リューさぁぁん!俺だーっ!結婚してくれぇぇ━━っ!   作:リューさんほんと可愛い

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えー、たいへん長らくお待たせ致しました。今回ついにヒロインのご登場です

『ヒュン(・д・ = ・д・)ヒュン』とこんな感じで騒ぎながらお読みください。


祭典と痛む胸

 

「………くそ、リア充どもめ今日という今日こそは根絶やしにしてくれる………てかしたい」

 

吐き捨てるよう呟く俺。今日はリア充が集まるリア充祭り、もとい怪物祭が行われている。

 

「────そのために、俺がいるんだろ? キル君」

 

「ああ、その通りだ。 よく来てくれたミスターヘルメス。 伝説の策士と謳われる君がいれば勝利は確実だ」

 

「おっと、慌てなさんな。 報酬は前払いだぜブラザー……」

 

「オーケー、受け取ってくれ」

 

物陰から現れた男神に俺特製例ののブツを渡す。麻薬ではない。口角を吊り上げ、ここにリア充撲滅委員会を建設した。

 

「さて」

 

「撲滅を」

 

「「始めようか……!」」

 

二つの人影が、闇の中でにたりと笑った。

 

 

◇◇◇

 

 

「なんでだ……」

 

「キル君、俺はもうだめだ……心が折れそうだよ……」

 

「もうちっと頑張ってくれヘルメス様………!」

 

「というか、なんで祭りに来てまで野郎と巡らなきゃいけないんだ……」

 

「それは言っちゃあいけないヘルメス様! 俺だってそれは思っている!」

 

俺達二人、というより一人と一柱は度重なるリア充との混戦により、疲労していた。てか、リア充が多すぎてやる気なくしただけだが。

 

「だからヘルメス様、もう一度立ち上がろう────っていない!?」

 

逃げられたか。畜生。こうなったらリア充もなにも関係ねぇ。祭りを純粋に楽しもう。うんそれがいい。

 

「………ん?」

 

なんだあれ……てかオッタルじゃね?フレイヤ様じゃね?てか檻じゃね?モンスター入ってね?なんか開けてね?

 

え、これヤバくね?

 

思った時には時すでに遅し。元気よく飛び出したモンスターの群れに唖然としつつも呟く。

 

 

「……なんてこったい」

 

 

えー、逃げたのがシルバーなんとか……あと……なんだっけ……名前忘れた。とりあえず街にいる奴らを倒さなきゃあいけないんだよなぁ………面倒くせぇ……ほんとに……。

 

「てか、剣なんて持ってきてねぇよ……」

 

黄昏の館戻らんと……はぁ。

 

心の中でため息を吐き、小走りで目的地へ向かった。

 

◇◇◇

 

「え? アイズが終わらした?」

 

「あぁ、遅れてきたどっかの誰かと違ってな」

 

「……オレハクサムヲムッコロス‼」

 

「滑舌悪すぎだろ」

 

「うっせ」

 

街中、アイズの武勇伝をベート越しに聞いていた俺はついついオンドゥル語を発してしまった。

 

ふと、町並みに目を寄越せば黒髪の小さい幼女(しかしきょぬーである)を抱えた白髪の少年が一人。

 

「お? ベート、あれトマト野郎じゃね?」

 

「あぁん!?なんだよ……てかトマト……! っは!」

 

腹を抱えて悶絶するベートをその場に放置し、白髪少年の後を追う。

 

理由としては簡単だ。リア充死すべし慈悲はない。つまりはそういうことである。

 

「さて、今度はどう始末してくれようか………」

 

バベルから徒歩十五分。交通の便はあまりよろしくないような小路。

 

少年を着けていけば現れたのは廃れた教会。壊れた教会とか寺院ってなんか霊的な物があって嫌だなぁ、まあなにか来ても爆破すればいい話だな。

 

少年達がそこへ入ったのを確認してから暫く。

 

「すいませーん、宅配でーす」

 

本当は『ちーす、三河屋でーす』とやりたいところだが仕方ない。この世界に三河屋はないのだ。なんとも無念な話である。

 

「はーい、今いきまーす」

 

と、少年が疲れた様子でドアを開けた。

 

「どーもー」

 

「え? あ、貴方は………」

 

「あ、こりゃ失礼。俺はキル・セウラ。一応ロキ・ファミリアで冒険者やってる」

 

「え、えぇぇぇぇぇえ!? ろ、ロキ・ファミリアぁぁ!?」

 

「あー、うるさいうるさい。 で、ちょっと君に用事があるんだけどいいかな?」

 

「ど、どうしたんだいベル君! 今の叫び声は!?」

 

「あ、幼女」

 

「初対面でそれかい!? 僕は神様だよ!?」

 

幼女が神って……はは、そんな事はあり得ないな。

 

……うんごめん思い出した。あり得ないなんて事はあり得なかった。

 

「あー! あれだ!! ロキといつも張り合ってる奴! そうだ、そういえばこんな感じだった!」

 

「そうそう、やっとわかってくれたかい。………じゃねー!『僕の』ベル君に何をするつもりなんだ!」

 

うんうん、と頷いてからのノリツッコミ。こいつ……できるぞ。

 

「いや、ちょっとリア充の爆破っていう大事な仕事が」

 

「させないぞ!?」

 

「お、落ち着いて下さい神様……?」

 

「えっと、確かヘスティア様でよかったかい?ロリ巨乳」

 

「ぬがっ! なぜそれを!」

 

「ロキ経由だな」

 

「く、くぅぅ、あの無乳め………!」

 

「まあ、ヘスティア様はちょいとここで待っててくれ」

 

白髪少年の肩を掴み、そのまま街中へ引っ張る。

 

「あ、あぁぁぁ!? ベルくぅーん!?」

 

