ワンパンマン ー My only partner ー 〜更新一時停止〜   作:シドー@カス虫

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また長くなったった……

あ、マルゴリのサイズは公式設定です。


03 最悪の兄弟

D市郊外

ここには、とある兄弟の研究所が存在する。

 

弟は、世界で一番強い男を目指していた。

この研究所で毎日必死にトレーニングをしている。

 

兄は、世界征服を企んでいた。

この研究所で日夜研究に没頭している。

 

この日、最高の知力と最強の肉体が最悪の地獄を生む。

 

 

 

 

* * *

 

「きょーきょきょきょきょ‼︎ついに!ついに究極のステロイド『上腕二頭キング』が完成した‼︎」

 

白衣の兄ーーフケガオが奇妙な笑い声を上げながら試験管の中身、上腕二頭キングを見つめる。

 

「弟よ、これさえ飲めば最強の力が手に入るぞ!」

 

「これを飲むの、兄さん…」

 

飲むのを躊躇うアスリート体型の弟ーーマルゴリ。そのステロイドはヘドロのような色をしている。当然の反応だ。

 

「安心しろ、お前が飲みやすいようにイチゴ味にしてある!」

 

「兄さん…」

 

安心したマルゴリは躊躇なく飲む。

効果はすぐにあらわれた。

全身の筋肉が膨張、肥大化。衣服は破け研究所を破壊。それでもまだ大きくなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは、巨人だった。

全長はーー約270m

『進○の巨人』の超大型巨人が可愛く見えるほどの圧倒的サイズ。

 

(俺はただ世界で一番強い男になりたかった。それが夢だった…)

 

兄を肩に乗せて巨人ーーマルゴリは進む。

 

(俺は、最強になれたんだ!)

 

その力を、世界に知らしめるため……

 

 

 

 

 

* * *

 

D市のとあるスーパー

 

レジで買い物かごに商品を入れたまま、会計を済ますべく財布を確認している男がいる。サイタマだ。後ろにはチバが順番待ちしてる。

 

サイタマはヒーロースーツを着ているが、店内に入る人達は気にも留めない。よく見かけるヒーローの1人と思ったのだろう。

 

「あっ足りねぇ…。チバ、貸して」

 

「後で返してね」

 

チバが自身の財布を探り、サイタマが今か今かと待つ。

 

2人は気づいていない。

既に店にいた人達が全員逃げたことに。

 

 

店内の明かりが消えた。

2人はやっと異変に気づいたが、

瞬間。建物が倒れた。

 

 

2人がスーパー(だったもの)の外に出ると、目の前に巨人がいた。正確には巨人のかかとだが。

 

「…行くか」

 

「…だね」

 

サイタマが飛ぶ。

ただのジャンプだが、270mなら助走もいらない。一気に左肩にまで到達した。

チバがジャンプする。

少し助走したが100mほどの高さで勢いが落ちる。チバは上半身ほどある巨人の毛穴にしがみつき、またジャンプする。計3回のジャンプで右肩に到達した。

 

 

 

 

 

 

* * *

 

 

 

巨人マルゴリが街を闊歩している。その右肩には兄のフケガオがいる。

 

「よーしいいぞ‼︎俺が頭脳でお前が筋肉、最高の知力と最強の肉体があれば地上のすべてを征服し、俺達兄弟が世界の王になれる‼︎」

 

 

マルゴリが腕を薙ぐ。その風圧だけで斜線上のD市の大部分が崩壊した。

 

「すごいぞ弟よ‼︎数万人は死んだ!よーしそのまま隣の町も掃除だ‼︎」

 

 

 

 『――緊急避難警報です 災害レベル「鬼」です  D市に巨大生物が出現し、D市が消滅しました 巨大生物はB市に接近中の模様です 近隣住民は 至急避難してください」

 

B市は阿鼻叫喚の叫びが響き渡る。

 

 

 

 

「うきょきょきょきょ!どうだ弟よ!」

 

「最強の男になった感想は?」

 

「…って誰か乗ってる‼︎後ろにもいる‼︎」

 

「ハロハロ〜」

 

サイタマとチバがマルゴリの肩にやってきたのだ。サイタマが左肩、チバがフケガオの後ろだ。

 

「パンツ履けよ」

 

「じゃあ科学者さん早速取材を…」

 

「えーい何なんだお前達は‼︎俺たち兄弟を倒しに来たのか⁈」

 

「うん」

 

「へぇ〜この巨人と兄弟なんだ。じゃあ尚更根掘り葉掘り聞かないと」

 

「もう面倒くさい‼︎弟よ、肩に乗ってる奴を殺せ‼︎」

 

マルゴリが手を動かす。その手はチバとフケガオのいる右肩に向かって…

 

