テイルズオブゼスティリアでやってみた   作:609

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toz 第二十六話 寄り道4

スレイ達は次の目的地の為に移動を始めていた。

そして日も暮れて来たので野営をしていた。

そして、スレイとロゼはすでに眠りの中である。

ミクリオは隣に居るレイを見た後、スレイの事を思い出した。

 

「しかし、本当に秘力を全て集められるとはな……」

「ま、ボウヤたちにしては頑張ったわね。」

 

エドナがホットミルクを飲みながら言う。

ミクリオはそっぽ向きながら、

 

「そうだね。エドナがミノタウロスを睨み切らせて逃がした時は驚いたけどね。さすが、エドナお嬢様だ。」

「何が言いたいの、ミボ。」

「別に。」

 

二人は互いに睨み合う。

レイはホットミルクを飲みながら、

 

「……でも事実。それにエドナは最後、あの子達の気持ちに気付いてくれた。それにお兄ちゃん一人……ううん、皆と言う仲間が居たからお兄ちゃんは試練をクリアでき、ほかの導師達の掴めなかったものに近付いている。」

「……レイ……」

 

ミクリオが隣のレイを悲しく見た。

レイは立ち上がり、

 

「明日も早いからもう寝る。お休み。」

「……ああ。お休み。」

 

レイはスレイの眠るテントの中に入って行く。

ライラはミクリオを見て、

 

「ミクリオさん。」

「なんだい、ライラ。」

「レイさんは着々と裁判者に戻ろうとしています。」

「な⁉」

「……ですが、レイさん自身もまた、レイさんでいようと動いています。だから、レイさんの伸ばす手を離さないでください。」

「……ライラ。ああ。」

 

ミクリオは腰を上げ、

 

「じゃあ。僕も、もう寝るよ。」

「はい。」

 

ライラが優しく微笑みかける。

デゼルが木にもたれながら、

 

「相変わらず、甘ちゃんだな。はっきり言ってやればいいものを。」

「何をです?」

「あのチビがもうじき消える、っということをだ。」

「デゼルさん……気付いて?」

「は。あの甘ちゃん共はともかく、そいつも薄々気付いてんだろ。」

 

そう言って、エドナの方を見る。

エドナはコップを置き、

 

「ええ。火の試練神殿と水の試練神殿の時はあまり気にしていなかったけど、他の二つは違った。護法天族が裁判者の存在に気付いてすらいなかった。それに、水の試練神殿の時、アイツはアシュラを倒せるだけの力を持っていた。そして、風の試練神殿の時には……アイツそのものともとれる力……。それはつまり、力はもう完全に元に戻っているんでしょうね。でも、器であるレイ≪おチビちゃん≫は違う。体は人間そのものになりかかっているんじゃないかしら。だから、護法天族達はおチビちゃんを『器』と言い切った。」

「……はい。私もそう思っています。ですが、それは逆を言えばレイさんが自身の道を決めようとしている。そして裁判者である彼女はレイさんにその道を出す答えを待っている……」

「は。要は時間の問題だ。」

「あら、意外とおチビちゃんにも思い入れが?」

「……ないな。俺は俺の目的がある。せいぜい邪魔にならないようにして欲しいだけだ。」

「……まだ復讐する事をお考えで?」

「当たり前だ。俺はその為にここに居るんだからな。」

 

デゼルは立ち上がり、その場を離れた。

ライラとエドナは互いに見合い、

 

「まったく、みんなガキなんだから。」

「ふふ。そうですわね。」

 

二人もロゼの居るテントに歩いて行く。

 

 

翌朝、一行は戦場に向かう前に用事を済ませる事にした。

まず、探検家メーヴィンを追いながら、報集めも兼ねてキャメロット大橋に向かった。

長く大きな橋に、スレイは目を輝かせる。

 

「おお!凄いな!」

「ガキね。」

 

エドナが傘をクルクル回しながら、呆れていた。

中間まで行くと、商売小屋や商人達が大勢いた。

 

