テイルズオブゼスティリアでやってみた   作:609

47 / 73
toz 第四十七話 未来を繋いで

スレイは災禍の顕主ヘルダルフと睨み合っていた。

 

「……もはや語るまい。」

「行くぞ!」

 

スレイは武器を構える。

そして剣と拳がぶつかり合う。

スレイは左手に力を籠める。

 

「うおお!」

「我らの幕はその技か!よかろう!」

 

スレイのそれを見た災禍の顕主ヘルダルフは、同じように左手に力を籠める。

そして二人は、

 

「「獅子……」」

 

互いに踏み込み、

 

「「戦……」」

 

その力を開放する。

 

「「吼ッ‼」」

 

白い獅子と黒い獅子がぶつかり合う。

そして爆発する。

 

「ぬうっ!」

 

災禍の顕主ヘルダルフは顔を防ぐ。

その光の爆発の中からスレイが右手に力を籠めて、

 

「これが!」

「まさかっ⁉」

「オレの全てだッ‼」

 

そして力を災禍の顕主ヘルダルフにおもいっきり叩き付ける。

災禍の顕主ヘルダルフは吹き飛ばされる。

 

「ぐあああ‼」

 

そして壁に叩き付けられた。

その衝撃で、穢れが爆発する。

スレイは腕で顔を当てる。

そしてその穢れは光へと変わる。

災禍の顕主ヘルダルフの上には、光り輝くドラゴンが居た。

スレイはドラゴン見上げ、

 

「マオテラス……」

 

そこに一本の剣が振って来た。

それは地面に突き刺さる。

そしてその先には、人の姿に戻った災禍の顕主ヘルダルフが居た。

スレイはゆっくり歩きながら、そこに向かう。

災禍の顕主ヘルダルフは弱りきった声で呟いている。

 

「親を……妹を……仲間を奪われた復讐を……成し遂げたな。……災厄の時代は終わらん……」

 

そしてスレイは剣の側まで行くと、剣を抜く。

災禍の顕主ヘルダルフは老人だった。

彼は椅子にもたれ、スレイを見ていた。

スレイは剣を握って、そこに行く。

 

「その剣をワシに突き立てた時……新たな災禍の顕主が生まれるのだ……。……やれ。その時貴様は理解するだろう。」

 

スレイは瞳を閉じ、そして開いて剣を災禍の顕主ヘルダルフの心臓に突き刺した。

それは石の椅子をも貫く。

 

「ぐふっ!ふふふ……」

 

スレイは悲しそうに剣を握っていた手を離す。

彼は目を開けて息を断った。

スレイは彼を見つめ、

 

「こんな事でしか救えないなんて……」

「それでも、彼は孤独と言う名の呪いからは解放されたよ。」

 

スレイの後ろの方から聞き覚えのある声が響く。

スレイが後ろを振り向くと、

 

「レイ……」

 

レイは小さく笑う。

そして表情を真剣な表情に戻し、

 

「災禍の顕主……いえ、ヘルダルフ。私達は貴方を許すことはできないだろう。だが、私達は導師スレイの出した答えによって、お前を先代導師ミケルの呪いから開放する。」

 

そう言って、災禍の顕主ヘルダルフの体は黒い炎に包まれる。

 

「お前の呪いも、業も、私達が持っていこう。だが、災禍の顕主は新たに生まれる。これは導師と災禍の顕主との因果のようなもの。消すことはできない。それでも、その答えを貫く?」

「ああ。オレはやるよ。」

 

スレイはレイを見て、小さく笑う。

そしてスレイは燃える災禍の顕主ヘルダルフを見て、

 

「おやすみ……ヘルダルフ……永遠の孤独は今、終わった。」

 

と、息絶えて燃えていた災禍の顕主ヘルダルフは笑みを浮かべ、スレイを見た。

 

「……気に入らん……な……最後まで抗おうと……いう……のか……」

 

そしてガクンっとなった。

彼は今度こそ本当に、息を引き取った。

と、彼の中で渦巻いていた穢れがスレイとレイを飲み込む。

それは通り抜け、離れて行く。

それと光が四つ出てきた。

光はスレイを囲うように漂った後、上に向かっていく。

スレイはそれを見て、嬉しそうに悲しそうに見上げる。

それを見たレイは微笑み、

 

「私達は見守るよ。彼らはお兄ちゃんの出した答えを、想いを繋げなくてはいけない。そしてその願いは、お兄ちゃん自身が叶えなくてはいけない。だから待ってる。そしてまた一緒に旅をしよう。」

「ああ。」

 

そう言って、スレイはレイの頭を撫でた。

レイはスレイに抱き付いた後、離れる。

光り輝くドラゴン、天族マオテラスを見上げ、

 

「今ならあなたの意志も、あなたが護るあの人の想いと言う名の感情を理解できた。マオテラス、あなたも選ぶといい。彼女を意志を継ぎ、このまま続けるか。それとも聖主という任を辞めるか。」

 

天族マオテラスはスレイを見つめる。

それはスレイの答えに賛同し、そして意志を継ぎ続けるという事だ。

スレイ達の居た場所も崩れ始める。

 

「なら、俺も見守ってあげるよ。スレイという人間の一人の友人として。」

 

そこには白と黒のコートのようなワンピース服を来た審判者が居た。

彼はスレイに近付き、笑みを浮かべて言った。

スレイも笑顔で、

 

「ああ。今度はゼロも一緒に旅をしよう。」

「は?」

「だって、旅は人数が多い方が楽しいからさ。」

「……考えておくよ。」

 

彼はそっぽ向き、照れながら言った。

レイは微笑んだ後、風がレイを包む。

そしてスレイと同い年くらいの黒いコートのようなワンピース服を着た少女が現れる。

その少女、裁判者はスレイを見て、

 

「私はお前と盟約を結ぼう。お前の意志が続く限り、お前を援護する。そしてお前の導く未来とやらを、見定めよう。導師スレイ。」

 

そう言って二人は見合う。

そして裁判者と審判者は天族マオテラスの近くに行く。

スレイも同じように天族マオテラスの前に行く。

裁判者と審判者は同じように、スレイと天族マオテラスに向けて手を前に出す。

そして横に広げる。

魔法陣がスレイと天族マオテラスの上下に浮かぶ。

そして一つの大きな門が現れる。

中は真っ暗な闇だ。

その中にスレイと天族マオテラスは飲み込まれる。

スレイは天族マオテラスに額に触れ、瞳を閉じる。

そして天族マオテラスと繋がると、再び瞳を開け扉の向こうの上を見上げ、

 

「……ありがとう。」

 

そう言って、扉が閉まる。

その瞬間光の柱が生まれる。

それは世界に一瞬で広がり、一周して一つの柱となる。

世界に光と歌と笛の音が広がった……

 

――世界から穢れが薄れ、暖かな日差し、空気が流れる。

そして人も、天族も、喜び合う。

あるものは世界に広がる空を見上げ、あるものは願いと意志を託したその土地で……

人々は歓喜に包まれる。

あるものは仲間と笑い、あるものはかつて敵だった国同士ものと未来を掴むために、互いに手を取り合う。

繋げたものの願いと意志を繋げて……

 

 

ロゼは見つめる。

スレイがこれから起こす未来の人柱を……

涙を一筋流し、彼女は託された想いを背に歩き出す。

その彼女の眼の前には、四人の天族達が居た。

彼女は再び涙を流し、彼らの元に駆け寄った。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。