イッセー「」
(追記)前編は後日投稿します。この事に関する軽い詳細を書くとyosidaの第二人格による罠です。詳しくは活動報告に載せてますが第二人格による罠であることを把握していればぶっちゃけ大丈夫です。
(追記2)無事投稿完了いたしました。
セフィロトアジトのトレーニングルームにて、一誠は数多の少年少女と向かい合っていた。
緊張と僅かな高揚感をもってこちらを見据えてくる彼らを見て、一誠は「どうしてこうなった」と思いながらも重心を低くして構えを取る。
『―――では、始めてくれ』
スピーカーから響くゲオルグの開始の合図の直後、怒号と共に展開された幾重もの魔方陣が、一誠の視界を覆い尽くした。
◆◆◆
「模擬戦?」
「ああ、是非頼みたい」
セフィロトアジトのブリーフィングルームにて、一誠とゲオルグは言葉を交わしていた。
因みにアザゼルとリアスは現在曹操に連れられてアジトの見学中である。アザゼルの胃が大丈夫なのかどうかは本人のみぞ知る。
「……いや、けどなあ」
だが、一誠はゲオルグの言葉に難色を示した。
当然である。なにせ現在の一誠の実力は、世界でも有数のものと言えるだろう。
仮に龍神化―――現在龍神化の制限を模索中―――を用いれば、如何にゲオルグほどの魔法使いが全力で結界を張ったとしても、最低でも関東地方が日本地図から消滅し、ついでとばかりに次元の狭間がこんにちはしてしまうだろう。
龍神化を使わないにしても、一誠の攻撃手段はそのほとんどが広範囲殲滅型だ。加えて曹操らの相手をするとなると―――流石に被害を想像するのも恐ろしい。
レーティングゲームや京都の件みたく、次元の狭間にフィールドや異世界を展開するのなら問題ないだろうが、ゲオルグ曰く「人間界にトレーニングルームは存在する」なため問題しか起こらない。
それを伝えると、ゲオルグはフッと笑みを浮かべる。
「なに、問題ないさ。俺や曹操―――他の幹部陣も見学こそするが参戦はしない。キミはこっちのイッセーとは異なる進化を遂げているようだしね」
だからそんな全力を出す必要もないだろう、とゲオルグは締めくくった。
「……うーん」
正直。一誠としても魅力的な提案だった。
なにせ、一誠はレーティングゲームの国際大会を控える身分である。
模擬戦―――それも英雄派が育てた人材を相手にしてのものとなれば、かなり刺激的な訓練になるだろう。普段模擬戦のできない存在らが相手となれば、それはいい経験になる。
まあ先の理由やゲオルグも言うように相手が「人間」なので、火力を抑える必要はあるが。
ゆえに。
「分かった。やろう」
ゆえに、一誠はゲオルグの提案を承諾した。
◆◆◆
「―――強いな」
眼前にて繰り広げられる蹂躙を見て、曹操は口角を吊り上げながら純粋に感想を零した。それほどまでに、真紅の鎧を身に纏う龍は強い。
―――自分も今すぐ、あの中に混ざりたい。
この身から自然と漏れる『闘気』が、彼の心情を物語っていた。
「なあゲオルグ。混ざってもいいか?」
「やめろバカ。セフィロトにパワーバカはいないから、トレーニングルームはそこまで頑丈じゃないんだ」
そんな彼の隣で、ゲオルグは手元の魔方陣を見て額に汗を垂らしていた。
その魔方陣を覗き込みながら、セフィロトの幹部陣営に混ざって見学しているアザゼルは顎に手を当てる。
「……あー、余裕で俺より強えな。ていうか、全力を出せば封印される前の二天龍より強いんじゃねえか? 流石に超越者クラスには至ってなさそうだが……赤龍帝ってのはどの世界でもバケモノなのかねえ? まああっちの赤龍帝は亜種にしても正統な進化を遂げてるみたいだが」
「生命反応が零と無限を行き来している。おそらく、彼の肉体は最強のドラゴン二体によるものだ」
「はっはっはっ。俺は何も聞いてねえぞ。オーフィスが突撃してくる可能性があるなんて、そんなアホなこと知らねえ」
遠くを見ながら、アザゼルは乾いた笑みを浮かべた。
