紅魔館の役立たず   作:猫敷

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嘘つきな役立たずと狂ったお姫様 後

 巨大な置き時計が時を刻む音だけが、静かな空間にこだましている。

 眠気を誘うにはちょうどいいリズムである。

 地下にある図書館の一角で、本に埋もれながら、私は机に足を投げ出すような形で、仮眠をとっていた。昨夜は、いろいろとお楽しみし過ぎてしまった。妹様のお世話は、結局明け方まで続き、当の本人は、現在ぐっすりと夢の中である。それに引き換え私は満身創痍で、完徹をしてしまい、シャワーやら何やらやることが、まだ残っているにも関わらず、こうしてグータラしてしまっている。まるで試験前の学生のような気分だ。疲れているのなら、早くやることを済ませて、寝てしまえばいいのだが、疲れているからこそ、動きたくない。無駄な時間を過ごしているのは、分かっているし、非効率的なことも重々承知である。こうしている間に、着替えてシャワーを浴びてしまえば、すぐに寝床に移動できるはずなのに。動きたくないのだ。いっそのこと、このまま寝てしまいたいが、汚れを落とさずに、というのも気が引ける。どうせなら綺麗な身体で、気持ち良く寝たい。

 身体を動かしたせいか、死と隣り合わせだった緊張感のせいか、どちらのせいかは分からないが、変に頭が冴えてしまっている。体はかなり怠いはずなのにも関わらず、眠気があまりないというのはどういうことなのだろうか。いや、そう感じてしまっているだけなのかもしれない、実際のところ眠くないと思っているはずなのに、目は薄く開いているだけなのが分かる。

 今の姿勢を保っているのが、きつくなってきたので、寝返りをするように姿勢を変えると、横に積んであった魔道書がどさりと音を立てて崩れ、別の積み上げられたものまで押し倒したが、もう気にならない。

 ネクタイを緩めて、シャツのボタンを開けると、白手袋をとって、ネクタイとともに机へ投げ捨てた。

 幸い、今日は暇を出してもらっているし、もうしばらくグダグダしていよう。

 

「眩しっ」

 

 天井よりの壁に切られたステンドグラスから、朝日が差し込み私に降り注いでいる。きっと外では、小鳥のさえずりが聞こえているのだろう。こんなにも朝日が、清々しいと感じたのはいつぶりだろうか。あぁ、生きている。ふと最近は鈍感になってしまった、己の生について改めて考えさせられる時間である。

 

「喉渇いた」

 

 重い体を起こして、コーヒーを入れることにした。上着を脱ぎ、ベストとシャツの姿でカップに液体を注ぐ。湯気に乗って香りがほのかに漂う。

 

「……よく生きてたよな、私。まぁ、私が死んだわけじゃないから、生きてるのは当然か。いやいや、一歩間違えば殺られてましたよね。……はぁ」

 

 思い出しただけでげんなりする。

 

「なんて格好をしてるのかしら」

 

 驚いた。いきなり声をかけられたことにもだが、それがメイド長だったことにもだ。

 

「あぁ、メイド長。私、今日は休日なので、このくらいは目をつむっていただけませんか?」

 

「紅魔館の執事たるもの、いつもきちんとしていなさい」

 

「……覚えておきますよ。それで、また何のようですか? メイド長がここへいらっしゃるなんて珍しい」

 

「妹様に何をしたの? ずいぶんとおとなしくなられたようだけれど」

 

「なに、ちょっとした小手先のアイディアですよ。コーヒーいかがです? 淹れたてですよー」

 

「いただくわ」

 

 メイド長が椅子に座ると私はコーヒーを注いだカップを差し出した。

 

「これで、少しだけでも妹様とお嬢様の距離が縮まってくれればいいのだけれどね」

 

「どーでしょうねぇ。それは、本人様どうしの問題ですから」

 

「従者として、心配ではないのかしら?」

 

「ん? 違いますよ。私は心配なんてしてません。あのお二人ならきっと仲直りなさるでしょう。理由はどうあれ、惹かれあってますから。問題はどれくらいの時間がかかるのかってことですねー」

