ワールドトリガー 一条隊隊長のニセコイ事情   作:ガンプラビルダー

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テストがひと段落ついたので投稿スピードが速くなると思います。


第8話桐崎千棘② 友達ノート

10年前に俺が旅館で出会った女の子。彼女はなぜか涙を流していたのだった。

 

一条「なあ、なんでおまえ泣いてんだ?大丈夫か?」

 

少女「この絵本、最後が悲しいの。

大好きな絵本なんだけどね。」

 

彼女の悲しい顔を見ていると俺まで悲しく感じる。俺はもうなんとか彼女を笑顔にさせようと試みた。

 

一条「ふーん、ちょっと見せてみろよ。」

 

少女「うん、良いよ。」

 

本の内容を見てみると確かに悲しい結末が待っていた。彼女の悲しい顔は見たくないと思いあることを思いついた。

 

一条「ふーん、なるほど。そうだ!良いこと思いついた!これをこうして、こうすれば…どうだ!」

 

俺は鉛筆とクレヨンを持ってきて本の結末のページを編集し直したのだ。

すると彼女の顔から笑顔が戻ったのだった。

 

「うわ、凄い!すっごく素敵なお話!

あなた、名前なんて言うの?」

 

一条「俺か?俺は一条楽って言うんだ。

おまえは?」

 

少女「私は……」

 

 

 

 

 

 

 

ガバッ!!!!

 

一条「またあの夢か……」

 

少女が名前を言おうとした寸前に俺は夢から覚めるのであった。迅さんから10年前の約束のことを言われてからあの少女がよく俺の夢に出てくる。

 

おそらく俺の頭の中に心残りがあるのだろう…だが詳しくことは何にも思い出せない。

 

先週の小野寺が10年前の約束のことを知っていたことも妙に気になる。もしかしたら……

 

俺は竜達の飯を作ったあとすぐさま学校へと向かうのであった。道を歩く人たちはみんな緊張した感じであった。

 

一昨日の近界民の襲来では家屋の倒壊は何件かあったものの、俺や小南先輩そして諏訪さんがすぐさま近界民を撃退したことによって死傷者は0であった。

だが警戒区域外で門が発生したのは珍しく、三門市民に不安を募らせるのであった。

 

千棘「おはようダーリン。」

 

道を歩いていると桐崎が眠そうな顔をして俺の所に現れた。

 

一条「どうしたんだ?眠そうじゃないか……」

 

千棘「昨日からクロード達からデート感想を聞かれたり近界民に襲われたからって言われて訳わかんない検査を受けたりしてね。」

 

そういえば俺もデートの感想だったりこいつを近界民から守ることができたかとか聞かれたな。本当あいつら過保護すぎんだろ…

 

千棘「そういえばあんたがボーダー隊員だって言ったらクロード達びっくりしてたわよ。あんなもやしでもボーダー隊員になれるんだって。」

 

一条「おい!もやしってどういう意味だよ!!」

 

千棘「言葉のまんまの意味よ!そんなこともわかんないのアホもやし!」

 

一条「なんだと!!!」

 

もやしと言われたことに腹が立ち俺たちはいつものように喧嘩を始めるのであった。

まあ桐崎はああ言ったけど実際俺よりも2つ年下の緑川もA級隊員になってるんだからな。

 

千棘「ねえ、あたし達が恋人だってことみんなにばらさないでよね。あと小野寺さんにも本当のこと伝えてといてね。」

 

一条「当然だ。学校までこんな調子じゃ疲れるからな。」

 

教室に入るとクラッカーが鳴ってクラスメイトからの歓喜の声でいっぱいであったのだ。

 

「「「待ってました!!王子様!!」」」

 

俺たちをみてクラスメイトたちが一斉になってそう叫んだのだった。

 

一条「なんなんだよお前ら王子様って。」

 

集「とぼけんじゃねぇぞ隊長。一昨日お前が近界民と戦ってるのを見てタイムラインに載せといたんだぞ。」

 

てか集もボーダー隊員だろ!?俺たちを眺めてないでお前も近界民と戦えよ!!あいつ覚えてろ!!個人ランク戦で集のポイントを根こそぎ奪ってやるからな。

 

「ほらお前も見てみろ。」

 

クラスメイトの一人が集が投稿したタイムラインを俺に見せると俺が近界民と戦っているところが写っていた。

 

一条「お前らちょっと待て!!」

 

俺はこいつとの関係の訳を話そうとしたが、

窓の外から疑いの目をかけているクロードが監視し始めたのに気づいた。

クロードにばれるのを恐れた俺は心の中で覚悟を決めみんなの前でついにこういったのだ。

 

一条「そうなんだ!俺たち一昨日から付き合い始めてさ。」

 

「「「よっ!!お熱いね二人とも!!!!」」」」

 

小野寺「二人ともお似合いだね。」

 

うおおおおお!!!待ってくれ小野寺!!!

