プロテクスを倒した俺達は海上から迫り上がって来る物体を見つめていた。
「おいおい、あれってそうだろ!?」
「ああ、ピュリア!キャプテンに連絡は!?」
「…一応はやって見るけどよ、長距離通信が出来ないの面倒くさいなもう!」
「姉御、そう言わずお願いしますよ」
「そうですぜ、姉御!!」
「わかってる!」
ピュリアは連絡を取るために、スティンガーを駆けこの場から離れた。
「リーさん、あの戦艦ってダリウス軍のですか!?」
「そうだぜ、ゼルガイヤーって奴だがこの戦力では厳しいな」
「そうですね、いつもは大空魔竜が抑えてましたからね」
「ゴオちん、ゴーダンナーで蹴りに行く?」
「跳べない事はないが、無防備すぎるな」
「ストロングバスターで行きましょうか!?」
「ブレストファイヤーなら行けるか?」
「って、皆ゼルガイヤーからさっきのが降りて来てますよ!」
そうこうしている内にゼルガイヤーからは、先程倒したプロテクスが降下しようとしていた。
「流石に戦艦と言う事か」
「さっきのであいつの事はわかってる、一気に倒そうぜ!!」
「ああ、甲児君の言う通りだ。ゼルガイヤーの方は俺が挑発しますので、あいつの相手はお願いします!!」
「ゼルガイヤーが相手だ、私も手を貸すぜ!!」
「なら、兜と俺で前衛を務める。光司と静流で狙撃を、他の皆は戦線を海上に押し込むように抑えてくれ!!」
「おお!!」
ゴーダンナーの突撃に合わせて、各自で行動し始める。レヴリアスと戻って来たスティンガーはゼルガイヤーから見える様に飛行しつつ、外側にある砲塔を中心に攻撃を開始した。マジンガーZは、スクランダーで飛び上がりその翼でガルゴラス等に攻撃を加える。少し離れた場所では、コアガンナーとGガンナーがマジンガーZとゴーダンナーに攻撃された奴に追撃を加える。ゼルガイヤーから続々と降下して来るプロテクスが、市街まで入ってこない様にボスボロットとクラブバンカーが立ち塞がる。その上空からサーペントとその背に乗ったダイアナンAが攻撃を加えた。
――市街地――
「何だよあの戦艦、怪物だけじゃ無かったのか」
機動部隊のお陰で、市街地の被害は最初のミサイル攻撃のみだった。だが、立ち上がる煙は昨日までの日常を壊すのに十分であった。逃げ惑う人々の波は戦艦の出現によって、更に激しく広がって行った。
槍を抱えて俺は彼奴等を倒すと波に逆らうように走ってきた。しかし、戦艦の出現に思わず溢れた―デカい―心に浮かぶそのそれは俺の足鈍らせようとしていた。その時、手に持っていた謎の機械が揺らめく。
「クッ、ん、見えた!見えたぞ!!」
揺らめく炎にが微かに導く方向に俺は見た。見えた。あの深い海みたいな目をした女の子が、あの機械の竜が!!俺は走り出した。もう立ち止まる理由は俺の中には存在しなかった。眼前に見える戦艦もそれに立ち向かう機動戦士達も俺の目には入って来なかった。
――海底――
「あ」
「見つけたか、ルル」
「はい、激しく燃える炎が」
「…ならば、我らも動く時。ダンナーベースやピュリア達には迷惑を掛けたが、ここからは我らの反撃の時だ。かの伝説の巨人が狼煙となる事を私は願う。さあ、皆、浮上だ!炎の戦士を迎えに行こう!」
「おお!!」
――海上――
「ピュリア、大空魔竜との連絡はどうなった!」
「やってるよ、攻撃を躱しながらなんだがなぁ。まだだ、連絡はねぇ。キャプテンも近くにいそう何だがなあ」
「姉御、そんな事を言ってる場合ですか」
「わーてるよ、しっかしなぁ…ん、あっ、キャプテン!」
『今まですまなかったな、ピュリア。大空魔竜は今、海底から浮上する。猿渡君達に気をつけるように伝えてくれ』
「あいあい、キャプテン!ゴオの旦那!聞こえたな来るぞ!!」
「ああ、杏奈!跳び上がるぞ」
「うん、行こうゴオちん!」
連絡を受けたゴーダンナーは、迫るプロテクスを足場に高く跳び上がった。
「大空魔竜、浮上しろ!!」
「浮上!!」
海面が浮き上がり、巨大な顔が姿を表す。
「敵戦艦、ゼルガイヤーを吹き飛ばすぞ!」
「対ショック、急げ!」
ゼルガイヤーの真下から姿を表した大空魔竜は、そのままの勢いでゼルガイヤーにぶつかり、ゼルガイヤーを後退させた。
「ゴオちん、このまま攻撃するの!?」
「ああ、大空魔竜の援護に行く!うおおお!!ソウル・スピンッ!クラッシャァァ!!」
飛び上がったゴーダンナーは、その高さを利用して錐揉み回転でゼルガイヤーに突撃していった。
「ヨッシャ、ゴオさんに続くぞ!スクランダーカァットォ!!」
「OK!ストロングバスター発射!!」
「ミサイルも発射!!」
ゼルガイヤーに突撃したゴーダンナーに続き、マジンガーZが飛んで行く。援護射撃を受けながら、ゼルガイヤーの装甲にスクランダーを刺し入れて行った。
――灯台――
「やっぱり、あの機械の竜だ。オーイオーイ!!俺は、ここだぁあ!!」
