを使って上空から追っかけて旋空孤月でぶった斬ることにするか。
しかし、集は俺が上空から攻撃してくると予想していたのであった。
集「喰らえ!!!」
集は俺に目掛けて高出力のアステロイドを発射した。
俺は何とかアステロイドを避けれたものの後ろからバイパーが迫ってきた。
反応に遅れてしまった俺は幸い首と胸部はシールドでガードできたが左腕に命中してしまいバランスを崩した。
そして俺が地面に落下してくる直前に集はスコーピオンを伸ばして右脚も切断された。
集はトドメを刺す為スコーピオンを構えたまま前方から近づいてきた。
参ったな……上空に行ったらまた集の的にされるだろうし、後ろ側へ逃げようにもスパイダーを張っているせいで逃げようにも逃げれねえ……
いや待てよ。もしかしたらスパイダーを使えば逆転できるかもしれない。
まず俺は集に向けてハウンドを発射するも集にはあっさりと避けられた。
流石にこいつと長いことランク戦をしてるだけあって
だがさっきのハウンドは命中させるためではなく集を移動させる為のものだ!
一条「グラスホッパー!!」
俺は集が弾丸を右方向へ避けたのと同時にグラスホッパーを置いてスパイダーがセットしてある方向れ飛ばした。
一条「これで終わりだ!」
見事にスパイダーの糸に引っかかった集に向けて俺は旋空孤月であいつの上半身をぶった斬った。
「戦闘体活動限界。ベイルアウト!!」
これで今日の対戦成績は2勝2敗。最初は苦戦したがこの試合である程度倒し方のコツは掴めたな。
小野寺は宮本達の隣で真剣そうな表情で俺のランク戦を観てくれていた。
るり「あんた、随分集中して観ていたわね。」
小野寺「だって……大好きな一条君が戦ってたんだよ……あんなにカッコよく戦ってたんだよ…………」
小野寺は顔を真っ赤にしながら小さな声で宮本に呟いた。次の瞬間、宮本は小野寺にとんでもないことを言ってきた。
るり「小咲、それならあんたもボーダーに入隊してみれば?そうすれば今よりもボーダー隊員の一条君の見れるんだよ?」
小野寺「えっ?……ええええええええ!!!???」
あまりの発言に小野寺は驚きを隠せずにはいられなかった。
小野寺「無理だよ!だって私運動神経良くないし、トリガーだって上手く使えなかったし、それに……それに…………」
パニックになっている小野寺に対し宮本はデコピンをして彼女を落ち着かせた。
るり「落ち着きなさいよ。………小咲がボーダーに入りたいかどうかは知らないけど、さっきのランク戦を観てた限りだと余計な心配することないわよ。それに私が言うのもなんだけど、好きな人がいるのなら少しくらい積極的になってもいいんじゃない?」
小野寺「……それはそうだけど……私一人でボーダーに入隊するのはやっぱり不安だよ……」
るり「……仕方ないわね。なら私も入隊する。それならあんたの不安もなくなるでしょ?」
小野寺「うん……ボーダー隊員か……もし私も入隊できても近界民からみんなを守ることができるのかな?……もし私が入隊したら一条君と一緒に………」
小野寺は自分がボーダー隊員になったことを想像して色々な妄想を浮かべていたのだ。
ランク戦が終わって喉が渇いた俺はランク戦室にある自販機でコーヒーを買いに行こうとすると偶々小野寺と会った。
小野寺「お疲れ様。はい、これ飲んで。」
一条「サンキューな。」
小野寺はそう言って俺にペットボトルに入ったお茶を俺に渡した。
正直ランク戦や防衛任務の後はお茶よりもコーヒーを飲む方が好きなんだが小野寺がくれたのであれば素直に嬉しい。
俺たちは近くのベンチで座ってゆっくりすることにした。
一条「いや〜まさか小野寺が訓練生から勝ち星をゲットできたなんてな……正直驚いたぜ。」
小野寺「私はそんな凄くないよ……私なんかより一条君の方がよっぽど凄かったじゃない。」
一条「いやいや。俺も最初は苦戦してたし小野寺も自分なんかなんて言うんじゃねえよ。」
小野寺「そ…そうだね……ありがとね。」
二人話している中小野寺はさっき宮本から言われたことを俺に告げようとした。
小野寺「あのね一条君、実はるりちゃんの提案で私……その……」
するとその時、嵐山さんの放送が聞こえてきた。
嵐山「そろそろランク戦の終了の時間だ!凡矢理高校の生徒は俺がいるところへ集合だ!!」
一条「げっ……もう集合の時間かよ?じゃあ行こうぜ小野寺。あんまり遅くなると先生達に怒られちまう。」
小野寺「うん。」
集合がかけられたことによって結局、小野寺はボーダー入隊のことを俺に話すことができなかった。
彼女がボーダー入隊を志望していることに俺が気づくのはかなり後の話となるのであった。
続く
舞子のトリガーセット
メイントリガー
スコーピオン、スパイダー、バイパー、シールド
サブトリガー
アステロイド、メテオラ、シールド、バッグワーム
質問コーナー
Q 舞子はどうして自分のトリガーの中身を大幅に変えたのですか?
A この間のB級ランク戦で二宮隊と東隊に敗れたことで中距離戦のみならず近接戦でもうまく対応できるようにと考えたからです。
Q この作品を書いていて難しいと思うことはなんですか?
A やはりオリジナルストーリーを考えることです。試行錯誤を繰り返して自分の納得いくようなストーリーを作るのでかなり苦労します。
感想、アンケート、お気に入り登録を募集しています。次回もトリガーオン!!