もしもネギま!の世界に悪魔の実があったら   作:リョーマ(S)

91 / 93
88. 懸賞金

 

 

 

 

「まさか、今の狙撃を防ぐとは……」

 

 学園の外れにある森に隠れながら、龍宮真名はターゲットである総一が狙撃を防いだことに驚いていた。

 スコープ越しに見ている真名と違い、総一は真名を確認できているはずがなかった。しかし、今、真名の撃った強制時間跳躍の弾丸を魔法の射手で相殺したのだ。

 

「やはり見聞色の覇気を持つものに狙撃は不利か……仕方ない、当初の予定通りに仕事を進めよう」

 

 真名はライフルの銃口を空を飛ぶ総一から、街で戦っているヒーローユニットの魔法先生へと向けるのであった。

 

 

 

 その頃、学園の空に一席の飛行船が浮かんでいた。

 

「クザンさん、委員長さん、加賀美さんの手によって、鬼神ロボット兵器6体の外装が凍結しています。1体は軽度、2体が中度、3体が重度の凍結です。いずれも機能に損傷は確認されませんが、作戦の大幅な遅れが予測されます」

「ニヒヒヒ。まさかここまで大胆な作戦に出るとはネ……!」

 

 飛行船の上では(チャオ)鈴音(リンシェン)と葉加瀬聡美が独自のネットワークを介して、自分たちの計画進行状況を把握していた。

 

 急遽学祭イベントが変更され、未来に跳ばしたネギが戻って自分の計画を阻止するために動き出したと知った超は、計画の開始時間を早めて不意を突いた。

 しかし、その甲斐もむなしく、彼女の計画のかなめとなる鬼神ロボットは、麻帆良の能力者たちによって外装を氷結され、予想外の足止めをくらった。

 その作戦の大胆さと計画への支障の大きさに、思わず超の笑う顔も薄っすら引きつっている。

 

「どうしましょうか?」

「とにかく、私も真名と一緒に魔法先生たちを“跳ばして”くるネ。葉加瀬はこのまま強制認識魔法の準備を頼む」

「大丈夫ですか? 高畑先生もですが、委員長さんや加賀美さんも対処するとなると、かなり大変ですよ?」

「……うむ」

 

 超は顎に手を当て、しばし考える。相当、焦っているのだろう、その額のすみにはうっすら冷や汗が見える。

 

 現在、超がやらなければならないことは、魔法使いと能力者を無力化して、なんとか計画の遅れを取り戻し、強制認識魔法を発動することだ。

 それを達成するには、魔力溜まりに侵攻しているロボット軍団に強制時間跳躍弾を装備させてイベント参加者たちを無力化し、自分たちの手で他の魔法先生や能力者を無力化させなければならない。

 

 魔法先生の多くは真名が対処する予定なので特に気にしていない。彼女の実力なら一般の魔法先生レベルは十分対処できるだろう。

 しかし、タカミチやクザン、あやか、総一、ネギといった一部の面々は、一人一人相手にしていたら(不可能ではないが)圧倒的に時間が足りない。

 その中の何人かを相手にしているうちに、残りの誰かが鬼神ロボットを一体でも機能を停止させられてしまえば、その時点で超の敗けだ。

 現状を考えると、戦況は超側には人手が足りず、かなり不利である。

 

「…………ニヒヒ!」

 

 だがやがて、超は口の端をつり上げ、悪戯を思いついた子供のような笑みを浮かべた。

 

「ニヒヒヒヒ!」

「何か良い作戦が思いついたんですか?」

「うむ、“面白いこと”思いついたネ!」

 

 笑いながら頷く超に、葉加瀬は「どうするんですか……?」と首を傾ける。

 

「このイベント、私も少し利用させてもらおうカナ」

 

 

 

 

 ☆☆☆

 

 

 

 

「雪(ラビ)

 

 散弾のように放たれた兎の形をした雪玉は、建物の屋根にいたロボットの群れを凍りつかせて身動きできなくする。

 

「ッ!」

 

 そこを、タカミチが居合い拳を放ち、ロボット軍団を一掃した。その流れるような一連の動きは、まるで事前に打ち合わせでもしたかのようであった。

 

「あやか君!」

 

