アニメージュに連載されているんですね。
設定良くみたら、三日月達鉄華団はクマネズミ、マッキー&ガリガリが猫(マッキーが雑種な辺り細かい)、アインがモルモット・・・アインがモルモットて、ブラックなネタが入ってるなあ。
希望を運ぶ船
イサリビの格納庫で、ヤマギにマン・ロディからグレイズ改への阿頼耶識の移植をしてもらい、テストをしている。まずは志願したシノが試している所だが・・・。
「ぐぅはっ!・・・」
「大丈夫!?」
「ああ。しっかしこりゃキッツいなあ・・・」
厄祭戦後に造られた新しい機体で、阿頼耶識を使わない前提で完成したシステムを持つグレイズに阿頼耶識を組み込むのは簡単にいかないようだ。脳へのデータのフィードバックが最適化出来て無いのか、シノは顔をしかめている。
「やっぱり無理なのかな・・・ブルワーズが使ってた阿頼耶識システムをこいつに組み込むなんて」
「諦めんなよ、ヤマギ」
「でも・・・」
「テストだったら何度でも付き合ってやる。俺だって欲しいんだよ、護れる力ってやつがよ」
「シノ・・・」
「大丈夫、きっと上手くいくよ。テストだったら僕もいるからさ」
「でも、トウガさん・・・なんかダルそうに見えますけど」
「ああ、ちゃんと寝てんのか?」
「え?あ~、大丈夫、ちょっと寝付けなかっただけだから」
言えない・・・フミタンの事が気になって眠れなかったなんて、恥ずかしくて絶対言えない。何でこんな・・・。
「それはともかく、僕も阿頼耶識が使えればもっと上手く戦える。そうすれば・・・」
そうすれば、もっと太刀を巧く扱えるようになる筈だ。
グシオンと戦った時は装甲に傷を付ける事は出来たがフレームまでは斬れなかった。まあグシオンの時はそれで良かったのだけど。
原作1期最終話で三日月とバルバトスが実現した装甲ごとMSのフレームまで断ち斬る剣。それが戦闘面での当面の目標だ。
「まずはシノに合わせた調整をして、それを基に僕に合わせた調整をするのが良いのかな?」
「そうですね・・・トウガさんに最適化した調整だと、シノには負荷が大き過ぎるだろうし」
僕は阿頼耶識の手術を2回受けているが、シノは1回。その分受け止められる情報量の限界には差があるからな。
グレイズ改の改修は阿頼耶識の移植だけでは無い。タービンズから提供してもらった百錬のパーツを使って推力を強化する予定だ。
それとブルワーズからの戦利品のナノラミネート塗料に赤系の色があったので、シノがリペイントを希望。原作通りの流星号になるだろう。僕のグレイズ改も一部をリペイントする予定だ。
グシオンについては、改修はコロニーに着いてからとなる。先に原作知識を利用してリベイクの改修プランを大まかではあるがまとめてタービンズに送ってあるので、原作よりわずかでも早く改修が終わる事を期待したい。
バルバトスの予備パーツを流用し元のグシオンの装甲をバックパックやシールドに転用、バックパック内部にグレイズの腕パーツを流用したサブアームを内蔵、遠距離射撃に適した高感度センサーの頭部への搭載等・・・ラフタは今のグシオンの着膨れた姿と改修後(リベイク)予想図のフォルムのあまりの違いに首を傾げていたが。
コロニーへの到着が迫った頃、僕は独房のクランクさんに頭を下げていた。
「貴方は鉄華団の人間でもなく、また虜囚の身を強いておいて勝手なのは承知していますが、力を貸していただく、お願いします」
「頭を上げてくれ。・・・事情を説明してくれるか?仲間では無く俺を頼るのには理由があるのだろう?」
「はい。コーラル・コンラッドにクーデリア殺害を唆した黒幕、ノブリス・ゴルドンがこれから行くドルトコロニーに罠を仕掛けています」
「コーラルを動かした奴が判ったのか!?」
「ええ。ノブリスはクーデリアの支援者でありながら、裏でクーデリアがギャラルホルンに殺害される状況を作ろうとしているんです。それを火種に火星の独立運動を過激化させて、乱れた治安を利用して利益を得る腹積もりのようです」
「その為の駒がコーラル、そしてその命令で動いた俺達だったのか。治安を維持するどころか治安を悪化させる片棒を担がされていたとは、情けない話だ」
ため息混じりに自嘲するクランクさん。
「火星で失敗して、次はコロニーというわけです。ドルトコロニーでは今、劣悪な待遇の改善を求める労働者達が抗議のデモを起こそうとしています。ノブリスはその労働者達に武器を流して暴動を煽り、クーデリアをその首謀者に仕立て上げようとしているんです」
