輝け!イチ・ニ・サンシャイン‼   作:N応P

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第17話  暇な日こそ暇

 

 

 日曜日、これは神が人類に与えし唯一の安らぎの時間。

 そして夕方6時から始まる静岡県静岡市が舞台のアニメを見ていつも思う。

 

「日曜日が終わってしまう」

 

 それは世界の終わりを感じる。明日からまた1週間が始まる。

 

「学校か……」

 

 別に俺は学校が嫌いなわけではない。学校に行って友達と会話して勉強する、これらの事は俺は好きだ。なのに月曜日になるとやる気がだだ下がりになる。不思議だー。

 

「誠ちゃーん、バスタオル持ってきてー!」

 

 昨日訪れた嵐になる人が家にやってきた。

 そのせいで俺はお疲れモードになってきている。だからか月曜日が疲れてきたのかもしれない。

 

「誠ちゃーん、早くー」

 

「それぐらい自分で用意しろよ」

 

 そう言いつソファーから起き上がりよろよろとバスタオルを用意する俺ってまじ優しー。

 朝に届いた段ボールの山の中から探すのは面倒だな。

 しかたない。

 

「おーい、ここに置いておくよー」

 

「うん。ありがとうねー」

 

 バスタオルを置いてよろよろと出てリビングに向かう。

 テレビを見ようとソファーに座るが面白いものやってないな。どうしよう頭がくらくらするな。

 昨日は善子と聖来姉でカラオケを楽しんだがほとんどは聖来姉の独占ステージだった。その後は暗くなるまで遊んだ。ほとんどは聖来姉に付き合う形で善子はへとへとに疲れていた。

 そして、俺と聖来姉で善子を家まで送っていった。そこで俺は初めて善子の家を知った。

 あいつの家花火が見える場所にあるんだな。今度の花火大会でお邪魔させてもらおうかな。

 

「ふっー、気持ち良かったー、タオルありがとね。でもこれって誠ちゃんのだよね?」

 風呂から出た聖来姉はキッチンから冷たい麦茶をコップに注ぎだした。

「だってあの山の中から探すの面倒だったから」

「まあ、あたしはいいけどね」

「俺はその格好に問題を感じるけど」

「え、なに?」

 聖来姉は首を傾げる。どこがおかしいですかと聞いてくるように。いや、おかしいから。その格好。

 なんで、バスタオル一枚を羽織ったまま出てくるのかな。パンツは履いているようだけど。

「風邪ひくぞ。パジャマを着てくれ」

「やだなー、この格好は誠ちゃんの前だけだよ」

 それはよけい困る。弟の前でも恥じらいをもってほしいと思うが俺もよくそのような格好をしていたから文句は言えない。

「暑ければ冷房を入れるけど」

「そこまでは大丈夫。さてパジャマ着て少しはこのダンボールの山を片付けますか」

「ベットはもう昨日のうちに準備できてるから」

「ありがとうね。さて少し手伝ってくれる?」

「そうしたいけど、なんか体がだるいんだ」

「もしかして風邪でも引いた?」

「そうなのかな」

「人に言っておいて自分が風邪引くなんてさすが誠ちゃん」

 聖来姉がコップに水を入れて薬と一緒に持ってきてくれた。

 受け取り飲み干す。薬の苦味を水で喉の奥に流し込む。

 ああ、こんなに話しているのに体がだるく動こうとしない。頭も少しボーとして考えるの辛い。

 目を閉じたらこのまま開けることなく終わりそうで怖い。

 意識という糸がプッツンと切れる音がどこかでした。

 まぶたがゆっくり下りて目に映る景色は暗闇に変わった。

 

 

 

 

 

 

