灰と幻想のグリムガル Extra   作:キリュウ

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遅くなって申し訳ありません。

試験などがつまっていて中々書く暇がなく

ようやく一本仕上がりました

あれ~おっかしいぞ~?って箇所があるかもしれませんが

そこは温かい目で読んであげてください!


第五話 : 泥ゴブリン

 

 

まだ朝の陽ざしが差し込まない時間帯に俺は目を覚ました。周りを見渡すとまだ眠っているハルヒロたち4人がいた。ちなみにユメとシホルはまた別の部屋で寝ている。

昨日、森から帰ってきた俺たちは見習い義勇兵ならば格安で泊まれるという宿屋を知ったのでこれからの生活拠点にしていこうということになった。

 

 

 

 

あの後、昨日の初めての実戦は散々だったためまぁ一種の気分転換みたいになればと思って俺は夕食は各自で食べることにして町で色々買い物でもしないか、と提案した。この提案に誰も反対することはなく、宿屋で荷物を預けたりしてからおのおの、町に移動していった。俺は手に入れた爪を売るために、これを買い取ってくれる店に行くことにした。こういった爪や牙といったものを買い取ってくれる道具屋は案外、数はあるらしく前に見つけておいた店に俺は脚を運んだ。

 

「すいません。ちょっと買い取って欲しいものがあるんですけどいいですか?」

 

俺が買い取りを任せにきた店は小さな露店商だった。

 

「はいよ~何を売ってくれるんだい。」

「えっと、この爪を売りたいんだけど、いくらで買い取ってくれます?」

 

俺は持ってきた爪を店主に見せた。

 

「う~ん、これなら50カパーで買い取ろう」

「へぇ~爪って50カパーもするんですか。」

「まぁね。爪や牙なんかは薬を作ったりしたり他にも色々使い勝手がいいんだよ。」

「なるほど。わかりました、じゃあこれ4つあるので買い取っていただけますか?」

「まいど~。ほいじゃあこれが代金の2シルバーね。」

「ありがとうございます。」

 

俺は金を受け取り腰のポーチに金を入れた。一先ずやるべきことは終わったので俺はその後、宿屋に戻った。宿屋に戻ったらランタが一人で小さな橋の上でぽつりと一人で座っていた。まぁ今日何もできなかったショックや、何もできない現実感をそれなりに受け止めているのだろうと俺は思ったので親交も含めてランタに話しかけた。

 

「どうしたんだ、ランタにしては元気がないな」

 

ランタは顔だけ一度俺の方に向けたものの、すぐに前を向いてしまった。

 

「うっせ、オレだっていつでもテンションが高いわけじゃねぇ」

「まぁそりゃそうだな。だけど、ランタの元気の良さに救われてる部分もあるのも確かだからな。」

「はぁ?んなわけねぇだろ。本音言えよ。何いい人ぶってんだよ。」

「かもな。だが、俺はこういう人間なんだ。」

「っち、別にどうでもいいけどよ。」

「だけどまぁ俺たちは仲間なんだ。そう邪険に扱わないでくれよな。」

「別に邪険になんか扱ってねぇっつうの」

「・・まぁそういうことにしとくよ。」

 

俺は苦笑いを浮かべながらランタと話を続けていた。結局ランタとはまだ打ち解けたとは言えないが、まぁこれから時間があるから少しづつでいいかと俺はこの時思った。そして皆が宿屋に戻ってきて各自風呂に入り、就寝となり、そして朝を迎えたというわけだ。

 

 

 

 

 

まぁまだ日が昇る前なので4人は全員寝ている。俺は聖騎士の鎧をまだ着ずにベッドから降り部屋の外に出た。部屋の外に出ても、やはり人の気配はほとんどない。俺たちが今休んでいる宿は俺たち以外の見習い義勇兵やもう見習いを卒業したものも泊まっている。その中には朝早くから行動を開始しているものもいるのではと思ったが、その気配はなかった。まぁそれも、たまたま今日は早くないのかもしれないが。とりあえず、顔でも洗うかと俺は宿の水場に移動した。しかし、そこには俺より先客がいた。

 

「早いな、起きていたのか。」

「あ、おはようございます。」

 

起きていた相手はシホルだった。宿の水場のそばには小さな長椅子があり、シホルはそこに座っていた。

 

「そんなところで何してたんだ?」

「えと、空をちょっと」

「ふ~ん、空ね。まぁいいけど、寝不足で倒れたりするなよ?」

 

俺は冗談半分にシホルに笑いながら言った。

 

