作戦開始からもう二時間が経過していた。何故だか知らないが、少し前から擬態獣の数が急激に少なくなっていた。そこで、一度大空魔竜に戻ろう、という事を話していた。
「どうしますか?」
「確かに、俺達の機体は限界に近い、だが、擬態獣の数が急激に減った理由も気になるな」
「俺達で結構倒したからじゃないですか?」
「……そうだといいが」
猿渡さんは納得がいかないようだけど、正直俺は助かった。いくら機体が無事とはいえ、何十分も戦えばパイロットに悪影響を及ぼす。昔、そう隊長にも言われていた、その時は気にもしてなかったが。でも、今実際体験するとよくわかる、ここのままこの状態が続くとどうなるか解ったものではない。だから、ここは一度落ち着いた方が良いはずだ。
「猿渡さん、ここは、一旦離れましょう!このままでは…」
前方で擬態獣と戦っている猿渡さんに呼びかけた。
「……そうだな」
そう言うと、ゴーダンナーは擬態獣を殴り倒し海に向かって拳を振り下ろした。振り下ろした衝撃で擬態獣を大きく吹き飛ばした。そして、擬態獣に背を向けて動き出した。俺も続いて、後ろを気にしつつ後退した。
「ミスト、大空魔竜までどのくらいだ?」
「えっと、今は前方の岩が邪魔で見えませんがそんなにかかりません。」
「よし、なら少し休もう……ん?」
「どうしました?」
「…ミスト、擬態獣の様子が変じゃないか?」
「そうですか?……ちょっと観察してみましょうか?」
俺たちは、擬態獣を眺めれる位置で機体を降ろした。
「…そうですね、擬態獣の動き、変ですね。」
「…ああ、まるで何かから逃げているように見える」
「あっ大空魔竜が来ましたよ」
「この事はキャプテン・ガリス達に伝えてから考えるか」
その後、大空魔竜に無事回収され、ブリッジにて先の擬態獣の行動について話した。その後、残ってる擬態獣を倒し作戦は終了した。作戦は終わったが先ほどの事もあり一度ダンナーベースに向かった。
「擬態獣が逃げるような動きをしていた?」
「ハイ、俺達が一度後退しようとしていた時に、擬態獣が急に攻撃を止めて散って行きました。」
「ふむ、擬態獣にはあまり詳しくないが、擬態獣はそういう行動をするものなのかな?」
「私達もそこまでわかっている訳ではないが、そんな行動に出た、というのは初めて聞いたな。」
「葵所長、これをみてください。」
先ほど擬態獣が何に逃げていたかを調べるためレーダーなどを使い周りを調べて取った映像を見せた。
「ん?……なんだこれは」
そこに映っているのは黄色い生き物だった。
『……あな……こに…すか?…』
『グギャルル!』
『グルル…!』
『あ…にい…すか…?』
『ギャルル……』
擬態獣が黄色い生き物に何かを言われた瞬間消滅した。それは1匹や2匹ではなく50、60位を一気に消し飛ばした。
「……」
「所長はこれを知っていますか?」
「…いや、私も始めてみた、だがこれは…。…オーブや各首脳陣にもこの映像を送っておく。これは危険過ぎる」
「擬態獣でも手を焼いてるのにこんなのまでいたら…」
「…ひとまず、こいつに出くわしたら逃げる事を第一に考えるべきだろう」
その後、各員研究所などに連絡し今後の行動について話した。
「さて、全てがまるく収まった訳ではないが作戦は終了だ、これからの事を話そうか。…甲児君達はしばらくダンナーベースにいるそうだな」
「おう、しばらくお世話になるぜ」
「ボス~帰らねぇんですか?」
「帰りましょうよ、ボス~」
「馬鹿やろう!さやか達が残るのに俺様だけ帰るとか考えられねぇ」
「もう、ボスったら」
「まあまあ、そんな感じで世話になるぜ」
「ああ、よろしく」
「大空魔竜組は?」
「私達もしばらく世話になるよ」
「あら、ならベースも賑やかになるわね」
「静かよりなんぼかいいですよ」
「ミスト達は?」
「ん?僕達は、いや僕はひとまずオーブに戻るよ」
「ミストは?」
「俺はここに残りますよ、アスハ代表の命令で擬態獣も逃げ出す奴が出たのにオーブにいては素早い対応が出来ないって、しばらくダンナーベースに補助員として行くようにといわれたんです」
「そうか、オーブは色々あるからな」
「まあ、ひとまず飯食いに行こうぜ!」
「バルトフェルドさんは、今日までいますよね」
「ああ、宴会にも参加させて貰うよ」
作戦終了を祝って行われた宴会は各々集まって飲んだり食ったりして楽しんだ。
~???~
「どうした?」
「……__か、これを見てくれ」
「………!これは、」
「そう、____だついに現れた」
「そうか、これが___」
『………はそこ……い…すか?』
『グギャルル!』
「___、これがもたらすのはなんだ?」
『あなたはそこにいますか?』