 

「えらい自信ね」

 

「お二人の軋轢は、妹様の狂気的な人格に原因がある。人格など所詮は混ぜ物です。そう、例えばこのコーヒーのように。メイド長、お砂糖とミルクは?」

 

「いただくわ。私も少し疲れました。……間宮、あなたは、砂糖を入れすぎですよ」

 

「いいじゃないですか。甘いのが好きなんですから」

 

「適量にしなさい」

 

「はーい。んー、美味しい。それで……えっと、どこまで話ましたっけ。そうそう、メイド長はこのコーヒーに砂糖ではなく、塩が入っていたとしたら、どうしますか?」

 

「その意図は?」

 

「まぁまぁ、そんなに構えないでくださいよ。私なら、捨てて、入れ直しますね。メイド長もそうでしょうけど」

 

「…………」

 

「修正不可能と思ったら捨ててしまうのが道理です」

 

「その話と妹様の人格が関係あるとでも言いたいのかしら?」

 

「おっしゃる通り。先ほども言いましたが、人格など所詮は混ぜ物だ。様々な出来事から影響を受け、変わり、そうなってしまったらもう戻せない。今のお嬢様にとって妹様は塩入りのコーヒーだ。普通なら捨ててしまうのに、捨てないのはなぜか?」

 

「馬鹿馬鹿しい。妹様はコーヒーではないでしょ」

 

「これまたおっしゃる通り。要はそこですよ。その違いは何か。無機物と有機物だから? それとも、生きているから? 違う。妹様だからです。その者への思い入れ。それだけだ」

 

「そんなこと分かりきってます。お嬢様の妹様に対する愛よ」

 

「愛、愛ですか。しかし、そんな抽象的な表現で片付けてしまえるような単純なものですかね」

 

「では、あなたは何だと思うの?」

 

「そうですね。お嬢様の妹様に対する思い、考え。さて、なんでしょうねー。そうしてしまったことの償いか、そうなってしまったことへの哀れみか、捨てることへの恐怖か、はたまた全てのことへの無尽の慈悲か」

 

「あなたは……」

 

「さぁ、私にも分かりません」

 

「…………」

 

「それを決めるのは、我々ではない。決めるのは、お嬢様ご自身ですから」

 

 そんな、分かりきったことを、私は笑顔で答えた。

 

 置き時計は正午ちょうどを指し示していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何十発という銃声がこだまし、何かが潰れ引き裂かれる音が響き、狂気の笑い声が支配する、そんな世界。

 

「あはははははー!! 今日は逃げないんだね! お人形さんいっぱい連れて遊びに来てくれたんだ!!」

 

 破壊の中心には、とても楽しそうに笑うフランドール・スカーレットがいた。応戦するゴーレムを気にもとめずになぎ払うその姿はまるですべてを破壊し尽くす荒らしのようだった。

 

「えぇ、お嬢様のお世話をせよと旦那様から言われているので」

 

 軽口を叩いてみるが正直、恐怖心しかない。あの狂気の目に獲物として捉えられていると考えただけで、身がすくみ、手足が震える。麻痺してしまっているかのようだ。

 

 妹様を絶対に近づけてはならない。間合いに入られたら、一巻の終わりだ。リーチに入らなくても、妹様の能力で、攻撃される。常に移動していなければ、一瞬で木っ端微塵になる。

 

「キュッとしてドカーン!」

 

「げっ」

 

 慌てて右に飛ぶと、私を庇うように盾になっていたゴーレムが吹き飛んだ。文字通り、真っ二つになった残骸が宙を舞う。

 無防備になった私に、重機を操るゴーレムが、援護射撃を開始する。妹様に何十発もの弾丸が撃ち込まれる。しかし、あまり効果がないのか、ピンピンしている。肉は割かれ、体には風穴があき、出血しているはずなのに。やはり、銀の弾丸でも用意しておくべきだった。ここまで頑丈ならば、それでもまったく問題なかったはずだ。私は、それを怠った自分を少し呪ってやりないと思った。

 

「いったいなー!!」

 

「申し訳ありませんっ」

 

