輝け!イチ・ニ・サンシャイン‼   作:N応P

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第5話 明日は青空

日が傾き、空がオレンジ色に染められていく。

PV撮影は無事終わり、皆帰りの支度をしていた。

「そうだ、明日ってどうなるんだ?」

明日は日曜日。今日みたいに練習するなら遅刻しないようにしばければ。

「たぶんないと思うよ。明日は家の手伝いをしないといけないから」

そっか、果南姉は家の手伝いがあるのか。そうすると千歌も家の手伝いがあるな。

「このグループの皆って家族がなんらかの仕事をしているよね」

「そうだね。千歌は宿の経営、果南姉はダイビングショップ、それで曜がフェリーの船長で、花丸さんはお寺だっけ?」

「そうそう。それより、もう他の皆のことを名前で呼んでいるんだね」

「なんかわかないけど、名前で呼んでくれって言うから」

「それで、私だけは『果南姉』のままなんだ」

「え、ダメだった。果南姉」

「いやーほら、小さい頃はいいけど……今は」

「えー、俺にとっては果南姉は果南姉なんだけど」

「うっ……それを言われると」

困った顔をする。

そんなに困っていたとは思わなかった。

「わかったよ、果南」

「え……」

「え、なにその驚きの顔は⁉」

そう驚かれるとこちらも驚いて反応に困るのだが。さすがに呼び捨てがダメだったか。そうだよな、年上だからさん付けで呼ばなければな。うん。

「果南さん。大丈夫ですか?」

「…………」

「果南さん?聞こえますか?果南さん?」

「…………」

ダメだ。うつむいて、返事がない。

果南さんは返事がない。どうやら屍のようだ。

って、テロップが出てきそうだぞ。

でも、本当に大丈夫か?なんか、顔赤いぞ?もしかして練習のやりすぎで熱でもだしたか?

「少し失礼しますよ」

果南さんの前髪を上げ、自分の顔を近づける。

「………っ!」

おでこに触れる。

「なな、なにしてるのー!?」

慌てて突き飛ばされた。

「なにって、顔が赤いから熱があるのかと思って」

「へ、そそっか……。ありがとう」

「どういたしまして。そのようすだと大丈夫そうだな。そんなに元気があれば」

「うん。熱はないから心配してくれてありがとう」

「いいよ、果南さん」

「それで、さ。やっぱり……」

「やっぱり?」

「名前、果南姉でいいや」

「けっきょく、そうなるのか」

まあ、そっちのほうが俺としては気が休まると言うのか安心するから、正直にうれしい。

「なーに、二人で楽しそうにしてるの?」

「あ、小原さん。お疲れ様」

「ノーノー、マリーね、マリー」

「マリーさん……」

「ついでに、皆みたいに『さん』付けなしで」

「え、ま、マリー」

「うん。グッドできるじゃない」

「……遊んでるなマリーは、ってなんで誠顔が赤いわけ!」

「いや、だって……」

「フフッ、照れてる姿も可愛い!」

「だから!そうやってからかうから嫌なんだよ!」

「へー、そうなんだ」

なんだろう、マリーの目が新しいオモチャを見つけた子供(ハンター)の目だぞ。

「……あーあ、あれは楽しむ目だ」

なんだろう、後ろから果南姉の恐ろしい一言が聞こえた。

「なにしてるのかしら、あなたたち」

また、声が。

「ダイヤさん……助けて……」

「な、なにしたのあなたたち」

怖い、この人怖いよ。金髪ハーフ怖いよ。

「また、二人は変なことを」

「やだなー、マリーは可愛い子を愛でただけだよ」

「マリーは一緒にしないで今は私は--」

なぜか説明で途中でまた顔を赤くする。

「ごめんなさい。小原さんは別として、今回はあなたが悪いみたいね」

ダイヤさんは俺を睨む。

「えー、俺が悪いの!」

「全くあなたが来てから……」

「そ、そうですよね。男の俺が女子高にいるのが間違ってますよね……」

ははっ、そうだよな。前々から思っていたさ。男が女子高に出入りしてるなんて。回りからも怪しい目を向けられているのを知っていたさ。ああ、いくら千歌に頼まれたからって、考えなしに行動したな。たった数日だけだったけどいろいろと楽しかった。こんな運命は数年前は考えてなかったな。

「すみませんでした。数日でしたが楽しかったです……」

「え、ちょ……」

「果南姉、久々に会えて嬉しかったよ……」

「誠……」

「マリーもその笑顔を皆に届けて……」

「うん……」

「皆さんがナンバーワンアイドルになるのを願ってます」

頭をさげ、その場から去ろう。

今日は家に帰って早く寝よう。

明日は家から出ない。引きこもる。

「待ちなさい」

腕を捕まれる。

「なんですか……」

「あなたは、狂わせるのよ」

まっすぐ目を見て。

「私を皆に溶け込ませるのよ……」

握る手が強くなる。

「それにまだ、手伝ってもらってないわよ。生徒会」

「はい……!」

 




久しぶりの投稿です。
今回は前書き無しで投稿してみました。
三年生の三人組ではダイヤさんはツッコミ役なんでしょうか?
そうすると、μ’sの絵里と同じで大変なんだろうな。
μ’sと言えばもう1つの投稿もよろしくお願いいたします。
それでは、また会いましょう

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