俺がオーブに来てから一週間が過ぎた。俺はバルトフェルドさんとアスハ代表のおかげでオーブ国防軍に所属させて貰っている。仕事は主に、俺の機体の調査とバルトフェルドさんの部隊に混ざって哨戒任務だ。後、俺は国籍を持っていなかったがアスハ代表のおかげでオーブ国籍を取得する事が出来た。オーブでの暮らしだが、そこも御二人に助けて貰った。住む場所は御二人の知り合いである方の屋敷に居候させて貰っている。そこで、キラ・ヤマトさんやマリュー・ラミアスさんと知り合い、とても良くして貰っていた。
そんなオーブに来てから一週間程たったある日の事だった。朝早くからモルゲンレーテに出勤して行ったマリューさんを見送った後、俺は朝食を準備して一人で食べていた。すると、
「やあ、ミスト君。どうだい、こっちでの暮らしは?」
「あ、バルトフェルドさん、おはようございます。」
「ああ、おはよう。」
後ろからバルトフェルドさんが声をかけてきた。バルトフェルドさんも一緒の屋敷に住んでいる為、こうやって良く朝食の時間に一緒になる事が多かった。
「いやぁ、それにしてもオーブって平和ですよね。」
「前回の大戦の時は酷いものだったんだがね、ここ一年で見違えるほどになったさ。……まあ、大戦の傷痕は根強く残っているがね。」
俺が一週間見て、オーブはとても良い所だとよく解った。俺の故郷は機械化が進んで仕事以外で外に出るのは子供とその両親くらいになっていた。買い物はインターネットの通信販売で何でも買えた。農業も人の手を借りずに機械だけで栽培、収穫、販売までもしていた。選挙も立候補者がインターネット上で演説をしたり、投票もインターネット上で行っていた。インターネットが生活に深く結びついている為か、サイバーテロが頻繁に発生していた。頻度は一年で2、3件起きるのが当たり前だった。そんな治安だから暴動も多発していた。一月2回程度起きていて、酷い時は死者も出ていた。防衛部隊は基本任務に暴徒鎮圧の項目があるほどだった。別に機械化が悪い訳では無いのだが、子供の頃は街がとても寂しく見えて、外で遊ぶのもためらうほどだった。大きくなったら、暴徒やら連日のように貯まる死亡報告書の作成の仕事やらでこの街はいつまで持つのかという不安との戦いを行う毎日だった。それに比べて、オーブは平和だった。少し散歩すれば近くの公園からは元気な声が聞こえてくる。街を歩くと人がそこら中にいて、市場に行けば、客の呼び込みをする定員もいて、客と世間話をしていたりと、とても活気に満ち溢れていた。
「所でミスト君、今日の任務についてなんだが…」
「何か、起こったんですか?」
「いや、事件とかではないよ。ただ、最近この辺りでも擬態獣が頻繁に出現していてね。」
「擬態獣ですか……」
擬態獣は、この地球に存在する正体不明の生き物で彼らはロボットなどを取り込んでいて、いろんな所で発見されている。巨神戦争と呼ばれる戦争過去にあり、そこでは擬態獣が大量に現れたと聞いている。巨神戦争からは存在が確認されていなかったが6日前にダンナーベース付近の湾岸で発見され、それから少しずつ各地で存在が確認されている。
「ああ、それでアスハ代表はダンナーベース所長の葵霧子博士に相談して、ダンナーベースとオーブ軍で協力しての擬態獣掃討作戦を考えているそうだ。」
「…それでは、任務の内容って言うのは。」
「ああ、擬態獣掃討作戦への参加だ。」
なるほど、そういえば俺がオーブに来た日もアスハ代表はダンナーベースに行っていたとか、バルトフェルドさんから聞いたな。
「参加するのは、俺とバルトフェルドさんの部隊ですか?」
「…いや、僕と君だけだね。」
「えっ、二人ですか?」
ダンナーベースとの共同作戦に俺とバルトフェルドさんの二人だけって、可笑しくないか?どういうことだ?
「それって、どういうことですか!」
「何でも、その共同作戦ってのは、代表が勝手に決めたらしいもんだからね。他があまり良い顔をして無いようだ。しかも、掃討作戦が行われる所って、日本の領海らしいんだよね。」
「何で、日本の領海なんですか?」
「さあ、そこはわからないけども、そういう国際問題とかも理由かな。」
確かにオーブ軍が他国の領海や領土で戦闘何かしたら、緊急時じゃない限り国際問題になりかねないな。
「でも、協力するんですから、そこは大丈夫なんじゃないんですか?」
「まあ、そうだろうが、話し合いの結果、僕たち以外は本土防衛にまわされてね、僕の部隊もそっちにまわされたんだ。だから、参加するのが僕たちだけって訳だ。」
「な、どうして…」
意味がわからない、擬態獣ってオーブにとっても敵だろ?普通は協力的になるはずだろ?何でこんなに協力的じゃないんだ?
「まあ、政治ってのは、難しいもんなんだよ。」
「……」
「まあ、僕も全部は納得はして無いけどね。」
「……」
「まあ、ここで言ってても変わらないからな。準備して、向こうと合流しよう。」
「…はい。」
それから、俺たちは更衣室でパイロットスーツを着て、格納庫に向かった。
「そういえば、バルトフェルドさん。」
「ん?なんだい?」
「今回の掃討作戦に参加する人ってどんな人達なんですか?」
「ああ、結構個性的な人達だよ。」
「例えば?」
「巨神戦争の英雄やマジンガーZだ。」
「噂に聞くスーパーロボットですか、豪華メンバーですね。」
「日本での戦闘だからね、参加は必然な感じかな。後は、ビルドベースからだけど、今回は見送るそうだ。」
「ビルドベースですか?」
「五十年前の邪魔大王国との戦いで活躍した英雄ジーグの本拠地の研究所だよ。」
「邪魔大王国…」
「まあ、その後、ビルドベースは研究所を閉めていたんだが、最近復活したから参加する物だと思っていたけどね。」
「はあ…」
「まあ、その話はまた今度だな。今は掃討作戦だ。」
「はい。」
今回はいろいろと設定が出ましたが、それは作者の解釈です。また、矛盾もあると思いますが作者も無いように心がけていますがそれでもあると思うのですがそこの所はご了承下さい。