「だ、だいじょうぶです。・・だぶん」

 

最後の方に聞こえてきた言葉はまぁあえて触れないでおこう。

 

「あぁ、そういえば。ほら。」

 

俺はポーチに入れた2シルバーをシホルに渡した。

 

「これどうしたの?」

「あぁ、昨日爪を手に入れただろ?あれ換金してきたんだ。それがそのお金」

「そ、そうなんだ。2シルバーもしたんだ。すごいね」

「まぁな。しかしこれから考えるに、自分たちの生活費も稼がないといけないから余裕とは言わないが、まぁ義勇兵になるのはさほど難しいことじゃないみたいだな。」

「うん。私もがんばる。あ、これ見してくれてありがと。」

「いや見せるためじゃない。その金はシホルにあげるよ。」

「え?だめだよ。これはノゾムが稼いだお金なんだから。」

 

シホルは真面目な性格をしている。だからか先ほどまで座っていた椅子から立ちあがり俺の方に向き直った。

 

「あぁだからその使い道は俺が決める。だからその金を受け取ってくれ、シホル。」

「う、受け取れないよ。これはノゾムが使って」

 

俺は頭を軽く横に振った。

 

「俺はこれから貯めればいいからいい。それにこれは別にシホルだけにってわけじゃないんだ。」

「え、どういうこと?」

「この2シルバー、1シルバーをシホルに、残りの1シルバーはユメに渡してやってくれ。」

「ユメに?」

「あぁ、その、なんていうか、俺たち男と違って女は色々と必要なものがあるだろ?それの足しにしてくれってことさ。男は我慢させるから気にしなくていい」

 

俺がそう言うとシホルは少し俯き、そして数秒してからゆっくりと顔を上げた。

 

「うん、ありがと。このお金大切に使うね。」

「そうしてくれ。それとランタには内密にってことにしといてくれ。ランタにばれると不平等だ!とか怒鳴られそうだ」

「ふふ、そうだね。わかった。ユメには私から言っとくね。」

 

シホルはその手に握った2シルバーを大事そうにポケットにしまった。

 

「それにしてもそろそろ日が昇るな。朝食の準備でもするか。シホルは料理できる?」

「えっと、だいたいはできるよ。そ、そんなに上手じゃないけど」

「俺も似たようなもんさ。じゃあとりあえず簡単なものでも作ろうか。昨日マナトとハルヒロが少し買ってきてくれた食料があるからさ」

「うん、わかった。」

「よし、それじゃあ台所に行きますか」

 

そして俺とシホルは宿屋の調理場に移動し、俺が適当に野菜を切ってサラダを作り、シホルがスープを作る。俺とシホルが早めに2人で朝食を食べていると、しだいに起きてきたハルヒロたちもその席に加わり、俺とシホルの朝の時間は過ぎていった。

 

 

朝食を取り終えた俺たちは早速昨日行った森へと向かった。森に着くと小さな小川を発見し、そこに一匹の泥ゴブリンを発見した。

 

「見つけた。見た感じ川で水飲んでるみたい。数は一匹」

 

ハルヒロは盗賊なのでこういった隠密的な行動を主にメインとしている。

 

「よし、それじゃあ朝に相談した通りの手順でいこう。」

 

そう号令をマナトがかけ、各自そのゴブリンを目標とし配置に移動した。一応、最初はランタが先陣をきって攻撃するということだったのだが、「うおらぁぁぁぁぁ!」とランタがなぜか離れた場所で大声を上げて走り出した。何というか、想像はしてました感がぬぐえないが、とりあえずそのランタの声につられ、ハルヒロが走り出し、それに俺も続いていく形となった。流石にゴブリンも俺たちに気付き人数の多さに逃げようよしたがユメがゴブリンの進行方向を射抜き、ゴブリンはひるんだ。

 

「ナイス!ユメ」

 

そう声をかけながら最初にゴブリンと相対したのはハルヒロだった。

 

「って俺が一番最初なの!?」

「安心しろ俺もいる」

「あ、よ、よかった。で、どうしよ。」

「ひとまず呼吸を整えろ。誰だって緊張してるんだ。もちろんそれはゴブリンだってそうだ。こういう場合、どれだけ落ち着いて戦えるかで勝敗は決まる。」

 

俺がハルヒロにそうアドバイスすると目の前のゴブリンが大きな声で叫んだ。一瞬ゴブリンが仲間を呼んでいるのかと思ったが、どうやらそうではなく自分を鼓舞するために叫んだようだった。そして叫び終えると、ゴブリンは俺とハルヒロのいる方に走ってきた。最初の狙いは方向的にハルヒロのようだ。ハルヒロめがけて一直線に走ってきて、持っていた剣をハルヒロめがけて振りおろす。それをハルヒロは全力で左に避けることで回避した。