 ゴーレムの後ろまで避難すると、体制立て直す。妹様と私の間には常に一定の距離を保つようにしている。その間をゴーレムたちで固めると、簡易的であるが、私の陣地ができあがるからだ。

 

「またそうやって隠れる。私、あなたの戦い方嫌い。そうやってすぐに逃げられるようにしてるんだ」

 

 大正解である。まともに戦っても勝ち目はない。ではどうすればいいか、地の利を活かし、戦い方を工夫し、相手の少しでも先を読むしかない。とにかく、今は耐えなければならない。耐え続け、妹様の狂気が薄らぐのを待つ。妹様の戸惑いに、隙に漬け込み、一気に畳み掛けるしかない。

 

「出てきなよ」

 

「…………」

 

「出てこいよー!!!」

 

 これは、まずいかもしれない。いや、なぜ仮定形にしたのか、これは本当にまずい。

 激怒した妹様が、一直線でこちらへと突っ込んでくる。命中しているはずの弾丸はまるで歯が立たないのか、弾かれてしまっているようだ。これではストッピングパワーなど、当てにできない。

 

「お前たち行きなさい。早く行け! 止めろ!」

 

 一体、二体とゴーレムが破壊されてゆく。死が着実にこちらへと近づいて来るのが分かる。

 こんな状態で冷静なれるはずがないのに、なぜだろうか、妹様が目の前で笑みを浮かべ腕を振りかざしているのを見た刹那、私は冷静だった。静かに確実に自らの死を悟った。

 衝撃が体に走る。不思議と痛みは無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……壊れちゃった」

 

 ゴーレムの残骸が散らばる、そこで少女はうなだれていた。

 死屍累々の上に存在する幼き彼女はまさに、最狂の吸血鬼のようだった。

 

「みんな壊れちゃう。みんな私から逃げていく。もう、嫌だよ」

 

 狂気というものに取り憑かれた彼女が流す涙を初めて目にした。力なく泣く彼女は、それだけ見れば、本当にか弱い少女のようだ。いや、間違いなく少女はか弱いのだろう。体ではなく、心が。

 

 だからこそ、私はこんな小細工までしているのだ。

 

「あまり泣かれると、可愛らしい瞳が腫れてしまいますよ?」

 

 扉を開き、部屋へと入った私は、優しく妹様に言葉をかける。

 すぐには反応が無かったが、少ししてから妹様がこちらに顔を向けた。

 

「なんで?」

 

「良く出来ているでしょう? それ」

 

 足元に転がっている執事服を身につけた人形を指さす。これを作るのには少しばかり骨が折れた。まぁ、結果からすれば、真っ黒な、どう見ても、よろしくない魔道書を引っ張り出した甲斐があったようだ。

 内心どうなるか、かなりビクビクだったが。

 悪魔との契約なんて、まっぴらごめんだったが、その心配は杞憂だった。

 正直、人形が勝とうが負けようがどちらでもよかった。

 

 

 

「さて、妹様。私とお話しませんか?」

 

「私と? さっきも逃げた癖に、よくそんなこと言えるね」

 

「逃げてませんよ。私は、たった今、この場に来たばかりです。それで、私のお誘いへのお答えは?」

 

「いいよ。話してあげる」

 

「感謝いたします。では、何か飲み物でもいかがです?」

 

 もちろん私がいれたものではない。このために、しっかりとした人を連れてきたのである。

 

「メイド長、お茶は一つで結構ですよー」

 

「もう用意はできてるわ」

 

「さすが、手際がいい。ありがとうございます」

 

 もう用は終わったとばかりにメイド長は、去っていった。

 様子を見る限り、怒っていたようだ。やはり後からありがたいお説教が待っているのだろう。だが、今はそんなことを気にしているときではない。

 

 ゴーレムにテーブルと椅子を運ばせ、妹様をエスコートする。

 

「どうでもいいけど、話って? まさか、ただお茶をするわけじゃないよね?」

 

「そのまさかと言ったらいかがします?」

 

「出てけ」

 

「冗談ですよ」

 

 怖ぇー! ちょっと冗談を言っただけじゃないですか!

