ワンパンマン ー My only partner ー 〜更新一時停止〜   作:シドー@カス虫

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オリジナルです。

マジで戦闘描写ムズイっすね。


14 チバVSもっとも銀牙に近い者

とある山

 

何百何千段はあるだろう石階段の先、山の頂上付近に1つの道場がある。

 

チバは今日、ここの道場の師範であるヒーローに取材しに来た。

 

 

 

 

 

「たのもぅ‼︎」

 

道場にチバの声が響く。精神統一をしていた門下生たちは男を一瞬見て、すぐに精神統一を再開した。

 

『また道場破りか……』

 

と、門下生一同の思考は一致した。

 

「えっと……師範はいませんか?」

 

完全に無視されたチバはめげずに目的の人物について聞くが、反応はない。

 

チバは聞くのは諦めて入り口であぐらをかくが、そこに1人の大柄の男が近づいて来た。

 

「お前、何先生の道場であぐらをかいている!」

 

「えっ?あっハイすみませんでした」

 

「正座すればいいわけじゃない‼︎」

 

意味を汲み取らず正座をするチバに大男は怒りを隠せない。

 

「道場破りに来ただけに飽き足らず俺を馬鹿にして‼︎許さんぞぉおお‼︎」

 

「沸点低い!やめてこないで!」

 

大男はチバに襲いかかる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「怪人じゃないくせに」

 

チバは足を引っ掛け、転ぶ勢いに合わせて顔面を叩きつけた。

大男は鼻血を出し、細腕に似合わないパワーで押さえつけられ顔を上げられない。

 

「ガッ⁈フゴッ‼︎」

 

「あと俺は道場破りじゃない。だからケンカするつもりもないよ」

 

事実チバが本気で叩きつけていたら、顔の骨は間違いなく砕けていただろう。

 

「グッ……お前ら!こいつをぶっ潰……」

 

「やめんかニガムシ、そやつはワシの客人じゃ」

 

道場の奥から、1人の老人が出てきて大男を制止した。

 

「バ、バング先生⁈」

 

「すまないのぉ。いきなり手荒い歓迎になってしまって」

 

「いえいえ大丈夫です。それより何処に行ってたんですか?約束の時間にいなくて焦りましたよ」

 

「ちと、トイレに行っとった」

 

「そ、そうでしたか……」

 

この老人こそが今回のチバの取材対象。

 

S級3位のヒーロー 『シルバーファング』

本名を バング

 

彼はこの道場で『流水岩砕拳』を教える師範でもある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

* * *

 

「そうか、おぬしもヒーローだったか。どおりでワシの二番弟子をアッサリ倒すわけじゃ」

 

「いえいえ、最近ヒーローになったばかりの新参者に過ぎませんよ」

 

バングは実力と風格を兼ね備えた老人だが素の性格は意外とお茶目で、すぐに2人は意気投合した。

すでにチバも取材という名目を忘れて会話を楽しんでいる。

 

「そうじゃ、せっかくじゃしワシの一番弟子とも闘ってみんか?あやつにもそろそろ実戦させときたいし」

 

「俺でいいなら是非、シルバーファングさん!」

 

「バングと呼べぃ」

 

 

 

 

 

「審判的なのはワシがやる。といってもこれと言ったルールはないんじゃが。くれぐれも大怪我させちゃいかんぞ」

 

「了解でーす」

 

「…あぁ」

 

バングと門下生が見守る形で、チバと一番弟子との試合が行われる。

 

「それでは 始め‼︎」

 

 

 

開始の合図と同時にチバは弟子との距離を詰める。

 

小手調べに1発殴るが、

 

「遅えよ」

 

「ゴフゥッ⁈」

 

攻撃を受け流し一撃を叩き込むのが極意の流水岩砕拳、チバの拳の軌道を変え逆に腹をぶん殴る。

 

「ヤベェ……。並の怪人よかパワーあるよ」

 