 

「大丈夫かハルヒロ。緊張しているのはわかるがあそこまで全力で避ける必要はない。息があがるからな。」

「わ、わかってはいるけど、やっぱ怖いって。」

「そうだよな。だから俺が一回やってみせるからちょっと見てろ。」

 

その言葉を受けてハルヒロは、え?と声を漏らしたが俺はその時にはゴブリンめがけて走っていた。俺がゴブリンに攻撃しようとしてるときにユメやモグゾー達ももう川辺に降りてきていた。ゴブリンも次は俺にターゲットを切り替えたようで俺にもまた右方向から剣を振り回してきたが俺はその振り回してきた剣を左腕につけている盾で受け止めた。そして、その受け止めた盾を攻撃してきた方向と同じほうに押し返すと、反動でゴブリンの身体の正面ががら空きになったのでそこに右手に持っていた剣でゴブリンの左肩から右腹にかけて剣を振り斬った。

 

「アアァァァァァァ!!!」

 

身体を斬られたゴブリンは大声を上げながら俺との距離を開けた。

 

「す、すげぇ」

 

ハルヒロは俺の今の戦いを見てそう言葉を漏らす。俺は息を整えながらハルヒロの横へ移動した。

 

「そう思ってくれるのは嬉しいが、まぁこれでも俺も緊張してるんだ。とりあえずダメージは与えた。だれか俺の代わりにとどめをさすのをやってみてくれ。」

 

そしてランタが今がチャンスとばかりに攻撃を仕掛けたのだが、ゴブリンはランタの攻撃をあっさりと避けてランタにカウンタを入れようとした、しかし、ランタはそれを全力で跳び避けて頭から地面につっこんだ。

 

「と、止まっちゃだめだ!」

 

マナトがランタにそう指示するものの、ランタもすぐには起き上がれず、ゴブリンの剣がランタに当たる、というところで後ろから近づいてきていたモグゾーがバスターソードをゴブリンの脳天めがけて振り下ろした。その威力は相当なもので、ゴブリンの頭の三分の一は砕けてしまったのではなかろうかといったぐらいだ。流石に今の打撃にゴブリンはやられてしまったようでふらふらと倒れてしまった。

 

「--っしゃ!」

 

そうランタが喜び、俺の横にいたハルヒロも小さく、ほっと息をこぼした。しかし、その喜びも一瞬で、倒れたと思ったゴブリンは素早い勢いで起き上がり、川の反対側へ逃げだした。俺も倒したと思ってしまったので追いかけるのに反応が一瞬遅れてしまった。けれど、そんな逃げるゴブリンの頭に何かがぶつかった。

 

「あ、当たった。」

 

どうやら今ゴブリンの頭に当たったのはシホルの魔法だったらしく、ゴブリンも川の中に入る直前にこけてしまった。

 

「オレがぁ!!!うおらぁぁぁぁ!!」

 

そういってランタはゴブリンに馬乗りになるかたちでランタのロングソードでめった刺しにした。ランタも初めてで興奮してしまっているから仕方のないことかもしれないが、あまり見ていて気持ちの良いものではないのは確かだ。そしてゴブリンが動かなくなるのを確認すると、ランタは高笑いして悪徳(ヴァイス)げっと~!っと叫んだ。ランタも興奮が落ちついてきたのか次第に声も小さくなり、とりあえず、このゴブリンからの戦利品を確認した。このゴブリンからゲットできたのは首に掛けていた、丸い穴が開いた銀貨、そしてゴブリンの爪などだった。

 

「やったな~初じめての戦利品やな~」

「そうだね、これからもできたらこんな感じで一体ずつ狙える機会を狙っていこう」

「へ!別に一匹だろうが十匹だろうがオレ様には関係ねぇけどな!」

「そういうのはノゾムみたいに戦えてから言えよ」

 

一先ず初戦闘を終えた俺たちは初めての戦利品に盛り上がり、そして今回の戦闘での反省を話しあい、また次のモンスターを探して歩きはじめていった。

 

 

 

 

 

 

そしてオルタナに戻ってきた俺たちはまた夕飯を食べたいものを食べてくることとなった。案の定、あの一回目の戦闘以外は散々だった。皆数が増えると途端に動きの切れが悪くなり、恐怖から腰が引けてしまっていて、結局戦闘という戦闘が行えたのは俺とマナトの2人だけだった。