眼前の機械の竜に俺は、手摺に摑まって声の限り叫んだ。俺は此処だ。
――大空魔竜――
「聞こえています、キャプテン」
「ああ、迎えに行こう」
炎の戦士に向けて大空魔竜を動かす。
――灯台――
「……」
俺の目の前に焦がれていた機械の竜がいる。俺をじっと見つめるの目を俺は見つめ返す。
「聞こえますか」
「…ああ、聞こえる、聞こえるよ!やっとだ、やっと会えた!!あの時からずっと分からなかった事が今日、わかるんだな!!」
「…飛んでください」
「ああ!!?」
興奮していた俺は少女の声に素直に従った。そして、飛んだ俺は機械の竜に喰われたのだった。
――???――
―なんだよ、俺、食われたのか?あの子は?どうなったんだ!?―
「う、お、ああ!?な、なんだ!?」
何もない暗闇にいた俺は、突然感じた温かななにかに包まれた。
「鎧…?これって!?うわぁあ!!」
そして、感じる衝撃に俺は叫んだ。
「やっぱり、貴方だったのですね。かの魔竜に選ばれた戦士は」
いつの間にか埋め込まれていた機械からあの子の声が聞こえた。
「なあ、君だろ!?どうなったんだよ!」
「貴方はその巨人に選ばれました。その巨人はいま、貴方の力です」
「巨人…?…俺の力?」
巨大な腕を見つめて俺は固まった。―俺が乗っているのが巨人?俺の力?―
「そう、貴方の力です」
「俺の力」
「はい、名はガイキング」
「ガイキング、俺は、彼奴等と戦えるんだな!」
「はい」
「おし、いくぞぉお!!」
ならば、もう迷いは無い。
――海上――
「かったいなあ、ゼルガイヤーって奴はよお。ボスボロットじゃ無理かあ」
「ゴーダンナーやマジンガーZ位無いとダメージは無さそうですね」
「ストロングバスターも効いてるッスよ」
「そうだな、ん?あれは、なんだ?」
陸地の方向から飛んでくる巨人を見つめた。
「大空魔竜の用事って、もしかしてあれですか?」
「…ああ、そうだ。あの巨人があたしらが此方に来て探してたんだ」
「ついに見つかったんだ、もう少し喜ぼうぜ」
「とりあえず、あれを倒しましょう!」
――ガイキング――
「凄え、なんだこいつ!!」
「ガイキングです。先に戦っている皆さんと戦艦を落としましょう」
「えっと、ああ!!」
竜から此処まで飛んで来たが、速すぎて驚いていた。そこで、ピコンと音が鳴った。
『おい、ガイキングのパイロット、こっちに来い』
「あん、なんだ」
『あーもう、ケンカ腰に言わない。あー、パイロット君?協力するために来てくれる?』
「あ、ああ、わかった」
突然のケンカ腰にムカッと来たが、もう一人の言い方になんか落ち着いた。
――海上――
「さて、ガイキングだったか確かに大きいな」
「名前を聞いていいかい?」
「あっと、ツワブキ・ダイヤです」
「ダイヤ君ね、もしかして、私よりも若い?」
「ちゅ、中学生です!」
「なるほど、まあ、良い。今は時間が無い。ダイヤ、戦えるんだな?」
「ああ、そのために鍛えたんだ!」
「わかった、じゃあ、ダイヤはミストやピュリアと一緒にゼルガイヤーの周りから攻撃してくれ」
「わかった」
「よし、いくぞ!」
――ガイキング――
「なあ、君の名前は?」
「…ルルです」
「じゃあ、ルル、こいつ武器は?」
「…まずはデスパーサイトを」
「デスパーサイト、これか!!」
ガイキングから熱線が放たれる。
――戦場――
「ガイキング、初めてなのに良くやってますね」
「ああ、初めてなら上出来だろうな」
「ですね、さ、決着を付けましょう!!」
「よし、杏奈もう一度跳ぶぞ!」
「うん!」
跳び上がるゴーダンナーに続いて、力を溜める。
「いくぞ、ブレストファイヤァァ!!」
「ロック、グルーヴァイン・バスター!!」
「ストロングバスター、発射ぁあ!!」
「ソウル・スピン・クラッシャァア!!」
「すげえ、なんて光景だよ。ルル、こいつで一番強いのは!?」
「…ハイドロブレイザーです」
「よし、決めるぞ、ハイドロブレイザー!!」
各機体の攻撃を受けたゼルガイヤーは黒い煙を上げながら降下して行き、海面で大きく爆発して沈んで行った。
――大空魔竜――
「大きくなったな少年」
「……」
「ルル、彼を導くのはお前かも知れないな」
「…どういう事ですか?」
「…いや、なんとなくそう思っただけだ」
「よく、わかりません」
「フッ、だろうな。まあ、今は皆を迎えに行こう。炎の戦士も地上の戦士もな」
「はい」
「ロンゴ、発進だ」
「アイアイサー!!」
スパロボKで言ったら第2話が終了しました。本来であれば、擬態獣が来ますが尺の都合でカットです。あんまり長く書けない都合上とっても遅い進行ですがお付き合いいただけたらと思います。
因みに本作をゲームで例えると3話位になります。スパロボが大体40から60なのでまだまだ先は長いです。