ヘスティア様はその手を空へ突き出すが、そもそも空へ出しているのだから手が届く筈がない。無駄なんだ……無駄無駄、という奴だ。

 

「ほらほら、行くぜ? 兎君」

 

「え、あぁ!? ち、ちょっと!?」

 

兎君を肩へ担いでダーッとLv.5の脚力を頼りに走り去る。 ………これ、誘拐じゃね? 野郎が野郎をかっさらったって大丈夫だろう。ロキとかアイズとかに粛清される心配はいらないな。俺そっち系じゃないし、リューさんLOVEだし。 うん。そう思う事にしよう。

 

「さて、兎君。 君はあの神様、ヘスティア様と恋仲なのかい?」

 

「え、い、いきなり何を……?」

 

「質問を質問で返すなァァ━━ッ! 俺は恋仲なのか、と聞いたんだ!」

 

「ひ、ヒィェェエェ!? ち、違います違います! 僕なんかが神様と、そんな恐れ多くって!」

 

「ふむ、ならばいいか。危なかったな兎君。そこで『はい』と頷いていたら爆破していたところだったんだぜ?」

 

「え」

 

さて、リア充でないとわかったなら爆破の必要はない、と。

 

「で、兎君。 恋、してますか?」

 

「え、ええっ?」

 

「してますか?」

 

「え、いや、あの、その………し、して、ます」

 

顔を赤くして縮こまる兎君。ふむふむ、初な奴め。

 

「俺の見立てが正しければ、相手はアイズってとこかな?」

 

「は、はぁ……その通り……です」

 

声は段々と小さくなり、しまいには頭から湯気を出す兎君。 うーん。ここまで純情だと真面目にこの子の将来が心配になってくるな……。

 

「うーん?声が小さいなぁ、よく聞き取れないぞー?」

 

───まあ、弄るんだけどもね。仕方ないね!俺こういうキャラだから!ていうかこんなものを目の前にして弄らないやつがいるのか!? いやいない!(反語)

 

「というか、なんで僕なんかを連れ出したんですか? 都市最高クラスのロキ・ファミリアの団員さんが……」

 

「ん? そりゃお前『リア充』がいたらどうする?」

 

「り、りあじゅー?」

 

「恋人って事だよ」

 

「い、いや、特になんとも……」

 

「あーはいはい、そうっすねー、ラノベ主人公の様な事を言うんだね君はこの鬼畜生め! 俺みたいなモテない奴の気持ちがわからないんだな! なぁおいそうだろ!?てかモテるだろお前!?」

 

「う、うぇぇ?」

 

「ほら自覚ない!大体こーゆー奴ってモテるから!俺知ってるから! 年上に好かれるキャラしてるもんなお前!チクショー!一応俺は19だぞ!リューさんより年下なんだぞ!いいよなその体質!」

 

「い、いや僕は」

 

「あぁもうゴチャゴチャうるせぇ!呑むぞ兎君! 俺の奢りだコノヤロウ!」

 

「え? あ、ありがとうございます?」

 

「そのかわりお前のことじっくり聞かせてもらうからな!覚悟しとけよ!」

 

「え、いやどういうことぉぉぉぉぉっ!?」

 

兎君の襟首を掴みバビューンと向かう先は一つの酒場。さぁ、今日もルパンダイブと共にあの言葉を叫ぼう。

 

そこに近付けば近付くほど、俺の口角は上へ上へと上がっていった。

 

 

◇◇◇

 

 

酒場『豊穣の女主人』にて。

 

金髪青目のエルフ、リュー・リオンは食材の皮剥きを片手間にある一点の場所を見つめていた。

 

入り口。入り口である。まるで誰かが来るのを待っているように、ただひたすらにそこを見据えていた。

 

ふと、リューは考える。なぜ自分はこんなにも扉を注視しているのだろう。

 

いくら待っても考えても答なんて出なかった。それと同時にどこか心にポッカリと穴が空いてしまったように満たされないのだ。このままでは納得いかない。とリューは再び考える。

 

『リューさぁぁん! 俺だ━━っ! 結婚してくれェ━━━ッ!』

 

不意に、頭の中でそんな声が蘇った。馬鹿らしい。なぜ今彼の事を気にしなければならないのか。ぶんぶんと頭を振ってその思考を隅に追いやる。

 

「………?」

 

なぜだろうか。今、とても熱い。顔は火照って、背中には汗をかいているだろう。厨房にいたからか。などと結論を出してふぅ、と一息ため息を吐く。

 

視線を扉から手元に落とすと皮を剥きすぎてもう使い物にならないようなジャガイモがあった。

 

しまった。集中が途切れていたか。今はとにかく仕事だ。

 

今日はお客様が多い。回転率を上げなければ。

 

そこでぷっつりと思考を途絶えさせて手元のみに集中する彼女の手元はやはりいつもと違い不器用であった。

 

思考を途絶えさせても、彼の顔だけが中心にへばりついて離れない。彼の声も、彼の黒い髪の色も、彼の全てが自分の思考から離れない。

 

「…………っ」

 

包丁をまな板に置き、ずきずきと痛む胸を押さえつける。

 

そういえば彼が最後に来たのはいつだったろう。あぁ、四日前だ。

 

他の客なら覚えていないような事を瞬時に思い出した自分自身にどこか気恥ずかしさを感じ、その事を一刻も早く忘れる為に再び包丁とジャガイモを手に取った。

 

後にシルという彼女の同僚から聞いた話だと、いつもは見れないリューの姿が見れて良かった。彼女はあまり素直ではないから頑張ってほしい。もちろん彼にも。 といった言葉を残していた。

 

 




後半部分を書いてるときの作者は常にニヤけた気持ち悪い笑顔だったという都市伝説が残っていたりいなかったり。

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