「それなりに、賑やかなところだね。」

「みたいだな。」

 

ミクリオとスレイが辺りを見渡した。

ロゼが手を上げて、

 

「んじゃ、あたしは情報を集めてくる!」

「仕方ない、俺も付いて行く。」

「素直に心配って言えばいいのに。」

 

デゼルが帽子を深くして言う姿に、レイが彼を見上げて言った。

 

「うるさいぞ、チビ。ほら、行くぞ。」

 

デゼルはロゼの横を通り過ぎって言った。

ロゼは笑いながら、

 

「はいはい。」

「返事は一回で十分だ。」

 

そう言いながら歩いて行く。

残された組は残された組で、情報を集める事にした。

するとレイが商人達の会話に入って行った。

 

「それ詳しく教えて。」

「ん?何だ、嬢ちゃん。別に面白くもなんともないぜ。」

「構わない。」

「そうか?」

 

そこに、スレイがやって来る。

 

「いたいた。レイ、急に居なくならないでくれ。」

「ごめん。でも、お兄ちゃんもこの人の話を聞くと言い。」

「へ?何の話?」

 

スレイは商人を見た。

商人は頭を掻きながら、

 

「いや、なに……ここんとこな、ザフゴット原野で凶暴なゾウが出るって噂があってな。胡散臭いとは思うが、実際原野を進んで襲われたって言ってる商人がかなりいるって話だ。だから兄ちゃん達も気をつけな。噂の真偽はどうあれ、西に行くときは気ぃつけな。」

 

ロゼが戻って来て、

 

「瞳石≪どうせき≫についての情報ゲット!なんでも、ホルサの村人に売ったって言う商人がいて、西のザフゴット原野を越えた所だって。」

「お!瞳石≪どうせき≫の情報来た!」

 

スレイは大喜びだった。

だが、ロゼが真剣な表情になり、

 

「でも、以前って言っていたからどれくらいだろうね。」

「なんだ?ロゼ、まさか嫌な予感?」

 

ミクリオがロゼを見る。

ロゼは頷きながら、

 

「しちゃうね。ホルサ村の話、最近聞かないし。」

「それだけじゃない。ザフゴット原野を通るなら、凶暴なゾウが居るみたいだし。」

「……そういえば、そうだな。多分、憑魔≪ひょうま≫だよな……」

 

レイの言葉にスレイが苦笑いする。

すると、さらにこんな話を聞いた。

どうやらホルサ村は全滅したと言う噂のようだ。

さらに、この数年辺境の村がいくつも滅んでいるらしい。

他にも、体が石みたいに固まってしまう病気も広まっているらしい。

これに関しては憑魔≪ひょうま≫かもしれないと踏んでいる。

 

スレイが一通り見た後、

 

「メーヴィン、居ないね。」

「そうだね。」

 

レイは辺りを見た後、

 

「お兄ちゃん、もし可能ならさっき言っていた瞳石≪どうせき≫の方を当たらない?」

「ん?そうだな。そうするか。」

 

スレイは頷いた。

そして一行は、ザフゴット原野に足を踏み入れる。

広がるのは砂、高い岩柱、そこまで多くない木々だった。

少し砂漠に近い何かを感じる。

 

それを歩き続け、その奥の一角に朽ち果てた村の痕跡を見つけた。

レイは遠くを見るような目で、

 

「いる……悲しみに囚われた哀れな人間のなれの果て……」

 

スレイはその悲惨な光景を見て、

 

「当たっちゃったな、ロゼの勘。」

「まだだよ。予感続行中。」

「お兄ちゃん、力のある憑魔≪ひょうま≫がいるよ。」

 

レイの指さす方には穢れを放つ憑魔≪ひょうま≫が居た。

スレイは気を引き締めて、

 

「……わかった。油断するなよ、みんな。」

「特にお前がな。」

 

