ワールドトリガー 一条隊隊長のニセコイ事情   作:ガンプラビルダー

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ジャンプでやっている「みんなのこち亀」、今の所スケダンと磯部衛とのコラボが面白かったですね。

ニセコイともやっていましたが………うん。触れないでおこう。


桐崎 千棘⑥ もしも………

小野寺「キスしてもいい?」

 

小野寺の口から出た無意識に発した言葉。

 

普段ならそんなことは言わない小野寺にしてはかなり大胆な発言だろう。

 

しばらくしてふと我に戻ると小野寺は顔を赤らめながらその場でフリーズしてしまった。

 

小野寺(今、私なんていったの!?)

 

小野寺の頭の中で浮かんだ言葉は留めることなくしっかりと発せられていたのだった。

 

小野寺(どうしよう!?色々妄想が浮かんでついボロッと口にだしちゃった!一条君、絶対私のこと変な子だって思ったよね……)

 

小野寺は不安になりながらもソッと俺の方を向いてみた。

 

一条「………んあ?悪い小野寺。昨日深夜に防衛任務があったからあんま寝てねぇんだよ。なんか言ってた?」

 

小野寺「い……いや……何も。」

 

一条「そうか。なんか言ってた気がしたんだが……気のせいか。」

 

ここの吹く風が心地よくてウトウトとしていた俺は小野寺の「キスしてもいい?」と言う言葉を聞いてはなかった。

 

その様子を見た小野寺は心の中でホッとしたのであった。

 

小野寺「……じゃあ私はみんなのところに戻ってるから一条君も後で来てね。」

 

一条「お……おう。」

 

小野寺はまるでベイルアウトするかのスピードで俺の前からから去って行った。

 

俺は何故小野寺があんなスピードで走って行ったのか理解できなかった。

 

すると俺は千棘も海岸のところに来ていたことに気がついたのであった。

 

一条「なんだよ?お前も来てたのか?俺になんか用か?」

 

千棘「べ…別になんでもないわよ!!」

 

千棘は何か言いたげな表情であったが何も言わずに去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千棘side

 

翌朝、烏丸君たちはボーダーの任務があるためすぐさまそっちへ向かい千尋ちゃんは塾へ行った。

 

私はと言うとパラソルの下でボーッとしていたのだった。

 

千棘「あーあ……なんであいつと話しづらくなったんだろう……」

 

この間まではモヤシと普通に話せたはずなのに最近は何故かドキドキしてしまう。

 

すると、私の近くに小咲ちゃんがやってきた。

 

小野寺「……どうかしたの昨日から元気ないみたいだけど。わたしでよかったら相談相手になるよ。」

 

相談か………確かにこの症状を誰かに話せば少しは楽になるかもしれない。

 

千棘「……ねぇこれは私の友達の話なんだけど……」

 

そう思った私は、ドキドキする症状を私の友達のことと嘘をつきその症状について詳しく説明した。

 

小野寺「つまり、そのある人の前では急に胸がドキドキしたり苦しくなったりするってこと?」

 

千棘「うん。そうみたい。何か心当たりとかないかな?」

 

小野寺「うーん……それは端的に申し上げますと……恋ではないかと思われます。」

 

千棘「こ…こここここ……恋!?」

 

確かに恋なら色々合点が行くけど……ニセモノの恋人からホンモノの恋人になるなんて考えられなかった。

 

 

 

 

小咲ちゃんは私の赤くなっている表情を見てクスクスと笑い出した。

 

千棘「どうしたの?」

 

小野寺「ゴメン。もしかして10年前こうして二人仲良く遊んでいたのかなって……」

 

千棘「えっ?」

 

小野寺「ほら、千棘ちゃんのお父さんが言ってたでしょ?私と千棘ちゃんと一条君が昔あったことがあるって。なんだかわかる気がするの。昔もきっとこうして遊んでたんだろうなって。」

 

小咲ちゃんは胸に手を当てて昔の自分の様子を想像していた。

 

初めて小咲ちゃんとあった時からうまく話せていたし昔の私達も仲良く遊んでいたのかもしれないね。

 