 タカミチはあやかの名前を呼ぶと、片足だけで跳躍して、彼女の元までやってくる。

 

「あれは、君が?」

 

 湖で凍りついている鬼神ロボットを見ながら、タカミチは訊ねた。鬼神ロボットのボディには雪が積もっていて、氷結した装甲によって周辺の空気は白い霧のようになって立ち込めている。

 

「えぇ。発案したのは加賀美さんですが、今こうしているのは、あくまで私の意志でやっていることです」

「そうか……」

 

 頷きはするものの、タカミチは深刻なものを見る眼で、あやかと周辺にいる魔法先生達を一瞥した。周辺では弐集院先生を含めた魔法先生が、驚愕と警戒の混じった眼であゆかを見ていた。

 

「これだけ目立てば、君も加賀美君も、この後どうなるか分からないよ?」

「分かっています」

 

 あやかは力強く頷くと、近くまで迫っていたヒト型ロボットをアーティファクトで薙ぎ払う。吹き飛んだロボットは吹雪に打たれたように凍りついて壊れた。

 

「ですが、ネギ先生達をオコジョにさせるわけにはいきませんから!」

 

 そう言って、あやかはそのまま辺りのロボット軍団を破壊しに向かった。

 

「……やれやれ」

 

 残されたタカミチは苦笑いして、ため息をこぼす。

 そんなタカミチの元に、今度は弐集院先生がやってくる。

 

「高畑先生、彼女は一体……?」

「彼女は……」

 

 そこで言葉を区切り、タカミチは去っていたあやかに目を向けた。彼らの立っている建物、そこから離れた別の建物の屋上では、またあやかの一閃で雪像のようなロボットの残骸が作りだされていた。その戦い様は、まさに雪の女王といった感じだ。

 

「詳しくは時間がないので言えませんが、とりあえずは我々の味方と思ってもらって大丈夫です」

 

 弐集院先生の問いに対して、タカミチは曖昧に答えた。

 いま、あやかを中心にして肌に刺さるほど冷たい空気が漂っている。だが、周辺にその発生源らしいものや魔力は一切ない。しかも詠唱や魔方陣もなく氷雪を発現させて攻撃にしている彼女の戦い方は、能力者の実在について知らない魔法使い達にとっては、異様そのものである。

 いくらアーティファクトを使っているといえど、これでは誤魔化し切れるはずもなかった。

 しかし、そんなことは百も承知という感じで、あやかはあえて目立とうとしているかのように、能力を使ってロボットを破壊していっていた。

 

「それより、今のうちに封印処理を」

「あ、あぁ、そうだね!」

 

 あやかのことが気になる魔法先生たちだが、今の最優先事項は鬼神ロボットの対処である。弐集院先生は周りの魔法先生に指示を出して、タカミチの言う通り封印処理を開始した。

 

 

 

 鬼神ロボットが凍結され、湖が氷で覆われているおかげで、ロボットの数は減ってきているが、街では事前に侵攻していたロボットと生徒たちとの戦闘が続いていた。

 花火のような発射音や機械の稼働音とともに、生徒たちの歓声が響く。一時は皆、突如現れた鬼神ロボットと、その巨大なロボットが一瞬で凍りついたことに驚愕していたが、今はまたポイントを稼ぐためロボットを撃ち倒している。

 

「ハァァァ!」

 

 ビームと魔力の弾丸が飛び交う中、その軌道をすり抜けるように飛翔して、総一はロボットの軍勢に斬りかかる。

 一体、また一体と、ヒト型ロボットは破壊され、道に転がるガラクタになっていく。やがて、多脚戦車型ロボットの前に立った総一は、思いっきり地面を蹴って距離を詰めた。

 

鉄塊(テッカイ)、砕!」

 

 総一の硬化した拳によって、多脚戦車型ロボットは粉砕された。

 一瞬で敵が殲滅されたその光景に、周りにいた生徒たちは「おぉ!」と声を洩らす。

 

「すげぇ!」

「あれって、加賀美君だよな?」

「なんか背中から羽が生えてるけど、なんかの演出かアレ?」

「よくわからないけど、なんかカッコいいなぁ!」

 

