ワンパンマン ー My only partner ー 〜更新一時停止〜   作:シドー@カス虫

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口癖が『帰りたい』になってきたこの頃
自分の部屋でこぼしちゃった時は泣いた



15 今日の天気は晴れのち……隕石

「サイタマ先生の順位が最下位の388位から342位に上がってます」

 

「あれで上がったんだ」

 

サイタマは新聞を読みながら気怠そうに会話する。ちなみに新聞はチバがとってる。

 

「1週間経ったけどチバは何かやった?」

 

「まだ何も。道場に取材に行ってたしね」

 

「ふ〜ん……ジェノスは?」

 

「俺もまだです。だから実力ランクはS級最下位の17位です。

でも、一般人による投票で作られる週間人気ランキングだと6位になってます」

 

「「なんで⁈」」

 

 

19歳の若さでS級デビューした天才 期待できる

 

顔がカッコイイ

 

サイボーグ王子

 

メディアへの露出を一切拒否するクールさが良い

 

etc

 

「……などと書かれてます」

 

自分のことを言ってるのにジェノスは一切その鉄仮面を崩さない。実際鉄だが。

 

「た、確かにジェノス君はサイボーグだしカッコイイに決まってるよね。サイボーグなの忘れてたよ…」

 

「てかお前自分で言ってて恥ずかしくないのか?」

 

「こんなものは俺の写真を見た印象にすぎず俺自身を評価したわけじゃないので何とも思いません」

 

「あぁ…そう…」

 

「たとえ世間に評価されなくとも、俺はお二人ほど優れた人は見た事がありません」

 

「気持ち悪いからお世辞はやめい」

 

「いや〜それほどでも♪」

 

「少しは謙遜しろよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先生…なぜだかいきなり協会に呼び出されたのでちょっと行ってきます」

 

「おう。クビだったりしてな ハハ」

 

「クビ……だと。……ちょっくら協会に直談判してくる」

 

「いや冗談だから」

 

 

結局チバは暇つぶしにジェノスについていった。

 

 

 

 

『Z city BRANCH』

 

ジェノスは見慣れないスーツケース、チバは手ぶらでヒーロー協会にやってきた。

 

「…誰もいませんね」

 

「うん。普段は可愛い受付嬢もいるのに、残念」

 

2人は人が見当たらないのを気にしながら奥に進むと、1人の老人が出てきた。

 

「ほう…キミがジェノス君か。ワシはバングという者じゃ、よろしこ」

 

「バング…S級3位のヒーロー。本物の実力者か」

 

「あれ?バングさん、こんな所で一体どうしたんですか?」

 

「そりゃワシのセリフじゃ。呼ばれてもないのに何故来たんじゃ」

 

「暇つぶしです。それよか道場の方は大丈夫なんですか?」

 

「大丈夫なわけないじゃろ。1人除いてみんなやめちまったわい」

 

「えと……スミマセンm(_ _)m 俺が来たせいであのような事態になってしまって!」

 

「顔を上げろ。おぬしは何も悪くない」

 

「………俺は協会に呼ばれて来たのだが」

 

「おっとスマン。話すの忘れとった」

 

バングとチバの神妙な雰囲気は一旦忘れ、今回の本題に入る。

曲がりなりにもS級ヒーローが呼び出されている状況、今回の事態はそれほどの事だというわけだ。

 

 

「単刀直入に言うと、巨大隕石が落ちてくる」

 

 

現在Z市に、災害レベル『竜』の巨大隕石が落ちてきている。

タイムリミットは35分。それまでに落下を阻止しなければ、Z市は間違いなく滅びる。

 

ヒーローが落下を食い止める事ができれば、協会の地位がハネ上がり寄付も増える。それが協会の狙いだが……

 

 

「……今回ばかりはどうにもならん」

 

S級ヒーローと言えど人間。巨大隕石を食い止める事など出来やしない。

 

「キミたちも大切な人と避難するといい」

 

「えっと………街の人は知っているんですか?」

 

「30分前までに落下予測ポイントを絞って警報を出すと言っとったから、今報道し始めてる頃合いじゃな」

 

「じゃ、じゃあ協会が空っぽなのは…」

 

「先に事態を知った連中はとっくに逃げた。薄情な連中じゃのう」

 

「お前はどうするんだ」

 

「バングと呼ばんか。

ワシは代々受け継いだ道場を離れるわけにゃいかんから、残るしかないのう。

 

 

 

 

 

流水岩砕拳 知ってる?」

 

 

…………………………

 

 

「………行ったか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

* * *

 

街は意外とパニックになっていない。

皆生きるのを諦めている。

 

そをな絶望的状況の中、街を駆けるジェノスとチバ。

 

