ワールドトリガー 一条隊隊長のニセコイ事情   作:ガンプラビルダー

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この章はワートリ要素はかなり少ないと思います。

葦原先生、早く病気を治してジャンプに戻って来てください。


波乱の文化祭編
桐崎 千棘⑦亀裂


長い夏休みが終わって残暑の中再び学校が始まった。

 

みんなで海に行ったあの日以来千棘は俺と一切口を聞かなくなりLINEをうっても全部無視されてる。

 

それにしても今まで俺と喧嘩しても謝ったことがないのになんであの時は「ゴメン」なんて言ったんだろうか?

 

俺は色々なことが頭に浮かびムシャクシャしてしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな時、文化祭実行委員の集が先生の机に立ちクラスを指揮し始めた。

 

集「皆さーんちゅうもーーく!我々1ーC組は文化祭で「ロミオとジュリエット」の劇をすることになった。今から配役を決めたいと思うんだがみんなの意見はあるかね?」

 

「ロミオ役はもちろん烏丸君で!」

 

「そうだな。悔しいがこいつは学年で一番モテてるしな。」

 

「烏丸君、どうかな?」

 

クラスメイトのほとんどがロミオ役にとりまるを推薦している。

 

こいつは運動神経バツグンだし多少無理な動きはできそうだから妥当なところだろうな。

 

ところが……

 

烏丸「悪いなみんな。俺、バイトを掛け持ちしててあまり練習には参加できそうにないんだ。今回は裏方の方に回してくれると嬉しいんだが……」

 

こいつはいくつものバイトを掛け持ちしてるからな……文化祭前でもバイトはいつも通りあるだろうし劇の台本を覚える時間を作るのはやはり難しいか………

 

集「そうか。なら俺は楽と桐崎さんのカップルにやってもらうけどどうかな?」

 

「なるほどそれも面白そうだな。」

 

「この二人ほんとに仲良いもんね。」

 

「異議なしだな。」

 

クラスのみんなは万里花を除いて全員一致でその案に賛成した。しかし、千棘の態度は違った。

 

千棘「……やらない。」

 

普段だったら自分からやりそうな千棘のはずだが今回は珍しく辞退しのだった。

 

集「うーん……とりまるにも桐崎さんにも断られるとな……」

 

万里花「楽様がロミオをやるのであれが私がジュリエットをやりますわ!!」

 

すると、万里花は大きく手を上げて集に猛烈にアピールしている。

 

万里花がジュリエットをやると聞いたほかの男子たちは我も我もとロミオの役に立候補し始めた。

 

集「……わかった!なら公平にクジで役を決めるか。それなら全員恨みっこなしだろ?」

 

集はすぐさまとりまると千棘以外のクジを作り俺たちはそれを順番に引いて言った。

 

当たりくじを引いたのはなんと俺と小野寺の二人だった。

 

ここに来て小野寺と当たるなんて思いもしてなかった。

 

集「楽、お前クジ運いいな。小野寺と一緒に大役を任されるなんてよ!」

 

万里花「小野寺さん、代わってくださいまし。」

 

小野寺が演じることに未だ反対している万里花は彼女にジュリエットの役を引き渡すようお願いした。

 

しかし、小野寺は勇気を出して万里花にこう言った。

 

小野寺「ごめんなさい。実は……私もジュリエットをやってみたいかなって……」

 

万里花「ふーん……なら仕方ありませんね。でしたら私は小野寺さんが出演できなかった時の代役で手を打ちますわ。」

 

なんだ。いつもの万里花だったらそれで駄々こねてると思ったが今日はあっさり納得したな。

 

小野寺「よろしくね一条君。」

 

一条「お…おう………」

 

………小野寺と一緒に劇をやれるのはすごく嬉しいが俺は千棘のこともあり素直に喜べずにいた。

 

話し合いが終わると千棘は一人荷物をまとめてすぐさま教室から離れたのであった。

 

一条「あいつ……」

 

その様子を見た俺は千棘の後を追っかけたのであった。

 

一条「おい!待てよ………なんでジュリエット役を断ったんだよ?」

 

千棘「別に…単にやりたくなかっただけ。話はそれだけなら私は帰るけど……」

 

千棘はさっきみたいに冷たい態度を取っている。そんな様子が気に入らずムキになった俺はこう言った。

 

一条「……何なんだよその態度は?文句があるならちゃんと言えよ!何も言わずにそんな態度とられちゃこっちだってわかんねえだろ!!」

 

千棘「……だから何もないし怒ってもないって言ってるじゃない。それとこうも言った。もう馴れ馴れしくしないでって……それじゃあ……」

 

……何だよそれ……俺はただお前のことを心配してるはずなのに何で俺がこんなこと言われなきゃなんねえんだよ?

 

 

 

廊下を歩いて教室に戻ろうとすると小野寺がプリントを持ちながら職員室まで向かっているところだった。

 

 

小野寺「一条君、どこに行ってたの?もうすぐ練習始まるよ。」

 

一条「わかった。今行くところだったんだ。」

 

小野寺は俺と別れた後、千棘が校門から出て行くのを見た。

 

小野寺(一条君、千棘ちゃんとケンカしてるんだ……一条君が元気なく見えるのはやっぱりそのせいなのかな?)