肉体が無限と夢幻の力で構成されてるってどういう事なんだよ。
いやほんと、意味がわからない。
順当に進化すれば、多分無限と夢幻に並ぶんだろう。どの世界でも、赤龍帝は世界征服でもするのかと尋ねたくなるだけの力をつけるらしい。
いやほんと、意味がわからない。
「おおおお! もう我慢できねえ! 俺は並行世界のイッセーと戦うぜ!」
「……うるっさいわねえ。少しは静かにしなさいよ」
「イッセーがいないからか、ヘラクレスは自由だねえ……。いやまあ僕も戦いたいけどさ」
(なんでこんなに余裕そうなのかしら。自信をなくししちゃうわ……)
ヘラクレスも好戦的な笑みを浮かべており、呆れた様子のレオナルドもどこかそわそわしている。
そんな彼らを見て、リアスは愕然とするしかない。
ていうか、本当に並行世界の自分はどうやって眷属にしたというのか。なにか、特別な力が自分にはあったりするのだろうか。悩みは尽きない。
―――と。
リアスの視界の先で、誰もが想像だにしなかった事態が起きる。
「―――
赤き龍がそう叫び、一瞬にして姿が消えた直後―――セフィロトの女性陣の服が、一瞬にして弾け飛んだのだ。
「……ええ!?」
予想外すぎる光景に、一拍をおいてから思わず声を上げる。
ある意味凄まじい魔力コントロールだが、いやこれはないだろう! という意味を込めながら。
すぐさま訓練を中止にさせるべく、彼女はセフィロトの幹部陣営に視線を投げ、
「……なるほど、武装を解除したのか」
「恐ろしい手腕だな。肌に傷一つつけることなく、大多数を無力化したぞ」
「おおー。これは、うん、なんつうか……けしからんね」
「ああ? なんで女にしか効いてないんだ? 男にも喰らわせりゃいいじゃねえか」
「いや、よく考えるんだヘラクレス。例えば満員電車の中で男がストリップショーを始めると不愉快だが、女性がストリップショーを始めれば誰もが喜びを感じるだろう。並行世界のイッセーは、そういった視覚的な配慮も同時にこなしているに違いない。見学者を気遣う余裕、というやつだろう。この行為一つとっても、彼の実力の高さが伺えるね」
「確かに。男が裸になって女子校に突撃したら通報されるけど、女が裸になって男子校に突撃すれば女神として崇められるでしょうね。あの子達だって、これが逆だったなら女子が全裸の男の金的に一撃をぶち込んで仲違いが起きてたかもしれないわ」
「男女の区別を利用した高度な戦略。並行世界のイッセーも、なかなか知略に長けてるんだね」
「……そ、うだな」
―――あれ、これ私がおかしいのかしら?
真剣な面持ちで舞台を俯瞰している彼らを見て、リアスは自分の意見に自信を保つことが出来なかった。
いや、だって、同姓のジャンヌさえも否定的な意見を持ってないんだもの。
全員が真剣に、一誠の変態奥義を考察しているんだもの。
「ね、ねえ。ジャンヌ……さん? 流石にあの技はないんじゃないかしら……」
「そう?」
「いやだって、あれはなんていうか……欲望に忠実すぎないかしら」
「はっ! 短絡的にもほどがあるわよ管理人さん。確かに、そういう風にも見えなくはないわね。けど、それはないわ。見なさい、女の子達は武装や術式が解除されて無力化されているし、野郎共も女の子達に釘付けで半ば無力化に成功している。あれは間違いなく戦術の一つよ」
「……」
ジャンヌの言葉を受けて、リアスは改めて戦場を見やる。
……なるほど、確かに理にかなっているのかもしれない。
けど、何故か解せない。とはいえ戦闘のスペシャリストとも言えるセフィロトの面々や、神話にも名を残しているアザゼルが何も言わない以上、これは自分が修行不足だからなのだろうか。
リアスが混乱している間にも、事態はハイスピードで進んでいく。
「我慢できない! 俺は挑むぞ! セフィロトが幹部―――《乱世の奸雄》曹操! 参る!!」
「はっはっはっ!! オレ様も行くぜええええええ!!