「チバさんはついてこなくても良かったのですが」

 

「いくら役立たずでも、勝手に逃げる気にはなれないしね」

 

ジェノスはスーツケースに搭載されている強化パーツを接続、臨戦態勢に入り落下予測ポイントにきた。

 

「俺の焼却砲で迎撃してみます」

 

「おk………ってなんかきたけど?」

 

「あれは……ボフォイか!」

 

空からロボットが高速で飛んでくる。人に限りなく近い姿のジェノスと違い、鋼鉄の鎧に飛行用ブースター、全身にあるミサイルなどとまさにロボットといった見た目だ。

 

彼の名はボフォイ

ヒーローネームを『メタルナイト』

 

「オ前ラハ…新人ト一般人カ。隕石ヲ止メニ来タノカ?」

 

「この人は一般人じゃない。ボフォイ、お前の力を貸してくれ」

 

「断ル」

 

ボフォイはこの場にはいない。今いるのはボフォイが遠隔操作しているロボットだ。

彼はただ新兵器の実験に来ただけで、隕石を止める気も市民を守る気もない。

 

「俺ヲ呼ブ時ハメタルナイトト呼べ。ット、ソロソロ時間カ」

 

3人が空を見上げると、隕石はすでに目に見えている。

落下まであと2分。

 

「ミサイル発射‼︎」

 

ボフォイ改めメタルナイトは全身のミサイルを放つ。

 

 

 

だが、隕石はビクともしない。

 

「ダメカ…コノ程度ノ威力デハ…」

 

「くそ…!落下まで推定あと33秒!」

 

標的は既にかなり迫っている!

 

その前に俺のパワーで破壊できるのか⁈メタルナイトの大量ミサイルでも効果は無かったというのに!

 

攻撃が命中した後はどうする!隕石が破裂して大惨事が起きるのではないか⁈

 

一体どうすればベストに……‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

「まぁ 落ち着け」

 

「そうそう、考えるだけ野暮だよ」

 

「バング⁈チバさんも!」

 

「心に乱れが見える。おぬしは失敗を考えるにはまだ若すぎる。

適当がええんじゃ。適当で土壇場こそ な。結果は変わらん。それがベストなんじゃ」

 

「適当が……ベスト?」

 

「そうそう。いちいち考えるだけ疲れるよ。今は、やれることやればいいじゃん」

 

「やれる……こと」

 

 

 

 

 

 

 

 

「バング!伏せていろ!」

 

失敗や二次的な被害など考えない!

 

この一撃に俺の今を

 

 

全てを

 

 

捧げる‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

* * *

 

「残り9秒…逃げるんだチバさん、バングさん」

 

全力の一撃

だが、巨大隕石はビクともしない。

 

「チバよ、今何を考えとる?」

 

「……今までの人生」

 

「演技でもないのう」

 

「ハハッ、冗談ですよ。こういう時は……」

 

ーーヒーローが駆けつけてくれますよ

 

 

 

 

 

 

 

 

「じいさん、チバ。ジェノスのこと任せるぞ」

 

「やっときたね。遅いよサイタマ」

 

「うっせえ。ヒーローは遅れてやってくるもんだろ」

 

「だ、誰じゃねキミは?」

 

 

 

 

「俺はヒーローをやっている者だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺たちの町に‼︎

 

 

 

 

 

落ちてくんじゃ‼︎

 

 

 

 

 

 

ねえ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何の躊躇いもなく跳躍するサイタマ。

やがてそれは隕石に到達し、粉々に砕いた。

 

 

「砕きおった!信じられん!」

 

「くっ……破片が、落ちてくる!」

 

巨大隕石の破片は充分建物を破壊する威力で落ちてくる。Z市全体に隕石群が降り注ぐ。

 

「ジェノス君、チバ君も動くな。ここはワシが守っちゃる」

 

3人の元にも例外なく隕石群は降り注ぐ。だが、流石はS級ヒーロー。降り注ぐ隕石群を全て破壊する。

 

だが、3人は無事でも射程外のビルはタダでは済まない。3人のいるビルもやがて崩れ始める。

 

「崩れる……!」

 

「このビルだけじゃない…町全体に破壊の波が広がっていく!」

 

「本日の天気は晴れのち隕石………ったく笑えない話だよ」

 

 

 

 

 

 

街のどっかに降りてきたサイタマ。一仕事終わり完全に気の抜けた顔になっている。

 

「一件落着だな」

 

そんなサイタマの後ろに、破片で崩れる建物が一軒。

 

 

 

Z市は奇跡的に死者は出なかったものの、大きな爪痕を残す結果となった。

 




とうとう次回は例の話だ。

果たして俺に良い感じにアレンジできるのだろうか‼︎



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