灰と幻想のグリムガル Extra   作:キリュウ

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駄文ですみません。

ホント自己満足で書いてるので勘弁してつかあさい!w

あ、でもUA10000超え、ありがとうございます!


第八話 : 命の危機

 

 

 

 

「一匹そっち行ったぞ、ランタ!」

 

ハルヒロが声をかけると、ランタは「おうよ!」と応じる。

 

「言われなくてもわかってるっつうの!」

 

前衛のモグゾーと俺が引きつけていたゴブリン3匹のうち一匹が、後衛のシホルとユメのほうへ向かった。中衛のハルヒロとランタとマナトはゴブリンたちの背後や側面に位置取って攻撃をしているのだが、同時に後衛も守らないといけない。そこで、後衛の二人に近い場所にいたランタがゴブリンを迎えに行く。ここ旧市街に狩場を移してから、かれこれ13日も経ったので、これくらいの連携くらいはできる。まぁランタが時々、自分の戦闘スタイルとかスキルに過信して、連携がかみ合わないこともあるが、今回は大丈夫

 

「うぉらぁぁぁ!噴慨突(アンガー)!」

 

・・・でもないかもしれないな。ランタは相手との間合いもへったくれもなく完全に届かない位置から思い切り踏み込んでロングソードを突き出す。最近新しく習得したランタの新しいスキルなのだが、見事に外れた。

 

「---なっ!?さてはお前、ただのゴブリンじゃねぇな!?」

「どう見たってただのゴブリンだろ。」

 

ハルヒロはマナトと俺に目配せしてくる。それに対して俺とマナトは了解の意を表し、頷いた。俺はとりあえずモグゾーとマナトの3人でこの2匹を確実にハルヒロたちの所に行かせないように3人で後方への壁を作った。もう後ろはユメ、シホルを加えたら4対1の構図なので、簡単に片づけてから俺たち前の応援に来ると思ったのだが、ランタが気に行っているのか新しいスキル噴慨突(アンガー)を何度も繰り返しては、それをゴブリンが避けてはカウンターを繰り出すというのを何度も行っていた。

 

「おいおい、俺が加勢しようか?」

「いや、たぶん大丈夫。」

 

俺とマナトとモグゾーならゴブリン程度なら5匹くらいまでなら持ちこたえることができるので、2匹を倒すのはそこまで難しいことじゃなかった。だから俺がゴブリンを倒し助太刀に行くというのがよくあるパターンなのだが、数日前にそれはできるだけやめようということになった。言い出したのはマナトだった。

俺が簡単に倒してくれるのは有りがたいが甘えてばかりじゃ強くなれない。だから本当に危険でない限り、なるべく俺は敵を倒さず注意を引く陽動をしてほしいというお願いだった。そのマナトの提案に俺以外の全員が納得したため俺はパーティのためならということで了承した。そして今も俺はランタになるべく一つの技を使いすぎるなと横から注意しているのだが、案の定言うことを聞いてはくれない。それに痺れを切らしたのか、

 

「もう、何やっとんねん!」

 

ユメが剣鉈(けんなた)を抜いてゴブリンに切りかかった。ゴブリンは意表を衝かれたようで反応が一歩遅れている。そこでユメの新しいスキル斜め十字(ななめじゅうじ)がきまった。ユメは狩人なので弓のスキルを覚えてもいいのだが、弓は余り得意ではないことから剣鉈のスキルを覚えることにしたらしい。

 

「ヒギャッ!」

 

斬られたゴブリンが咄嗟に下がったものの体を肩から腹の中腹まで浅く斬られている。斬られた衝撃で足がもつれたゴブリンは、よろよろと下がりちょうどハルヒロに背を向けている。それをハルヒロは見逃さず動いていた。ハルヒロは一息にゴブリンに詰め寄りゴブリンの背中にダガーをねじ込んだ。これがハルヒロの新スキル背面打突(バックスタブ)だ。ゴブリンが着ているのは薄いかわの鎧だけだったせいか、もしくは当たり所が良かったせいかゴブリンはその一撃で動かなくなった。

 

「うおぉ!とどめ刺さねぇと!」

 

ランタがゴブリンにとびかかって、ロングソードを首に叩きつけた。

 

「よっしゃっ!悪徳(ヴァイス)ゲーット!」

 