「どうやってクーデリアを首謀者に仕立てるというんだ?」
「それが・・・今僕達が依頼されてドルトコロニーに運んでいる荷物、工業資源と聞かされていたのが嘘っぱち、実際は戦闘用MWや武器弾薬だったんです」
「なんだと!?」
「僕達もノブリスに嵌められたんです。送り主のGNトレーディングという会社、ノブリスの会社だったんですよ。おそらく鉄華団が荷物を降ろした頃にギャラルホルンの部隊が来るようにノブリスの部下が通報する、そこに居合わせた鉄華団とクーデリアは不穏分子としてギャラルホルンに始末される。そうしたらノブリスは火星の独立運動家にクーデリアとその護衛の鉄華団の死を喧伝して煽るつもりなんでしょう」
革命の乙女とそれを護る若き騎士団なんて、気取った言い回しをしてくれるよ全く。
「本当なら預かった荷物の中身を覗くなんて御法度です。現時点でこの事を知っているのは僕だけで、情報元が訳ありで団長や他の仲間に話す事も出来ないんです」
情報元って原作知識だからなあ。
「ぬう・・・それでどうするつもりだ?」
「クーデリアは荷物の搬入先のドルト2では無く、高級住宅街やショッピングモールのあるドルト3に買い物に行くように仕向けます。そちらにもノブリスの手先がいる可能性はありますし鉄華団本隊と別行動になりますから護衛が必要になります。それを手伝って欲しいんです。貴方を同行させる理由は上手くでっち上げますから」
実際は原作通りならクーデリアは自分からドルト3に行きたがる筈だけど。
「良いのか?仲間を欺く事になるのでは無いか?」
「覚悟の上です。彼らの為に必要な事を躊躇う方が裏切りだと思っています」
「・・・判った。お前に任せる。コーラルを操っていた輩の企みなら、俺にも無関係でもないしな」
そして
「皆さんがドルト2でお仕事をしている間、フミタンと二人でドルト3へ行って来てもよろしいでしょうか?」
「お嬢様?」
「ドルト3へ?」
「ええ、商業施設があるなら少し買い物がしたいと思って」
「お嬢様それは・・・」
「いいでしょ?フミタン。いろいろ買っておきたい物もあるし、何より買い物なんて久しぶりなんですもの」
僕の知る原作知識通り、クーデリアがドルト3に行きたいと言い出した。しかしクーデリアのフミタンへの態度は妹が姉におねだりしているようで微笑ましいな・・・っていやいやそうじゃなくて。
クーデリアの頼みにフミタンが折れ、アトラも一緒に行く事に。女性だけでは心配だからとオルガが三日月に護衛を頼み、本人の希望でビスケットも同行する事になった。僕はオルガに耳打ちする。
「オルガ、ちょっと外に。話がある」
「ん?・・・判った。ちょっと外すぞ」
そしてブリッジを出るとオルガに話を切り出す。
「オルガ、コロニーが見えてきた頃から嫌な感じがするんだ」
「嫌な感じ?」
「うん、こう・・・背中のヒゲが疼くというか・・・クーデリアがCGSに来た時と同じ感じ」
「あの時と同じ・・・何があるっていうんだ?テイワズから頼まれた荷物を届けるだけだぜ?」
「うん、ただの勘でしかないんだけどね、どうにも無視出来ないんだ。こういう時はいつも悪い事が起こる。困った事にドルト3に行くクーデリアの方にトラブルが起きそうな気もするし、ドルト2の方にも何かありそうな気がして・・・僕はクーデリアの護衛につかせてもらう。三日月がいれば、とは思うけど、人数が少ない方に同行させてもらうよ」
「はあ・・・確かにクーデリアが来た時のアンタの備えは的中したしな。わかった。ミカとアンタにビスケット、それだけいれば不足は無えだろうしな」
「あ、あと捕虜の人も連れて行くよ。何かあったら最悪クーデリアの盾になってもらう」
「あのオッサンをか?・・・良いのか?こんな所で」
「最悪の時は、だよ。取り越し苦労で済めばそれで良し。何かあったら・・・クーデリアの安全が優先だ。その為に犠牲が必要な時は身内以外の人間を切り捨てる」
オルガの手前こうは言っているけど、半分くらいは嘘だ。僕はクランクさんに対しては多分非情になれないだろう。
「こういう判断は認められない?」
「いや・・・アンタがそう割り切ってるならそれで良い。あのオッサンの事はアンタに任せてるしな」
「ありがとう。ドルト2の方も用心してね。何かあった時はすぐイサリビを動かせるように」
「ああ、用心しとくよ」
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昭弘は昌弘を伴いグシオンの改修に立ち会う為ハンマーヘッドに来ていた。