 

 妹様の怒気を孕んだ視線に、汗が噴き出しそうである。

 

「でも、親睦を深めるために少しだけ、どーでもいいお話をしましょうよ。もちろん、私は従者で、あなたは、仕えられる者だ。その区別は承知していますので」

 

「意味が分からない。そんなことして何になるの?」

 

「だから親睦を深めるためですって。話題は、そうだな。んー。……何かあります? 話題って」

 

「知らないし」

 

「どんなことでもかまいませんよ。これは、ただの雑談ですから、和気あいあいと楽しみましょうよ。例えば、妹様の嫌いなものだとか好きなものだとか。食べ物でも飲み物でも。なんでもいいですよ。ちなみに私は働くことが嫌いです」

 

「聞いてないよ」

 

「あ、ところで、妹様は紅茶はお好きでした? コーヒーの方が良かったですか? まぁ、まさか、妹様がコーヒー党だとは思えませんけどね」

 

「別にどっちでもいいし、気にしない」

 

「それは、コーヒーも飲める? それとも、コーヒーは嫌いだけど仕方がなく飲む? どちらです?」

 

「そんなこと考えたことない。いちいち聞かないでよ」

 

「なら、今考えてください。私、とても興味があります」

 

「そのにやけ面やめてよ」

 

「生まれ持っての顔ですから、治しようがありません。ほらほら、答えてくださいよー。会話のキャッチボール、キャッチボール」

 

「それしかないのであれば仕方がなく飲むよ。いちいち、文句言ってもしょうがないし」

 

 この質問から分かったことが一つある。それは、妹様がわがままな性格でも馬鹿でもないということだ。狂っていても合理的に物事を考える人物だといえる。

 

「じゃあ、嫌いな人っていますか?」

 

「普通、好きな人を聞くんじゃないの?」

 

「……じゃあ、好きな人からどうぞ?」

 

「性格悪いな。バーカ」

 

「では、嫌いな人は?」

 

「……言わない」

 

「そうですか。意外でした」

 

「…………」

 

「妹様は普段何をされているんですか?」

 

「別に」

 

「いつも狂っているわけじゃないでしょう?」

 

「じゃあ、そっちがなにしてるか教えてよ。そしたら、私も教えてあげる」

 

「お仕事ですよ。役立たずですから、しょっちゅうお説教をされてますが」

 

「へー、誰から?」

 

「ほとんどメイド長とお嬢様に。長いんですよ、あれ。一度始まると、一生終わらないと思えます。あー、やだやだ」

 

「この不真面目執事」

 

「褒め言葉として受け取っておきます」

 

「別に褒めてないから。私は、いつもあそこにいるよ。あのボロボロのベッドで座ってる。いつからか、片付けに来るメイドもいなくなった。もう私も気にしない。だって、すぐボロボロになっちゃうから」

 

 まるで、自分みたい。そんな言葉が聞こえた気がした。

 では、そろそろ本題に入るとしよう。いよいよだ。

 

「この地下室に閉じ込められたことを恨んでいますか?」

 

「そんなの当たり前だよ。ずっと、ずっとこの薄暗いところに閉じ込められたら」

 

「確かに私も恨むでしょうね。自由を奪われ、何もかもを抑圧されれば、そう思われるのも当然です」

 

「……同情してくれるんだね」

 

「いいえ。そうしなければならない理由があるとすれば、これは合理的な処置だと思います」

 

「ならあなたも閉じ込められてみなよ! 何十年も何百年も! あなたも絶対に恨む!! 自分を閉じ込めた奴を、きっと恨んで憎くてたまらなく殺したくなる!!!」

 

「……先ほどの質問をもう一度するようですが、妹様は恨んでいますか?」

 

「しつこい!!」

 

「旦那様を」

 

「そうだよ!」

 

「レミリア様を嫌っていますか?」

 

「っ!」

 

 お嬢様の名を聞いて妹様が息を飲むのが分かった。

 