ユメは剣鉈についた血を落としながら眉をハの字にしていた。

 

「暗黒騎士は野蛮やなぁ~。ユメ毎回思うんやけど。」

「野蛮じゃねぇ!より高尚に、残虐と言え!オレたち暗黒騎士は暗黒神スカルヘル様に仕える、血も涙もない残虐非道、冷酷非情の騎士なのだ!」

「はいはいそのセリフはもう何度も聞いたから早く前線に戻れ!じゃないとこのゴブリンのとどめ俺がさすぞ~?」

 

俺の言葉にランタがいち早く反応し、「悪徳(ヴァイス)は俺のものだ~!」などと叫びながらこっちに近づいてきた。一応今回は俺も新しいスキルを使う予定だ、まぁ使う必要がなければそれにこしたことはないスキルなのだが。

 

「オーム・レル・エクト----」

 

シホルが杖でエレメンタル文字を書きながら呪文を唱えだす。

 

「ヴェル・ダーシュ!」

 

魔法使いはエレメンタルという魔法生物の力を行使するらしい。シホルが呼び出しているのは影のエレメンタルで、見た目は黒い藻のかたまりみたいだ。それが、ヴヲォン、という感じの特徴的な音を出しながら敵の元に飛んでいく。影鳴り(シャドービート)の魔法だ。シホルは炎熱魔法(アルヴマジック)でも氷結魔法(カノンマジック)でも電磁魔法(ファルツマジック)でもない、影魔法(ダーシュマジック)を覚えることにしたらしい。なんというか、この魔法選びにも性格が出ているなとユメを交えてシホルと話したことがある。影のエレメントは俺とマナトがやりあっていたゴブリンの後頭部に命中した。ぶつかった影はゴブリンの身体を拘束する。

影鳴り(シャドービート)は高熱でも冷気でも電撃でもなく、超振動によってダメージをダメージを与える魔法だ。そして拘束されて一時的に動けなくなっているゴブリンにマナトがすかさずショートスタッフでダメージを与える。マナトのスキル、強打(スマッシュ)だ。ショートスタッフの根の方を掴み、遠心力を利用して先端で叩きダメージを与える技だ。この攻撃により転倒したゴブリンにランタが猛然と襲い掛かる。

 

「どぅらぁっ!憎悪斬(ヘイトレッド)ォォ!」

 

追い打ちをかけるのがランタの最も得意なスキルと言ってもいいかもしれない。もうすでに瀕死の状態のゴブリンに対してスキルを連発している。まぁこちらは置いといてモグゾーは大丈夫かと目を向けたら、その心配は杞憂だった。ゴブリンが叫びながら剣をモグゾーに振り下ろしたがそれをきっちりバスターソードで受け止めた。鍔迫り合い(バインド)状態だ。これはモグゾーの必勝パターン。「ぬがーっ!」と叫びながらモグゾーはゴブリンの剣を巻き込むようにバスターソードを動かし、剣先でゴブリンの頭を斬りつけた。今のがモグゾーの新しいスキル巻撃(ウインド)。モグゾーは動きが素早くはないから、一端敵のカウンタータイプを目指してもいいかもしれないなと助言をしたところモグゾーが覚えてきたのがこのスキルだ。

 

「よし、そのまま行けモグゾー!」

 

そしてその流れのままモグゾーは踏み込んで力いっぱい斜め下から斬り上げる。

 

「どぅもーっ!」

 

憤怒の一撃(レイジブロー)。通称、どうも斬。なぜか毎回このスキルを使う時に「どぅもー!」と叫ぶことからランタが命名。戦士にとって、初心者合宿で教えてもらえる基本中の基本スキルであるこの技。似たようなことを俺も見様見真似でできるがこのスキルは両手で剣を握るので盾持ちの俺にはどうしても威力が足りない。この、どうも斬を受けたゴブリンぶん投げられるように吹っ飛んだ。

 

「ひゃっほー!」

 

ランタがゴブリンに走りよって、ロングソードでめった刺しにする。本当にランタには暗黒騎士がお似合いだと思わざるを得ない。

 

「ハッハッハー!悪徳(ヴァイス)3連続ゲーット!オレの悪霊(デイモン)パワーアップ!気が向いたら敵の耳元で何か囁いて妨害してくれるようになるぜ~!」

「気がいたらって、ホントに使えないな暗黒騎士の悪霊(デイモン)は。」

「おい、聞き捨てならねぇぞ、ハルヒロ。オレのゾディアックんを堂々とディスってんじゃねぇよ。呪うぞこら。」

 