 周りから注目されていることなど気にも止めず、総一はそのまま獣型の姿を晒している。

 皆はイベントのコスプレか何かだと思っているが、そんな彼の姿を目にしたのは、周りの一般生徒たちだけではない。

 

「加賀美さん!」

「ん?」

 

 天界の神弓(アーティファクト)を持ち変えて次に向かおうとしたとき、生徒が二人、総一に近づいて声をかけた。

 その二人……高音・D・グットマンと佐倉愛衣は、観察するような眼で純白の翼を生やした総一を見る。

 

「あなた、その姿……」

「悪魔の実の能力ですよ。ヒトヒトの実、モデル天使」

 

 二人には麻帆良祭二日目の武道会の時に自身が能力者であることを暴露しているため、総一は特に改めることもなく、羽を広げて見せる。二対の翼と頭上にある光の輪っかを身につけたその姿は、まさに神話などに出てくる天使そのものだ。

 他の魔法先生ならば大層驚くところだが、二人の場合、事前にシスターシャークティから話を聞いていたこともあり、他より反応が薄い。

 

「話は聞いてましたけど、ホントだったんですね……でも良いんですか? シスターシャークティの話だと、それって秘密なんじゃ」

「あぁまぁ、学園の魔法使いにはバレるけど、今は一大事だし、魔法と一緒に全世界にバレるよりはマシだからな」

「あの巨大ロボットを止めたのも貴方ですか?」

「はい。正確には()()()ですけど……」

 

 純粋な疑問から訊ねた愛衣に対して、高音はやや警戒を含んだ口調で総一に訊ねた。

 その高音の表情を見て、総一は彼女が悪魔の実の能力者を危険視していることを思い出した。

 

「はぁ……そんなに警戒しなくても、雪広や青藤先輩……えーと、これをやった能力者たちは学園の味方ですから、そう警戒しないで」

『ニヒヒヒヒ!』

 

 警戒しないでください、総一がそう言おうとした瞬間、辺りに不気味な笑い声が響いた。

 

「なんだ?」

 

 その声は、どうやら学園都市の全体放送用のスピーカーを使っているようで、学園全体に流れていた。

 総一は、その特徴的な笑い声から、声の主が超鈴音であることをすぐ理解する。しかし、全体放送を使っているとあって。本人がどこにいるのかまでは分からなかった。

 

「超のヤツの声ですね」

「一体どこから……?」

「……あっ! お姉様アレ!」

 

 周りからの「おぉー!」「デケぇ!」「何だアレ?」「立体映像だ!」といった声を聴き、愛衣は皆が見上げていた方を示す。

 そこには世界樹の大きさに勝るとも劣らないほど大きな超鈴音の立体映像が出現していた。

 

『見事ネ、魔法使いの諸君! 私が火星ロボ軍団の首領、超鈴音ネ!』

 

 湖の上空に浮かび上がる映像の超は怪しげな笑みを浮かべ、街にいるすべての魔法使い達と向かい合う。丈の長いローブを着て、仙人のように手を組むその姿は、まさに親玉といった感じだ。

 

『君たちの快進撃には感心するばかりだた。さすが麻帆良生ネ。やられても復活するルールは有能なキミたちには少々優しすぎたようダ。それに、“ヒーローユニット”の手による6体すべての巨大ロボットを凍らせて足止めをする策には肝を冷やしたヨ。私たち火星ロボ軍団も、まったりしてられなくなったネ……よって、我々は今から奥の手を使うことにしたネ』

 

 映像の超は、ライフのような弾丸を取り出して皆に見せる。

 それを見て、総一は「やっぱりアレか」と呟いた。

 

『これは秘密の新技術を用いた特殊な弾丸ネ。これに当たった瞬間、即失格……負け犬部屋へと強制搬送されて学園祭が終わるまでグッスリと寝ててもらうことになるヨ』

 

 超の説明を聞いて、生徒たちは「マジか!」「それは厳しい条件だなオイ」「新技術って何だ?」と口々に言う。弾丸の原理はさておき、一般生徒にとっても弾丸一発で退場になるのはキツいペナルティである。

 

『それがイヤというなら、もちろん棄権してもらってもヨロシイヨ。だが、せっかくの学園祭クライマックスを寝て過ごす、あるいは、こんな面白い“ゲーム”を棄権するのも勿体ないと思う者も多いだろう……そこで、私からひとつ“ルール”を追加しようと思うネ!』

