テイルズオブゼスティリアでやってみた   作:609

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toz 第六十九話 新しい仲間

フェニックスとの一件が落ち着き、自己紹介が行われた。

と、言っても、今回の容疑者であるノルミン天族フェニックスは、「我は再び挑む!その為の修行へいざ行かん‼︎」と叫びながら走り去って行ったのだった……

 

 

「改めまして、私はハイランド王家に連なる"アメッカ・ディフダ"と申します。そして騎士でもあります。本当に、先程は失礼いたしました。」

 

と、クリーム色の髪の女性が、深々と頭を下げる。

スレイは頭を掻きながら、

 

「気にしてないよ。勿論、レイもね。でも、"アメッカ《アリーシャ》"に"ディフダ"か……」

 

苦笑するスレイの表情に、姫騎士アメッカは首を傾げ、

 

「何か、問題でも?この名は遺跡好きの父がつけたんのです。それに、ディフダ家は昔こそ地位は低かったですが……偉大なる女王陛下となった末席の姫騎士こと、アリーシャ様‼︎私はあのお方のように、騎士として、王族として、立派に責務を果たすのです‼︎なのに、それに問題があるというのですか⁉︎」

 

右手を握りしめ、感動にしたる姫騎士アメッカ。

そして、ジッとスレイに詰め寄る。

スレイは眉を寄せて、さらに苦笑した。

 

「ううん、そうじゃなくてね。アリーシャとは友達だったから懐かしくて。そっか、アリーシャはちゃんと夢を掴んだんだ。」

 

スレイは嬉しそうに微笑んだ。

ミクリオが腰に手を当て、

 

「ああ!アリーシャは凄く頑張っていたぞ。スレイとの約束を果たしてみせるって。」

「なら、オレも頑張んないとなぁー……」

 

と、二人は互いに話す。

レイはスレイを見上げ、

 

「お兄ちゃん、なんか凄く固まってるよ。」

 

と、指差すところには姫騎士アメッカが眉を寄せて困惑していた。

 

「え?いや、だって……えぇ⁈」

「そう、そう!アメッカって古代語でね。現代語で言うと、アリーシャって意味なんだ。君のお父さんは凄いね。」

「え⁈ウソ⁉︎な、なら、なおさら気を引き締めなくては!偉大なる女王陛下アリーシャ様の名を汚さぬように!」

 

と、さらに拳を握りしめる。

が、すぐにスレイを見て、

 

「ではなくて!どういうことですか⁉︎」

「と、その前に、あたしの紹介をさせてね。」

 

赤い髪の女性が、姫騎士アメッカを引っ張る。

彼女は腰に手を当て、

 

「あたしはセキレイの羽根所属、"ウィク・メーヴィン"。よろしく♪んで、この小悪魔ぽい天族が"ビエンフー"。その隣の魔女ぽいのが、"グリモワール"。あたしの仲間で、友達。」

「はいでフ!ボクはウィク姐さんの相棒でフ!」

 

腰に手を当てて、キメ顔をするシルクハットで顔を隠しているノルミン天族ビエンフーが言う。

だが、その横で魔女の帽子をかぶていたノルミン天族グリモワールが、

 

「一言も言ってないわよ、そんなこと。」

「ひ、ひどいでフ!」

 

と、落ち込む。

スレイは目をパチクリし、

 

「"メーヴィン"って、まさか……」

「あの子は違うよ。」

 

レイはスレイを見上げる。

ミクリオがレイを見て、

 

「え?違うのか?」

「ん。彼女はただ、"メーヴィン"の名を受け継いでいるだけ。あの子の置き土産……みたいなものだから、刻遺の語り部ではないよ。」

 

レイは苦笑する。

スレイは腕を組んで頷く。

 

「あの子?でも、そっか。あ……でも、セキレイの羽根なら君が頭領?」

「……なるほどのね。でも、残念。私はメンバーなだけ。頭はあたしの兄貴なんだ。」

 

一瞬、女性ウィクは鋭い目付きになった。

しかし、すぐに何か察したのか、笑顔で言う。

スレイは意外そうな顔で、

 

「お兄さんがいるんだ。」

「そ。ウチの兄貴も遺跡好きでね。あたしの名も古代語なんだ。」

 

と、呆れ顔で言う。

姫騎士アメッカは驚き、

 

「そうだったのか⁉︎」

「そうなのよ。私は古代語とかよくわかんないけど、あたしの現代語は"ロゼ"らしくてね。なんでも、セキレイの羽根の初代の名をつけたんだと。」

「そうだったのか……」

 

二人は互いに納得し合う。

女性ウィクはスレイ達を見て、

 

「で、そっちは?」

「あ、ああ!オレはスレイ。オレの横にいるのが、水の天族ミクリオ。オレの幼馴染。」

「よろしく。」

 

