ワンパンマン ー My only partner ー 〜更新一時停止〜 作:シドー@カス虫
あ、マルゴリのサイズは公式設定です。
D市郊外
ここには、とある兄弟の研究所が存在する。
弟は、世界で一番強い男を目指していた。
この研究所で毎日必死にトレーニングをしている。
兄は、世界征服を企んでいた。
この研究所で日夜研究に没頭している。
この日、最高の知力と最強の肉体が最悪の地獄を生む。
* * *
「きょーきょきょきょきょ‼︎ついに!ついに究極のステロイド『上腕二頭キング』が完成した‼︎」
白衣の兄ーーフケガオが奇妙な笑い声を上げながら試験管の中身、上腕二頭キングを見つめる。
「弟よ、これさえ飲めば最強の力が手に入るぞ!」
「これを飲むの、兄さん…」
飲むのを躊躇うアスリート体型の弟ーーマルゴリ。そのステロイドはヘドロのような色をしている。当然の反応だ。
「安心しろ、お前が飲みやすいようにイチゴ味にしてある!」
「兄さん…」
安心したマルゴリは躊躇なく飲む。
効果はすぐにあらわれた。
全身の筋肉が膨張、肥大化。衣服は破け研究所を破壊。それでもまだ大きくなる。
それは、巨人だった。
全長はーー約270m
『進○の巨人』の超大型巨人が可愛く見えるほどの圧倒的サイズ。
(俺はただ世界で一番強い男になりたかった。それが夢だった…)
兄を肩に乗せて巨人ーーマルゴリは進む。
(俺は、最強になれたんだ!)
その力を、世界に知らしめるため……
* * *
D市のとあるスーパー
レジで買い物かごに商品を入れたまま、会計を済ますべく財布を確認している男がいる。サイタマだ。後ろにはチバが順番待ちしてる。
サイタマはヒーロースーツを着ているが、店内に入る人達は気にも留めない。よく見かけるヒーローの1人と思ったのだろう。
「あっ足りねぇ…。チバ、貸して」
「後で返してね」
チバが自身の財布を探り、サイタマが今か今かと待つ。
2人は気づいていない。
既に店にいた人達が全員逃げたことに。
店内の明かりが消えた。
2人はやっと異変に気づいたが、
瞬間。建物が倒れた。
2人がスーパー(だったもの)の外に出ると、目の前に巨人がいた。正確には巨人のかかとだが。
「…行くか」
「…だね」
サイタマが飛ぶ。
ただのジャンプだが、270mなら助走もいらない。一気に左肩にまで到達した。
チバがジャンプする。
少し助走したが100mほどの高さで勢いが落ちる。チバは上半身ほどある巨人の毛穴にしがみつき、またジャンプする。計3回のジャンプで右肩に到達した。
* * *
巨人マルゴリが街を闊歩している。その右肩には兄のフケガオがいる。
「よーしいいぞ‼︎俺が頭脳でお前が筋肉、最高の知力と最強の肉体があれば地上のすべてを征服し、俺達兄弟が世界の王になれる‼︎」
マルゴリが腕を薙ぐ。その風圧だけで斜線上のD市の大部分が崩壊した。
「すごいぞ弟よ‼︎数万人は死んだ!よーしそのまま隣の町も掃除だ‼︎」
『――緊急避難警報です 災害レベル「鬼」です D市に巨大生物が出現し、D市が消滅しました 巨大生物はB市に接近中の模様です 近隣住民は 至急避難してください」
B市は阿鼻叫喚の叫びが響き渡る。
「うきょきょきょきょ!どうだ弟よ!」
「最強の男になった感想は?」
「…って誰か乗ってる‼︎後ろにもいる‼︎」
「ハロハロ〜」
サイタマとチバがマルゴリの肩にやってきたのだ。サイタマが左肩、チバがフケガオの後ろだ。
「パンツ履けよ」
「じゃあ科学者さん早速取材を…」
「えーい何なんだお前達は‼︎俺たち兄弟を倒しに来たのか⁈」
「うん」
「へぇ〜この巨人と兄弟なんだ。じゃあ尚更根掘り葉掘り聞かないと」
「もう面倒くさい‼︎弟よ、肩に乗ってる奴を殺せ‼︎」
マルゴリが手を動かす。その手はチバとフケガオのいる右肩に向かって…
バチンッ‼︎
「兄さああああああああああああああああん!!!!」
兄のいた方を叩いたのに気づいた。
「どうしてこうなったあ‼︎俺はただ強さを求めていただけなのに‼︎やっと最強の男になれたっていうのに‼︎」
サイタマがニヤニヤ笑う。右肩にはチバもいたのに全く動じてない。
「誰だか知らんがお前のせいで兄さんが死んだ‼︎許せん‼︎」
マルゴリがサイタマを掴み、地面に全力で叩きつける。建物は崩れ巨大なクレーターができる。
マルゴリはそこを踏みつけ、更に怒りの拳を叩き込む‼︎
「最強‼︎これが俺達兄弟の 最強の力ぁああああああああああああああああ!!!!!」
ラッシュ!ラッシュ!ラッシュ‼︎
巨体からは考えられないほどの高速ラッシュが叩き込まれる。一撃一撃が加わる度に地面が抉られ、土砂が吹き上がる。
やがてそこには、マルゴリが入れそうなほどの大穴が出来上がった。
「俺は最強の男」
「だから なんだ…」
「……虚しい」
「だよな」
穴の底から跳躍してきた。サイタマだ。
バゴォン!!!!!
