もしもネギま!の世界に悪魔の実があったら 作:リョーマ(S)
お久しぶりです。
世界樹前広場。
「なんでウチがぁぁ!」
亜子は絶叫していた。なぜ彼女が大きな声を上げているのか、理由は明白である。
先ほどの立体映像で、超鈴音が発表した賞金首のリストに自身の名前と写真があったからだ。
星の数は3つ。つまり彼女の身柄を捕らえたものには、600万の賞金が与えられるのだ。
「えっ! 亜子どういうこと!」
「ウチの方が訊きたいわ! こんなん知らん!」
裕奈が事情を訊ねるが、何も知らない亜子に答えられる訳もなかった。
「……亜子」
「亜子あんた、超りんに何か悪いことしたんじゃないの?」
「濡れ衣やァ!」
アキラと裕奈も親友がターゲットにされていることに戸惑っている様子だ。
「あーこ捕まえたら、僕たちも賞金もらえる?」
「もらえるですか?」
鳴滝姉妹はノリノリである。
「おい、今の見たかよ」
「星ひとつにつき、200万円の賞金だってよ!
「あぁ、それにあそこにいるあの子って三ツ星の子だぜ!」
周りの参加者も、さっそく亜子を見つけてなにやらコソコソ話をしている。
「あわわわわ!」
「亜子、早くここから逃げた方がいいんじゃ……」
「よくわからないけど、このままだとすぐに捕まるよ?」
「んなことゆーたってェ!」
そんなこんなしている内にも、状況は刻一刻と変化していく。
「おい、なんだアレ!」
広場にいた誰かが叫んだ。入口では敵のロボットが見慣れない武器を構えていた。
重厚な武器に気を取られたのも束の間、そのガトリングガンから発射された弾丸があっという間に周辺にいた生徒たちを消し去っていく。
その場所にいた者は皆、まさに唖然としたという感じだ。
「いたぞ!」
「三ツ星だ!」
「こんなに早く見つけられるとはラッキーだぜ!」
「600万いただいたァァ!」
いきなり現れたロボットに、ただでさえ混乱しているにもかかわらず、懸賞金を掛けられた亜子がその場にいたことで、状態はさらに混沌となった。
強制時間跳躍の弾丸を受けてその場から消える者。
その弾丸を避けるために物陰に隠れる者と反撃に出る者。
懸賞金の掛かった亜子を見つけて彼女を捕らえようとする者。
襲い来る諸々から逃げる者。
取る行動は、人それぞれだ。
「イーーヤァァァァ!」
亜子は絶叫しながら、ひたすら走りだした。裕奈やアキラ、鳴滝姉妹も、後に続く。
「逃がすなぁ!」
「追えェ!」
「うわッ!」
「きゃーッ!」
「な、なにッ!」
大声を上げながら走れば、当然まわりの人達の注目も引くわけで、懸賞金狙いの生徒も逃げていく彼女たちの後に続いた。その一部の生徒はヒト型ロボットの弾丸にやられ、黒い時空の渦に飲まれていた。
「待てェェ!」
「わぁぁぁ!」
「逃がすかァァ」
「いやぁぁ!」
「600マァーーン!」
「ちゃうてぇぇ!」
亜子を先頭に、生徒の団体が広場中をあっちへこっちへ一斉に駆け回る。まるでギャグマンガのような光景であったが、追う生徒が銃弾の的となり状況は次第に悪化していった。
「はッ囲まれた!」
「どうする?」
「あーこピーンチ!」
「私たちもピンチですよぉ!」
やがて、ヒト型ロボットの軍団が亜子達の前に立ちはだかった。前にロボット、後ろに懸賞金狙いの生徒たちと、ついに亜子達は逃げ場を失った。
裕奈、アキラ、鳴滝姉妹は周りを見ながら冷や汗を浮かべる。
「誰か助けてぇなぁーー!」
亜子が涙目になって声を上げた。
次の瞬間……。
「
「
「武装色、硬化」
何者かの声と共に、ズドンっという鈍い大きな音が響いた。
全員がその音のした方へ目を向ける。するとそこには、先程まで立っていたロボットの一団の残骸が転がっていた。そしてそのそばには、そのロボットの残骸を作ったと思われる三人の姿があった。
「なるほど、敵の狙いは私達の分断ですか」
「敵ながら見事な作戦ですね。私達の作戦を利用するとは……」
その内の二人、佐倉愛衣と高音・D・グットマンは周りの事態を見て、敵である
そしてもう一人、黒いコートを羽織った少年……加賀美総一は、スーパーヒーローのような着地の状態で黒い拳をロボットの残骸に突き立てていた。
「おい、あの子達!」
「二ツ星ふたりと五ツ星だ!」
「400万と400万と1000万だ!」
「合計で、に、2400万だァァ!」
亜子の星目当てに追っていた生徒たちが、三人の姿を見て各々声を上げる。
「人を値段で呼ぶなよ……」
そんな周りの連中を、総一は細い目で見ていた。
「加賀美君!」
総一は亜子達を懸賞金狙いの生徒から守るように前へ出る。
「あの、これって……?」
「説明は後だ。とりあえず、あの先輩に付いて行け。この場は俺が引き受ける」
総一が指で高音と愛衣を示すと、亜子達はそちらに目を向けた。
「あぁ! ネギ君に敗けた脱げ女!」
「誰が脱げ女ですかッ!」
「いいから早く行け!」
高音を見て声を上げた裕奈だが、総一に背中を押されて亜子達と共に走り出した。愛衣が先頭を走り、高音が後方を守る形で彼女たちは遠くへと逃げていく。
亜子達がその場から逃げて行ったのを確認して、総一はのっそりと振り返る。
「さて、1000万が欲しいってヤツは前に出な。相手になってやる」
「うっ!」
総一の挑発的な笑みに、軽い恐れを感じて、魔法使い装束の生徒たちは皆、後退りしていた。
TO BE CONTINUED ...
こちらの作品もよろしくお願いします。
・エスパー少年とオカルト少女
https://syosetu.org/novel/191017/
・魔法少女と超英雄
https://syosetu.org/novel/239091/
・ネイチャープロトコル:ヒトの破滅まで、あと2年
https://syosetu.org/novel/243636/
もしも本作のネギまキャラに海賊旗があったら、見てみたいのは……?
-
ネギ・スプリングフィールド
-
神楽坂 明日菜
-
雪広 あやか
-
エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル
-
超 鈴音