「はぁー、なんで……」
俺はタメ息をはいた。いや、聞こえるようにした。
「今宵は満月の日」
「え、そうなの?」
「なんでこっちを向くのかな千歌ちゃん」
「善子ちゃんのことだから真に受けない方がいいよ」
「でもたしか今朝のニュースで満月だって言ってましたよ」
「あら、ルビィでもニュースを見るのね、関心だわ」
「満月の海は綺麗なんだよね」
「あら、マリーも見てみたいわね」
「今日は月の本でも読むずら」
善子、千歌、梨子、曜、ルビィさん、ダイヤさん、果南姉、鞠莉さん、マルさん。
誰も俺に気がつかない。別に泣かないもん。少し見にくいのは目が潤っている証拠だもん。
「あーの、皆さん。俺のこと忘れてませんか?」
「あぁー、いたの?」
ひどくないですか、千歌さん。
朝から機嫌が悪い千歌は俺にさっきから冷たい態度をとる。なにかしたっけ?思い当たる節が見当たらない。
「それでなんか用だった」
「なんか怒ってる?」
「べつにー、怒ってないもん」
「うーん、まあいいや」
話しを戻そう。ここで時間を潰す訳にもいかないし。
「「ハアー」」
溜息が聞こえたがたぶん俺には関係ないだろう。曜も果南姉も何かしらの疲れがあるのだろう。
「話しは昨日の事なんですが」
9人とも反応を見せた。それぞれ思っていることは違うだろうが。
それでも今から話すことは9人に関係あることだから。
「唐突だが、Aqoursは知名度あるのか?」
「「「「「「「「「?????????」」」」」」」」」
皆頭を傾げて頭の上に?が浮いているのだろう。
そしてその中には「なにをいいているんだこのバカ?」っと思う者もいるだろう。
いや、本当はいて欲しくない。そんな悲しいことを思う人いないと――
「なに言ってるの、バカなの?」
いたね。凄いグッサリとバッサリと最後はドーンと爆発をつけてもいい。それほどまでに俺のメンタルは打ち砕かれた。
だってまさか言うとは思ってなかったから。けど、
「千歌。やっぱり怒ってる」
「しつこいよ。バカこと君」
「なんだよそれ!」
「沢田 バカこと君」
「フルネームで呼ぶな!」
「フルネームじゃあないでしょ」
果南姉のツッコミが聞こえたがどうだっていい。
「なんだよ!バカはお前だろ!」
「なっ、千歌はバカじゃあないもん!」
「そうか?冷凍みかんを初めて見たときはまるごと食べようとしてただろ!」
「いつのことよ!それならまー君だって、高いとこ苦手なのにジャングルジムの天辺まで登って降りれなかったよね!」
「おまっ!それなら千歌だって果南姉の家まで一人で行って迷子になって大変になっただろう!」
「あー!覚えていたの!まー君だって迷子になったよね!」
「そんなことがあったの?(:曜)」
「うん。二人とも迷子になって大人たち総勢で探し回ったよ(:果南)」
「あー、覚えてるずら。確か放送が流れまで(:花丸)」
「そうなんだ。二人とも方向音痴?(:梨子)」
「たぶん、マリーが思うに蝶を追いかけて迷子になるとかだと思うな(:鞠莉)」
「まるでルビィね……可哀想に(:ダイヤ)」
「お姉ちゃん!それってルビィも可哀相なの!(:ルビィ)」
「そんなことより早くあの二人をどうにかしない(:善子)」
「もー!なんでまー君は意地悪なのー!」
「俺か!俺がなにかしたか!」
「もう、まー君と口きかない!」
「あぁ、俺もそうしてやる!」
「あーあ、なんでこうなるのかな」
「そう思うなら果南どうにかしなさいよ」
「えー、鞠莉が思う以上にこうなると二人とも面倒なんだよ」
「とにかく今はあの二人を一旦放さない?」
「曜さんが言う通り。一旦あの二人を放すとしましょう」
「それじゃダイヤは誠を、私が千歌を相手するよ」
「そうするとマリーはダイヤと一緒に誠を」
「くれぐれもさらにややこしくしないでくださるかしら」
「それで、だいたいの話しはわかりました。それで……これはなに」
俺はダイヤさんと鞠莉さん、梨子さんと喜子に連れられて海に来た。いや、連行された。
「この縄はなんですか?」
手首を縄で繋がられ、まるで犯罪者だ。
縄の先を持つ鞠莉さんに聞く。
「逃げないようにするためだよ」
逃げないようにって、楽しんでますよね?
「ごめんね。痛くない?」
梨子さんが泥沼に咲く一輪の花に見える。
「全くなんでヨハネがこんなことに付き合わされるなんて」
おいおい、ため息つきたいのはお前ではなく俺だぞ。
「さて、あなたは言いましたわよね」
「は、はい?」
「Aqoursは知名度があるのか……っと」
あー、確かに言った。その後に千歌と言い合いになって忘れていた。
今思い出してイライラしてきた。なんで俺が怒られるんだよ。俺がなにした。確かに言い過ぎたと思うところはあるかもしれないけど、けれどあそこまで言われるのは頭にくる。
「なんであなたはそんなことを」
「いやー、昨日皆で出掛けたところをクラスメイトに見られて」
「それは、不運ね」
「そうですよね」
「私たちが、よ」
「そっち!?なんですか!俺といる場面を人に見られたくないと!」
「それで、クラスメイトになにか言われたのかしら」
「ああ、もう次にいくのですね。それでクラスメイトに皆はスクールアイドルをやってるって言ったのですが……」
「知らないと、言われたんだ」
続きを梨子がいい、頷いて答える。
「それで、俺イラついて……」
「全く、あなたは」
「そんな事で」
「そんな事って!」
ダイヤさんも鞠莉さんも何にも思わないのか。
「優しいんだね」
「あの時から変わらない」
梨子と善子が優しい言葉をかけてくれる。
「今からでも遅くないですわ」
「そうね。皆に笑顔を」
「こんな私でもなれたんだもん」
「堕天使の力を受けてみなさい」
四人とも自信の笑みを向けてくる。
「そうですよね」
そうだ。今からでも遅くない。
アイツもそうだった。いつだって完敗からスタート。
「それじゃ、プロデューサーのこの町一番を見せてくれるかな?」
「え、プロデューサー……俺!?」
「そう。私たちスクールアイドルAqoursのプロデューサー」
梨子が手首の縄をほどいてくれた。
「これから私たちを導いてくださるのでしょ」
「この堕天使があなたの後についていくわ」
「ダイヤさん、善子」
「泣いてないで、連れていってね」
「泣いてない。目が潤ってるだけだ」
空を向いて目が渇くのを待った。
東京ドームの感激が忘れられないこの数日。
まあ、話しはまた違うところで話すとして、遅くなりました。第8話ができましたので投稿します。
前回が日曜日でしたので今回は月曜日。
そして、今日は月曜日で新学期!?(別に狙ってやってません。)今日は朝から雨でタイトルのような憂鬱の日でした。(別に狙ってやってません。)自分は空に向かって「雨やめー!」っと言ってみたら午後になると雨がやんできて驚きと、人間その気になればなんだってできるっと穂乃果ちゃんが言った通りなんだと思った今日この頃。(これは本当のことです)
そして、ツイッター始めました!まだ始めたばっかりでやり方がわからないけど楽し四月の始まりを過ごしました。
最後に一言、いまが最高!