「なぜ答えに詰まるんです? 閉じ込められたことに納得できないのであれば恨めばいい。閉じ込めた者を。あなたを閉じ込めた者は誰です? それを良しとしている者は誰です? さぁ、その名を叫べばいい。あなたにはその権利がある。憎くて憎くてたまらなく殺してやりたい者はあなたが一番よく知っているはずだ」

 

「うるさい! うるさい、うるさい」

 

「なぜ言わないんです? ほら、大きな声で言ってやりましょうよ。館まで響く声で」

 

「うるさああああーい!!」

 

「…………」

 

 肩を上下させて息を荒げる妹様を私はただ見つめていた。私のすることは彼女を咎めることではない。彼女を救うことでもない。

 妹様はやはりお嬢様のことも憎んでいるのだろう。それでも、そうだったとしても、きっと妹様も心のどこかでは理解しているのだ。お嬢様の気持ちを、自分自身の気持ちを。

 お嬢様はいつも地下へと続く階段へ足を運んでいる。会うことも会話することもしないけれど、お嬢様は妹様のそばにいるのである。

 その気配を妹様が気づかないわけがない。けれど、その気持ちを自分でも分からなくて、その気持ちを受け入れられなくて、どうしたらいいのか彷徨っているのだ。理解していることを理解できない苦しみと、その得体の知れない気持ちを受け入れられない葛藤が彼女の中で渦巻いている。頭で理解することと、心で理解することは、まったく違うのである。私がそれを妹様に気づかせることはない。私の問いかけに言葉を詰まらせたという事実だけで充分だ。私などが言わずとも、妹様はご自分で気づくだろう。だから、何も言わない。私がやることは、それでないと分かっているから。

 

 妹様は聡明だ。きっと一人でも気づくことができるという安心感を私は得ることができた。

 

「じゃあどうすればいいの! さっきから全部分かったような顔しやがって! 教えてよ!!」

 

「それは私が言うことじゃありませんよ。第一、私はあなたではないですから。ご自分で答えを出すしかありません。誰も、それをあなたに教えてはくれない。私が教えたとして、それはあなたの答えじゃない」

 

「もうわけが分からないの。自分でもどうしていいのか、何がしたいのか、分からない」

 

「深く考えすぎずに、ご自分のしたいことをすればいいのでは?」

 

「自分の?」

 

「えぇ。そうだ、私も鬼じゃありませんから、これを差し上げますよ」

 

 私は、装飾の施された銀のブレスレットをポケットから取り出すと、テーブルの上に置いて、妹様の前へ滑らせた。

 

「魔法のおまじないをかけてあります。狂気を抑えてくれる」

 

「……もう狂わなくて済むの?」

 

「いえ、魔法も完璧ではありませんから。どうなるかは、妹様次第ですよ」

 

 もちろん嘘である。私に妹様の狂気を抑えられるほどの力はない。そんな力があれば、とっくにやっている。これは、そう、思い込み療法なのである。

 

「くれるならもらうよ。どう、似合う?」

 

「よくお似合いですよ」

 

「嘘臭さっ。……でも、いいや」

 

「妹様、私はあなたを救うことはできません。しかし、見捨てません」

 

「何それ、意味ないじゃん」

 

「えぇ、私はただの役立たずなので。邪魔なら、気にせずに無視なさっていただいてかまいませんよ」

 

「あなたみたいな騒がしいのがいたら嫌でも気になるよ」

 

「ごもっとも。しばらくは私が妹様のお世話係です。仲良くやっていきましょう?」

 

 呆れ笑か、失笑か、それが私が見た初めての妹様の笑顔だった。

 

「そーですね。とりあえず、初仕事はお部屋の片付けをしましょうか。壁紙、何色がいいか希望ございます?」

 

「ピンク!」

 

「却下で」

 

「なんでだよ!」

 

 これで、お膳立ては終わった。あとは、ゆっくり寝て待てってね。

 

 

 魔理沙と妹様が、イチャイチャするところが早く見たいぜー!

 

 




コーヒーに塩を入れる飲み方ってあるみたいですね。やりたくないですが笑w

どうも無駄話が長くなっちゃいます(^^;;
一応、会話の中に伏線を入れてあるので、後から回収していく感じです。




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