ー平成十二年ー
ーブレンパワード次元ー
ー山ー
『あ、あたまが…あ、あなたは…生きてるん…で…お願いでーす…教えて…ください…あなたは…何故…そんなに暴れて…』織姫はグランチャーのコクピットの中でグランチャーの精神を読み取ろうとして、頭にある映像が流れた。
『ん…こ、これは!パパ!ママ!』そこにいたのは織姫の父親と母親が別れようとしていた風景が映しだされた。
『すまない……』泣きじゃくる女性は若き日の織姫の母を抱きしめる織姫の父親は軽くつぶやいた。
『なんで……なんで……』涙ながらに織姫の母は父から離れていった。
『これは……パパ、ママの若い時の…まだ私はママのお腹の中にいた…』それは織姫が知るはずのない母と父の別れの場面であった。
『あ、あなたは私にこれを見せて何をさせたいんですかー!あなたは生きているんでしょ、だったら、なんであの男なんかに力を貸すんでーすか!反抗したって、いいはずでーす、ああっ!こ、こんどは、な、何を……』グランチャーは織姫に新たな映像を脳に送り込んだ。
ー過去ー
ーオルファンー指令室ー
『あなたのせいよ!あなたの部隊がしっかりとノヴィスノアの連中を足止めしていれば、核ミサイル攻撃は成功していたのよ!この出来損ないが!』そこには司令官らしき女性と頭をさげるトナカがいた。
『す、すまねえ!おふくろ、こ、こんなミスは二度としねえ、頼むよ、なあ、俺を見捨てないでくれよ、なあ!なあ!』トナカは必死に頭をさげる。
『黙りなさい!あなたをもう息子だなんて思わないわ!潔く私の元から消えなさい!目障りだわ!連れて行きなさい!』側にいた二人の男がトナカをがっしりと掴み部屋から追い出した。
『おふくろおお!おふくろおお!』トナカは必死に扉を叩くが扉は開かなかった。
ー現在ー
ーグランチャーのコックピットー
『こ、これが、トナカさんの…過去、そうですか、あなたはトナカさんの悲しみを知った、だからなんとかしてあげたくて力を貸していたんですね……あなたがトナカさんの過去を知れたなら、私の過去を…知ってください…』織姫は自分の過去を思い出し、グランチャーに伝えた。
ー山ー
『ジョナサン・グレー!貴様のせいで!貴様のせいで!俺は!俺は!』トナカはバロンズゥから降りてきたジョナサンに銃を向ける。
『お前がトナカ・サッシュか、俺を怨んでいるみたいだな。』
『ああ、そうさ!お前がノヴィスノアに味方したせいでな!』トナカは銃口から放たれた弾丸をジョナサンは軽く首を横に動かし、避ける。
『あの核ミサイル攻撃は命令なしで行われた、お前に罪はない!』
『いいや!てめえらオルファンと違ってアメリカ軍はそこんとこはしっかりしててな、部隊長である俺の責任にしやがった!しかもな俺に責任を擦りつけたのは、俺のおふくろなんだよ!お前にわかるか……父親が俺が生まれてすぐ死んだ俺にとって、たった一人の家族であるおふくろに裏切られた気持ちがてめえにわかるかよ!』
『それは俺が一番よく知ってるんだよ!』
『なんだと!』
『俺には父親がいなく、母親しかいなかった、それはお前と同じさ、だがな、お前はいつも側に母親がいたじゃねえか、俺のママンはいつも帰ってこなかった!クリスマスプレゼントさえくれなかった、ママンだったよ!でもなあ、最後に最後に、俺のママンは最後に自分の生命を削ってまでも、俺のわがままを許してくれた、それに俺は気付けなかった、お前のママンにだって…』
『黙れ!貴様のおふくろはそうかもしれないが、俺のおふくらはそんないい奴じゃねえんだよ!』
『そんな事ありませーーん!』なんとグランチャーが飛び上がった、織姫の過去を読み取ったグランチャーが織姫のしじに従ったのだ。
『ま、まさか、な、何故だ!何故お前はそいつの言うことを。お前も俺を見捨てるのか!』
『違いまーす、乗ってくださーい、今からあなたをある場所へと連れていきまーす、そこであなたは真実を知りまーす。』グランチャーはトナカの側に着陸した。
『わかった。』トナカはグランチャーに乗った。
『おい、そこの嬢ちゃん、俺もついていく、いいか?』
『いいでーす、しっかりついてきてくださーいね。』グランチャーは光を出しながらある場所へと向かった。