「……ルール?」

 

 それまで何ともないように聞いていた総一であったが、そこで初めて顔をしかめ、イヤな予感を感じ取った。

 

『今から発表するメンバーを捕らえ、行動不能としたものには、私から懸賞金を出そう。懸賞金の額はメンバーに設定した星1つにつき、200万円ネ!』

「おぉ!」

「に、200万だってッ!」

「マジかよ!」

 

 その普通のイベントでは考えられないほど大きな額に、参加者の全員に衝撃が走り学園のあちこちから驚きの声が響いた。

 

「これって……」

 

 周りからガヤガヤとした喧噪が聴こえてくる中、総一はひとり既視感を覚える。

 

『ではさっそく、晴れて賞金首となるメンバーを紹介しよう!』

 

 生徒や魔法先生たちのリアクションなどお構いなしといった感じで超がそう言うと、彼女の立体映像の隣にターゲットの星の数と名前、顔写真が投影された。

 

 

 

『まずは一ツ星ヨ』

 

 ガンドルフィーニ先生

 

 葛葉先生

 

 神多羅木先生

 

 瀬流彦先生

 

 弐集院先生

 

 その他、ヒーローユニットの先生たち

 

 

『続いて、二ツ星』

 

 佐倉愛衣

 

 高音・Ⅾ・グットマン

 

 神楽坂明日菜

 

 桜咲刹那

 

 古菲

 

 長瀬楓

 

 村上小太郎

 

 タカミチ・T・高畑

 

 

『そして、三ツ星』

 

 【青雉】青藤礼司

 

 【雪女】雪広あやか

 

 【看護嬢】和泉亜子

 

 

『最後に、五ツ星ネ』

 

 【海賊天使】加賀美総一

 

 【子供先生】ネギ・スプリングフィールド

 

 

 

 

「…………は?」

 

 目の前に大きく映し出された赤毛の少年と自身の映像に、総一はポカンと口を開けて固まった。

 

「な、ななななっ!」

「え、えぇぇーーーーっ!」

 

 隣に立っている高音と愛衣も目を丸くして動揺している。

 

「おいおいおい、星1つにつき200万ってことは」

「つまり、あの五ツ星の人を捕まえれば、一千万も手に入るってこと?」

「麻帆良の初等部から大学までの学費分だぞ!」

「バイトしなくて済むじゃん!」

「けどそんな高額の賞金、ホントにもらえるのか?」

 

「先生たちが星一つって……どういう基準でランク付けしてるんだアレ?」

「あの賞金首の人たちって強いのかな?」

「そりゃあそうだろう。なんたって最高一千万だぜ?」

「星が増えるほど捕まえるのが難しいってことだろうな」

「なぁ、二ツ星のメンバーって、昨日の武道会に出てた子達じゃないか?」

「俺、武道会見てたけどヤバかったぞ」

「えぇ-でもアレ演出でしょ?」

 

「いま発表された人たちって、全員ヒーローユニットだよね?」

「えっ! じゃあ俺達の味方を倒せってことかよ!」

「このまま魔法チームとして拠点を守るか、寝返って賞金首を狙うか……」

「くそぉ、悩むなぁ」

「裏切って賞金ゲットなんて、なんかカッコ悪くねぇーか?」

「けど一撃失格もキツいぜ」

 

「おい、あそこにいるのって」

「あぁ、二ツ星と五ツ星の子たちだ!」

 

 発表を聞いて生徒たちに困惑が広がっている。中には総一や高音と愛衣を見つけて、なにか躊躇しているような顔をしている者もいた。

 

『捕らえる方法はキミたちに任せるネ。我々の火星ロボを倒してポイントを稼ぐも良し、賞金首を捕らえて懸賞金を稼ぐも良し。だが、すでに一ツ星のメンバーの数名は我々の仲間が始末している。時間が進むほどターゲットは減っていくネ。懸賞金を狙うものは早めに行動するのをオススメするヨ!』

 

 超は不敵に笑う。

 その笑みはまるで彼女と敵対している“誰か”を挑発しているかのようだ。

 

『ニヒヒ。では諸君の健闘を祈ろう!』

 

 その言葉を最後に、超の映像は消えた。

 

「……どうするよ?」

「どうするったって」

 

 辺りの生徒は、まだ戸惑っている。

 賞金首の情報が敵役から提示されたとあって、その内容に疑問を持っている者も多いようだ。

 

(……アイツはいつから“悪のカリスマ”になったんだ?)

