ワンパンマン ー My only partner ー 〜更新一時停止〜 作:シドー@カス虫
次回はこんなことにならない……はず
ーー災害レベル
ヒーロー協会によって怪人はランク付けされる。このランクはけして単純な強さだけで決まるわけではない。
一度災害レベルの基準をまとめてみよう。
レベル「狼」:危険因子となる生物や集団の出現(怪人としては最弱クラス。一般人でも人数と道具さえ揃えば対処できるレベル)
レベル「虎」:不特定多数の生命の危機を齎しかねない
レベル「鬼」:都市全体の機能の壊滅が危惧される
レベル「竜」:複数の都市の壊滅が危惧される
レベル「神」:人類文明の存続が危険視される
これがヒーロー協会によって定められた災害レベル認定の基準だ。
ヒーロー認定試験の筆記にもでるので覚えておこう!
* * *
ある日の朝
ここは Z市の東のはずれにある無人街。
2〜3年ほど前から高レベル怪人の発生事件が急増、住人が中心街に大移動したことで、電気や水道などのライフラインが遺されたままになっている。
今なら格安で住めるが、命の保証はない…
そんな危険地帯で、チバはジョギングをしていた。
何故ここで走るのか? サイタマとチバはこの無人街に住んでいるからだ。
就活時代から二人はこの街に住んでいる。住み始めた頃はまだ無人街ではなかったが。
無人街では災害レベル虎〜鬼以上を見かけるのが当たり前だが、レベル鬼までならチバにとってさほど脅威ではない。
サイタマにいたってはレベル竜すら敵ではない。あるいはレベル神すら……
ようするに、二人にとって危険地帯はさほど危険ではないのだ。
むしろ住んでるアパートの家賃が激安になったので好都合だった。
まぁ チバは稼いでるので安くなった時にサイタマの隣の部屋に引っ越したが。流石に男二人では狭く感じたので。
おっと、話が逸れてしまった。
とにかくチバはいつもの街でジョギングしてただけだ。
ピシッ!
チバが街を一周したとき、コンクリの道にヒビがはいった。
「…何かが、来る」
一つだけハッキリしておこう。チバがこの街に住んでるのは家賃が安いからではない。
サイタマがいるのも理由だが……
「……ネタが 来る!」
怪人(ネタ)を探すのが楽だからだ。
* * *
ジリリリリリ
枕元でけたたましく鳴り響く目覚まし時計がサイタマを夢から現実へと強引に引き戻す。耳障りな音を鳴らすそれを布団に入ったまま叩き、床を陥没し無人の下の階に転がる。
布団から上半身を起こして、その姿勢のまま固まる。
その表情は茫然としていた。
サイタマは夢で地底人と戦っていた。脅威的な数と力でサイタマを襲い、彼らの首魁『地底王』とまさに今戦うときに目が覚めたのだ。
サイタマは落胆し二度寝に入ろうとすると
「人間ごときがこの我‼︎地底王の侵攻の邪魔をするなぁああああ‼︎」
「ごちゃごちゃうるせぇ‼︎地底人についてネタ寄越せぇえええええええ‼︎」
なんて 噛み合ってない会話が外から聞こえる。
「地底王……だと⁈」
夢は現実になった。
* * *
「くらえぇえええええええええええええええ‼︎」
地底王が4本の剣を振り下ろす。赤く迸る剣は爆炎の斬撃を生み道路を炎で染める。
チバはアパートに当たらないように避ける。
「さっさと地底人の食生活について吐けぇ‼︎」
「えぇいちょこまかと避けて‼︎そもそも何故攻撃してこない⁈」
「そこまでだ! 地底人ども!」
「え⁈ ぎゃばぁっ‼︎」
アパートからサイタマが飛び出す。
地底王は踏み潰され気絶する。
「俺の獲物(ネタ)がぁああああああああ⁈」
「さぁ やろうか‼︎」
チバは絶叫し、サイタマは良い笑顔で臨戦態勢をとる。
しかし…
『すみませんでした』
王が瞬殺されて地底人たちは掘ってきた穴から逃げた。(死んでない)
地底王も忘れず連れて逃げた。
「待てぇえええええ‼︎ネタ寄越せぇえええええ‼︎」
チバは穴から地底人一行を追う。圧倒的な情熱を持つその姿はむしろ清々しさすらある。
「俺は、強くなりすぎたのか……チバが羨ましいな」
サイタマは絶望した顔で立ち尽くす。圧倒的な哀愁を持つその姿はむしろ美しさすらあった…
ここはZ市の無人街
街は今日も平和だ
後日
「んで地底人と親交を深めたんだよ!地底王も話せば気が合うし!」
「……ああ、うん」
「しかも、友好の証に地底王のと同じ剣を作ってもらったんだ♪」
「…ヨカッタネーー」