このゾディアックんというのはランタが自分の悪霊(デイモン)につけた名前だ。正式な名前がゾディアックで、それにただ”ん”をつけただけである。陳腐だ。

 

「まぁ落ち着け二人とも、ランタも腕から血が出てるぞ。」

 

興奮していたのかランタはいつもならすぐに痛がったりして叫んだりするのだが、今は血が出ているのにもかかわらず、特に意識していなかった。まぁ本人も自分の力で敵を倒せるのが楽しいんだろ。

 

「あ、ちょっと待って今治すから。」

「いや、俺にやらせてくれ。一応俺のスキルも試してみたいんだ。」

 

俺はランタの近くにより、腰の鞘から剣を抜きとる。そしてランタの斬られた傷の方に剣先を向けた。

 

「光よ、ルミアリスの加護の元に----騎士の恩恵(ファーストエイド)。」

 

そして剣からマナトの癒し手(キュア)を使ったときと同じように光が発せられランタの傷が治った。

 

「お~すげ~マナトだけじゃなくてノゾムも治癒魔法使えるんだ。」

「まぁなといってもこういった程度の軽いものにしか意味ないがな。」

 

それにこの聖騎士クラスでは治癒魔法が使えるのは使えるのだが、自分自身には使えないという欠点を持つ。なのでハルヒロたち6人はマナトか俺のどちらかに怪我を治してもらえばいいのだが、俺に関しては怪我をしたらいつも通りマナトに治してもらわなくてはならない。

 

「みんなお疲れ。」

 

マナトが笑顔で皆を見渡す。

 

「ランタの怪我はもう大丈夫みたいだね。それじゃあ手に入ったゴブリン袋を確認しようか。」

「オレ、オレ、オレ!オレがやる!オレが!オレにやらせろ!な!」

 

ゴブリン袋3つの中身は銀貨7枚と、売れそうな石がいくつか、あとはいつも通りの牙や骨が3つだった。石の値段しだいだが、上手くいけば10シルバー以上するかもしれない。

 

今の時間はおおよそ昼の12時といったぐらいの時間だろうか?

朝7時にオルタナを出発し、8時ごろにダムロー旧市街に到着する。俺たちは倒したゴブリンの屍を簡単にではあるが埋葬し、少し離れた場所で昼食と取ることにした。

 

「あ、お祈りせんとな~」

 

ユメは持ってきた干し肉をナイフで薄く削いで地面に置き、手を合わせて目をつぶった。

 

「白神のエルリヒちゃん、いつもありがとお。食べ物ちょっと分けたげるからなぁ、これからもよろしくなぁ。」

「それってさ」

 

ハルヒロは口にパンを持っていきかじった。

 

「狩人ギルドの儀式だっけ?」

「そやなぁ、白神のエルリヒちゃんは、すっごい大きい狼やねんかぁ。そいでな、すっごいおっきい黒神のライギルっていう狼がいてなぁ、エルリヒちゃんとライギルはものっそい仲が悪いねんてぇ。だから、狩人はな、エルリヒちゃんが守ってくれるから、毎日つつがなく狩りができるんやって。」

「それなのに、ちゃん付けなの?」

「エルリヒちゃん、懐が広いからなぁ、こんぐらいで怒ったりしいひんってユメは思うねやんかぁ。実際、怒られたことないしなぁ。」

「・・・気持ちは」

 

ユメの隣に座っていたシホルがドーナツみたいなものを大事そうに持っている。

 

「ユメの気持ちは神様にちゃんと伝わってると思う。あ、あたしがそう思うだけ、だけど。」

 

俺はパンを一口かじった。

 

「そうだな。まぁ神っていうくらいなんだから、下々の民草の気持ちをちゃんと感じ取ってくれてると思うぞ。」

 

俺は、同意を求めるようにシホルの方を見て軽く、な?っと首をかしげる。シホルは「う、うん。」と言ってはくれるのだが、目を合わせようとはしてくれない。あの風呂覗き事件以降、シホルと話はできるものの、どうしても目と目を合わして会話をしてはくれないでいた。そのうち元通りになると思っていたのだが、そう上手くはいかなかった。