スレイが、真横にいたミクリオを見る。

そしてミクリオが彼らに挨拶する。

 

「それで、後ろにいるのが火の天族ライラに、土の天族エドナ。」

「よろしくお願いしますわ。」「ん。」

 

スレイが自分の後ろにいたライラとエドナを見る。

ライラは微笑み、エドナはさしていた傘をクルクル回す。

 

「それでそっちにいるのがーー」

「俺様、風の天族ザビーダ兄さん♪仲良くしようぜ、お二人さん♪」

 

スレイは姫騎士アメッカの横にいたザビーダを見る。

だが、スレイが言う前に自分で言うザビーダ。

さらに、右手を腰に当てて、左手で決めポーズ。

極めつけは、キメ顔だった。

 

「……ホント、バカね。あのバカはほっといて次よ。」

「ヒドイなぁ〜、エドナは〜。」

 

エドナが呆れ顔で言う。

ザビーダは肩を上げる。

 

「えっと……この子は天族ライフィセット。」

「よ、よろしく!」

 

スレイは左横にいたライフィセットを見る。

アホ毛がピンと伸び、挨拶するライフィセット。

 

「で、オレとミクリオの妹のレイ。で、ミクリオの横にいるのがゼロ。」

「よろしくね。」

 

スレイが自分とミクリオの間にいるレイとミクリオの横にいる審判者ゼロを紹介する。

審判者ゼロは笑顔で挨拶する一方、レイはお辞儀するだけだった。

だが、姫騎士アメッカが再び困惑顔で、

 

「え?待ってくれ……えっと、お二方は裁判者と審判者という偉い方で……貴殿の妹?それは審判者様の妹という意味ではなく⁇」

「ゼロの妹はヤダ。」

 

レイが拗ねる。

審判者ゼロは口を尖らせ、

 

「ヒドイなぁ〜。」

 

スレイが頰を掻きながら、

 

「はは……色々とあったんだ。でも、レイは妹だよ。」

 

と、ミクリオと互いに見合う。

レイは笑顔で嬉しがる。

 

「さ、裁判者の兄を名乗るでフか⁉︎この導師は変わってるでフ!」

 

ノルミン天族ビエンフーは一歩後退りさる。

ノルミン天族グリモワールは頰に手を当てながら、

 

「ハァー……それなら、裁判者の兄を名乗る物好きな天族も、ね。」

「それでも、レイは大事な妹に変わりないんだ。」

「ああ。あの人がなんと言おうとも、ね。」

 

スレイとミクリオは、腰に手を当てながら言う。

それに対して、

 

「ちょ、ちょっと待って下さい!い、今なんといましたか⁈ビエンフー様‼︎」

 

姫騎士アメッカは、ビエンフーをジッと見つめる。

ビエンフー後退りさりながら、

 

「ビィエ⁉︎ボ、ボクでフか⁈別におかしなことは言ってないでフよ‼︎」

「いえ、導師と口に出しましたよね⁈」

「い……言ったでフよ……」

 

ビエンフーはさらに後退りながら言う。

姫騎士アメッカは信じられないという顔で困惑していた。

それに対して、

 

「やっぱりそっかぁ〜。"スレイ"って聞いて、もしかしたらあの"導師スレイ"かと思ったんだよねぇ〜。」

 

女性ウィクは頭をかく。

スレイは首を傾げ、

 

「オレ、何か悪いことしたっけ?」

「んやー、してないよ。あたしらの中で、導師スレイは伝説なの。アメッカの言う偉大なる王女陛下アリーシャ様が、常々導師スレイの名を出していたらしいんだよ。長きに渡るハイランドとローランスの和平の一歩を作り、さらに災厄の時代に終止符を打つめ……人柱になったとか、天族に導かれたとか、長き刻《とき》を生きてるとか、ドラゴンに喰われたとか、色々ね。」

「へぇー、そうなんだ。」

 

女性ウィクの 説明に納得するスレイ。

レイは審判者ゼロを見て、

 

「あながち間違いではないけど……かなり色々盛られたよね。」

「そうだね……人間は当時のこと知らないからね。あ……天族でも、導師スレイの存在を知るものは多くないね。」

 

審判者ゼロは肩を上げて、スレイを見る。

スレイは頰を掻きながら、

 

「まぁー、真実は大体そんな感じだから別にいいけど……アメッカは大丈夫?顔色が悪いよ。」

 

全員が姫騎士アメッカを見る。

彼女は真っ青になり、

 

「そ……そんな……貴殿があの導師スレイ……⁈」

「幻滅させちゃったかな?」

「まぁー、スレイは元々こういう奴だから仕方ないけどな。」

「うわ、ひで!」

 

