ワールドトリガー 一条隊隊長のニセコイ事情   作:ガンプラビルダー

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万里花のトリオン量を2から4へ変更いたしました。以前書いたものも変更いたします。




平穏なる日常編
桐崎 千棘⑨ 憧れと決意を胸に


 

 

 

 

文化祭からおよそ一週間後、もはや凡矢理高校のメインイベントになったボーダー見学の日がやってきた。

 

ボーダーの提携校であるうちの学校は生徒がトリガーに触れる機会が多い。

 

このボーダー見学を経て隊員を志望するやつも結構いるそうだ。

 

 

 

 

 

 

大広間に集められた俺たちの元に三門市民のアイドル、嵐山隊がやって来た。

 

嵐山隊が大広間へ現れると同時に多くのクラスメイトはテンションが上がった。

 

嵐山「凡矢理高校のみんな、今日はよく来てくれた!俺は嵐山隊隊長の嵐山 准だ。まずはみんなが手に持っているトリガーを起動して左腕の甲を見てくれ。」

 

俺たちは嵐山さんの指示で支給されたトリガーを起動し訓練服へと換装した。

 

そして左腕の甲を見ると1000という文字が記載されていた。

 

嵐山「君たちも見える通り手の甲に1000と記載されているはずだ。ボーダーの正規隊員になるためには1000ポイントから4000ポイントまで上げる必要がある。今日は君たちにポイントを上げるための訓練を実際にやってもらう。」

 

俺たちは嵐山さんの後をついていき大広間から訓練室へと移動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

烏丸「この訓練服を着るのは随分久しぶりだな。」

 

一条「ああ。そうだな。訓練生の頃は三人でひたすら個人ランク戦と対近界民訓練をやってたよな?」

 

集「だな。そういえば今の訓練って俺たちが入隊した時よりも豊富みたいだぞ。」

 

一条「えっ?そうなのか?」

 

集「ああ。今のC級隊員はそれらの他に地形踏破訓練とか隠密行動訓練とか探知追跡訓練とかやっているらしいぞ。」

 

ヘェ〜……俺や集やとりまるが入隊した頃はランク戦しかやったことがなかったのに……随分変わったもんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嵐山さんから案内された仮装訓練室に着くとそこにはすでにトリオン兵のバムスターがいた。

 

嵐山「さぁ着いた。ここがまず君達が行うのは対近界民訓練だ。この近界民は攻撃力はないが装甲は結構 分厚いぞ。それじゃあこの訓練をやって見たい人はいるか?」

 

嵐山さんがそう言うと多くの生徒が我も我もと立候補しだした。

 

まず初めに嵐山さんが指名したのは手を大きく挙げて猛烈にアピールをしていた万里花だった。

 

万里花「楽様、私の動き見ていてくださいね。」

 

一条「ああ。万里花でも落ち着いて攻撃すればきっと倒せるはずだ。焦るなよ。」

 

嵐山「訓練の制限時間は5分だ。早く倒せばその分多くのポイントを獲得することができる。それでは始め!!!」

 

万里花はスコーピオンをバムスターの腹部に向けて集中的に狙った。

 

彼女は普段の様子からは考えられないような俊敏な動きでスコーピオンを振り下ろしていた。

 

烏丸「橘の奴、なかなかいい動きをしているな。」

 

一条「ああ。トリオンになって自由に動けるようになったから張り切ってるんだろうな。」

 

集「けど、なかなかバムスターに大きな傷を与えられでないけどな。」

 

バムスターはトリオン兵の中で最大級の防御力を誇るためなかなか大きな傷を与えるのは容易ではなく与えられるのは小さな傷だった。

 

だが小さな傷でも何度も何度も与え続けていれば必ず大きなダメージになる。

 

そして万里花が攻撃しているうち、ダメージに耐え切れなくなったバムスターは地面に倒れ込み見事撃退に成功した。

 

嵐山「記録2分6秒だ。初心者としてはまぁまぁのタイムだな。」

 

だいたい2分か……決していい記録とは言えないが伸びしろは期待できそうなかんじだな。

 

小野寺「お疲れ様、万里花ちゃん。」

 

一条「タイムはまぁまぁだったけど、よく頑張ったな万里花。」

 

万里花「ありがとうございます。楽様、頑張った私になにかご褒美をください。」

 

万里花はそういって俺の左腕に胸を押し付けて甘えてきた。

 

その様子を見ていた千棘は万里花に対し腹が立ってきたのだ。

 

千棘「ちょっと、万里花!いくら頑張ったからって私のダーリンにくっつかないでよ!!」

 

万里花「あら、頑張ったのは事実ですからよろしいではありませんか?なら桐崎さんも訓練を行なって楽様に甘えたらどうですか?」

 

千棘「なっ……べ…別にそんなつもりはないけど……まぁ私があれをやればあんたの記録なんか余裕で抜くことができるんだから!!」

 

万里花「へぇ……なら実際にやってそれを証明してください。」

 

千棘「もちろんやってやろうじゃないの!!」

 

千棘は万里花に対抗するため完全にやる気満々になった。

 