 

「ご、ごめんなさい。私、ぶつけるつもりはホントになくて・・・」

 

俺はユメとシホルの3人で明日の朝食の買い物に来ていた。

 

「何でも練習あるのみだからな。ただ流石に3回目は疑ったけどな」

「ほ、ほんとにごめんなさい。」

「ノゾムくんもゆるしたってや~、シホルも頑張ろうとした結果やねんからさ~」

「わかってるって冗談だよ」

 

あの後の戦闘で俺は聖騎士なので主に壁やくとして前に立って戦うのだが、今は主にモグゾーやランタに戦い方の手本を見せてから、俺が後ろで見てる感じだった。その時になぜかシホルの魔法が俺の頭に直撃し、敵がチャンスと俺をめがけて攻撃してくることが3回もあったのだ。

 

「つ、次からはもっと離れてる敵を狙うようにしてみるね」

「う~ん、別にそんな気にせず今の内にバンバン試している方がいいと思うな。後々になって正確なコントロールが必要になってきてから練習したんじゃ遅いだろうからな」

「せやで~シホル。どうせやったらな~ランタの頭を目標にして当てたったらええねん。」

「う、うん。じゃあ、そうしてみようかな?」

「え?ホントに?いや~意外とシホルも攻撃的だな~次はランタか~」

「じゃ、じゃなくて!今の内にもっとコントロールできるように練習しとこうかなって」

「わかってるよ、じょ~だんじょ~だん」

「ノゾムくんって意外と意地悪さんなんやな~、それともシホルにだけ意地悪さんなんやろか~?」

「別に意地悪してるつもりはないんだかな。ん~、お?」

「ど、どないしたん?」

 

俺が急に立ち止まったので、後ろを歩いていたユメとぶつかるところだった。

 

「いや、お二人が意地悪さんと俺のことを言うから、ここでいい人アピールでもしておこうかと思って?」

「いい人アピール?」

「そういうこと。ちょっと待っててくれ」

 

そう言って俺はシホルとユメに荷物をいったん預けて、そこの店で見つけた2つの商品を購入し二人の元に戻った。

 

「な、何買ってきたの?」

「ほれ、お二人にプレゼント。今日の得たお金で買ったもんだからそんな高いものじゃないけどな」

 

そういって俺はシホルに髪留めを。そしてユメには髪を結うゴムをプレゼントした。

 

「わぁ、可愛い、でも、その・・」

 

シホルがまた恐らく気にしてるのはお金のことだろう。まぁそういった所がしっかりしてるのはいいことなのだが、

 

「あ~でもシホルから今朝ノゾム君から言うて銀貨一枚もらったって渡されたのに、こんな物も貰ってたら何かうちら甘えてばっかりになってもうてへん?」

「気にするなって二人とも。これは俺にとってもいい買い物なんよ」

「う~ん?何でノゾムくんにとってもいい買いものなん?」

 

まぁそりゃな、

 

「喜んでくれた女の子の笑顔って、男からしたらかなりの良い買い物ってことなんだよ」

 

そう言って、俺は預けてた荷物を受け取り二人の前を笑いながら歩いて行った。その後ろを二人はゆっくりとついてきて、

 

「ほんじゃあ、明日はシホルとうちがおいし~い朝ごはん作るから楽しみにしとってな!」

「それは明日の朝が楽しみだ」

「うん、頑張る。えっと、ユメは何が作れるの?」

「うち?う~ん、なんやろな~うち料理ほとんどしたことないからな~」

「「・・・え?」」

「でもまかして~絶対おいしいもん作ってあげるから!」

「・・あ~シホル。」

「・・う、うん。とりあえず、私がメインで作ることにするから。」

「・・ありがと。」

 

そんな俺とシホルの小さな声での会話はユメには聞こえているはずもなく、

 

「う~ん、何がいいかな~。ノゾムくんって何か嫌いなものある~?」

 

そんな能天気な声を出しながらユメは俺とシホルの前を歩いていた。とりあえず、明日の朝食は色々な意味で期待が高まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでくださりありがとうございます。

いや~多分次話も少しかかると思います。

ここで一言、自分の好きなキャラはユメです。w
どこが好きなのかと言われたらあの中で一番ユメの声があぁ~ユメだわ~となりましたw
すみません、どうでもいいですねw

あぁ~最近グリムガルのSSが増えてきて嬉しい!

あ、アニメ通りに必ずしも進んでいるわけではないのでそこら辺は注意してくださいね!

それでは、また次話で!

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