頼むから誤解しないでくれえええええ!!!

 

そしてクラスメイト達は一時間目が始まるまでずっと盛り上がっていたのだった。

でもとりまると宮本だけは俺たちのことを疑った目をしていたのだった。

 

 

昼休みになって俺と桐崎は誰もいない屋上でぐったりとしていた。

クラスメイトやクロードからも見られて疲れるもんだ。

 

千棘「はあ〜…どうしてこんなことに……」

 

一条「クラスメイトはもうどうにもできないがあのクロードをどうにかできればな…」

 

千棘「無理よ。あいつはああなったら止められないわ。なんとかクロードにばれない方法を見つけないと……」

 

ええ〜…あいつ結構めんどくさいやつなんだな……

 

千棘「でも今日の放課後はボーダーの本部に用があっていないらしいよ。私はちょっとやることあるから先帰っててよね。」

 

よっしゃあ!!でも桐崎の様子を見てると一人で考え込んでいるな。少しでもあいつの気を楽にさせたいもんだ。

 

一条「お前もさ抱え込まないで信用できる人になら相談してもいいんじゃないかな?」

 

千棘「あっそ。ならあんたはそうすれば。」

 

優しく接したはずが、なぜか桐崎は機嫌を悪くしたのだ。なぜなのかはわからない。

 

一条「おいどうしたんだよ?」

 

千棘「うっさい!!話しかけんな!!!」

 

桐崎は俺にワンパンしてきてそのまま屋上から去って行った。

 

 

 

 

 

 

桐崎を見失った俺はコーヒーを買いに校庭の自販機に走って向かう途中廊下を歩いてた小野寺とぶつかってしまったのだ。

 

小野寺「ごめん一条君。大丈夫?」

 

一条「ああ。すまん……俺も気付かなくて…」

 

ここにきて突然現れたチャンス。今なら彼女から誤解を解くチャンスだ!!

 

一条「ん?」

 

そう思った時だった。小野寺のカバンから鍵らしき何かが落ちたのを俺は確認した。

鍵……もしかして……

 

一条「小野寺…その鍵……」

 

俺は勇気を振り絞って小野寺に鍵のことを聞こうとしたら、

 

小野寺「ち…違うの!!これは家の鍵……じゃなくて……本棚の鍵……とにかく違うの〜〜〜!!!!」

 

小野寺は恥ずかしかったのか、顔を赤くして俺から逃げて行ったのだ。折角桐崎との関係を話そうとしたのに……でも放課後はクロードもいないしその時に話せばいいか。

 

 

そして放課後になり俺は昼休みに言おうとしてたことを小野寺に話すために彼女を探す。

でも校舎を探してもどこにもいなかった。

 

集「いたいた。おーい、楽。個人ランク戦やろうぜ!」

 

校舎のあちこちをさがしている俺の前に集ととりまるがやってきた。

このまま小野寺を探しても見つかりそうもないし集のポイントを根こそぎ奪わないといけないしな。

 

俺はカバンを持って集たちと一緒にボーダー本部へ行くことにした。

 

烏丸「そういえば俺たちお前に聞きたいことがあったんだ。」

 

とりまると集は真剣な眼差しで俺のことを見てきた。なんかすごく緊張する……

 

集「桐崎さんとキスは済ませたのか?」

 

なんだよ!!真剣な顔しといて聞きたいことってそんなこと!?緊張して損した。

 

烏丸「おい!違うだろ集。俺たちが聞きたいのはそんなことじゃないだろ。」

 

えっ?てっきりキスを済ませたのか聞きたいのかと思ってた。

 

烏丸「一条、お前本当に桐崎と恋人になったのか?」

 