千棘「うん。私もそんな気がする。相談相手になってくれてありがとね。」

 

小野寺「気にしないで、またいつでも相談してね。」

 

やっぱり小咲ちゃんは良い人ね。楽しくてついつい話し込んでしまったわ。

 

恋か……よりによってあんなモヤシに恋をするなんて……

 

そりゃ最近は悪いやつだとは思ってないけど私があいつのことが好きってこと?……

 

頭の中で色々と想像すると再び私の顔が赤くなってしまった。

 

千棘「あーーー!!!やっぱありえないわよそんな事!!」

 

口ではそう言うものの私の心の中はドキドキしたままだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一条side

 

一方、俺は集がこの近くの海の家に美味しいかき氷があるって言ってたので一緒について行くことにした。

 

集「いやー……ブログのクチコミ通りここのかき氷は美味いな……」

 

一条「そうだな。て言うか集、お前これで何杯目だ?」

 

集「ん〜……だいたい5杯くらいかな?」

 

一条「お前、よくそれで腹壊さねぇな。」

 

集「大丈夫だって!俺の腹、割と丈夫なんだぞ!」

 

おいおい……それって完全にフラグなんじゃないのか?……俺はどうなっても知らねえからな。

 

集「それよりさ、高校生になって可愛い女の子がやって来たじゃん。楽は小野寺と転校生の三人の中だったら誰が一番好きだ?」

 

一条「ゲホゲホ!!……」

 

集のあまりの質問に俺はかき氷を急に飲み込みむせてしまった。

 

一条「は……はぁ!?そ…そんなの小野寺に決まってるだろ!てか食ってる間に聞いてくるんじゃねぇよ!」

 

集「悪い悪い。てっきり誰かにシフトチェンジしたのかと思った。じゃあさ楽は三人のことをどう思ってるんだ?」

 

一条「どう思ってるって……まぁ三人とも嫌な奴じゃねえし……友達でいるとは思ってるけどな。」

 

今まであの三人とは仲のいい友達としか意識してなかったが昨日の迅さんの言葉も相成って何かが突っかかる。

 

もしかしたら小野寺だけでなく無意識にあの三人にも……

 

集「ふーん友達ね……」

 

一条「なんだよ?その顔は?」

 

集は俺の言ったことを疑ってるかのように俺のことを見つめて来た。

 

集「俺の予想だが、多分三人共楽のことが……」ゴロゴロ……

 

一番大事なことを言おうとしていたその時、集の腹が雷のようにゴロゴロとなり顔色を悪くした。あっ、これってもしかして……

 

集「グワァァァァァ!!!!!お腹イテエエエエエ!!!!……俺…ちょっとトイレに行ってくる……」

 

集はゲンナリしながらヨレヨレとトイレに向かって行った。

 

ほらな言わんこっちゃない。勢いでかき氷5杯なんて食うもんじゃないんだな。

 

それにしてもさっき集は何を言いたかったんだろうな………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜になって俺たちは集が持って来た花火で最後の夜を満喫していた。

 

去年はとりまるや集とか今の16歳組の連中と一緒に花火をやった思い出があるが今年は小野寺と花火をするなんて……幸せだな〜。

 

集「いや〜……やっぱ最後は花火で締めないとな。」

 

集は1時間ほどトイレにこもっていたが今はすっかり元気になっていた。

 

こいつの身体の回復力はホントにびっくりする。

 

万里花「私、こういう花火初めてで……」

 

一条「なら万里花にもっと面白いものを見せてやる。集、あれは持ってきてるか?」

 

集「ああ。持ってきてるぞ。」

 

一条「なら、一個もらうぞ。」

 

俺は集のカバンから黒い玉を取り出して火をつけた。するとその玉は黙々と煙を出しながら燃えカスがにょきにょきと伸びた。

 

万里花「まぁ!?これは一体何なのですか?」

 

一条「これは、へび花火って言ってさっきみたいに火をつけるとへびのように伸びて組んだ。」

 

万里花は近くに寄ってへび花火の燃えかすを物珍しそうに見つめていた。

 

一条「万里花、煙が登ってるしあんまり近づきすぎると身体によくねえぞ。」

 