デゼルが力み過ぎているスレイに言う。

ロゼが後ろから、スレイは前から憑魔≪ひょうま≫に攻撃を仕掛ける。

レイは少し離れた所で、歌を歌い始める。

スレイはヘビのような体、髪もヘビと化しているその憑魔≪ひょうま≫を見て、

 

「やっぱりメデューサか!」

「この者はステンノー!同族の憑魔≪ひょうま≫ですわ!」

 

ライラが炎の天響術で動きを封じて言う。

ミクリオが水の天響術の詠唱が終わり放つ。

 

「どっちにしろ、石化には注意なんだろ?」

「石化を防ぐ手段は限られています!」

「徹底的に防御よ!」

 

エドナが土の天響術を詠唱しながら言う。

スレイは頷きながら、

 

「ああ!わかった!」

 

石化を注意しながら、神依≪カムイ≫化を駆使して戦闘を行っていく。

レイは憑魔≪ひょうま≫の標的にならないよう、廃墟の影を利用して歌を歌い続ける。

スレイ達の攻撃が徐々に憑魔≪ひょうま≫にヒットしていく。

その度に、憑魔≪ひょうま≫は高笑いをして、スレイ達を石化しようとする。

そして、ミクリオ、エドナ、神依≪カムイ≫化したロゼとデゼルの攻撃が敵の背後からヒットする。

大きくできた敵の隙を突いて、スレイがライラと神依≪カムイ≫化をし、一撃を与える。

 

憑魔≪ひょうま≫は一歩後ろに下がる。

レイもスレイ達の元に行く。

憑魔≪ひょうま≫は唸り声を上がる。

 

「ぐうう……るる……」

 

レイはジッとその憑魔≪ひょうま≫を見つめる。

スレイは憑魔≪ひょうま≫の放つ穢れを見て、

 

「なんて穢れだ……!」

「哀れで悲しき者だな……」

 

レイは呟いた。

そして憑魔≪ひょうま≫は呟き始めた。

 

「私は貴方を信じたのに……すべてを捨てて……なのになぜ……」

「スレイ、浄化を!」

 

ロゼが武器を構えたまま言う。

スレイはその憑魔≪ひょうま≫の苦しそうな面持ちに、戸惑いを見せる。

 

「なぜあんな女にいい〰っ!」

「……逃げる、か……」

 

穢れを爆発させ、姿を消し始めた。

スレイはすぐにその場に駆けるが、

 

「しまった……!」

 

だが、すでにその姿はなくなった。

デゼルがスレイに、

 

「もう遅い。迷ったな。」

 

スレイは地面を見つめ、黙り込む。

ロゼはスレイを心配そうに見て、

 

「……スレイ。」

「済んだことは仕方ない。村を調べてみよう。」

 

ミクリオが武器をしまい、そう言う。

ライラが頷き、

 

「ええ。無事な人がいるかもしれませんし。」

 

そう言って、村を探索する。

一通り見たが、村には人はいなかった。

あったのは瓦礫の山ばかりだった。

そしてロゼが、スレイを見て、

 

「スレイ。枢機卿の事想い出してたっしょ。」

 

レイはスレイとロゼを見上げる。

スレイは肩を落として、

 

「……一瞬だけ。」

「迷っちゃうなら、どっかの宿で待ってれば?あたし、片付けとくし。」

 

ロゼが腰に手を当て、まっすぐした目で言う。

スレイは顔を上げ、

 

「何言ってんだ。ロゼだけじゃ浄化できないだろ。」

「けど、殺れる。」

 

ロゼは力強い瞳をスレイに向ける。

スレイは眉を寄せ、

 

「そんなの……!」

「スレイ、迷ってたらその隙につけ込まれちゃう。敵を気遣ったせいで、仲間が傷つくなんて絶対イヤ。」

「……つまりオレは邪魔だって言うのか。」

「そ。」

 

ロゼは即答だった。

そこにミクリオが眉を寄せ、

 

「待ってくれ、ロゼ。スレイは!」

「ミク兄。」

 