「本当にこれに乗るの昭弘?だってこれ、昌弘やその仲間をこきつかって虐めてた奴が乗ってたんでしょ?」
「ラフタ!」
「だって・・・」
ラフタの言葉に昌弘がビクリと反応する。それを見てアジーがラフタを諌める。昭弘は昌弘の頭に手を置きながらラフタに答える。
「戦力は必要だろう。それにトウガの奴がよ・・・」
「ん?」
「アイツのグレイズは、金目当てでクーデリアを狙ってた火星のギャラルホルンの司令官が乗ってた機体でよ」
「何それ?そんなMS売っちゃえば良いじゃん」
「タカキ達が訊いた事あるんだよ。鹵獲した機体は他にもあったのに何でってよ。そしたらあいつ・・・」
『そんな奴の機体だから、だよ。クーデリアを殺したがっていた奴の機体でクーデリアを護る。皮肉が効いていて面白いじゃないか』
「ってよ、楽しそうに笑ってやがった」
「げ~、それってちょっと悪趣味」
「ああ。けど、今はそう言う考え方も悪くねえ気もしてる。それに俺は昌弘や、俺達兄弟の為に体張ってくれた仲間を護る為に、もっと強くならなきゃいけねえんだ」
「兄貴・・・」
「心配すんな昌弘。親父とお袋が殺されて、何も出来なかったあの時とは違う。お前も仲間も、鉄華団っていう俺達の家も、自分の大事な物は自分で護るんだ」
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準備を整えた後、ランチでイサリビを出発してドルト3に向かう。ランチの操縦席と助手席に三日月とビスケットが、後部シートにクーデリアとフミタン、アトラが座り、僕とクランクさんは壁際に立っている。
「なんというか・・・思っていたより大人数になりましたね」
「すいませんね。三日月がいればまあ大丈夫かとも思いましたけど、念には念を、と言うことで」
元々フミタンと2人で、自分が誘ったアトラを入れても3人のつもりが7人になった事に苦笑いするクーデリア。
「あの・・・座りませんか?」
「いや、気遣いはありがたいが、俺の事はいないものと思ってくれ」
アトラがクランクさんに声をかけるがクランクさんはやんわりと断る。
「じゃあトウガさん・・・」
「僕も遠慮させてもらうよ」
フミタンと向かい合わせに座るのは落ち着かないから。
「あ、そうそう、今のうちに・・・。クーデリアさん、これを」
持ち込んでいたリュックサックから畳んだ服を2着取り出してまずクーデリアに手渡す。
「え・・・コート、ですか?少し重いですけど」
「防弾性の繊維を使って、裏地に防弾パッドを縫い付けた特別製です。これを着ておけば銃で撃たれても致命傷は避けられますから。コロニーに入ったらイサリビに戻るまでは着ていてください」
まあ絶対とは言えないし頭を射たれたら意味無いけど、無いよりはマシだと思う。ちなみにクランクさんも同じ仕様のコートを着ている。
「はあ・・・」
「私もですか?」
クーデリアの次に差し出されたフミタンが聞いてくる。
「当然でしょう?はいどうぞ・・・あっ」
フミタンの手に指が触れてしまいドキリとしてしまう。マズイな。意識し過ぎだ。
「ええっと、後は・・・アトラはこれ持ってて」
「え?何ですかこれ?」
アトラに手渡したのは掌に収まるくらいの大きさの缶スプレー。
「暴漢撃退用スプレー。殺傷力は無いけど眼に入ったら開けてられないくらいに強烈な刺激を与える」
「あの・・・私達買い物に行くんですよね・・・?」
アトラはなんとも言えない顔をする。
「楽しい気分に水を差して悪いけど、どんなに治安の良い所でも一人か二人くらいはおかしな奴とか悪い奴がいるものだと思った方が良い。女の子は特に気をつけないと。クーデリアさんとフミタンさんのは心配しすぎって言われても仕方ないけど、立場考えたらむしろ軽い位だよ」
「は・・・はあ・・・」
あ、ちょっと引かれたかな?クーデリアも微妙な顔してるし。
間違った事は言ってないと思うけど・・・。
それに原作だとアトラはクーデリアと間違えられてビスケットもろとも拉致された上、ギャラルホルンの兵士に何度も殴られたり髪の毛引っ張られたり縛り付けられた椅子ごと引き倒されたりしているし・・・ああ、思い出したらムカついてきた。こちらではまだ起こっていないとはいえ・・・。
「心配し過ぎですよトウガさん。ドルト3は治安の良いコロニーですから・・・あ、でもクッキーとクラッカだったら俺も心配かな・・・」