 

バチンッ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「兄さああああああああああああああああん!!!!」

 

兄のいた方を叩いたのに気づいた。

 

「どうしてこうなったあ‼︎俺はただ強さを求めていただけなのに‼︎やっと最強の男になれたっていうのに‼︎」

 

サイタマがニヤニヤ笑う。右肩にはチバもいたのに全く動じてない。

 

「誰だか知らんがお前のせいで兄さんが死んだ‼︎許せん‼︎」

 

 

マルゴリがサイタマを掴み、地面に全力で叩きつける。建物は崩れ巨大なクレーターができる。

 

 

マルゴリはそこを踏みつけ、更に怒りの拳を叩き込む‼︎

 

 

 

「最強‼︎これが俺達兄弟の 最強の力ぁああああああああああああああああ!!!!!」

 

 

ラッシュ!ラッシュ!ラッシュ‼︎

巨体からは考えられないほどの高速ラッシュが叩き込まれる。一撃一撃が加わる度に地面が抉られ、土砂が吹き上がる。

 

やがてそこには、マルゴリが入れそうなほどの大穴が出来上がった。

 

 

 

 

「俺は最強の男」

 

 

 

「だから なんだ…」

 

 

 

 

 

「……虚しい」

 

 

 

「だよな」

 

穴の底から跳躍してきた。サイタマだ。

 

 

バゴォン!!!!!

 

 

サイタマの拳がマルゴリの頬を打ち抜く‼︎

 

「圧倒的な力ってのは つまらないもんだ…」

 

一撃

拳1発で、マルゴリの意識はこの世から途切れた。

 

 

 

* * *

 

5分前

 

 

「あ、危なかった…死ぬかと思った……」

 

「な、何を考えてるんだ弟よ……」

 

B市のとある道路

マルゴリに潰される前にチバは飛び降りたのだ。フケガオも連れて。

もちろんサイタマは気づいている。

 

「じゃあ今度こそ取材を…どうせ巨人もすぐ片付いちゃうしね」

 

「じょ、冗談を抜かすな‼︎それに取材と偽って捕まえる気だろうが、そうはいかん‼︎」

 

そういうとフケガオはポッケから試験管を取り出した。中にはマルゴリが飲んだ『上腕二頭キング』が少し残っている。

 

「邪魔をするなら俺が直々にお前を殺してやる‼︎」

 

フケガオが残り僅かの中身を飲む。するとマルゴリほどではないが筋肉が膨張、衣服も破れ体躯が大きくなる。

 

体長10mほどの、筋骨隆々の男になった。

 

「きょーきょきょきょきょきょきょ‼︎量が少ないのでサイズはまだまだだが、戦闘能力は充分‼︎貴様を‼︎」

 

 

「殺す‼︎」

 

フケガオの拳がチバの腹に叩きこまれる。

チバはそのまま吹き飛ばされ、巻き込まれた建物が派手に倒壊する。

 

「この程度か青年よ!まるで手応えが…」

 

「ちょっと痛い!」

 

「なっガハァッ⁈」

 

瓦礫から即座にチバが飛び出し殴り返す。

チバは堪えてなかったが、フケガオは膝をつく。

 

「バ、バカな…何故、こんな力が…」

 

「悪いけど、段違いにデカくなけりゃ鬼レベルも問題ないんだよね〜」

 

ラッシュ!ラッシュ!ラッシュ‼︎

フケガオの腹に拳を叩き込む。

50発ほどでフケガオが倒れる。意識は残ってるが喋ったりする余裕は全くない。

 

 

 

 

「さて、巨人はすぐ終わるし…取材どうしよ。家に連れて帰ろうかなぁ」

 

 

バゴォン!!!!

 

空からイイ音が響く。

サイタマの拳がマルゴリの頬を打ち抜いたのだ。

 

「お、もう終わったね。じゃあ家に……」

 

そのとき異変は起きた。

 

まず周りが暗くなった。具体的にはB市全体。

次に、巨人がデカくなった。正確には近づいてきて大きく見えるだけだが。

 

まぁようするに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

倒れてきてるのだ。チバがいるB市に。

 

「あああああああああああああああ⁈」

 

逃げる。脇目も振らず逃げる。

そして圧死圏内から出たころに、

 

「あ、科学者さん忘れた」

 

 

 

ズドォォォォォォォン!!!!

 

 

マルゴリの亡骸は、フケガオごとB市を潰した。

 

 

 

B市 消滅

 

 

 




「サイタマァァ‼︎殺す気かぁぁぁ‼︎」

「いや悪かったって」

「それで済んだら警察いらんよ!科学者さん潰れちゃったじゃん!」

「悪い悪い。今日の飯の当番変わるからさ」


交渉成立!


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