サイタマの拳がマルゴリの頬を打ち抜く‼︎
「圧倒的な力ってのは つまらないもんだ…」
一撃
拳1発で、マルゴリの意識はこの世から途切れた。
* * *
5分前
「あ、危なかった…死ぬかと思った……」
「な、何を考えてるんだ弟よ……」
B市のとある道路
マルゴリに潰される前にチバは飛び降りたのだ。フケガオも連れて。
もちろんサイタマは気づいている。
「じゃあ今度こそ取材を…どうせ巨人もすぐ片付いちゃうしね」
「じょ、冗談を抜かすな‼︎それに取材と偽って捕まえる気だろうが、そうはいかん‼︎」
そういうとフケガオはポッケから試験管を取り出した。中にはマルゴリが飲んだ『上腕二頭キング』が少し残っている。
「邪魔をするなら俺が直々にお前を殺してやる‼︎」
フケガオが残り僅かの中身を飲む。するとマルゴリほどではないが筋肉が膨張、衣服も破れ体躯が大きくなる。
体長10mほどの、筋骨隆々の男になった。
「きょーきょきょきょきょきょきょ‼︎量が少ないのでサイズはまだまだだが、戦闘能力は充分‼︎貴様を‼︎」
「殺す‼︎」
フケガオの拳がチバの腹に叩きこまれる。
チバはそのまま吹き飛ばされ、巻き込まれた建物が派手に倒壊する。
「この程度か青年よ!まるで手応えが…」
「ちょっと痛い!」
「なっガハァッ⁈」
瓦礫から即座にチバが飛び出し殴り返す。
チバは堪えてなかったが、フケガオは膝をつく。
「バ、バカな…何故、こんな力が…」
「悪いけど、段違いにデカくなけりゃ鬼レベルも問題ないんだよね〜」
ラッシュ!ラッシュ!ラッシュ‼︎
フケガオの腹に拳を叩き込む。
50発ほどでフケガオが倒れる。意識は残ってるが喋ったりする余裕は全くない。
「さて、巨人はすぐ終わるし…取材どうしよ。家に連れて帰ろうかなぁ」
バゴォン!!!!
空からイイ音が響く。
サイタマの拳がマルゴリの頬を打ち抜いたのだ。
「お、もう終わったね。じゃあ家に……」
そのとき異変は起きた。
まず周りが暗くなった。具体的にはB市全体。
次に、巨人がデカくなった。正確には近づいてきて大きく見えるだけだが。
まぁようするに
倒れてきてるのだ。チバがいるB市に。
「あああああああああああああああ⁈」
逃げる。脇目も振らず逃げる。
そして圧死圏内から出たころに、
「あ、科学者さん忘れた」
ズドォォォォォォォン!!!!
マルゴリの亡骸は、フケガオごとB市を潰した。
B市 消滅
「サイタマァァ‼︎殺す気かぁぁぁ‼︎」
「いや悪かったって」
「それで済んだら警察いらんよ!科学者さん潰れちゃったじゃん!」
「悪い悪い。今日の飯の当番変わるからさ」
交渉成立!