 

 原作知識を持っている総一といえど、この展開は予想しているわけもなく、周りの生徒と同様、困り果てていた。ちなみに、総一が困ってる原因は、味方に懸賞金が掛けられたことや自分が五ツ星の賞金首になっていることだけではない。

 

 

 しかし、その混乱した状況も長くは続かなかった。

 

「オイ、何だアレ!」

「えっ!」

 

 誰かが叫んだ。その声に反応して皆が周辺に目を向けると、そこには、ガトリング砲らしき武器を持ったロボットが生徒たちに銃口を向けていた。

 

「ええぇぇーーっ!」

「なんですかアレは!」

 

 高音と愛衣が驚いている間にも、ガトリングの銃身が回転し始める。

 そしてガトリングの銃口が火を噴き、被弾したものが皆、黒い渦に飲み込まれ、姿を消した。

 

「き、消えたァ!」

「これが、いま言ってた失格弾か!」

「スゲェ、どういう原理なんだコレ!」

 

 混乱していたその場の反応は、一瞬にして驚愕に染まる。跡形もなく消えた仲間を見て、むしろ軽く恐怖すら覚えるものもいた。

 

「やべぇ!」

「一旦さがるぞ!」

 

 生徒はガトリング砲から逃げるため、急いで物陰へ隠れる。

 生徒が逃げる中でもガトリング砲は次々発射されて何人かの生徒は被弾した。やがてガトリングの銃口が総一たちに向けられる。

 

「あわわっ!」

「落ち着きなさい愛衣、急いで障壁を!」

「それじゃダメです」

 

 弾丸を魔法障壁で防ごうとしていた二人の腕を取って、総一はそのまま勢い良く飛翔する。

 

「ひゃーっ!」

「きゃっ!」

 

 予期していなかった力に引っ張られて二人が短い悲鳴を上げると同時に、三人が立っていた場所を弾丸が過ぎった。

 

「きゅ、急に何するんですか加賀美さん!」

「あの弾丸に魔法障壁は役に立ちません。あの黒い渦は障壁もろとも囲みますから」

「そうなんですか?」

 

 腕をつかまれ、吊るされているような形になっている高音と愛衣は、顔を上げて総一を見る。

 二人分の体を持ちながらも、総一は綺麗な翼をはためかせてゆうゆうと飛んでいた。

 そして二人の腕を取ったまま、総一はどこかへ向かって飛び始める。

 

「ちょっと、どこ行くんですか! 障壁が効かないからって逃げる気ですか?」

「ンなわけないでしょう」

 

 高音の言葉に、総一は目を細めいて視線を下におろす。

 

「じゃあ早く戻って、戦闘を!」

「さっきとは状況が変わりました。このままあそこで戦闘を続けても戦況が悪くなるだけです」

「状況って……あの懸賞金のことですか?」

 

 愛衣が訊くと、総一は「あぁ」と短く肯定して顔を前に向ける。

 

「でもまぁ、あの二ツ星の連中が一般の生徒たちに捕まるとは思えませんし、一ツ星の先生たちも心配はないでしょう」

 

 捕まる前にむしろ超と龍宮にやられるだろうなぁ、と総一は内心で付け足した。

 

「けど、あの中にただ一人、狙われたら自力で対処できないヤツがいます」

「「えっ!」」

 

 

 

 

 

 

 TO BE CONTINUED ...

 

 

 

 

 

 

 






 本家ドフラミンゴのゲームに比べたら緊迫感が足りないけど、だからこそ成り立っている超のゲームです。
 できれば二ツ星のメンバーにも異名をつけたかったなぁ。


 評価、感想など、よろしくお願いします。

もしも本作のネギまキャラに海賊旗があったら、見てみたいのは……?

  • ネギ・スプリングフィールド
  • 神楽坂 明日菜
  • 雪広 あやか
  • エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル
  • 超 鈴音

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。