 子どもたちのあいさつを交わす元気な声が外から聞こえる。

 鳥が朝の訪れを告げる。

 ゆっくり目を開ける。

 まわり景色がリビングから俺の部屋へと変わっていた。

 何がおきたか理解できずに体を動かそうとするとするが重い。自分の体が自分のではないようだ。

 何がおきたか考えていると部屋の扉が開いた。

「あ、起きた?」

「聖来姉……」

「大変だったんだよ。昨日いきなりソファーで倒れて部屋まで運ぶの」

「ごめん。ありがとう……」

「熱計って今日は学校休みの連絡入れたから」

「ありがとう……」

「うんうん。わかればよろしい」

 体温計を渡され俺はスイッチを入れて計る。

「なんか小さい頃を思い出すね」

 頭に手をおかれ、やさしく撫でられる。

 そのぬくもりが気持ちよく温かい。

 また眠気に襲われる。

 

 

 

 

 

「ああ、また寝てしまったのか」

 次に目を覚ますと時間はお昼になっていた。

 体は前より軽く感じる。熱を計ってみると熱も少し下がっていた。

 先ほどよりは頭がすきっりしているがまだボーとしている。

 携帯に手を伸ばして見るとチカチカと点滅していた。

「うわっ……」

 着信がたくさんきていた。全部Aqoursからだった。

 電話が五件、無料アプリの通知が十件もきていた。

 

『まー君が風邪引いたって聞いたけど大丈夫?今日お見舞いに行くね』千歌から。

 

『ヨーソロ!って気分じゃないよね。今日アイス持って行くね』曜から。

 

『体調が悪いと聞いて千歌ちゃんと曜ちゃんが見舞いに行くっていうから私も心配だからついていくね』梨子から。

 

『誠が風邪引くなんて珍しいね。今日はゆっくりやすんでね』果南姉から。

 

『ハーイ誠元気にしている?元気がないならマリーが会いに行ってあ・げ・る』鞠莉さんから。

 

『風邪引くのは心が弱っている証拠。仕方ないのでわたくしが看病にしてあげますわ』ダイヤさんから。

 

『風邪を引いたと聞きました。ルビィも風邪を引いて一人でいるのは寂しいのを覚えてます。今日の放課後見舞い

 に行ってもいいですか?』ルビィさんから。

 

『体調が悪いときは食事を取って元気になるのが一番。今日の放課後食べ物たくさん持っていきます』マルさんから。

 

『体調を崩すなんてリトルデーモンなのに情けない。いい今日は見舞いに行くからそれまでに元気になってなさい。あと風邪を引いたのは私のせいかもしれないから』善子から。

 

「皆……個人でそれぞれ送ってくるなよ」

 皆個人に送ってきて確認して返事してを繰り返すのは面倒くさい。グループで送ってくれれば楽なのに。

 けど、こうやって連絡をくれるのは嬉しい。寂しい心が温かくなってくる。

 

「あ、恵からだ」

 

 最後の一人、恵から来ていた。

 

『大丈夫?風邪引いたって聞いたよ。バカのくせに風邪引くなんてね、神様も驚きだよ』

「なんだよ喧嘩うっているのか」

『はやく直して学校に来なさいよね。誠がいないとつまらないんだから』

「恵……まったく」

 俺も恵も二年って言う中途半端な時期に転校してきた。

 俺は転校を何度もしてきたから慣れてしまった。また新しい生活を送る、そう考えてきたからだ。

 だが恵は違った。初めての転校でこれまで育ってきた町から離れまったく知らない町での生活が始まったのだ。あいつは不安と寂しいの重みでつぶされそうだった。

 俺と転校の時期が重なり、お互いの席は隣、移動なども一緒に行うことが多くなった。始めは人見知りなのかクラスメイトと会話もしていなかった。俺も人見知りするほうだから気持ちはわかる。だからなのかお互いがお互いを気にしてながら話しかけるタイミングを探していた。

 俺が友達ができずに本を読んでいると、クラスメイトの会話が耳に入ってきた。

「電王って四フォームに変身するよね」

「ソードとロット、アックス、ガンフォームになるよね」

「あれ、もう一つ変身あったよね。白いフォームが」

「たしか鳥だよね。名前なんだっけ?」

「ファング?それはガンダムだ。えーと」

「テディ?それは違うイマジンだ」

 俺はイライラしてきた。

 なにも知らない、なのに盛り上がるのがイラつかせる。それよりもその会話に入ってない俺にイラついた。

 なんで俺はこうも一人で本を読んでクラスメイトの会話にイラついているんだ。

 