横にいたミクリオを見たスレイ。

そのミクリオは呆れたような目でスレイを見ていた。

そして姫騎士アメッカは、

 

「も、申し訳ございませんでした!導師スレイ‼︎今までの数々の無礼、お許し下さい!お願いです、私をいかようにも処罰して下さい!」

 

と、深く頭を下げる。

スレイは驚き、

 

「ええ⁉︎いや、気にしてないから!顔を上げてよ、アメッカ!」

「いえ、できません‼︎我が、ハイランド王家には偉大なる王女陛下アリーシャ様の遺言があります。"もし、導師スレイと出会うことがあったその時は、導師スレイを助け、協力せよ"と。なのに私は、なんという無礼を……‼︎」

 

姫騎士アメッカは頭を下げたまま、拳を握りしめて小刻みに震えていた。

スレイは真剣な表情になり、

 

「わかった。じゃあ、処罰を出す。だから顔を上げて。」

「は、はい……いかようにも。」

 

姫騎士アメッカは顔を上げ、スレイを見る。

スレイは苦笑し、

 

「君に出す処罰は、"オレ達との旅に付き合う"ってのでお願い。オレ、起きたばっかりで地理がわからないんだ。」

「え……そ、そんなことでいいのですか……」

「そんなことじゃないよ。アメッカのいう偉大なる王女陛下アリーシャ様の繋げた世界なんだ。それだけじゃない。災厄の時代と言われたあの時代を生きたみんなが繋げた世界……オレはこの目でちゃんと確かめたいんだ。」

 

スレイは困惑していた彼女に、腰に手を当てて笑う。

なおも困惑していた姫騎士アメッカの横にいた女性ウィクが、

 

「あはははは‼︎いやー、導師スレイは面白いね〜!」

 

腹を抱えて大笑いする。

見れば、審判者ゼロも、声を殺して笑っていた。

そしてザビーダも笑いながら、

 

「いやー、やっぱスレイだわー‼︎」

「そうね。これがスレイね。」

 

エドナも傘で顔を隠していたが、その声は笑って……いや、嬉しそうだった。

ライラに関しては、涙を流し、

 

「うぅ、スレイさん……私……私は嬉しいですわ。」

「ホント、変わらないな……」

 

と、ミクリオも片手で顔を隠して泣いていた。

その反応に、

 

「え⁉︎ちょ、みんなどうしたのさ⁈」

 

スレイは驚きを隠せない。

レイはニッと笑い、スレイを見上げる。

 

「お兄ちゃんからすれば夢から覚めた感じでも、ミク兄達からすれば長い長い年月だからね。懐かしくもあり、これは現実だと再認識したんだよ。」

「そうだね……。天族にしてみればあっという間であり、長い時だもんね。」

 

ライフィセットも、懐かしむかのように、服を握りしめる。

スレイは納得するかのように、みんなを見ていた。

と、「パン!」と言う手を叩く音が鳴り響く。

 

「よっし、決めた‼︎あたしも、導師スレイの旅に付き合う。」

「ほ、本当か、ウィク⁉︎もし、私に気を遣っているならーー」

「違う、違う。これは私の意志。実は家にも、初代の遺言があるんだ。……"もし、スレイという導師が現れた際、自分の目で、耳で、見て感じよ。そして、己の中の矜持とあった時は導師スレイに協力せよ"ってね。で、あたしはあたしの意志で、これを見極めたいってこと。それにちょうどいんだよね〜。あたしは世界中をこの目で見たいから。ついでに、ノルミン二匹も一緒ってことで、よろしく〜〜♪」

 

女性ウィクはウインクする。

ノルミン天族ビエンフーは一回転して、キメ顔。

ノルミン天族グリモワールはため息で、反応する。

姫騎士アメッカはハッとして、

 

「私の方からも、これからよろしくお願い致します!それとお願いがあります、導師スレイ。」

「お願い?」

「はい。私はハイランド王家の一員として、偉大なる王女陛下アリーシャ様のように、ハイランドの民を守りたい。そしに、ローランス帝国、北の大国とも、もっと交流を深めていきたい。そして、我々を見守って下さっている天族の方々とも、より良い関係をもっと増やしたいと思っております。その為にも、自分が何をやれるのかを理解したいのです!」

 

と、拳を握りしめる。

スレイは笑顔で、

 

「ああ!こっちこそ、これからよろしく‼︎」

 

彼の旅は始まる。

レイは小さく微笑み、

 

「ホント……未来はなるべくしてなったなぁ〜。でも、この未来を引けたのは、"縁"か……。」

 

レイは歩き出す彼らについて行く。

スレイとミクリオの手を握りしめ、

 

「これからが、楽しみだ。」

 

と、小さく呟いた。

 


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