レイがミクリオの服の裾を引っ張り、首を振る。

そしてライラも、

 

「ミクリオさん、ここは。」

 

と、彼を見つめる。

そしてスレイは深呼吸し、

 

「……もう迷わないから。」

「別に迷うなって言ってんじゃないけど、やるってんならしっかりやろ。」

「ああ。」

 

スレイは頷く。

ミクリオはそっぽ向きながら、

 

「……なんだよ。気を遣った僕がバカみたいじゃないか。」

「ふふ、そんなことはありませんわ。」

「『みたい』じゃないってことよね。」

「違う!」「違います!」

 

二人は声を揃えて言った。

レイはそれを見上げ、少し笑った。

 

しばらくして、レイはスレイの横に歩いて行き、

 

「はい、お兄ちゃん。」

「瞳石≪どうせき≫!どこで?」

「向こうに落ちてた。」

 

レイはスレイに瞳石≪どうせき≫を渡す。

それが光り出す。

 

――それは男性だった。

そう、ローランス帝国の白凰騎士団の初代騎士団長の男だった。

彼は疲れ切っていた。

表情は暗く、瞳は闇に覆われていた。

彼の家族や友人だろうか、何人かの人々が嬉しそうに彼に笑いかける。

それはとても楽しそうに、嬉しそうに彼に笑いかけ、彼を呼ぶ。

だが、それは突如変化する。

闇に飲まれる者、殺される者、炎に包まれる者、自殺する者、不慮の事故にあう者、

彼の表情は怒り、悲しみ、恐怖、色々な思いがぐちゃまぜになり、崩れていく。

彼は涙を流し、顔を覆う。

そして一人、悲しみと恐怖にかられていた。

 

それを見終わったスレイが少しの間を置き、

 

「なにが……あったんだ?」

「亡くなったってこと……じゃないかな?家族が。」

 

ロゼが腕を組み、眉を寄せて言う。

レイは彼らに背を向け、空を見上げる。

エドナが真剣な表情で、

 

「多分ね。しかも次々と、ほぼ全員。」

 

ライラは手を握り合わせ、悲しそうに俯く。

ミクリオがスレイを見て、

 

「偶然とは思えないね。」

「殺された……ってこと?」

 

スレイはその後、黙り込んだ。

レイが歌を歌い出す。

それは村全体を包み、爽やかな風がそよぐ。

スレイはレイを見て、

 

「レイ、ありがと。くよくよしてても仕方ない、か……よし!」

「行くのね。」

「ああ!」

 

エドナはスレイを見上げる。

そしてスレイは大きく頷き、歩き出す。

あの憑魔≪ひょうま≫を追う。

レイは廃墟とかした村を見て、

 

「……前にも……違う、約束……?」

 

レイの眼には、顔を思い出せない小さな少年の子供がちらつく。

そしてそのすぐ傍に天族の男性が居た気がした。

 

レイは首を振り、スレイ達の後ろに付いて行く。

再びザフゴット原野を足を踏み入れる。

スレイが思い出したかのように、

 

「そういや、強大なゾウいないな……」

「ああ。それも憑魔≪ひょうま≫だと思ったんだが。」

 

ミクリオも辺りを見渡す。

ロゼが頭で手を組んで、

 

「ま。そういう時もあるって。それより、メーヴィンおじさんがキャメロット大橋に戻ってるかもしれないし、戻ろっか。その巨大ゾウはまた来た時に対処しよ。」

「そうだな。」

 

スレイ達はキャメロット大橋に向かって戻る。

戻って探検家メーヴィンを探していると、ある商人に会った。

 

「メーヴィンさんとは祖父の代からのおつきあいです。頼めばどんな品でも探し出してくれる、不思議な人ですよ。」

「それで、メーヴィンおじさんは今どこに?」

「そうでしたね。たしか、別口で頼まれものがあるそうで、ガンガレン遺跡に行くとおしゃっていました。」

 

