ー昭和七年ー
ーサクラ次元ー由里の世界ー
ー由里の家ー
杉野が織姫からの質問に対して、答えることが出来ず、だまっていた。
『答えてくださーい!答えられないんでーすか!』織姫は杉野に詰め寄る。
『俺には………』(本当に俺はベストの答えを出せるのか…俺は俺は…)
『あんな口を言ったくせして、なんて自分勝手なーんですか!』だが、杉野は閉じていた口を開けた。
『俺だって、あんたみたいな状況になった場合、由里さんみたいに出来る自信がない。』
『わかってるじゃないでーすか。』
『…ああ、そうだ。でも、俺はあんたと同じ状況になっても、愛する人が自分以外の男との間に産まれた子供は…斜大は殺したりなんかしない…命はたった一つしか…ないんです。』
『……杉野君……あなたは人の命をうばうことに対して過敏に反応しまーすね。』
『ああ…俺はかつて…殺し屋みたいなものだったから…』
『殺し屋!あなた、人を殺したことが…』
『ちょっと……違いますけどね…標的は俺の先生、その人は俺や俺の友達に大事なことを教えてくれた。社会の辛さと現実、仲間と協力することの大事さ、努力することの意味。これからの人生の歩み方などいーっぱい俺達に教えてくれた大事な先生を俺達は殺した。殺さなければならなかったんだ!』
『先生…あなたやあなたの友達とに大切なことを教えてくーれた人をなんであなた達は殺したんでーすか?』
『その先生は人間じゃない…化け物だ。あんたらの世界で表わすなら降魔かな。』
『そ、そんな化け物があなた達に色々教えてくーれたんでーすか?』
『化け物といっても、降魔とは違う。その先生は元々人間の殺し屋だったんだ。』
『な、なーんで、人間の殺し屋が降魔なーんかになったんでーすか?』
『その先生は自分の教え子に裏切られ、人体を改造されてしまった。何十日にもおよぶ改造の日々を過ごしたらしく、だんだん体が化け物に変わっていったそうだ、だが、その改造の日々の最中ある人と約束をした。俺達の学校の担任、名は雪村あぐり。先生とあぐり先生は心を通じあわせていたが、先生は体を完全に化け物とした際に、あやまってあぐり先生を殺してしまった。その時に、あぐりさんは先生に俺達のことを任せた、そしてその化け物は俺達の担任に、俺達の先生になった。』
『そ、そんな!意味がまーったく、わかりませーん。それに、化け物といっても、元々人間だったんじゃないでーすか!あなた達はなんでそんな大切な人を殺したーんでーすか?』
『先生は化け物になった時点で、世界から暗殺対象として狙われるようになり、それに先生の体は1年たつと、爆発されると言われていて、先生自体も自分を死なせたかった。だから先生はあぐり先生との約束のために俺達に標的として現れ、一年過ごし、俺達は先生を殺した。殺さなくても大丈夫な方法を探したけど、だめだった。』杉野の落ち込む顔を織姫は目を逸らした。
『そ、そんな過去が…』
『だから、俺はあんたに対して怒った。殺さなくてもいいのに、奪わなくてもいいのにもかかわらず、自分の都合ばっか押し通したあんたや鷹岡が許せなかったんだ!あんたが直接やってなくてもな!止められたのに、仲間を見殺しにしたあんたに怒った!』杉野が叫んだ瞬間!上空から青い光武二式が側に降ってきた。それはレニが乗った霊子甲冑光武二式だった。
『杉野君…ん、あ、あれは!レニ!』織姫は縄で結ばれながら、立ち上がり叫んだ。
『杉野…君を殺す!』レニの槍が振り下ろされた!
『ちっ!まだ武器はある…さあ、巨大戦第二回戦の始まり!』(斜大は、大丈夫かな…いや!あいつは大丈夫だ!)杉野は織姫を連れ、崩れた家の物陰に隠れた。