ワンパンマン ー My only partner ー 〜更新一時停止〜 作:シドー@カス虫
3人がヒーローのプロデビューをしてから5日が経った。
まだこれといった大事件は起きていない。
特にやることがなくて暇なのはいつも通りなんだけれども……
現在一つだけ気になる点がある。
「…………………」
今日もジェノス君が来たわけですが、なんか背中に大荷物が見えるんですけど
まあ…なんだ……気のせいだろう。
「ここに住んでもいいですか?」
「うん。絶対ダメ」
マジかこいつ。
「部屋代払います」
……札束だしやがった。
「……ちゃんと歯ブラシ持ってきたか?」
真剣過ぎて断れねぇ……
ジェノスが同居人になった。
* * *
「ふぅぅん。だからジェノス君がいるんだ」
「…どうしよ。なんか騙してるみたいでこのまま師匠面するのは気がひけるわ」
実際サイタマは、100万はあるジェノスの出した札束(家賃)は一切使ってない。何も教えられないのに使うのが嫌なのだ。
「なにか無難な修行とか精神論的なのは思いつかないの?」
「………だめだ!筋トレくらいしか浮かばねぇ!だってそれしかやってこなかったんだもん‼︎」
「でもそれじゃジェノス君納得しないと思うよ」
「わかってんだよ!てかチバもなんか考えてくれよ‼︎」
ここまでは全て小声
話に気付かず熱心に日記を書いてたジェノスは、ふとある事を思い出した。
「そういえば先生。セミナーではC級ヒーローの場合1週間活動をしなかった場合はヒーロー名簿から除外されるって言ってましたが先生は大丈夫なんですか?」
……え?
「そんなこと言ってたっけ?」
「はい」
「サイタマ全く聞いてなかったからね…」
「C級は数が多く水準も低いため使えないものから除外していくんだとか」
「でもテレビ見てても特にやる事はなかったから…」
「報道されるのは避難がいる大災害やテロ、危険な怪物がでたとかのヤバイ大事件だけだよ」
近年は怪人や犯罪などの事例が非常に増え、とても全ては報道できない。
メディアは大多数の人に影響のある事件を優先して報道してるのだ。
「C級ヒーローは自主的に活発な行動を続けないと生き残るのは難しく、挫折して転職する人も多いらしいです」
事実C級ヒーローの殆どはひったくりや強盗、通り魔などを退治して週一のノルマをこなしている。
サイタマのように強大な悪を相手にするのはそれこそS級ヒーローぐらいだ。
「C級ヒーローはサラリーマンの飛び込み営業のように足を動かして成果をださないと誰も評価をしてくれないんだとか」
「漫画読んでる場合じゃなかった!」
自分が置かれてる状況を理解しサイタマはすぐさま着替え始める。
「行きますか」
「いやジェノスはついてくんな!S級が一緒だと活躍してもC級の俺の手柄だと認めてもらえない可能性がある!」
「しかし弟子として…」
「ジェノス!俺はヒーローになりたい強い想いがきっかけで筋トレして強くなったんだからお前ももしかしたらヒーローとしての高みを目指したら何かが変わるんじゃないか?ぶっちゃけお前サイボーグだから体鍛えるとか関係ないし気持ちの切り替えで強くなることがあるかもしれない。つまりパワーや技術での強さではなくまず精神を鍛えるのだよ。そのために厳しいプロヒーロー業界で勝ち抜いてみなさい」
あれ じぶんでも何いってるかわかんなくってきた。まぁ雰囲気でごまかせ
「って事でお前はS級ランキングで10位以内を目指せ。それが当分の修行って事で」
「なるほど……やってみます‼︎」
「お前はお前で頑張る事だな。じゃあ行ってくる」
「納得してくれてよかったね」
「あ〜マジでよかった……」
ナチュラルに一緒に外に出るチバ。
「……ってB級のお前が一緒でもダメだろ‼︎」
「あぁ、大丈夫。サイン会に行くだけ」
ちなみにB級以降は週一のノルマはない。