嵐山「それじゃあ次に訓練を行う人を決めるか。」

 

千棘はなんとか嵐山さんに指名してもらうためさっきの万里花みたいに大きく手を挙げアピールをした。

 

嵐山「えっと……じゃあそこの金髪の女の子。次は君に体験してもらおうかな?」

 

千棘「よーーし!!何とか選ばれてよかったわ。」

 

万里花の次は千棘が対近界民訓練を行うことになった。

 

鶫「お嬢、頑張ってください。」

 

一条「千棘、あんまり張り切り過ぎるなよ。」

 

千棘「言われなくてもわかってるわよ。絶対万里花の記録を抜いてみせるんだから!!」

 

嵐山「制限時間はさっきと同じく5分だ。それでは始め!!」

 

開始のブザーが鳴ると同時に千棘はバムスターの右脚に接近して孤月を大きく振り下ろした。

 

なんと彼女のさっきの攻撃だけで右脚に大きな傷を与えることができた。

 

千棘はさっき攻撃した場所に向けてもう一度孤月を振り降ろした。するとダメージに耐えきれなくなったバムスターは見事にバランスを崩しそのまま倒れ込んだ。

 

千棘「もらったわよ!!!」

 

千棘は地面に倒れ込んだバムスターの背中に何度も何度も孤月を振り下ろして見事撃退することに成功した。

 

それと同時に訓練終了のブザーがなった。

 

嵐山「記録48秒。」

 

 

 

初戦闘で1分を切ればかなり優れた結果だ。てかさっきの戦闘から判断するに千棘のトリオン量ハンパねえな。

 

千棘「どう万里花?私だってやればできるのよ!!」

 

万里花「なかなかやりますわね桐崎さん……悔しいですが今回は負けを認めざるを得ない状況ですわ。」

 

千棘の記録を見た万里花は素直に悔しさを感じた。

 

るり「すごいわね千棘ちゃん。トリガーを使うのなんて初めてなのにあそこまでできるなんて。」

 

小野寺「うん。そうだね。」

(もし、一条君があの訓練を受けたら千棘ちゃんより速い記録を出すのかな?)

 

 

千棘「ねぇ鶫も訓練やってみなよ。楽しいしあんたなら私よりもいい記録だせそう。」

 

鶫「そ…そうですか?お嬢がそうおっしゃるのなら私も立候補してみます。」

 

さっきまで立候補してなかった鶫も千棘の言葉で参加して見ることにした。

 

 

嵐山「それじゃあこの訓練をやってもらう人を選ぶのは次で最後にする。さっきのように立候補する人は手を挙げてくれ。」

 

 

嵐山「えっと…じゃあ、水色のリボンをつけたそこの女の子。最後は君に行ってもらう。」

 

鶫「はい。わかりました。」

 

残念なことに嵐山さんが指名したのは俺ではなく隣にいた鶫だった。

 

嵐山「準備ができたみたいだな。それでは開始!!」

 

訓練開始のブザーが鳴ると鶫は拳銃をバムスターの顔面に素早く狙いを定めて何度も撃った。

 

本物の拳銃とトリガーの拳銃は構造が異なっているのだが彼女の戦闘経験も相成ってバムスターを難なく倒した。

 

そして鶫が出した記録に対し多くの生徒は驚いた。

 

 

嵐山「記録15秒。君すごいな。初戦闘でここまでできる人なんてそうそういるもんじゃない。」

 

鶫「ありがとうございます。」

 

「すげぇ!」

 

「さすが鶫さん。」

 

「もしかしてボーダーの才能あるんじゃない?」

 

生徒だけではなく嵐山さんも絶賛するほどのタイム。実際ここまで凄い記録を更新できた奴らは数えきれるほどしかいないから当然だろう。

 

千棘「鶫、私より30秒くらい速いタイムを出すなんて凄いじゃないの!!」

 

烏丸「まさか初戦闘で30秒切りの記録を更新するなんてな。俺が言うのもなんだがお見事だったぞ。」

 

鶫「私自身もここまでの記録が出るなんて思っていませんでした。」

 

鶫がとりまるに褒められていたところを嵐山さんの隣で立っていた木虎は羨ましそうに見ていた。

 

嵐山「さあそろそろ次の訓練の説明をしないとな。生徒のみんなは迷わないように俺についてきてくれ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、俺たちは、集が言っていた地形踏破訓練、隠密行動訓練、探知追跡訓練の説明を聞きランク戦室へと移動したのであった。

 

嵐山「さぁ、ここがランク戦室。隊員同士勝負をして自分たちのポイントを奪い合うんだ。この個人ランク戦は全員にやってもらう。準備のできた者からランク戦ブースへ移動してくれ。」

 

 

 

もしかしたら小野寺のランク戦しているところが観れるかもしれないな……

 

そんな中、千棘が後ろから俺の方へやってきたのだ。

 

千棘「ねぇ楽、一緒にバトルしない?私、一度あんたと戦って観たかったのよね。」

 

チッ……折角小野寺のランク戦を観ようとしたって言うのに………

 

けど、売られたランク戦は買わないと失礼だからな。断るわけにはいかない。

 