そう言って、商人と別れる。

スレイは腕を組み、

 

「それにしても捕まらないな、メーヴィンと。」

「あたしは逆に燃えてきた!次こそとっつかまえてやる!さ、行くよ、スレイ!」

「ああ!」

 

ロゼは腕を上げて盛り上がる。

ミクリオが呆れたように、

 

「まるで罪人を捕まえる衛兵みたいだな……」

「悪いことしたの?」

「してない、してない。」

「そ。」

 

ミクリオは手を振って言った。

レイは少し笑って、ミクリオと共に歩いて行く。

 

 

一行は探検家メーヴィンを追って、ガンガレン遺跡までやって来た。

スレイとロゼが肩を回しながら、

 

「さて、メーヴィンを探すぞ!」

「今度こそ、捕まえてやる!」

「おいおい。」

 

そんな二人の姿にミクリオが呆れていた。

レイは歩き出し、

 

「大丈夫だよ、お兄ちゃん。意外と近くにいるみたい。」

「え?」

「こっち。」

 

そういって、レイを先頭に歩き出す。

レイが進む先に、人影が見えて来た。

遺跡を調べている探検家の姿だ。

ロゼがその後姿に、

 

「いたいた!メーヴィンおじさん!」

「お?どうした、こんなところで。」

 

探検家メーヴィンはこちらに振り返る。

スレイが探検家メーヴィンに説明する。

 

「ペンドラゴの司祭に頼まれたんだ。お礼を渡してくれって。」

「それでバカ正直に追ってきたのか?」

 

探検家メーヴィンは彼らを見た。

レイはジッと彼らを見る。

 

「おじさんが教えてくれたんじゃない。『商売も人間も信用が第一だ』って。」

「司祭さんとも約束したしね。」

 

ロゼは腕を組み、スレイは腰に手を当て、笑顔で言う。

彼は笑みを浮かべ、

 

「面白いコンビだぜ、まったく。」

「それにしても顔が広いだな。メーヴィンって。」

 

スレイが思い出したように言う。

彼は笑みを浮かべたまま、

 

「いつの間にかできた腐れ縁だ。まあ、そんな縁≪えにし≫こそが世界だとも言えるがな。」

「追う方は大変だけどね。」

 

ロゼは頭を掻きながら言う。

彼は笑いながら、

 

「はは、勘弁しろって。お礼は、お前らにやるから。」

「そんな。悪いよ。」

「遠慮するな。こういうことから腐れ縁が始まるんだぜ?」

「……わかった。ありがとう。」

 

スレイは頷いた。

レイは彼らから視線を外し、背を向けて、

 

「縁≪えにし≫こそが世界……か。あいつやあの導師が願い、想っていたものだな……」

 

レイは彼らに視線を戻し、見る。

すると、ロゼが腰に手を当て、

 

「あれ?そうすると、ここまで来た意味って……?」

「ははは!考えすぎだぜ、お嬢!純粋な心を忘れるなよ。」

 

そう言いながら、歩いて行った。

スレイとミクリオは互いに見合って、笑った。

 

その日はここで野営をした。

レイは久しぶりに夢を見た。

 

――そこは森の中だった。

空には黄金に輝く綺麗な満月。

そこに歌と笛の音が響き合う。

その歌と笛の音は木の上からだった。

そして、その歌と音色に耳を傾けている人物が二人いた。

男性と女性だ。

しかし、二人の顔は見えない。

そして、自分の隣に居る笛を奏でている者の顔も見えない。

だが、自然とこの記憶は悪いものではないと自分≪レイ≫は思う。

前にずっと見ていた記憶は悲しいものばかりだった。

戦場、願いのなれの果て、悲しみ、絶望……色んな感情が入り混じった重く辛いと思う記憶。

だが、これはとても安らかな気持ちになれる。

 

レイは一度目を覚まし、再び目を閉じた。

その目からは一筋の涙が流れ出ていた。


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