「わかった。 じゃあ………行ってきます‼︎」
サイタマは風のように。風以上に速く走った。
「行てら〜……ってもう見えなくなった」
町は平和だった
くそったれええええええええええええ‼︎
* * *
翌日
チバはZ市中心街のとある書店でサイン会をやってた。
「デビュー作からのファンです!」
「ありがとござますねー。田中…さんへ……っと…ホイさ!」
サイン会でもどこか気の抜けた感じは変わらない。
「先生の書かれる作品はリアリティがすごくて…大好きなんです!」
「ありがとねー。このリアリティ出すには経験が必要なんだよねー」
ファンからも対応がいいと評判だ。
「次の巻もぜひ読んでくださいね」
「フヒッ!もちろんです!フヒヒヒヒヒヒ……」
アレな感じのファンにも嫌な顔は一切しない。
襲ってくる怪人より100倍マシなのだから。
なんてサイン会をしてると、珍客がやってきた。
「あれ?君は確か………」
「お前は!確かサイタマの横にいた…」
音速のソニックだ。
「まさか作者があのときの男だったとは」
「いや〜、忍者にも読んでもらえるとは光栄だね〜!」
控え室
チバはサイン会終了後、ソニックを招待したのだ。
「そもそも何故俺を招待した?」
「なんとなく」
「……なんなんだそのふざけた理由は」
「まぁいいじゃん。かつての敵?が読んでてくれて嬉しかったんだよ」
かつてサイタマを襲った(襲う前にチバは帰ったが)相手にも自分のペースは崩さないチバ。
だが…
「そうやってはぐらかしてもムダだ」
ソニックは瞬時に喉元に刀を突きつける。
「……わかったわかった。とりあえず刀は閉まって。怖いし」
チバは神妙な顔つきになり話し始める。
「…本当は、情報を伝えようと思ってね」
「情報?」
「……サイタマの居場所だ」
「 ! ? 」
「君はサイタマを殺したいんだろ?だから偶々会ったし伝えようと」
「……その情報に信憑性があるとは思えないが」
「彼は俺を信用し、よく一緒に行動している。前一緒にいたの見てそれはわかるよね。信憑性は充分あると思うよ」
「………」
「信じないならそれでいいよ。君にデメリットはないし」
「……目的はなんだ?」
「目的?………組織のボスはサイタマの存在を危険視しててね。狙われる前に籠絡して消せと。まぁ消えさえすれば何でもいいさ、手段や執行者なんて」
「……サイタマはどこにいる?」
「あら、信じてくれるの?」
「事実俺にデメリットはない。組織どうこうは興味ないが、情報が事実なら好都合だ」
「サンキュね。サイタマは今Z市中心街、平和通り近辺にいるはずだよ」
「……わかった」
「あっちょっと待って」
チバは適当な紙に書いたメモを渡す。
「俺の電話番号とメアド。情報が必要になったらこれに」
ちなみに業務用ではなくプライベートの番号だ。
「……俺を利用するならそれでいい。俺も利用するだけだ」
「まぁなんでもいいよ。早よせんといなくなっちゃうかもよ?」
「言われなくとも!」
ソニックは瞬時に部屋から消える。自慢のスピードでサイタマの元に向かったのだ。
「あー疲れた!やっぱ演技は慣れないわ!」
チバはドッと横になる。
組織云々や消すとかは全部真っ赤な嘘。ソニックをサイタマの元へ向かわせるためのブラフだ。番号メアドは本物だが。
「これでサイタマも大丈夫かな」
チバは、万が一サイタマがノルマを達成できない事を考え、ワザと居場所を教え偶々会ったソニックを向かわせたのだ。
ようするに ただの親友のお節介だ
* * *
【新人C級ヒーローサイタマ 6位の先輩を倒した変質者『関節のパニック』を退治‼︎】
サイタマは 無事ノルマを達成した。
ーー音速のソニック………逮捕
悪くはない出来だと信じたい…
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