一条「ど…どうしてそんなことを聞くんだ?」

 

そういえばこいつらにもまだ俺たちの関係を話してなかったな。

 

集「お前が好きな奴は小野寺だって中学校の頃から言ってたじゃないかよ。それでどうなんだ?楽は桐崎さんと付き合ってるのか?」

 

折角二人にあったし俺はもう小野寺の先にこいつらに事情を話すことにし

 

一条「……わかったよ……じゃあ信用できるお前らに本当のことを話からこのことはあまり人前には言うなよ。」

 

俺は信頼できる二人になぜ桐崎と恋人のふりをしなきゃならないのかそして昼休みになぜ桐崎が怒ったのかも全て話した。

 

集「なるほどな。お前のお父さんヤクザだからな。そういうことだと思ってた。」

 

烏丸「それで彼女にもお前のように信用できる人に話して気持ちを楽にさせたいと思ったのか……」

 

一条「ああ。そういうことだ。」

 

二人は事情を聞くとすぐに理解してくれた。やっぱり俺とずっと一緒にいるだけはある。

 

集「でもさ、桐崎さんがお前以外の人と仲良くしてるのあんまり見てないんだよな。」

 

一条「えっ?そうなのか?」

 

集の言葉に俺は耳を疑った。

 

烏丸「お前昔からそういうところだけは鈍感だよな。俺もちょくちょく学校いなくなるがが彼女が仲良くしてるのを見たことがないぞ。」

 

……俺……あいつと恋人のふりをするので精一杯で桐崎のこと何にもわかってなかったんだな……情けないな俺……

 

集「お前も偽物でも彼氏なんだしもう少し彼女のこと見てやらないと。女子は繊細だからな。」

 

集の例えがわかりづらいな……でも、もう少しあいつのこと見ないとな……

 

すると俺はあることを思い出した。

 

一条「あーー!!いけねえ俺明日の宿題教室に忘れてきた。悪い取りに戻る。」

 

烏丸「分かった。なら俺たちは先に本部に入ってるからな。」

 

二人は先に本部へと向かい、俺は宿題を取りに教室へ戻るのだった。

 

教室には桐崎が小さな声を出しながらノートにクラスメイトの名前や特徴を書いていたのだった。

 

あいつの様子を見てると俺は小学校や中学校の頃を思い出していた。

 

一条「桐崎……」

 

千棘「あ…あんた、いつからここにいたの!?」

 

俺は彼女に小さく声をかけると桐崎は俺に気づきビックリした。

 

一条「お前、放課後こんなことやってたんだな。」

 

千棘「ふん!だからなんだっていうの?仕方ないでしょ……こうしないとみんなと仲良くできないんだから………」

 

桐崎の目は涙目になっていて彼女が学校で孤独を感じているのをなんとなく感じた。

やっぱり似たようなところで育つと感覚も似てくるのかな……

 

一条「実は俺もクラスが変わるたびに作ってたんだ友達ノート。」

 

千棘「えっ?うそ……」

 

一条「俺も家がヤクザってんでクラスメイトが怖がられたりもするけどさ。でも俺は諦めずにノートを書き続けたんだ。」

 

千棘「そういえばあんたと一緒にいる眼鏡の人とモサモサした人もあんたがヤクザの息子だって知ってるの?」

 

一条「ああ。あいつらとは結構長い付き合いだからな。俺の家族のことをよく理解してくれてる。」

 

千棘「そうなんだ……私正直あんたが羨ましい……ヤクザの息子でも接してくれる友達がいて……私にはそういう人がいないから……」

 

再び涙目になりそうな桐崎。こいつの悲しむ顔を見たくない俺はある行動にでた。

 

一条「なら手伝うぞ友達ノート作るの。作り方とか知ってるし。

とにかくお前もいつまでも悲しそうな顔してんじゃねえよ。」

 

千棘「余計なお世話よ!!」

 

一条「たとえ偽物でも彼女の悲しい顔は見たくないからな。俺は行かなきゃいけないところがあるから帰る。じゃあな。」

 

千棘「……あのさ……ありがとう……優しくしてくれて……」

 

桐崎は少しだけ素直になり俺にありがとうって言ってくれた。

その顔は俺に今まで見せたことがない笑顔でいあったのだ。

 

 

 

 

続く

 

 

 

 

 

 




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