 

「・・・その話」

 

ランタが干し肉を噛みちぎりながら渋面をつくった。

 

「しっかりオチがあんだろうな。ここまで我慢して聞いてやったのに、もし切れ味するどいオチが用意されてなかったら本気でブチギレるぞ、マジで。」

 

そのランタの言葉に、ユメは目をぱちぱちさせ首をかしげる。

 

「オチ?ないよ?そんなん。」

「なっ!アホか~っ!オチのない長話はをするんじゃねぇ!」

 

ランタがユメに対して怒ったところで、マナトが突然笑い出した。

 

「あ、ごめん。いいパーティになってきたなと思ってさ。」

「まぁ最初の頃よりはな」

「ゴブリンなら4匹までは普通にいけるようになったし、上手くすれば最大7体くらいまで同時に相手できると思う。それに何より、怪我をすること自体が珍しくなってきたぐらいだからね。」

「そうだな、油断さえしなければそこそこ戦えてると言ってもいいだろう。」

 

俺とマナトの言葉が嬉しかったのか聞いてる奴は黙って俺とマナトの方を見ている。マナトは話の最後に「皆がいてくれてよかった」と言って締めくくった。

 

そして軽い雑談も交えながらとった昼食の後、午後の戦闘を開始することとなった。

 

「---いたか。」

 

前方にいたハルヒロが手を上げて立ち止まり合図してきた。全員で一端は物陰に隠れて、まずは偵察だ。いつも通り、ハルヒロが一人で偵察に行く。稀にランタがついて行こうとしたりするが、ついて行って良かったためしがない。そして戻ってきたハルヒロの情報を聞く。

 

「やばいかも。まずいたのは4匹なんだけど1匹がすっげーでかい。俺くらいあるかも。」

「ホブゴブリンだ。」

 

マナトがわずかに目を細めた。

 

「ゴブリンの亜種で、普通のゴブリンよりも体格がいいんだ。凶暴だけど頭は良くなくて、ゴブリンの奴隷みたいになってることもあるらしいから、それじゃないかな。」

「ほ~う」

 

ランタが嬉しそうに舌を動かす。

 

「奴隷を引き連れてるってことは、そのゴブ野郎、身分が高いんじゃね?だったら、いいモン持ってるよな、きっと」

「確かにそう考えられるな。」

 

俺もランタの意見を肯定する。

 

「4匹か・・」

 

マナトは判断を渋る。

 

「ん~4匹でも何とかいけると思うけどなぁ。」

「あ、あたしが、最初に1匹を狙ってユメとランタハルヒロ君で1匹ずつ相手したら残りの2匹は、その」

 

シホルは手に持っている杖を握りながら俺の方を横目で見る。

 

「・・そうだな、決して勝てない人数ではないな。俺は戦ってみてもいいと思う。」

 

マナトは俺の言葉に納得したのか、周りの奴らを見回し、そして頷いた。

 

「よし、やろう。」

 

作戦はすぐに決まった。といってもいつもやってることとそう変わらないのだ。まずはユメとシホルの遠距離からの攻撃で敵に先制攻撃。そして気づかれたら俺とモグゾーが前衛である程度の敵を相手にする。そして中衛のマナト、ハルヒロ、ランタの3人で少ない敵を倒す。ユメとシホルは俺とモグゾーがピンチなら遠距離からの弓と魔法で援護。そうでなければ中衛のサポートに回る。今回は俺がホブゴブリンを1匹、モグゾーが板金をつけているゴブリンを1匹相手にしている間に、マナトたちが残りの2匹のゴブリンを相手にして、早めに掃討。すぐに前衛のカバーに入るというものだ。

 

ゴブリンたちが見える場所にまで移動した。ゴブリンたちは休憩中なのか武器であろう剣などを手に持たず腰を下ろしている。座っている場所は割と開けた所にいるのでユメの弓や、シホルの魔法も割と狙いやすい。いつもなら敵を囲むようにして戦うのだが、今回は離れることなく、なるべくお互いがすぐにサポートできる位置で戦うことを選んだ。

 

「シホル、ユメ、ここから狙えるか?」

「・・やってみる。ちょっと自信は、ないけど」

 