流石S級ヒーローの弟子と言ったとこか、レベル鬼をも下すチバでもハッキリとダメージを感じた。

 

「まぁ、修行にはなるか!」

 

チバは連続で拳を放つ。死なない程度にパワーを上げて。

 

「足りねえよ。ヒーローだってんなら、俺に勝ってみせろよ‼︎」

 

弟子はやはりチバの拳を全て逸らし、その際の隙を突いて人間の急所たる部分を的確に叩く。

怪人と闘ううちに手に入れた強靭な肉体を持ってしても、倒れるのは時間の問題だ。

 

「……よし、潰す」

 

チバは距離を置くが、弟子は好機と捉え攻めかかる。

 

「潰すだぁ?押されっぱなしの奴がぬかしてんじゃぁねえよ‼︎」

 

ほぼノータイムで迫る弟子。

 

「知ってる?押されるのと勝敗は違うんだよ」

 

弟子は急所を躊躇いなく叩くが…

 

チバに一切攻撃は当たらない。

 

「何ぃっ⁈」

 

チバが行ったのは『アイソレーション』と呼ばれる、ブレイクダンスやパントマイムなどで使われる技術だ。

体の一部を単独で、高速かつ緩急をつけて動かすことにより残像を残し相手に位置を探らせない技術であり、野生では擬態の一種とされている。

 

チバはこの技術を使い、弟子の攻撃を避ける。

 

そして…

 

「つーかまーえた♪」

 

弟子の両手を掴み、攻撃を封じる。

 

「じゃあ、チェックメイトだね‼︎」

 

チバは手を掴んだまま思い切り頭突きをかます。

互いに額から血を流すが、攻撃されたのもあり弟子の意識がブレる。

 

そこをチバは見逃さない。

 

すかさず裏拳、正拳突きを放ち…

 

「トドメ‼︎」

 

「ガフッ‼︎」

 

前蹴りでフィニッシュを決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

* * *

 

一番弟子との試合は終わった。

 

今は協会から呼ばれたバングと一緒に長い階段を下りている。

 

「流石に現役ヒーローには勝てんかったか」

 

「でも一番弟子なだけあってかなり強かったですよ。伸びしろもまだまだありますし」

 

勝ったとはいえ、チバのダメージも大きい。アイソレーションが通用しなかったら、あのまま一方的に負けてもおかしくはなかった。

 

「……あやつは貪欲に力を欲している。ちょうどおぬしのように、な」

 

「…やっぱりわかりますか。……俺には目標がありますし、追いつくためには貪欲に力を求めます」

 

「おぬしは新人たれどヒーローだ。道を間違えることはそうないだろう。だがあやつはただただ力を欲している。悪い方向に進まなければいいんじゃが…」

 

「……そのときは、俺も止めるのを手伝いますよ。一度戦った仲になりましたし」

 

「ホッホッホッ、そいつは頼もしいのぉ。そんときはよろしこ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻

 

道場

 

門下生一同は稽古に勤しんでいたが、一番弟子だけは棒立ちでいる。

 

「おい、何してんだ?」

 

周りに声をかけられても反応しないが、やがて言葉を発する。

 

「………こんなんじゃ、ダメだ」

 

「…えっ?」

 

「………もっと強く、稽古なんかじゃ足りねえ」

 

「何ブツブツ言っているんだ?」

 

「……おい、実戦しようぜ」

 

「……はっ?いきなりどうしたんだ⁈」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーガロウ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この日、サボっていた少年1人を除く全ての門下生が道場を辞めた…

 

 

 

 

やがて2人の男は、目標への道のりで再びその拳を交える。

 




ガロウとチバはなんか似ていると感じてます。
ガロウは怪人
チバはヒーローである親友

目標が真逆なだけで、進み方や力を欲する姿勢が気付かない間に似てきたと個人的に感じてます

コミックス派ですが、ガロウ編のこれからが楽しみです


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