「だよね。アトラは僕から見れば妹みたいなものだし、心配して当然でしょ?」
などと話しながらドルト3へ入港した。
「え?買い物って・・・?」
「伺いますが皆さん、最後に体を洗ったのはいつですか?」
「いつだっけ?」
「確か四日・・・あっ、いや五日前?」
「えーーっ!?」
「僕とクランクさんは昨日洗いましたよ。ねえクランクさん?」
「ああ、俺はタオルと湯を一日おきに用意してもらっている」
「僕もその後に自分の体は洗ってるけど」
CGSの時はシャワーもロクに使わせてもらえなかったし、その頃よりは大分マシだと思うけどね。
「以前から気になってたんです。艦内に漂う、その・・・臭いが」
「そういえば確かに臭いかも。皆が集まってると、うっ!ってなる時あるもん」
「へえ」
「あー、ごめん。CGSの頃からの習慣というか・・・水を自由に使えるようになったのも最近の事だから・・・」
「そんなに臭いかなあ?」
「うん臭い!雪乃丞さんなんて近くに行くと目がツンって痛くなるし」
「衛生環境は大切です。皆さんの着替えと洗剤や掃除用具も買ってこの機会に艦内を綺麗にしてはどうかと」
「うん賛成!私も手伝います!」
そして女子3人が買い物に勤しむ間、僕達男組は店の壁際で待機ということになった。
「何見てんの?」
ビスケットが辺りを見回しているのに気付いた三日月が声を掛けた。
「えっ?ああ、憧れだったんだ。小さい頃ここへ来るのが」
「小さい頃?」
「話した事無かったけど、俺このコロニー群の出身なんだ」
「へえ」
「じゃあここはビスケットの故郷って事になるのかな?」
「住んでたのはドルト2のスラム街ですけどね。父さんと母さんは朝から晩まで工場で働いてて・・・貧しかったですよ。地球圏っていっても暮らしは火星の人達と変わらなかった」
ドルト2での生活の貧しさを思い出しながらのビスケットの話は別れ別れになった兄の存在に移り、三日月やアトラ、クーデリアの勧めで、ビスケットは近くの公共端末ボックスから兄に連絡をとる。結果ビスケットは兄のサヴァランに会える事になったが、気後れするビスケットにアトラが同行を申し出た。
アトラって、思い込んだら一直線な所あるよな・・・鉄華団に入団した時もそうだったし・・・っといけない。このまま二人だけ行かせたら原作通りビスケットとアトラが・・・。
「あー、僕もビスケットの兄さんには会ってみたいから、一緒に行って良いかな、邪魔はしないからさ」
「え?トウガさんもですか?」
「ちょっと挨拶させてもらうだけだからさ、頼むよ」
「おいちょっと待て、俺達はクーデリアの護衛の為に・・・」
僕の発言にクランクさんが異を唱える。僕はクランクさんに耳打ちする。
「ドルトの労働者の問題もあります。本社の役員と接触出来たら役に立つかも知れないですから」
「しかし・・・」
「仰りたい事は解りますが、僕を信じてください」
「・・・わかった。従おう」
「何話してんの?」
クランクさんを説き伏せたものの、三日月に不審がられてしまったか。
「何でも無いよ。三日月がいれば、そっちは大丈夫だって話してただけだから。そうだろ?」
「ん、良いよ。任せて」
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その頃ドルト2では、運んで来た荷物が戦闘用のMWや武器弾薬だと知ったオルガ達が驚いていた所にギャラルホルンの部隊が詰め掛け、労働者達を拘束しようとした。だが労働者達が隙を突いて発砲、銃撃戦になり、ギャラルホルンは撤退した。
「奴ら逃げて行ったぞ!」
「俺達の勝利だ!」
「喜んでる場合じゃねえだろ!あいつらすぐに戻って来るぞ。今度は大部隊を引き連れてな!」
歓声を上げる労働者達をオルガが諌める。
「ああそうだな、もう後戻りは出来ない。戦って勝つしか無いんだ」
「ああそうとも!」
「やってやろうや!」
「俺達はやれるんだ!」
武器を手にした事、ギャラルホルンの部隊を撃退した事に舞い上がっているのか、危機感の少ない労働者達。
「本気かよ、こいつら・・・」
「オルガ、どうすんだ?」
「さて・・・どうするかな・・・」
(トウガの勘が当たっちまったか。あっちとも連絡を取りたい所だが・・・)
コロニー編は観ていて辛いですね・・・。
あとクランクの扱いが当初の予定から変わって来ました。
以前感想返信で仲間化はさせないと書きましたが・・・。
あと活動報告でアンケートを募集する予定でしたが、一期の話が終わってからに変更します。