「「ジークだよ!!」」

 

 俺ともう一人の声が重なりクラスメイトの会話を止めた。

 もう一人の声こそ、金岡恵だった。

 それから俺と恵は話すようになってきた。

 俺と恵は趣味が合った。アニメも特撮も話しがよく合った。

 まさか女子で俺と話しが合うとは思わなかった。けどそんなの関係なかった、それから恵はクラスメイトたちと話すようになり俺も話すようになっていた。

 本当に一週間で関係が変わった。

 ここ最近もすごく変わった。

 

「お腹減った」

 

 今はお昼のこおとを忘れていた。

 聖来姉はいないのか家が静かだ。ごはんを作るか。

 キッチンに来てみたが食材がない事に忘れてた。

 今ある物でできるものはやっぱりインスタートラーメン。

 

 さて唐突に始まった誠の三分クッキング。

 

「まず最初は鍋に水を入れて沸騰させます。まあ、その時点で三分切るんだけどね。

 沸騰したら麺をいれます。今回はみそラーメンです。卵一個をといておくこと、ここがポイント。そして器にごはん一杯分入れときます。

 残り三十秒になったら卵を入れて完成!」

 

 この料理は名前をつけるならラーメンライスと名付けよう。

 

 お腹はいっぱいになったらやることがない。

 今なら学校でクラスメイトとお昼を食べながらたわいもない会話をしているのだろうな。

 本当に転校初日ではありえない日常になってきた。

 千歌たちが来るまで暇だから部屋に戻って漫画でも読んで待っているか。

 

 

 ~~2時間後~~

 

 

「ああ、暇だー、漫画も小説も読んでしまった。どうするかもう一度寝るか」

 けどもう眠くと言うか寝すぎて眠くない。

 どうするか、とにかくベットの上で横になってゴロゴロしていよう。

 

 

 ~~2時間後~~

 

 

「失礼しまーすって寝ている」

 ああ、何か聞こえる。

「まったくどうなのよ心配してきたのに」

 どこかで聞いた声だ。懐かしい。

「熱は下がったの?」

 額がひやっと感じたのに温かく気持ちい。

「……うーん、明日香」

「明日香?誰よ」

「うっ、恵……なんで」

 気が付くと目の前に恵がいた。

「目覚ましたの、ぐっすり寝ていたから起こそうか悩んだ」

「来てくれたのかありがとう」

「なにか食べる?ゼリー持って来たの」

「ありがとう、いただくよ」

「心配してきたけど元気ね」

「寝ていたら元気になったよ」

「それなら明日は学校に来れるのね」

「お前が来てくれたからかもな」

「……なにを言っているのやら」

 

「まー君!心配してきたよー!」

 

「千歌ちゃんちょっと」「病人がいるのにまったく」

「相変わらず元気いいね千歌ちゃん」「風邪ひかないのは千歌さんのような人ずら」「元気いいのはもう一人いるけどね」

「誠!見舞いにきたわよー」「鞠莉さん静かにしなさい」「ダイヤもねうるさいよ」

 

 大勢の声が聞こえる。

 相変わらず騒がしいって言うのか善子が言ったとおり元気って言うのか。

 けど本当に退屈しない。

 

「ありがとうな、皆」

 

 

 





今回は日曜日から月曜日に移りまして、誠が風邪を引いてしまう回でした。
風邪引いて彼女たちが見舞いに来てくれると風邪なんてすぐ直ってしまいそう。そして次に風邪を引くのは善子の気がしてしまう。フラグだよ絶対フラグ。
さらに言うなら千歌と果南姉は風邪ひかなそう。
曜ちゃんが風邪引いている姿が少し見てみたい。

ここ最近沼津でイベントが多いと思います。いいなー、また遊びに行きたいなー。仲見世商店街でまたお店が閉まってしまうようです。ラブライブのおかげで沼津に皆さんが来てくれますが沼津は相変わらず人の減少が多いようです。この小説が少しでも皆さまの目にわたり沼津が活性化につながるといいなと思います。これからも小説と沼津をよろしくお願いします。
ではまたお会いしましょう。

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