「セフィロトが幹部―――《造物主》レオナルド! 行くよ! 並行世界のイッセー!!」
「ちょ、お前達!?」
「あー、仕方ねえな。結界の方を手伝ってやるか。つってもなあ……
「ちょ、止めなさいよ!? あっあああ! 私とイッセーの愛の巣がぁぁあ!!!」
まさしく、混沌である。
舞台に躍り出たセフィロトの幹部陣達によって、空間は悲鳴をあげていく。
世界の終わりとはまさしくこの事か、といった空間が形成されていく。
曹操が槍を振るえば空間に穴が空き、ヘラクレスがその剛腕を振るえば爆発音が鳴り響き、レオナルドが魔獣を召喚すれば新世界の一端が創造される。
それに立ち向かうは赤き天龍だが、流石に本気を出せない状況では部が悪いとしか言いようがない。
徐々に、だが確実に彼は追い込まれていた。とはいえ、ある程度以上の力を解放している幹部陣と相対してこれだけ持っている一誠がおかしいのだが。
一誠と死闘を繰り広げる幹部陣以外は、いつの間にか固唾を飲んで見守っていた。
そしてついに、戦闘は佳境に入り始める。まさにその瞬間であった。
「―――部長! おっぱい! おっぱいを俺にください!!」
―――本日何度目か分からない頭痛が、リアスを襲った。
「部長のおっぱいさえあれば! この状況も潜り抜けてみせます!」
何を言っているんだろうか、並行世界の赤龍帝は。
ていうか、自分以外には彼の言葉が聞こえていないのだろうか。嬉々として戦闘を続行しているのだが。
呆れながら「真面目に戦ってください」と、リアスが言おうとした。まさにその瞬間であった。
「……はい?」
並行世界の赤龍帝のすぐ近くに、グレモリー家の魔方陣が展開されたのだ。
そしてそこから現れたのは―――何故か下着姿の自分だった。
「……えっ」
そこからも、驚くべき事態は続く。
下着姿の自分は徐に豊かな双丘を衆目に晒すと、先端の部分からビームが掃射され、並行世界の赤龍帝によく分からない力を満たしていくのだ。
そして直後―――トレーニングルームが爆ぜた。
爆風がこちらに向かってくるが、しかしリアスはそんな事を考える余裕がなかった。
「わ、私の胸に、あんな力が―――ッ!?」
特別な力を欲した少女、リアス・グレモリー。
彼女はついに、自身の恐るべき才能を知ったのだった!!
◆◆◆
―――その頃。
中二の方の赤龍帝は。
「ぶ、部長が消えた!?」
「そんな、なにが……」
「……さように慌てる必要はないだろう。おそらくだが、彼女は自身の天命によりその身を動かしたのだろう(生理現象であるトイレにでも行きたくなったんじゃないか)」
「……シヴァ様」
「並行世界の赤龍帝くんの言うとおりだと思うよ。彼女が消える直前に僅かだけれど、神格を感じた。……それにしても、面白いな。僕でさえキミの言葉によって気付いたことを、さも当然のように気付くなんて」
「―――フッ(よく分からないが賞賛されてるため意味深な笑みを浮かべる)」
「……ふふっ(余裕の笑みを浮かべた赤龍帝の底の知れなさに歓喜の笑みを浮かべる)」
「……へえ(超越者を越え無限と夢幻に届いているであろう赤龍帝に対して興味の笑みを浮かべる)」
(―――ッ! なんて底が知れないんでしょう、並行世界のイッセー様は……!!)
「……おや、光の粒子が並行世界の赤龍帝くんを包み込んでいるね」
「……そうか。宴もこれで終いと言うことか」
「並行世界への来訪を、宴の一言で済ませるのは、世界ひろしと言えどもキミくらいのものだろうね」
「生憎と、俺には目標―――いや、夢ある。その夢の前には、万物全てが余興にすぎん」
「……は、ははは!! そうか、ならば仕方がない。僕はキミを見送るとしよう」
「では―――いずれ逢おう。並行世界」
「(……仕方がない?)」
「(シヴァ様は破壊の神だ。無限と夢幻であろうと滅ぼすことは出来ずとも破壊は可能なシヴァ様なら、並行世界とこちらの世界の繋がりを破壊することも可能なのだろう)」
「(そんな規格外をもってして全容が測れないなんて……何者なんだ、並行世界のイッセーくんは……!!)
中二病です。
〜おまけ〜
リアス「イッセー! 私のおっぱいを揉みなさい! あなたと私の(乳力とかいう永久機関的な意味での)の相性は、完璧らしいの!」
一誠「―――(絶句)」
桐生(―――! な、なんてことなの! グレモリー先輩が中二病から痴女に進化して……!?)