こいつの場合、俺たちよりも身体が弱いから特に注意しないといけないからな。

 

るり「あれ?そういえば千棘ちゃんは?」

 

集「さぁ。さっきまでいたのにな……」

 

確かに周りを見回しても千棘の姿はなかった。……ったく……あいつ隙があればすぐどっか行くな……

 

小野寺「私、ちょっと探してくる。」

 

一条「いや、ここは俺が探しに行くから。」

 

俺はため息をつきながらも千棘のことが心配だった為辺りを探した。

 

しばらく探していると線香花火がパチパチと光っているのが目に見えた。

 

千棘(ダメだ……あいつと近くにいるだけで緊張しちゃう……ダメダメこんなんじゃ、この先恋人のフリなんてやっていけないじゃない!平常心よ平常心。この線香が落ちなかったら恋じゃない。落ちたら恋……かもしれない……)

 

千棘がじっと線香花火を眺めている間、俺は彼女の肩を叩いた。

 

 

一条「こんなところで何やってんだよ?」

 

千棘「キャァァァァァ!!!!!」

 

俺が声をかけると千棘はびっくりして大声をだした。その衝撃で彼女の線香花火の玉はポロリと落ちてしまった。

 

千棘「べ…別に何もやってないけど……」

 

一条「どうもしなくてお前がこんなところにいるわけねえだろ?」

 

千棘「……何よ!あんたに私の何がわかるって言うの?」

 

一条「超能力者じゃねえんだからお前ことなんてわかるわけねえだろ。けど学校でも休日でも毎日ずっといるんだ。お前の行動くらいは分かる。」

 

千棘「そういうのやめろ!!!」

 

一条「イッテェ!何すんだよ!?」

 

千棘は顔を赤くしながら俺のことを強く叩いて来た。何かあればすぐ俺に暴力を振るってくるのホントやめてほしい。

 

千棘「うるさい!!」

 

一条「理不尽!!」

 

何故こいつがこんなに怒っているのか俺には分からなかった。

 

一条「なんか悩みでもあんのか?俺だったら相談相手になるぞ。」

 

千棘「馴れ馴れしくしないでよ。私たちニセモノの恋人同士でしょ?だいたいあんたは私のことが嫌いじゃなかったの?」

 

一条「なんだよ今更。……まぁ初めて会った時よりは……嫌いじゃねえな。」

 

初めて会った時は喧嘩ばっかりだったからな。数ヶ月しか経っていないが今思うと少し懐かしく感じるな。

 

一条「てかお前は今でも俺のことが嫌いなのか?」

 

千棘「もちろん嫌いよ。嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い大嫌いよ!」

 

一条「そ…そうか………」

 

ここまで言われると精神的ダメージが半端無いな……流石にへこんじまう……

 

千棘「ねぇ……一つ聞いてもいい?」

 

一条「なんだよ?」

 

千棘はさっきとは裏腹に深刻そうな表情を俺に見せて来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千棘「もし、私たちが本当に恋人同士だったらうまくやっていけたと思う?」

 

一条「はぁ?……何突然そんなこと聞いてくるんだよ?」

 

千棘「いいから!…………答えてよ……」

 

これってもしかして昨日迅さんのサイドエフェクトで言っていた未来ってこのことだったんじゃ……だとすれば……………

 

そう思った俺は千棘に正直な気持ちを伝えることをためらい思わずこういってしまった。

 

一条「そ…そんなもんうまく行くわけねえだろ!!だいたい千棘は暴力的だし、俺とお前とじゃ好みが違うからな。恋人になっても喧嘩ばっかりになると思うな…………それに……」

 

千棘「うるっさいわね!!!!わかったからもう黙ってよ!!!!!」

 

千棘の声から出た怒声はいつもの怒声とは異なり俺の心に鋭く突き刺さるものだった。

 

千棘「………ごめん……」

 

一条「おい、ちょっと待て!」

 

目に涙を浮かべながら千棘は走って俺の目の前からいなくなった。

 

夏休みが終わるまでの一週間俺と千棘は一度も話すことはなかった。

 

次章へ続く

 

 

 

 

 

 





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