一条「わかったよ。その勝負受けて立つ!!千棘、お前は102号室に入れ俺は隣の101号室に入るからよ。」

 

千棘「オーケー。さぁ、行くわよ!!」

 

こいつ、まさかいきなり正規隊員に勝負を挑んでくるとは……どんだけ度胸あるんだよ。そう思いながら俺はランク戦ブースへと入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ランク外戦十本勝負、開始!!」

 

ランク戦開始の合図とともに千棘は俺に向かって孤月を大きく振り下ろしてきた。

 

俺も負けじと自分の孤月で太刀打ちするも彼女のトリオン量はやはり凄まじく少し引き気味になってしまった。

 

千棘「どうよ楽?私の攻撃力は凄いんだから!!」

 

確かに千棘はトリオンが多い分攻撃力がものすごいが孤月を扱う技術はまだまだ足りない感じがする。

 

しかもこいつの振りは一つ一つが大きいため避けるのも余裕だし隙も与えやすい。

 

俺は千棘が孤月を振り下ろした隙を逃さずに右腕を斬り落とした。

 

千棘「なっ!?……」

 

一条「これで勝負は決まったみたいだな!!」

 

俺は何もすることのできない千棘のトリオン供給器官を突き刺し勝負の決着をつけた。

 

「戦闘体活動限界。ベイルアウト!勝者、一条 楽!!」

 

まずは一勝。とは言ってもあいつはトリガーを使ったのも今日が初めてだから当然の結果だ。

 

「ランク外戦二本目、開始!!」

 

残りの九本の勝負も俺は千棘に勝ち続け経験と実力の差をあいつに見せつけた。

 

 

 

 

千棘「あーーーー!!もう!!!なんでこんなにボロ負けするのよ!?」

 

一条「当たり前だろ。俺と千棘じゃ戦闘経験が全然違うんだから。」

 

て言うか正規隊員の俺に勝てると思ってたのかよ?

 

イマイチ納得してなさそうな千棘は意を決してこう言ったのだ。

 

千棘「……ねぇ楽、もし私がボーダーに入ったらさ、あんたとずっと勝負できるの?」

 

一条「えっ?まぁ確かにそうだが……ってお前何考えてるんだ?」

 

千棘「だから、私もボーダーに入隊したいってことよ。」

 

千棘のあまりの衝撃的な発言に俺は一瞬戸惑ってしまった。

 

一条「はぁ!?おいおい、ボーダーは近界民から市民を守るためにある訳で遊びじゃないんだぞ!!」

 

千棘「わかってるわよ!でもあんたのことをずっと見てて強くなりたいって思ったのよ!今まで鶫やクロードに守ってもらってばかりだったから今度は私がみんなを守りたいのよ!!」

 

みんなを守りたいか……そういえば俺がボーダー入隊を決意したのも助けてもらった迅さんに憧れたからだったな………なんか随分懐かしくなってきた……

 

一条「ふっ……はははははは……」

 

千棘「何よ!私は本気で言ってるのよ!!」

 

一条「悪い悪い。お前の様子を見てたら昔の俺を思い出してな。もし本当にボーダーに入りたいって言うのならお前のLINEに入隊方法を教えてやるからよ。」

 

千棘の目を見るからにあいつはどうやら生半可な気持ちでボーダー入隊を決意してるではないみたいだ。

 

千棘「気がきくじゃないの。助かるわ。」

 

 

ボーダー入隊について話していると二人の女子生徒が千棘に話しかけてきた。

 

「桐崎さん、私たちと勝負しない?」

 

「ねぇ、お願い。」

 

千棘「わかった。ちょっと待っててね。」

 

女子生徒たちの勧誘により千棘のランク戦のブースへと入った。

 

それにしてもまさか千棘がボーダーに入りたいって言うとはな………

 

こいつの性格ならきっとボーダーでも友達を作れそうだし上手くやれそうだな。

 

そんな中、俺にある不安がよぎった。

 

もしかしてこいつがボーダーに入隊することになったら俺は本部でもニセモノの恋人をやらないといけないのか?

 

いや、絶対そうなるよな!ボーダーの中にウチの学校の奴たくさんいるし。

 

ああ……本部だけが唯一恋人のふりをしなくて済む場所だったのに……

 

けど隊員服の千棘も結構似合ってたしこいつとまたランク戦をやりたいから一概に悪いことばかりじゃないな。

 

期待と不安を頭によぎりながら俺も再びランク戦ブースの中へ入っていった。

 

続く

 

 

 

 




質問コーナー

今回から話の最後に質問コーナーを設けようと思います。感想欄に質問を書いてくれればできる範囲で回答させていただきます。

Q どうして玉狛支部のとりまるを一条の親友に設定したのですか?

A この作品の構想を練る際、一条のライバル兼親友的なキャラクターをワートリ側から欲しいなと思っていたからです。

とりまるはその理想の役にぴったりと思い設定しました。

Q ワートリで好きなキャラクターを教えてください。

A とりまると小南先輩です。番外編か何かで二人の話も作ってみたいですね。

感想、アンケート、お気に入り登録を募集しています。次回もトリガーオン!!


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