 

すると小野寺の頭の中で突然林間学校のときの千棘の写真が浮かんだのだった。

 

小野寺(一条君は彼女のことをどう思ってるんだろう………)

 

小野寺は俺のことを心配していたがどうしてもあの写真のことが気になって仕方がなかったのだった。

 

 

 

 

 

キョーコ先生「いや〜まさか小野寺がジュリエットとはね〜驚いたよ。どういう心境の変化だ?きっと衣装も似合うよ。こりゃ先生もバッチリと見ないとね〜」

 

そんなときだった。小野寺はキョーコちゃんの机に気になっていた千棘の写真があったのだ。

 

小野寺「先生、その写真は?……」

 

小野寺はギョッとしたものの勇気を持ってキョーコちゃんに真実を聞いた。

 

キョーコ先生「ん?あぁ、これか?一学期に林間学校に行ったろ?その時の写真なんだが、ほらここに小野寺が写ってるだろ?先生のミスであんたの下着姿が写っちゃってね。一条がこれに気づいて持ってきてくれたんだよ。多分他の子にはみられてないから安心しな。」

 

小野寺「一条君が?」

 

キョーコ先生「やばっ!一条から言うなって言われたんだった。今の話他の奴には内緒な。」

 

キョーコちゃんから真実を聞いたことにより小野寺のモヤモヤは遂に晴れたのであった。

 

小野寺(一条君は私のことを思ってあの写真を届けてくれたんだ……それを私は……)

 

 

小野寺が戻ってくると早速ロミオとジュリエットの練習が始まったのだった。

 

最初の3日くらいは台本を覚えることを最優先にして練習を行う。じゃないと何も始まらないからな。

 

一条「おおジュリエット!僕は君だけを愛している!!!」

 

小野寺「……へっ?」

 

俺が言ったセリフを聞いた途端小野寺は顔を赤くして固まってしまった。

 

一条「ちょっ……小野寺?次はお前のセリフだぞ。」

 

小野寺「あ……ああ。そ…そうだよね。ごめん……」

 

小野寺はさっきの写真のことを思い出してすごい俺のことを意識していたのだった。そのことに俺は気づくよしもなかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後クラスではお互い協力しながら着々と劇の練習を行なっていた。

 

本番まで少ない時間ではあるがみんなの協力も相成って劇は少しずつ完成へと向かっている。

 

だが、俺と千棘はあの日以来一切話してない状況は変わらなかった。

 

一条「おおジュリエット!僕の瞳にはもはや君しかうつらない!!」

 

万里花「まぁ嬉しい。私もですわロミオ様。早速結婚致しましょう!!」

 

集「はいカット!!」

 

一条「おいおい万里花、俺と小野寺がセリフを言ってるんだから邪魔するなよ!これで何度目だ?」

 

そう。万里花は俺がセリフを言っていると突然割り込んでくるのだ。

 

しかもセリフも台本と全然違うし。これじゃあ練習を妨害しているのと同じだ。

 

万里花「まぁ邪魔だなんてとんでもないですわ。私もジュリエットの代役なんです。しっかり練習しないと。」

 

一条「でもよ、これは対立している両家の跡継ぎ同士が愛し合ってるけど結ばれないと言う悲劇なんだぞ。」

 

万里花「まぁ!それはまさしく今の私たちのような関係ですわね。でもご安心ください楽様!私達は両家公認ですので楽様がその気になれば結婚だって!」

 

だからそういうこと人前で言うなよ……気持ちは受け取るが反応に困るんだよな。

 

うーん……これじゃあ思うように練習が進まない……

 

そんな時とりまるが俺たちのところへやって来たのだった。

 

烏丸「橘、それなら俺がお前の練習に付き合ってやるぞ。」

 

万里花「烏丸さん、気持ちはありがたいのですが私は楽様と一緒に練習がしたいのです。」

 

一条「万里花、俺は台本通り練習がしたい。悪いんだがとりまると一緒に練習してくれないか?」

 

俺の言葉を聞いた万里花は渋々と受け入れるのであった。

 

万里花「わかりました。楽様がそうおっしゃるのであれば私は静かに引きますわ。」

 

万里花には申し訳ない気もするがこっちも遊びでやってるわけじゃないからな。

 

一条「サンキューとりまる。」

 

烏丸「気にすんな。お前もロミオの役を任されたんだからしっかりやれよ。」

 

そうだな。俺はロミオの役を任されたんだ。俺がみんなの足を引っ張るわけにはいかないからしっかり練習しないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからしばらく練習をしていると集は大きく手を叩きみんなを集めた。

 

集「おーい!出演者は全員集まってくれ!」

 

一条「どうしたんだよ?なんかの打ち合わせでもすんのか?」

 

集「イヤイヤ打ち合わせよりよっぽど大事な話だぞ。お楽しみの衣装合わせだ。」

 

おっ!遂に衣装を着れる時が来たのか。

 

今までは学校指定のジャージで練習してたから大分雰囲気でるな。

 

俺たちキャスト勢は早速劇の衣装に袖を通してみた。

 

集「どうだ楽?これは手芸部の奴らがこの劇のために手作りで作ったんだぞ!」

 

一条「えっ!?これ手作り!?てっきりドンキー辺りで買って来たのかと思ってた。」

 

改めて衣装を確認してみると確かに糸で縫った跡とかがのこっていた。手芸部の技術力って一体どうなってるんだ?

 

「ねぇ女子勢の着替えも終わったよ。」

 

集「わかった。じゃあ俺たちに見せてくれ。」

 

小野寺のジュリエット衣装、一体どんな感じになるんだ?

 

俺はドキドキして待っていると小野寺が着替えていたカーテンが開いたのであった。

 

 

続く

 




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次回もトリガーオン!!

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