ー昭和七年ー
ーサクラ次元ー由里の世界ー
ー大帝国劇場ー
ー格納庫ー
ー青い球体の中ー
青い球体の中には、左足部が故障した闘武に乗る斜大と杉野がいて、シーとその腹にいる斜大の妹を救うために牙王と戦っていた。
『どうするんだ、大神一郎…また、誰かの気持ちを踏み躙るのか?』
『…頼むよ…頼むよう…頼むよう…』
『…斜大……ごめんな。お前やこの娘にはこれから寂しいおもいをさせてしまうな…ごめんな。何もしてやれなくてな。』
『頼むよう!もう、何だってする!勉強だって頑張る!わがままも絶対に言わない!だから頼むよ!俺や妹を助けてくれよ…』
『斜大!パパの言うことを聞いて…ううっ…』
『マ、ママ!だ、大丈夫なのか!』斜大はシーの体を軽く揺らした。
『ひーひー……大丈夫ではないわ…でも…この八年間…ずっと陣痛に苦しめられて…慣れたわ…お願い…もう…死なせて…牙王を倒した瞬間…この娘を引き抜けば…私だけ…死んでこの娘は助かるから。』シーは涙目で斜大を見た。
『母ちゃん!シー母ちゃん!嫌だよ!絶対に嫌だよ!俺わかんねぇよ…オムツの替え方もミルクの上げ方も…育て方も…何ひとつわからねぇ!知り合いもいない!花やしき支部ももうない!こんな俺達にどう生きろっていうんだよ!お願いだよ…お願いだよおお!』泣き叫ぶ斜大の頬にシーはキスをした。
『苦しくなったら、この頬を触って…ママのことを思い出してね…ママ、何にも出来なかった…あなたのためにご飯作ってあげたり…寝かしつかたり…一緖のベットで寝たり…褒めてあげたり…怒ってあげたり…お菓子つくってあげたり…抱きしめてあげたり…頭を撫でることも出来なかった…私があなたにしてあげれたのは…この頬へのおまじないと産んであげたことだけよね……この娘が育ったら教えてあげて…パパとママは酷い両親であったと。』
『母ちゃん!』
『斜大…もうやめるんだ…』
『杉野兄ちゃん…黙れよ!杉野兄ちゃん!兄ちゃんには関係ないだろ!わからないんだよ!いくら杉野兄ちゃんも死ぬからといってもし…やくそくしたのに……キャッチボールしてけれたって…約束したのに…』
『だが…斜大……頼む!お前の手で終わらせつやってくれ…俺には君の気持ちを…シーさんの苦しむ、気持ちがわかるか!いいか世の中にはどんなにいやなことでも起こっても仕方ないとをり切れるかどう、よく考えてくれ。意にそぐうわないことがあったとしても、割り切るんだ!それが、必要なんだよ!』
『畜生!畜生!わかったよ!はあああっ!』斜大は涙を振り払い、自然に小さくなり、斜大は闘武に乗り込んだ。
『斜大!行くぞ!俺の最後の技だ!牙王!これで終わらせる!狼虎滅却…割新羽刃!』大神は二つの剣を両手に持ち、その二つの剣の擦り合わせた際のエネルギーを剣に集めて牙王を斬りつけた。
『どうした…この程度か…ならば…』牙のはデンガッシャーを手にとり、大神のほうを向いた瞬間!
『今だぁ!斜大!来い!』大神は斜大に向かって叫んだ!
『ブーメラン!いけぇ!霊力注入!』斜大はブーメランを投げつけ、牙王に当たった!牙王は新たな技に対応出来ず戸惑っていた。その戸惑いを隠れていた杉野は見逃さなかった!
『今なら!はあっ!』杉野は飛んできていた斜大のブーメランを使い、牙王の体を刺し貫いた。
『な…なに…』牙王は変身を解除した。
『倒れろおおおおお!』杉野は力任せにブーメランの刃を牙王から抜いた。
『食われたのは俺だったか…』牙王は倒れ、青い球体は徐々に消え周りが格納庫になっていった。
『や、やったあ!で、でも…』斜大は涙目で三人の顔を見た。
『ありがとうな、斜大!お前は俺の誇るべき大事な息子だ…妹を任せたぞ、お兄ちゃん。』大神は消えていった。
『斜大、大丈夫だ。お前なら大丈夫だ。安心しろ、お前は強い。』杉野は光になっていった。そして、斜大はシーの下腹部から妹を抜き出した。
『はあっ!ぐわああっ!…はあっ…はあっ…この娘を頼んだわよ…斜大……』シーは力尽き、同じように光になっていった。
『……母ちゃん、父ちゃん、杉野兄ちゃん、俺、妹と一緖に頑張ってみる…だから、安心して天国で見ててくれよ。』
斜大は歩き始めた。
新たな命を自分の家族を妹を大切に抱え
明日に向かって歩き始めた。
パン!
『え……』斜大の腹から血が出て、その場に倒れこんだ。
『天国から見るんじゃない…お前も行くんだよ、天国に。』
『た…鷹岡…』なんと斜大に向かって鷹岡は銃弾を撃ったのだ。
『甘いな…俺がいることを忘れていたのか…』
『あ、ああ……』鷹岡は倒れこんだ斜大から妹を奪った。
『おーおー頑張りたまえ斜大君。君の妹をどーしよーかーな!』
『か、返せぇ!』
『そうはいかねぇな、ふんっ!』鷹岡は斜大の妹を床に叩きつけて踏んづけた。
『やめろよ…やめろよ…やめろよ!俺の妹だぞ!俺の母ちゃんが八年間苦しい思いをして産んだ子供なんだぞ!やめろよおお!』
『いいねぇ、その表情、最高だぞー俺はな、人のそういう表情を見るとゾクゾクするんだよ。そして、唯一の希望を打ち砕いた時の顔も見ものだな!』鷹岡は銃を構える。
パン!
『…うわあああああああああ!』斜大は叫びながら天を見た。
『おお、いいぞ、その顔だよ!そんな顔が見たかったんだよ!ありがとうな、そんなお前にプレゼントだ!家族のところに送ってやるよ。父親も母親も妹もそして杉野がいる天国にな!』鷹岡の銃は斜大に向いた。
パン!パン!パン!
ー別次元ー
『パータパタパタ!くぅうー!鷹岡!見てろよ!必ずなんとかしてやるから、待っとけよ!斜大!』
ー次回予告ー
太正十六年 正月一人の男が大帝国劇場に現れた。
彼がもたらすのは幸福か絶望か?
サクラ大戦 7人目の隊員コラボ作品
第七章 お楽しみに!
毎日 朝8時に投稿!