海に散りし命   作:リバーサクラモード本格的だよ

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戦争に対する考え方はあくまで個人的な意見です。


人間が作りし魔

昭和五十一年 別世界

駿河湾

隊長、あなたは何故私達を大切にしてくれたんですか、隊長としてだけでなく、大神一郎として優しくしてくれたんですか、あなたは頑張りすぎました。

マリアは海岸を歩いていた、そこにはゴミと呼ばれる物がたくさんあった、それをただただ見ながら足を動かす。ここがどこだろうと何だろうとどうでもよかった。

(隊長……)今の彼女の目には生気がなかった、昔NYにいた頃いや、それよりも酷い心情であった。

 

『私の人生で一番素晴らしかったのは隊長や皆と一緒にいた時なんです、私は不幸な女なんです、私を愛してくれた人は皆死んでいったんです、母に父、ユーリーに隊長…』すでにマリアの精神はボロボロで他の花組を仕切る隊長などは到底無理であった。自分の出来る事をやるといったが、マリアは何もやる気はなかった。感情を押し殺して花組を送りだしたが、一番辛かったのはマリアであった。

 

マリアは疲れて海岸へ座り込んだ

側にあった崩れさったマネキンの頭部を取り、抱きしめた。

 

(もう…私には…)今までの荒んだ人生の中で唯一見つけた光”大神一郎”それを失った彼女は何もかもがどうでもよくなっていた、花組の事も帝都の事もバスコの事でさえ。もう…

 

『鳥も魚もどこへ行ったの〜とんぼも蝶もどこへ〜い〜ったの〜か〜えせ!か〜えせ!緑を!太陽を!か〜え〜せ〜』突然背後から女の歌声が聞こえてきた。

『誰?』マリアは前を見ながら聞いた。

 

『私は富士宮 ミキ、外国人さん汚いでしょうこの海、この海に生物なんてもう存在しないわ人間の自分勝手で死んだわ。私の大事な人も…あなたもなんでしょう?見ててわかったわ。ところであなた名前は?』マリアに向かって歩いていった。

 

『マリアよ…』マリアはつぶやいた。すると、彼女は横にきてポンとマリアの肩に手を置いた。

 

『マリアさんゴジラ、ヘドラって知ってる?』マリアには質問の言っている意味がわからなかった。

 

『ゴジラ?ヘドラ?何なのそれは?』

 

『ゴジラとは水爆実験の時に生まれた人類が作った化物の事よ。しかも核兵器の被害を受けた日本にばかりくるとはとんだ皮肉でしょう。』核兵器⁉︎水爆実験⁉︎マリアは状況が理解出来なかった聞いた事のない単語ばかりであった。

 

『核兵器とは?』マリアが聞くとミキは悲しい顔をしながら話した。

 

『核兵器とは昭和二十年アメリカによって作られた悪魔の爆弾日本の広島、長崎に落とされたの。』昭和⁉︎自分が今までいたのは太正十六年だったはず、まさか!グラン・マが勧めた場所は並行世界だったのか!

 

『な、なんで日本に核兵器が落とされたの?』マリアは恐る恐る聞いた。

 

『あなた、何も知らないのね、昭和十六年 日本がアメリカの真珠湾基地を攻撃し、そこから戦争が始まったの、世界の経済状況が酷く、日本にも影響が少なからずあったみたい、だから戦争をして、資金を貯めようとして、私達一般人が被害を被ったのよ、戦争はもちろん、日本軍が惨敗、イタリア、ドイツとも手を組んだんだけどね、アメリカはフランスやイギリスなどとも組んでて圧倒的に不利、ドイツ、イタリアと次々と降伏したんだけど、日本だけは中々降伏しなかったの、そこでアメリカは核爆弾を日本に落とし、降伏させたの、核兵器には爆弾とは違い威力もさることながら生き残っても一生体に重い後遺症を残す放射能を出す悪魔の兵器なの、その後アメリカは昭和二十八年ビキニ環礁で水爆実験を行ったそれによって海底で眠っていた恐竜が放射能の影響で体が変形し、誕生したのがゴジラなのよ。皮肉にも日本に何回もせめてきたのよ。』

 

『太正という年号ではないのね。』

 

『大正は昭和の前の年号よ、十五年間続いたわ。』そう聞くとマリアは考えた。

 

(やはり、私達の世界と意見が食い違う、でも…そう遠くない未来、戦争や核兵器が作られる可能性がないわけではないわね。ゴジラは人間が作り出した降魔みたいな物ね。隊長が頑張って守った人間は自らの手によって死んでしまうのね…)色々な感情が頭の中で渦巻いていた。

 

『そして、日本は経済を良くするために、産業を発達させた。だが、その代償として、海を汚し、空を汚し、生物を死滅させた、そうして垂れ流しでたまったヘドロを吸収した生物がヘドラよ。ヘドラは全ての生物の敵!へドラが移動する事によって出る有害物質によって、たくさんの人が死んだ!しかもそれを倒したのが人間だけの力では無理でゴジラに手を貸してもらったんだけどね、それを人間が作り出したのよ…お笑い草ね…私の大事な人も死んでしまったわ、彼とは短い付き合いだったけど、とても素晴らしい人だったわ、彼とはもう少し一緒にいたかったわ、今では…叶わない願いだけどね…』マリアは彼女が泣いているのに気がついた。今の彼女には充分すぎるほど気持ちがわかった。

 

『おねーちゃーん』少年が叫びながら近づいてきた、この少年は矢野 研(やの けん)へドラを倒した矢野 徹(やの とおる)博士の息子である。

 

『大変だよ!へドラがまた現れた!前倒したのとは違うやつだってお父さんいってた。』ミキはすぐに立ち上がり。

 

『マリア、あなたも来てくれない、見せてあげる、人が作りし化物を。』マリアに手を伸ばした。

 

『わかったわ。』マリアは考えた(光武二式はかなりのダメージを受けているわ、でも、この命を賭ける!私は人間に絶望しました、隊長、すみません、この命無駄にします!)マリアはミキの手を掴み少年についていった。

 

 

 

 

 

 




次回予告
マリア『人間は愚かだ、なぜ、自らの手で自らの首を絞める様な真似をするのかもう、私には…
次回サクラ大戦4外伝第十一話俺が愛したサイボーグ 昭和の自然が泣いている。
???『悲しい思いをする人間をこれ以上増やさないでくれ。』

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