シホルが胸に手を当て静かに深呼吸する。ユメも弓を構えて矢をつがえた。まだこの段階ではゴブリンたちは気づいていない。二人が堀から上半身を出す。そしてシホルは影鳴り(シャドウビート)を、ユメは弓を放った。ユメの矢はゴブリンたちのはるか頭上を飛び越えていったが、シホルの魔法はホブゴブリンに当たった。ホブゴブリンが身を震わせて「ゴフッ」っと声を漏らし、他のゴブリンたちにも気づかれた。

 

「見つかった!」

 

ハルヒロが叫ぶ。

 

「出るぞ!」

 

すぐさまマナトが号令をかける。ホブゴブリンは割とすぐ動けるようになり俺が近づいたときには足元に置いてあった大きな棍棒を持ちあげて、よろよろと立ち上がっていた。そして俺がホブゴブリンと対峙したとき、後ろからユメの叫び声が聞こえた。何があったのかは、ユメが「ハルくん!」と叫ぶ声からハルヒロが怪我をしたんだろうと判断できた。後ろにはマナトがいるのだからここはマナトを信じようと俺はホブゴブリンに集中した。見た目は俺と同じくらいの身長だが、どう見てもホブゴブリンのほう体格がいい。ホブゴブリンは動きが早くないので一回一回の攻撃を受け止めることは簡単だが、いくら盾持ちだといってもそう何度もくらっていては体力が持たない。いつもなら盾で受けて、その間に攻撃をしたりするのだが、こいつ相手では受けるのに精一杯だ。

 

(一発一発が重たすぎだこいつ)

 

俺は今度は盾で受けるのではなく剣で受け、なるべく衝撃が来ないように体を半身にし体の横を棍棒が落ちるように受け流した。

 

「っく、でもまぁ勝てない相手じゃないな、お前は」

 

俺の言った言葉がわかるのかどうかはわからないが、俺がそう言った瞬間、ホブゴブリンが大きな声を上げて上の方から勢いよく棍棒を振り下ろしてきた。俺は振り下ろされる棍棒をサイドステップで横に避け、ホブゴブリンの首筋を斬る。ホブゴブリンが慌てて距離を取ろうと動くが俺は間合いを話さないように近づき、棍棒を持っていた右手首を斬った。棍棒を落としたホブゴブリンは武器を拾うのは諦めたのか、そのまま殴ってきた。もう冷静に戦えていないホブゴブリンは俺をただただ殴ろうと単調な攻撃ばかりで、後は簡単だ。少しずつ斬り刻んでいき、最終的に動かなくなったところを後ろから心臓に剣を突き刺した。

 

「・・っは~。やはり大型は疲れるっ。力、強すぎるだろこのホブゴブリンって。」

 

予定通り俺はホブゴブリンを仕留めた。怪我という怪我はなかったが、盾や剣で受けた衝撃が割と体力を削られた。こいつがもう1匹いたら苦戦は免れなかっただろう。

 

「まぁでも一先ずこいつをやれば後の3匹は何とかなるだろう。」

 

俺はホブゴブリンと戦っているうちにマナトたちと少しだけ離れてしまっていたので、上がっていた息を整えてからランタたちの元に走った。

 

(張り切ってたから、案外もうかたをつけてるかもな)

 

しかしその角を曲がったところで俺は数分前の自分を殴ってやりたくなった。

 

「って、マジかよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

なぜなら、

 

 

 

 

 

 

 

 

角を曲がった先でマナトたちが戦っていたのが、

 

 

 

 

 

 

 

 

おそらく新たに増えたのだろうゴブリン4匹と

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なぜかもう一匹ホブゴブリン(・・・・・・)がいたからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺が着いたとき、ハルヒロは左から血を流し、ランタに至っては頭から血が流れていた。

 

「・・・不味いな。」

 

グリムガルに来て初めて、命の危機に俺たちは直面した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでくださり、ありがとうございました。

なんというかノゾムの怪我の治し方とかはもう完全オリジナルです、すみません。
原作はそんなんじゃないぞ!
他にも色々何か必要なことがあるぞ!
とかあるかもしれませんが、こういうやり方なんです!この作品では!
ってことで許してください。orz

それでは次話でお会いしましょう~

P.S.
 皆様の温かい感想いつも読ませていただきとても励みになっております。
 気が向きましたらまた感想をいただけるとありがたいですOTZ


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