テイルズオブゼスティリアでやってみた   作:609

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toz 第五十一話 アリーシャの答え

アリーシャ達は合流したロゼ達と共に、カムランへの扉に向かっていた。

扉を見つけ、裁判者と審判者は左右に分けれる。

カムランへの入り口の扉に、ロゼとミクリオが扉の横に立つ。

そしてロゼはアリーシャを見て、

 

「さ、アリーシャ。」

「君の答えを聞かせてやろう。」

 

そう言って、ミクリオもアリーシャを見る。

二人は扉に手を向ける。

天族達もアリーシャに笑顔を向ける。

そしてアリーシャはその扉を開く。

 

 

アリーシャ達はカムランを進んで行く。

辺りは薄暗く穢れが満ちている。

その歩く先には、大きく空いた場所に光の柱が立っている。

アリーシャ達は立ち止まる。

それを見つめていたアリーシャに、

 

「あれがスレイだよ。」

 

ロゼがアリーシャを見る。

裁判者と審判者は後ろに下がり、

 

「お前の思うがままを言うがいい。それをそのまま伝えてやる。その想いと共に。」

 

裁判者は横目でアリーシャを見て言った。

アリーシャはロゼを見る。

ロゼは頷く。

アリーシャは一歩前に出て、

 

「スレイ、君のもたらしてくれた光は世界を変えている。休戦の講和条約は間もなく締結されるだろう。数百年にも及んだ両国の争いが、ついに終わるんだ。私はそのために尽力する。それは伝えた通りだ。けど、気付いたんだ。私の本当の答えに。私は政治家としてだけじゃない、王族としても、騎士としても、女の子としても、みんなの仲間としても生きたいんだって。」

 

アリーシャは叫ぶ。

瞳を揺らし、力強く。

ロゼ達はそれを見守る。

そしてアリーシャは続ける。

 

「それはただの欲張りなだけだと思ってた。捨てられない自分の迷いだと思ってた。けど、ロゼと何度もケンカして……師匠≪せんせい≫にお別れを言うことができて……みんなとまた旅ができたから……スレイに会うために、ここまで旅をしてきたおかげで答えに辿り着けたんだ!何も捨てる必要なんてないって気付いたんだ!ありがとう!スレイ!」

 

と、アリーシャはとても大きな声で叫んだ。

ロゼはアリーシャの背を見て、

 

「あんたがこの旅で手に入れたのは、答えを信じる心だよ。アリーシャ。」

 

アリーシャは瞳を大きく揺らし、

 

「手に入れたのはもうひとつ……」

 

そして瞳を閉じ、クルッと回ってロゼを見る。

 

「ロゼ!」

「もういいの?」

「うん。行こう!」

 

そう言って、アリーシャ達は来た道を戻る。

彼らはグレイブガンド入り口に戻って来た。

裁判者は一人、

 

「……うるさい。……知るか。」

 

と、一人そっけなく答えていた。

アリーシャが審判者を見て、

 

「あ、あの、審判者様。裁判者様のあれは……」

「あー、うん。多分、レイと話してるじゃない?多分。」

 

と、審判者は頬を掻く。

ミクリオが審判者を見て、

 

「多分って、あいまいだな。その辺はわかるんじゃないか?」

「いやいや、ホントだって。俺だってあの子の心の会話までわかんないって。」

 

審判者はミクリオに抱き付いた。

ミクリオはそれを引きはがし、

 

「だから引っ付くな!」

「ロゼ~、ミクリオが冷たい~。」

 

と、引きはがされた審判者はロゼの方を見て、頬を膨らませる。

ロゼは頭を掻きながら、

 

「んなこと言われても。」

「ゼロばっかりミク兄に抱き付いてズルイ!」

 

と、声が響く。

その声の方に振り返り、

 

「レイ!」

 

ミクリオはしゃがんで手を広げる。

レイは駆け出して、ミクリオに抱き付いた。

ミクリオはレイを抱きしめる。

それを見ていた審判者は頬を含ませ、

 

「何で俺の時とレイの時との差が激しいのさ。」

 

ミクリオはレイを抱き上げ、

 

「決まっている。レイは僕らの妹で、君は僕らの友達だろ。」

 

そう言って彼を見る。

審判者は沈黙した後、視線を外し、

 

「そ。そういう事なら仕方がないな。」

 

その表情は仮面をつけていても解るくらい嬉しそうだ。

レイはアリーシャとロゼを見て、

 

「でもよかった。アリーシャも、ロゼも。アリーシャは答えをちゃんと見つけた。ロゼもちゃんと自分の気持ちに気付けた。二人は想いを繋いでくれた事、とっても嬉しい。」

 

そう言って、もう一度ミクリオに抱き付いた後、ミクリオから降りる。

そして審判者と共に歩きながら、

 

「これで少し間、私は離れられる。でも、アリーシャやロゼがくじけそうな時は裁判者を説得して会いに行く。歌を歌って見守ってる。」

 

レイはクルッと回る。

 

「……前のようには一緒に居られないんだね。」

 

ロゼはレイを見る。

アリーシャもレイを見て、

 

「せっかくまた会えたのに……」

 

と言うと、他の者達も落ち込み始める。

笑顔でみんなを見て、

 

「確かに今はそんな長くはみんなの前には居られない。でも、私見たんだ。アリーシャやロゼが繋げてくれたずっとずっと先の未来で、またみんなで旅をするの。」

「だが、それは……」

 

アリーシャは視線を落とす。

レイは空を見上げ、

 

「ん。アリーシャとロゼはもう居ない世界。でもね、アリーシャとロゼの意志と想いを継いだ子たちが居るんだよ。形は違うけど、ね。」

 

そう言って、アリーシャ達を見て、

 

「本当なら、今のアリーシャとロゼと再び旅をしたい。でも、それにはお兄ちゃんが居ない。それでも、この短い時間でも、私はみんなと居られて良かった。だからまた会おうね。」

 

そう言って、レイは審判者と共に、風に包まれて消えた。

アリーシャ達は互いに見合って頷き合い、アリーシャをレディレイクまで送っていき、それぞれの道を進み出す。


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